転職面接で上手に離職率を質問する方法と注意点を徹底解説
はじめに
一般的に、職場環境や待遇が良ければ離職する人は少ないといわれています。
そのため、転職を成功させるために、面接時に離職率を質問したいと思うのではないでしょうか。
結論からいうと、離職率に関する質問はNGではありません。
ただし、面接官の気分を害さないよう、上手に質問する必要があります。
どのような点に注意すればよいのか、詳しく解説します。面接を成功させるために覚えておきたいポイントを押さえておきましょう。
面接で聞きたい、離職率についての質問の重要性
転職先に選んだ会社が、自分に合うかどうかは入ってみなければ分からないのは、よくあるケースです。
しかし、極力面接時に大まかな応募先企業の雰囲気や待遇を把握できるのであれば、後悔するリスクが少なくなります。
応募先企業の雰囲気をつかむ上で、離職率は目安となる指標です。
一般的に、社風が良ければ離職する人が少なく、長く勤められる会社ととらえられています。
まず、離職率とは何かを理解しておきましょう。
離職率とは何か?
離職率とは、一定期間で何人の社員が離職したかを数値で示した指標です。
一定期間がどの程度かは、明確に定められていません。
そのため、企業により、年度初めから年度末までの1年間・新入社員の入社後1年間または3年間などと違いがあります。
また、誰を対象にするかに関しても企業にゆだねられている現状です。
新入社員のみ、または全従業員が対象かなどは企業ごとに定められています。
離職率は、企業にとっては、自社がどのように評価されているかを知る重要な業績評価指標(KPI)です。
そのような考え方が浸透しているため、転職先を探す人の多くが働きやすさや魅力を表す指標のひとつとして離職率に注目しています。
ただし、離職率の高低だけで企業の良し悪しが決まるわけではないことを覚えておきましょう。
例えば、ベンチャー企業やスタートアップ企業などは、キャリアアップを図り独立する人が多いため、離職率は高くなります。
一方、中途採用する余裕がない中小企業の場合、離職率が低いとはいえ企業の雰囲気が良いとは言い切れないケースがあるのも事実です。
業務内容や企業体制により一概には言えない現状を念頭に置いた上で、ひとつの目安として離職率に注目しましょう。
離職率を知ることのメリット
一般的に、離職率が高い会社は、働きやすさに関して多少なりとも問題があるケースが多いといわれています。
例えば、休日日数・評価制度・人間関係・ハラスメント・業務内容・フォロー体制などです。
コミュニケーションが円滑でない、または悪質ないじめが見られるなど人間関係に問題がある場合、離職する人が多いのも不思議ではありません。
また、給与の低さや残業の多さなども転職を考えるきっかけとなります。
努力した分だけ評価される制度が整っている企業は魅力が高く、長く勤められるとみなされるケースも少なくありません。
離職率を知ることにより、転職を考える事由がどこにあるのかをある程度見極めることが可能です。
入社した自分を想像しながら検討できます。業務内容や市場動向も考慮に入れ、自分のモチベーションを高く保てる企業かどうかを基準に考慮しましょう。
離職率について質問するタイミング
転職面接は、面接官からの説明で始まり、逆質問で終わるのが一般的な流れです。
これまでよりもより良い環境で働きたいと思う一心で、すぐに離職率に関する質問をしたいと思うかもしれませんが、質問する良いタイミングを見計らいましょう。
面接官は、自社で活躍できる人材かどうかを見極めたいと思っています。良好な雰囲気を保つために注意が必要です。
面接の早い段階では避けるべき
優しい面接官の場合、面接の最後でなくても「何か質問はありますか」と聞いてくれる場合があります。
聞きやすい雰囲気と感じる場合でも、面接の早い段階で離職率や待遇に関して質問するのは避けましょう。
同じ質問でも、タイミングにより与える印象が異なるため注意が必要です。
離職率や待遇に関する質問を早い段階で持ち出すのであれば、業務内容よりも労働環境の良し悪しが重要と思っている人、または働く意欲がない人と思われてしまう可能性が高くなります。
新卒時の就職面接ではなく、転職面接のため、何か問題があれば再度転職するのではないかとの不安や疑念を面接官に抱かせかねません。
離職率に関する質問はNGではないため、質問する前に働く意欲や会社に対する関心度の高さをアピールするようにしましょう。
その後、ついでに聞くとのスタンスで質問すると自然な流れとなります。
最終面接や企業文化に触れた後に質問
転職面接では、企業側は応募者が自社にとって適材人物なのか、応募者にとっては面接相手が自分にとって適切な企業かをお互いに探りあっています。
