今話題のサブスクリプションモデル”って何?他のサービスとの違いや導入事例も紹介”
最近よく耳にするようになった「サブスクリプションモデル」ですが、みなさんはこの意味をご存じですか?
よくサブスクという言葉を耳にするかと思いますが、ちゃんと定義を答えられる人は少ないんだとか。
サブスクリプションは近年、動画配信サービスをはじめとした、さまざまな分野で導入されているビジネスモデルであり、注目を浴びています。
今回はそのサブスクリプションモデルについてメリットやデメリットと導入事例も一緒に解説していきます。
サブスクリプションについて
音楽アプリや動画配信サービスなどを「サブスク」と呼び、近年急速に需要が伸びましたよね。
では、そもそもサブスクリプションの意味は何になるのでしょうか。
最初の段落ではサブスクリプションの意味や、他に定額サービスや買い切りサービスとの違いに加えて、サブスクリプションが誕生した背景について解説していきます。
そもそもサブスクリプションとは
「サブスクリプション」をそのまま直訳すると「定期購入」や「定期購読」などの意味になります。日本においては、音楽アプリや動画配信サービスとして有名なNetflixやSpotifyをはじめとした、いわゆる"サブスク"が人気を集めていますよね。
サブスクリプションとは、月単位や年単位などの一定の期間にサービスを提供し続けて、その利用期間中に費用が発生するビジネスモデルを指します。
利用者側は、ある一定の金額を支払うことにより期間中はそのサービスと使用し放題ということですね。
最近では音楽や動画配信のみならず、ソフトウェアや車、ホテルなどのサブスクリプションサービスも登場し、ますます注目を集めているビジネスモデルになります。
定額サービスとの違い
では実際にサブスクリプションは他のサービスやビジネスモデルとどんな違いがあるのかを見ていきましょう。
まず比較したいのが、今まで主流だった定額サービスとの違いです。
定額サービスは、あらかじめ設定された料金体系に従って、商品やサービスをコンスタントに提供していくビジネスモデルです。
ですので、サブスクリプションも定額サービスも、金額に対して一定期間にサービスを提供する点においては同じです。
サブスクリプションと定額サービスの決定的な違いはその目的だと言えます。
例えば定額サービスは、月額制として顧客に対して固定された一定期間に商品やサービスを提供することがゴールです。
一方のサブスクリプションのゴールは顧客満足度を向上させ、顧客生涯価値と呼ばれるLTVを最大化することです。
改善のサイクルがずっと続くという観点ではサブスクリプションにはゴールがないとする方が正しいかもしれません。
買い切り型サービスとの違い
もう1つ比較したいのが買い切り型サービスとの違いです。
買い切り型サービスとは、消費者がある商品やサービスを購入して所有することを意味します。
まさしくサブスクリプションと買い切り型サービスの違いは「利用」と「所有」だと考えられますね。
買い切り型サービスでは、一度購入してもらうとその商品やサービスはその後ずっと顧客の所有物となります。
ですので、半永久的に自分のものになる訳ですから、当然のように最初に支払う金額は多くなりますし、新たに追加投資やアップデートが行われることも少ないです。
サブスクリプションが商品やサービスを「利用」するビジネスモデルだとすると、買い切り型サービスは購入者が「所有」するビジネスモデルということですね。
サブスクリプションが誕生した背景
サブスクリプションが誕生した背景として考えられるのは、やはりインターネットの普及の影響が大きいでしょう。
特に近年はインターネットに加え、ITやDXなどといったデジタル分野の成長が著しく、私たちの生活はますます便利になってきています。
ネットが普及する少し前まではソフトウェアはパッケージとして販売されることが主流で、アップデートパージョンアップしたソフトウェアをその都度購入する必要がありました。
また新型コロナウイルスの影響もあると考えられており、リモートワークや在宅勤務という概念が当たり前になり、人々が何かしらのツールを利用する機会が多くなりました。
そこで長期間利用するものをより低コストで使用できるサブスクリプションの需要が一気に高まったタイミングでもありましたよね。
サブスクリプションモデルが注目される理由
ではなぜ今そこまでサブスクリプションが注目されているのでしょうか。
続いてはサブスクリプションの需要が高まってきている理由と、社会から注目されている理由について解説していきますね。
消費者の価値観が時代と共に変化
サブスクリプションが注目されている理由の1つ目としてぜひ覚えていただきたいのが、消費者の価値観や考え方が時代と共に変化してきたことです。
日本は毎年のように少子高齢化が進み、メインターゲットとなるのは次世代を担う若者へとシフトして生きています。
今の若者と定義されている世代は、幼い頃からネットに触れ、ネットリテラシーも高く常に利便性を求める傾向が強いです。
つまり、若い世代の中では商品やサービスを所有することよりも利用する方に価値を感じているんですね。
ですが今や若者のみではなく、社会全体の傾向として「所有離れ」の傾向があるのは事実です。
物価高が進み、でも給与は変わらないという状況の中で将来への不安や手取りの少なさが原因だとも考えられています。
