はじめに
これから転職をしたい人は「公務員・民間のどちらに転職しようか迷っている」と考えることも多いのではないでしょうか。
いずれの道を選ぶにせよ、転職では面接を突破しなければなりません。
公務員と民間では働き方が大きく異なりますが、面接も同様にそれぞれ特徴があります。
公務員か民間かで迷っている人は、各面接の特徴について理解を深めて、どちらが自分にとって受けやすいのかを知っておきましょう。
またどちらの道に進むか決めたあとは、しっかりと面接対策をしておくことが大切です。
今回は、公務員と民間の面接の違いについて詳しく解説していきます。
またそれぞれの面接を突破するポイントや公務員・民間を併願できるのかについても紹介していくので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
【公務員・民間の面接】公務員・民間の面接の違い
公務員と民間とでは面接に大きな違いがあります。
例えば公務員の場合は、部署異動が定期的に実施されるため、状況によっては突然面接官を任されることもあり、必ずしも面接のプロというわけではありません。
一方で民間企業は、採用に精通した人が面接に参加することも多く、マニュアル通りの面接では太刀打ちできないことがあります。
また公務員は筆記試験と同じように、面接でも公正な評価点をつけるのが特徴です。
民間の場合は面接の受け答えに正解がなく、回答の質だけでなく応募者の雰囲気やポテンシャルの高さを重視することもあります。
自己PRの内容がイマイチだったとしても、話すときの表情や雰囲気が良かったという理由で内定を出すこともあるでしょう。
公務員もしくは民間への転職を考えるときは、それぞれ特徴を知った上で面接に臨むことが大切です。
【公務員・民間の面接】公務員の面接の特徴
公務員の面接の特徴には、以下の5つがあります。
- 堅実で差し障りなく業務できる人材かどうか重視している
- 必ず個別面接がある
- 減点方式を採用している
- 質問がある程度マニュアル化されている
- 面接に不慣れな面接官もいる
堅実で差し障りなく業務できる人材かどうか重視している
公務員の面接で重視されるのは、堅実に業務に当たれる人材であるかどうかがあります。
公共の利益のために働いている公務員の場合、国からの指示で公共事業に着手し、社会に貢献していくことが主な働く目的です。
公務員の世界では、個人のアイデアやひらめきといった素養はそこまで重宝されません。
そのため公務員の面接において重視されるのは、あくまでも差し障りなく業務を遂行できる能力の有無です。
優秀な人材を集めつつも、周囲に同調して問題を起こさず働いてくれるかどうかを重視しているのです。
公務員の面接では、堅実かつ安定して業務を遂行できるかどうかが見られます。
必ず個別面接がある
民間は面接形式が会社によって異なりますが、公務員試験では、一般的に個別面接が設けられているのが特徴です。
例えば国家総合職の試験では必ず最終面接で個別面接が実施されますし、国家一般職においても必ず個別面接が用意されています。
地方公務員試験では役所のトップを含めた3名程度(多い場合は7名〜8名程度)が入り、最終選考で個別試験をすることもあります。
個別面接ではトップクラスの役職が集まるので、法律や地方自治体の事柄についてしっかりと話ができるように準備しておくことが必要です。
ただし試験の種類や募集されている職種によっては面接形式が異なることもあるので注意しましょう。
減点方式を採用している
公務員は原則として、面接の評価では減点方式を採用しています。
あらかじめ満点に設定しておき、面接の中の受け答えや行動によって点数を引いていく方法です。
「求められている回答ができていなかった」「マナーができていなかった」という評価があれば、そのまま減点されてしまうことがあります。
主観の入らない評価ができることから、公務員の面接試験で主流になっている方法です。
ミスなく職務を遂行する必要のある公務員に最適な評価方法だと言えるでしょう。
ただし試験の種類や募集されている役職によっては、総合評価方式であったり、相対評価方式であったりと、公務員試験だからといって必ずしも減点方式であるとは限りません。
いずれにせよ事前にしっかりと対策をしておかなければ難しい面接試験だと言えるでしょう。
質問がある程度マニュアル化されている
公務員の面接の場合、質問がある程度マニュアル化されているのが特徴です。
組織の性質上、定期的な部署異動があり、誰でも面接官ができるようにガイドラインを設けています。
評価項目についてもマニュアルで定められているので、人によって評価が大きく変わってしまうようなことはありません。
質問項目や評価項目がある程度決められているので、応募者側にとっては事前に面接対策がしやすいといったメリットがあります。
また公務員は、事前に記載する面接カードを用いることが多いのも特徴です。
経歴や志望動機を書く欄があり、民間でいうエントリーシートのような役割を果たしています。