そのため、離職率など企業の内部事情に関わる重要な質問は、具体的な事柄を擦り合わせる最終面接の段階がおすすめのタイミングです。
複数人数での面接の場合は、不利になるような質問は避けましょう。
逆質問の際は、企業理念や方向性などに言及して、今後どのような事業展開していくのかや必要なスキルを確認したいとの姿勢を最初に見せることが大切です。
面接前に企業研究をきちんと行ってきたことをアピールできます。
企業理念や独自の文化などに触れ、入社後の自分を想定した質問は、プラスイメージを与える姿勢です。
面接官が自分に好印象を持ってもらえたことが感じられた後に、離職率が分かるような質問をしてみましょう。
離職率について上手に聞く方法
離職率は、企業にとっては内部情報に当たり、あまり話したくない姿勢を保っている企業も少なくありません。
離職率を伝えた後、応募者がどのようなイメージを持つかを気にする面接官も多くいます。
そのような雰囲気が感じられる場合は、単刀直入に離職率を聞くのではなく、上手な聞き方を心掛けましょう。
相手が答えやすい質問をするのは効果的です。
代表的な2つの質問を紹介します。
逆質問例1:中途入社者は多いでしょうか。
中途採用をいつも募集している企業は、離職する人が多いため採用しているケースも多々あります。
そのことを念頭に置いて「中途入社者は多いでしょうか」や「中途入社者は全体の何%くらいいらっしゃいますか」などと質問してみましょう。
中途入社者の確率を知ることにより、離職率の高さをある程度予測可能です。
一方、業務拡大のため、中途入社者を多数採用しているケースもあります。
事前に業務内容や直近の業績などを調査しておくことが大切です。
調べてきたことを基に質問するのであれば、ポジティブな印象を与えられます。
中途採用などに関する質問は、離職したい気持ちで聞いているのではなく、入社意欲が高いからこそ質問しているとの姿勢を見せることが重要です。
働く意欲があり、活躍してくれる人材と感じてもらえれば、親身に回答してくれる可能性が高くなります。
逆質問例2:この業界の離職率と比較して、御社の離職率はどのような傾向にありますか?
面接官とのやりとりを通して良い雰囲気が感じられているのであれば「少しストレートな質問かもしれませんが、ひとつよろしいでしょうか」と前置きを述べて、単刀直入に質問してみましょう。
その際は、同じ業界の離職率と比較した場合を聞くと、面接官も答えやすくなります。
特定のライバル会社でくくるよりも、大きな業界全体でくくったほうが答えてくれる可能性は高くなることを覚えておきましょう。
また、離職率を計算するにあたって、一定期間や社員数に規定がないことも念頭に置く必要があります。
期間は企業ごとに定められるため、離職率0%の企業があっても何ら問題はありません。
そのことを念頭に置きつつ、面接官を通して垣間見える企業の社風も推察できます。
可能であれば、面接前に業界全体の離職率などを調査しておけば、スムーズに比較可能です。
離職率に関する質問を適切に受け止めるためのポイント
離職率に関する質問の答えを適切に受け止め、できるだけ現状に近い職場環境を把握できれば、自分に合う企業を見極める助けになります。
逆質問の機会を利用して離職率に関する質問をするにあたって、注意しておきたいポイントを押さえておきましょう。
まず、自分が面接官の立場だとしたら、どのような答え方をするかや好印象を与える雰囲気とはどのようなものかを考えてみることは大切です。
離職率に対する企業の回答を分析する
基本的に、企業側は離職率に関する回答は積極的に公開したい項目ではないことを覚えておくことが必要です。
離職率が高い企業は特にその可能性が高いと思われます。
自社のイメージを悪くするのではないか、辞めやすい会社と思われないかなど、企業側が抱く懸念を念頭に置きましょう。
その上で質問に対する企業側の回答を分析します。
注意しておきたいのは、離職率の算出方法は企業ごとに異なる点です。
新入社員の1年間に関する離職率と、全社員の過去3年間の離職率では大きく異なります。
高い離職率は表に出したくない情報のため、平均的な数値を回答するケースが多いことを前もって予期しておくことが必要です。
可能であれば、新入社員や30代などに的を絞って聞いてみます。
事業運営に影響が出るほどの人手不足が見受けられる場合は、要因を探ることが必要です。
業務を拡大したのか、それとも会社の雰囲気に問題があるのかを見極めるべく質問を変えてみましょう。
質問の際にはポジティブな雰囲気を保つ
転職面接では、企業側は自社にとって活躍してくれる人材かを見極めることが目的です。