サブスクリプションはそんな消費者の価値観の変化や時代の移り変わりに沿って登場した、今まさしく需要が高いビジネスモデルだと言えるでしょう。
サブスクリプションモデルの導入例
日本においてもサブスクリプションのビジネスモデルを導入し、成功している事例はたくさんあります。
この項目ではサブスクリプションモデルを導入した、日本でも有名な商品やサービスを5つ紹介していきますね。
Amazonプライム
サブスクの先駆者になったのが動画配信サービスです。
動画配信サービスの中でも特にAmazon Prime VideoはEC最大手であるアマゾンが展開しているサブスクリプションサービスということもあり、今でも人気を集めています。
邦画や洋画、ドラマ、アニメなどの幅広いコンテンツ動画を月額500円から見られる、当時は革新的なサービスを展開しました。
また月単位ではなく、よりコストパフォーマンスが良いとされる年間単位での販売もしています。
動画配信サービスは他にもNetflixやHulu、ディズニープラスなど種類も豊富です。
ですが、Amazon Prime Videoはその中でもアマゾンを軸として、Prime Music、Amazon Photosなど他の商材を扱うサブスクを展開しているのが最大の強みだと言えるでしょう。
アマゾンはこのようにサブスクの横展開を行うことで、顧客のリピート率や顧客満足度の向上に成功した企業の1つだとされています。
ADDless
ADDlessは株式会社アドレスが展開している「定住」をテーマにしたサブスクリプションサービスです。
ADDlessは一定の金額を支払うことで、アドレスの提携先の物件などであれば、全国各地で利用できる住居サービスとして注目を集めています。
新型コロナウイルスをきっかけにリモートワークや在宅勤務が増え、働く場所に自由さがもたらされたこともあり、一時期話題になっていたサービスですね。
当時は月額4.4万円から利用できたADDlessサービスですが、2023年1月から料金体型が変更になり現在はチケット制になっています。
チケット1枚につき1泊利用できる仕組みで、1ヶ月に2枚のみのプランから30枚チケットが付与されるプランまであり、以前に比べると利用者の用途ごとに選びやすくなりました。
住居場所を移動するにはさまざまな費用や労力がかかりますが、ADDlessを利用することで移動にかかる労力と工数を削減できたことで多くの顧客獲得に成功した事例です。
Kindle Unlimted
電子書籍を取り扱うサブスクリプションサービスはたくさんありますが、有名どころだとやはりKindle Unlimtedが人気ですね。
日本の書籍をはじめとした雑誌や漫画、洋書などが読み放題のサービス内容になっており、月額980円から利用できます。
しかも30日間の無料お試し期間も設けられているのは、利用者にとっても嬉しいポイントですね。
Kindle Unlimtedの魅力はなんといっても、いつでもどこでも本が楽しめる点ですね。
まさに所有から利用に価値が変化した代表的なサービスだと言えます。
これまでは本は本そのものの本体を購入し持ち歩いたり家においておくのが主流でした。
利用者はKindle Unlimtedを使うことにより、本ではなく「本を読む」という経験や体験を買っていることになります。
1ヶ月に何冊も本を読む人やできるだけモノを増やしたくない人にはぜひ使ってほしい、おすすめのサブスクリプションサービスになります。
MicroOffice 365
パソコンのサービスの1つで、誰しもが一度は利用したことのあるMicroOffice365もまた、サブスクリプションサービスを展開しています。
MicroOffice365はそれまでライセンス単位で販売していたPC上のツール(Outlook、Word、Excel、Powerpoint、Accessなど)を月額制で利用できるサービスを展開しています。
月額費用は最も安いベーシックプランで月750円からで、より多くのツールを利用できるビジネスプレミアプランの2750円など、さまざまなプランが用意されています。
普段からよくPCを使い、WordやExcelなどのツールの利用が定期的に発生する人はMicroOffice365のサブスクリプションサービスの利用がおすすめですよ。
Freee
5つ目にご紹介するのが個人事業主やフリーランスの方がよく利用しているFreeeです。
聞きなれない方もいるかと思いますが、Freeeとは法人や個人事業主をターゲットとしたSaaS型の会計クラウドサービスになります。
確定申告や、個人事業主やフリーランスの方でしたら経費精算などを含めたさまざまな会計業務を自分自身で行う必要があります。
Freeeはそんな個人や企業単位で会計業務を必要としている顧客に対して、会計知識がない人であっても簡単に利用できる会計ツールであるのが最大の特徴です。
プランも大きく分けて個人向けと法人向けの2パターン用意されており、自分や企業の状態に合わせたプランを選択することができます。
個人向けのお得なプランだと月額1,480円から利用でき、請求書の機能や確定申告の作成に必要な作業などが利用できます。
今注目されているMaaS事業
最後に紹介したいのが今後注目される可能性がとても高いMaaS事業です。
SaaSはなんとなく聞いたことがあるけどMaaSは知らないかも…という方も多いのではないでしょうか?