公務員の場合、人材を募集するに当たって公平性や透明性は見逃せない要素です。
誰もを平等に扱うためにこのような面接マニュアルが存在しています。
面接に不慣れな面接官もいる
原則として公務員は通年採用ではないので、決められた時期に公務員試験を一斉に開始します。
そのため何度も面接をするわけではなく、時として面接に慣れていない人が面接官として対応することもあります。
不慣れな面接官に当たったとき、独自の質問をされたり面接進行をしたりとマニュアル通りに進まないことがあります。
公務員の面接試験では、このようなイレギュラーな状況がよくあるので、慌てず冷静に回答する柔軟性が必要です。
【公務員・民間の面接】民間の面接の特徴
民間の面接の特徴には、以下の3つがあります。
- 会社によって面接形式・回数が大きく異なる
- 「会社へどのような貢献ができるか」が重要視される
- 筆記の結果が悪くても面接で挽回できるチャンスがある
会社によって面接形式・回数が大きく異なる
民間の場合は会社ごとにルールを設けているので、面接形式と実施回数が大きく異なります。
例えば次のように多種多様な面接形式があります。
個人面接
応募者一人で受ける面接で1次面接や最終で実施されることが多い
面接官の人数は企業によって異なる
集団面接(パネル面接)
複数人が同時に受ける面接
個人面接と進行は同じで、面接官の人数は企業によって異なる
グループディスカッション(GD)
企業が用意するテーマについて議論をする面接
面接官との対話ではなく、応募者同士でコミュニケーションを取りながら意見を出し合う形式
進行役のほか、書記やタイムキーパーといった役割を名乗り出て議論を進めていくのが特徴
プレゼンテーション
企業が用意するテーマに沿って面接官の前でプレゼンテーションをする形式
基本的にテーマについては事前に出されるので、準備して臨めるのが特徴
ケース面接
企業が用意するビジネスケースや課題に沿って解決策を提案させる形式
問題解決力や倫理的思考を評価するもので、転職面接で実施されることの多い形式
その他
オンライン面接
技術面接など
回数に関しても企業によってさまざまです。
大手企業の場合は五次面接まで実施するところもありますし、規模の小さな会社だと二次面接でいきなり最終面接ということもあり得ます。
評価基準も企業によって定義が異なるので、企業の理念や経営方針、求める人物像などを事前に分析した対策が必須です。
「会社へどのような貢献ができるか」が重要視される
企業は自社の利益を追求し、売上を出すことが一番の目的です。
そのため面接での評価ポイントは、会社へどのような貢献ができる人材なのかという部分に尽きます。
転職希望者に対しては、前職で培ったスキルや知識がどのように自社で役立つのか、実務経験でどのような成果を上げてきたのかに注目しています。
また課題解決力や柔軟性の高さも、企業が売上を出すために必要とする要素です。
民間の面接は自分を売り込む場所であるため、自分を採用するメリットを上手に面接官へアピールする必要があります。
そのため自己分析でこれまでの経歴を棚卸しして、自分の強みや魅力を見つけ出す作業が必要です。
民間の面接を突破するには、民間独自の利益追従マインドを理解して対策をし、臨まなければなりません。
筆記の結果が悪くても面接で挽回できるチャンスがある
民間企業の場合は、たとえ筆記の結果が悪かったとしても、面接で挽回できるチャンスが十分にあります。
先ほどもお伝えしたように民間企業は、利益に貢献できる人材かどうかを重視する傾向が強いからです。
筆記試験の結果が芳しくなくても、同じ理念・価値観を有している人、経歴が優秀である人は、高い評価が得られる可能性があります。
また面接の中で元気に明るく受け答えができていたなど、コミュニケーションの高さをアピールできた場合も評価されることが多いです。
もちろん筆記試験の結果を重視する企業もありますが、多くの民間の考え方として、自社に利益をもたらす人材であれば、筆記試験の結果は問わないというケースがあります。
【公務員・民間の面接】公務員・民間の面接の共通点
公務員・民間の面接において共通して言えることは、以下の2つです。
- コミュニケーション能力が求められる
- 自己PR・志望動機といった定番の質問は同じ
コミュニケーション能力が求められる
どちらも人と関わることが多いので、高いコミュニケーション能力が求められることは言うまでもありません。
公務員であれば国民・住民の声に日々耳を傾けて仕事をする必要がありますし、手続きに関してわからない人に対しては、丁寧にわかりやすく説明をしなければなりません。
民間企業も同様にコミュニケーション能力は必須です。
取引先はもちろん、社内のメンバーに対しても積極的に気配りや声かけができる人は仕事が円滑に進められます。
仕事では、ただ話が上手なことを「コミュニケーション能力が高い」と言うわけではありません。
相手の話をじっくりと聞いて、潜在的なニーズを引き出す聞く力(傾聴力)が問われているケースがほとんどです。
公務員・民間を問わず面接官の質問をじっくりと聴き、相手が求める回答のできる人が高い評価を得られます。
自己PR・志望動機といった定番の質問は同じ
公務員・民間は業務内容が大きく異なりますが、どちらの面接でも自己PRと志望動機は必ず聞かれます。
自己PRとは自分の強みや魅力がどこにあるのかを伝える項目です。
前職での経験や上げてきた成果など裏付けされるエピソードがあれば、説得力が高く効果的な自己PRが作成できます。
志望動機は、希望先が求めている人物像をしっかりと理解し、それに沿った内容で作成するようにしなければなりません。
また仕事をするに当たってどのような目標を立てているのか、実現したいことがあるのかを具体的に盛り込む必要があります。
質の高い自己PRと志望動機が話せる人は、公務員・民間ともに高い評価が得られる可能性が非常に高いでしょう。
どちらに転職するか迷っている人も、早めに自己PRを作成しておくのがおすすめです。
【公務員・民間の面接】公務員の面接を突破するポイント
公務員の面接を突破するポイントは、以下の通りです。
- 評価ポイントを知り自分をアピールする
- 「なぜ公務員になりたいのか」を明確にする
- 自治体のことに詳しくなっておく
- 面接カードはコピーしておく
評価ポイントを知り自分をアピールする
公務員の面接では、ある程度評価ポイントが決まっているので、事前に対策をしておきましょう。
公務員として仕事を堅実かつ迅速に進められる人には、次のような能力が備わっており、面接での評価ポイントともなる部分です。
- さまざまな人と上手に話ができるコミュニケーション能力
- 課題を解決するために必要な倫理的思考力
- 自ら課題や困難に取り組んでいける積極性
- 他者を尊重し組織として目標を達成するために必要な社会性
- 行動と責任が伴っている信頼感
- 環境に対して柔軟に適応していける自己統制力など
面接官からは、上記の能力を問うような質問が投げかけられます。
質問の意図を汲み取り、これらの能力をアピールすることを意識して、上手に回答をしてみましょう。
「なぜ公務員になりたいのか」を明確にする
志望動機については必ず聞かれるので「なぜ公務員になりたいのか」を明確にしておきましょう。
公務員を希望する理由だけでなく、その自治体、職種を選んだ理由もあわせて必要となります。
例えば地方自治体であれば、市役所の職員に興味を持ったきっかけや、その地域で働きたい理由について考えてみましょう。
そこでしか果たせない目標やキャリアビジョンを明確に伝えることができれば内定のチャンスが高くなります。
民間企業との違いを理解した上で、公務員でなければならない理由を明確にしておきましょう。
自治体のことに詳しくなっておく
面接を受ける前に、自身が希望する自治体のことに詳しくなっておきましょう。
面接の中で自治体が抱えている課題や今後目指すべき方向性について問われることがあります。
自分の将来像や地域に対する想いを織り交ぜながら回答することで、説得力の高い自己PRや志望動機を伝えることが可能です。
また希望する分野の仕事内容では、どのような公共事業に携われるのかについても研究を進めて、正確に把握しておきましょう。
応募した分野でどう自治体の課題に取り組んでいけるのかを上手に伝えられれば、面接で高い評価が得られます。
面接カードはコピーしておく
公務員の面接では、事前に記入する面接カードが配られるので、数枚コピーしておきましょう。
代えのきかない原本だった場合は記入ミスがあると訂正がしづらいので、まずはコピーの方に記入して下書きを作っておくようにしましょう。
またコピーがあれば、自分がどのような記入をしたのかがチェックできるようになり、事前の面接対策がしやすくなります。
コピーをせずに面接カードを郵送してしまうと、自分が何を書いたのか確認する手段がなくなってしまうので注意しましょう。
【公務員・民間の面接】民間の面接を突破するポイント
民間の面接を突破するポイントは、以下の通りです。
- 十分に企業研究をする
- マナーを徹底する
- 口コミサイトを活用する
十分に企業研究をする
民間の面接を受けるなら、必ずしっかりと企業研究をしておきましょう。
企業研究をして企業の持つ特徴や強み、競合他社にはない魅力などを知れば、面接で必ず聞かれる志望動機について明確な答えが見つけられるようになるからです。
さらに企業が抱える課題や今後のビジョンについても理解を深めておけば、面接でスムーズに話ができるようにもなります。
企業に関する詳しい情報は、企業のホームページの他、プレスリリースやIR情報、新聞や経済誌といった書籍からも得られます。
できるだけ多くの情報を集めて、面接でスラスラと回答ができるように準備しておきましょう。
また転職活動の場合は、転職フェアに参加したり転職エージェントを活用したりすることで、より詳細な情報が手に入ります。
マナーを徹底する
取引先や社内の人と関わることが多い民間企業の面接では、特にマナーに気を配りましょう。