MaaS事業とは"Mobility as a Service"の略称で、直訳すると「サービスとしての移動」になります。
MaaSでは、モビリティいわゆる移動したり動いたりすることを、単なる移動と捉えるのではなく、自動運転やAIなどの技術を駆使した次世代の交通サービスとしています。
最近の事例ですと、自動車メーカーが車のサブスクリプションサービスを展開したり、エリアごとで定額を支払うとバス乗り放題のサービスがあったりと内容は多岐に渡っています。
今後キーワードになってくるであろうMaaS事業のサブスクリプションからは目が離せませんね。
サブスクリプションのメリット
サブスクリプションの事例を用いて、ビジネスモデルの実態や特徴が分かったところで、続いてはメリットデメリットについても触れておきます。
まずはサブスクリプションサービスのメリットだとされている注目点を3つ解説しますね。
継続的に収益が上がる
メリットの1つ目に紹介したいのが、継続的に収益を得られる点です。
これは企業側目線でのメリットになりますが、利用者も一定期間その商品やサービスを利用するのを大前提として金額を支払っています。
ですので、1回支払ってもらうと該当する期間分の収益が入ってくるという仕組みになるんですね。
よっぽどの問題が発生したり、利用者の期待に全くそぐわなかったみたいなケースにならない限り、一定期間は収益があると考えていいでしょう。
契約期間内に利用者に満足してもらうことができれば、継続して課金してくれる可能性が高くなります。
また、「せっかく入会したのに今解約するのはもったいない」と感じてもらうことも企業側からすると大切なポイントになります。
新規顧客を獲得しやすい
サブスクリプションサービスには新規顧客を獲得しやすいといったメリットもあります。
サブスクリプションのビジネスモデルは、顧客の長期間での利用を最大の目的にしていることもあり、月額費など最初にかかる費用を安く設定しているケースがほとんどです。
ですので、サブスクリプションのビジネスモデルを導入しているサービスは、1度の支払いにかかる金額が少なく、顧客目線から見ても新規顧客を獲得しやすいメリットがあります。
新サービスであっても、購入や所有が絡んでくると支払いを躊躇される可能性もありますが、サブスクリプションは購入や所有のリスクも少ないので手を出しやすい印象を持ってもらえます。
しかも購入となると、高額な商品やサービスで手が出せないといった内容でもサブスクリプションを利用することで体験ができるという顧客側のメリットもあると考えられますね。
モノを所有する必要がない
3つ目に紹介するサブスクリプションサービスのメリットは顧客目線で考えた、ものを所有する必要がないことです。
サブスクリプションは、特徴の項目でも解説しましたがモノや商品を「所有」するのが目的ではなく「利用」や「体験」することが目的です。
つまりユーザーは購入する、所有することによってのリスクを抑えることができるメリットがあります。
例えば、今興味がある漫画や本は "今"は読みたいけど "1年後"に読みたいと思っているかどうかは分かりませんよね。
なので、自分の好きな時に好きな金額だけを支払って利用することができるのが顧客にとってのサブスクリプションだからこその魅力だと言えるでしょう。
ミニマリストや管理がめんどくさい、家にモノを置く場所がないという方はぜひサブスクリプションサービスの利用がおすすめですよ。
サブスクリプションのデメリット
続いてサブスクリプションサービスのデメリットについても見ていきましょう。
一見ポジティブな内容しかないように思われがちですが、落とし穴やデメリットももちろんあります。
この項目ではサブスクリプションサービスのデメリットを3つ紹介していきますね。
すぐ解約されてしまうリスクがある
先ほど前の段落で、サブスクリプションの最初は安価な金額で設定されていることが多いので、顧客も参入しやすいのがメリットだとお伝えしましたが、逆に考えると解約のハードルも低くなってしまうんですね。
提供している商品やサービスが顧客の期待値よりも低かったり、品質が良くないと感じられてしまうと即解約されてしまう可能性だってあります。
即解約されてしまっては、初期段階での金額を安く設定していることもあり、なかなか売上には繋がりません。
便利が故に解約されるリスクも大きくなるのです。