回答の質も大切ですが、マナーが正しくできていれば面接官の第一印象が良くなり、選考が有利に進むこともあります。
例えば民間の面接では、次のようなマナーができているかどうかが評価ポイントです。
- 清潔感のある髪型、服装にする
- 10分まえに面接会場に到着しておく
- 面接が始まってからのマナー(ドアは3回ノックする、座る前にお辞儀をするなど)
- 面接後に感謝のメールを送るなど
第一印象が良いだけで、相手の期待値が高くなり、良い雰囲気で話が進められるでしょう。
面接までに対策本やネット記事を参考にして、正しい面接マナーを身につけておくことが重要です。
口コミサイトを活用する
民間企業については多くの口コミサイトがあるので、面接対策の一つとして活用すると良いでしょう。
口コミサイトでは、過去にその企業で働いていた人の生の声を拾うことが可能です。
給与水準からキャリアアップの可能性、ワークライフバランス等について詳しく書かれていることがあります。
働きがいや魅力なども知れるので、自己PRや志望動機を考える際の材料になることもあるでしょう。
面接について言及されている口コミサイトなら、過去にどのような質問がされたのか知ることも可能です。
それらを参考にして、事前に回答を準備しておけば、当日スムーズに面接で話ができます。
【公務員・民間の面接】公務員・民間共通の面接対策
公務員・民間共通の面接対策は、以下の通りです。
- 模擬面接をする
- 積極的に説明会へ参加する
- 面接のプロに相談する
模擬面接をする
面接日まで何度も練習をしておきましょう。
本番を想定した模擬面接を繰り返すことで、当日の緊張をある程度抑えることができます。
逆に練習が不十分なまま面接を迎えてしまうと、緊張により言いたいことが半分も言えずにしどろもどろになってしまうことがあるかもしれません。
あなたのことを知る友人や知人、家族などに面接官役をやってもらうと、本番のような雰囲気で面接練習ができます。
一人で練習をするならば、鏡の前で動画を撮りながら練習をしてみましょう。
録画をしておけば早口で喋っていたり、表情が引きつっていたりといった自分のクセに気づくことができます。
模擬面接を繰り返し実施することで、本番でスムーズに話ができるようになるので必ずやっておきましょう。
積極的に説明会へ参加する
積極的に説明会へ参加しましょう。
説明会に参加すれば仕事に関する詳細な情報が多く得られるからです。
抱えている現状の課題や求める人物像についても知ることができ、自己PRや志望動機を考えるためのヒントが手に入ります。
また採用担当者と直接話ができるチャンスもあるため、顔を覚えてもらったら面接当日に良い雰囲気で話を進められる可能性もあるでしょう。
面接のプロに相談する
面接を突破するなら、面接のプロに相談するのも一つの手段です。
面接のプロは公務員・民間の違いについても熟知しているため、それぞれの対策についても話が聞けます。
また第三者からアドバイスを受けることにより、自分では気づけなかった強みやアピールポイントを知ることもあるでしょう。
大学のキャリアセンターや転職エージェントに在籍するキャリアコンサルタントを訪問して、面接に関するアドバイスを受けてみるのがおすすめです。
【公務員・民間の面接】公務員と民間は併願ができる?
公務員と民間の併願は可能です。
二足のわらじで進めていけば、リスクヘッジができるメリットがあるため、実際に併願しながら就職活動・転職活動をしている人はいます。
しかしながら公務員と民間とでは選考スケジュールが大きく異なるため、スケジュール調整の大変さがデメリットです。
また公務員・民間両方の面接対策が必要となってしまい、多くの時間と努力を費やすことになってしまいます。
そのため併願はできるものの、どちらかに絞って転職活動を進めた方が安全な場合があります。
もし併願をするのであれば、それぞれの選考プロセスをしっかりと理解した上で慎重に進めていくようにしましょう。
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
公務員と民間とでは、仕事内容だけでなく面接も大きな違いがあることをご理解いただけたのではないでしょうか。
自己PRや志望動機を聞かれる部分では共通点があるものの、働く目的が異なるためにアピールするポイントはそれぞれで違ってきます。
公務員を目指すのであれば、堅実にミスなく仕事に取り組める姿勢があることを、民間であれば、利益追従の目線を持って積極的に働きかけられる意欲の高さを、面接でアピールしましょう。
また面接本番までに模擬面接を繰り返し、不安のある人は転職エージェントのアドバイスをもらって対策をするのも一つの手段です。
しっかりと事前に準備しておけば、当日緊張を抑えることができ、公務員・民間のどちらであってもスムーズに話を進めていくことができるでしょう。
今回の記事が、これから転職活動を考えている方の参考になれば幸いです。
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