だからこそ、サブスクリプションサービスを展開する企業は顧客満足度を高め、より長期間利用してもらえるようにさまざまな施策を講じることが求められているんですね。
毎月の固定費になる
2つ目に解説するサブスクリプションのデメリットは顧客目線で考えた時に、毎月の固定費になる点が挙げられます。
指定された金額を支払うことで、その一定期間内であれば商品やサービスを利用し放題である反面、全く利用していない月であっても継続して支払わなければなりません。
例えばAmazon Prime Videoを利用していて、その月に1度も動画を閲覧しなかったとしても、契約してる限り顧客は継続して料金を支払い続けなければなりません。
月額単位で考えると数百円から3000円ほどのサービスが多く、そこまで家計の負担にならないように思えます。
ですが「もったいないから」という理由でずっと契約したまま放置してしまうと、知らない間に数ヶ月が経過し、利用もしていないのにそれなりの金額を払ってしまっていた、なんてことも少なくありません。
継続的に新しいコンテンツが必要
企業やサービスの提供側は、常に新しいコンテンツを出し続ける必要があるのもサブスクリプションサービスのデメリットだと考えられています。
顧客にこの先もずっと契約を継続し、サービスを利用し続けてもらうためには変化を持たせる必要があります。
ずっと同じ内容・コンテンツ、サービス内容だといつか飽きが来てしまったり、これ以上利用する必要性を顧客に感じてもらえなくなったりします。
定期的に新しいコンテンツを打ち出すにはとても工数や労力がかかりますし、それに対する人件費などの経費も嵩みます。
注目されるSaaSとの関連性
最後に、サブスクリプションサービスと今注目を集めているSaaS事業についても解説していきますね。
インターネットやIT事業の普及により、ますますSaaS事業の需要は伸びており、転職業界において注目度が高くなってきている業界でもあります。
サブスクリプションとSaaSの相性は良い
SaaSとは、"Software as a Service"の略称で、インターネットを通してシステムやアプリ、ソフトウェアにアクセスできるサービスです。
SaaSの特徴は、ソフトウェアをわざわざインストールしなくても、ネット環境とアカウントがあればいつでも利用できる点にあります。
そんなSaaSとサブスクリプションの相性が良いとされているのには複数の理由があります。
サービスの提供者は月額制にすることで安定的に収益を得ることができますし、収益を得ながらでもシステムやアプリのアップデートを常に行うことが可能です。
また顧客側から考えても、コストがかかるシステムやソフトウェアサービスを無料プランや低価格プランなど、自分にあったプランかつ導入しやすい金額でスタートすることができます。
顧客との関係性が重要に
SaaS事業を含めた、サブスクリプションサービスを展開している企業に共通して必要なことは、顧客との関係性を大切にすることです。
今まで解説してきた通り、サブスクリプションサービスはいかに顧客に満足してもらい、長期間に渡り利用し続けてもらえるのかがポイントになります。
特に最近台頭してきた「カスタマーサクセス」などの職種はまさにサブスクリプションの象徴でもあり、顧客満足度やLTV(顧客生涯価値)の向上を目的としています。
一時的な関係性ではなく、サブスクリプションは1人の顧客に長期間利用してもらえるようにさまざまな方法を展開することが求められています。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回の記事では今注目されているサブスクリプションについて詳しく解説しました。
私たちが普段の生活の中で知らず知らずのうちに利用しているサービスにもサブスクリプションモデルを導入しているものもたくさんありますよね。
社会のニーズも高まってきているサブスクリプションは注目度も高まってきており、それに付随したSaaSやMaaS、カスタマーサクセスなどといった新しい分野や職種が登場してきています。
これから転職を考えている人や、今転職活動中の人はぜひ参考にしてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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