そのため、働く意欲が感じられなかったり、ネガティブなイメージが見受けられたりする場合は、採用を見送る可能性が高くなります。
給与待遇や離職率に関する質問は、応募者にとって正確な回答を知りたい重要な項目です。
しかし、企業側にとっては、業務内容のほうを重視してほしいと思っています。
面接の雰囲気を壊さずに知りたい情報を入手するためには、常にポジティブな雰囲気を保つことが重要です。
質問内容も答えやすいように工夫できます。
例えば「配属部署に在籍している人の平均年齢はどれくらいですか」や「平均的な経験年数はどのくらいですか」などの質問は、配属された後の自分をイメージしている印象を与えるため効果的です。
また、平均年齢や平均経験年数に関する回答からある程度の離職率を推測できます。
「中途入社の方は、配属部署には多いですか」との質問もしてみましょう。
中途採用者が多い場合は、離職者が多い可能性も否定できません。
質問内容に関する事前の準備が大切です。
他の従業員の声も参考にする
自分に合う職場環境かどうかを確かめる上で、面接官の回答だけに頼らないようにしましょう。
企業側が、自社のマイナスイメージをできる限り排除したいと思うのは自然なことです。
企業に関して調査する際に、実際に勤めている従業員の声を参考にできます。
求人サイトや転職エージェントなどに寄せられている声を探してみましょう。
まったく同じ会社でなくても、同業界や同業種であれば参考になります。
都市部や郊外などの立地条件に関する問題を知りたい場合は、隣接企業に勤めている人の声も参考になる情報です。
サービス業など実店舗に出向いていける場合は、事前に他従業員と実際に会話し、働く環境や待遇に関する意見や評判を聞けます。
その際は、自分が知りたい情報を事前に明確にしておきましょう。
自分が思う良い職場環境とはどのようなものか、どの程度の離職率であれば許容範囲なのかなどの点です。
離職率以外にも聞いておきたい質問
転職を成功させるために、少しでも多くの情報を入手できれば安心につながります。
面接時に与えられる、逆質問の機会を上手に活用しましょう。
長く勤められるような良い職場環境の目安は、離職率だけではありません。
離職率の他にも、面接時に聞いておきたい主な質問例を下記項目以降ご紹介します。
事前の企業研究と合わせて質問を準備しましょう。
企業文化や働き方に関する質問
転職先が自分に本当に合うかどうかを見極めるために、企業文化に関する質問は大切です。
求められる働き方や職場環境が自分の性格に合っていなければ、給与待遇が良くても本当の意味で自分に合っているとはいいかねません。
働きやすい環境かどうかを推測できる質問を準備しましょう。
働き方とは、単なる時間や休日だけの問題ではありません。
性格的に合っているかやスキルアップできる環境かも関係します。
転職先企業や自分の希望条件に合わせてアレンジしてください。
面接官がすぐに回答できるのであれば、社内の雰囲気が良い兆候とみなせます。
大抵の企業では、業務内容と性格的傾向を把握していることが一般的です。
自分の強みと企業文化がマッチするかを比較検討してみましょう。
真剣に注意を払って業務を遂行していても、時にミスしてしまう可能性はゼロではありません。
優良な企業であれば、その点に関する理解が高く、ミスをどのように防いだりカバーしたりできるかを心得ています。
従業員のスキルアップや目標達成への支援がなされているかを確認しましょう。
研修やスキルアップの機会に関する質問
面接の際に、良かれと思って「勉強したい」とのコメントをする場合がありますが、良い印象を与えない場合が少なくありません。
企業は学校ではなく働く場であり、大抵の企業が求めている人材は受け身ではなく、自ら考えて行動する能動的な人です。
そのため、研修やスキルアップに関する情報は気になるものの、質問の仕方や内容を工夫しましょう。
質問を準備する前に、事前に応募先企業の公式サイトなどを読み込んで、知りたい情報が記載されていないかを確認する必要があります。
記載されている情報に気づかず質問してしまうと、マイナスイメージを与えるため注意しましょう。
新入社員のために充実した研修プログラムを用意する、またはマンツーマンで必要な技術や知識を教えるなど、各企業で新人研修制度は異なります。
新人研修対象者が、新卒社員のみの場合もあるため、中途採用者も含まれるのかを上手に聞き出すことが必要です。
入社後、すぐに業務を始める必要があるのかを確かめる質問もできます。
研修制度について質問する際は、入社後に即戦力となれるようスキルアップを図りたいとの働く意欲や姿勢の全面的なアピールが重要です。
熱意が伝わらなければ、研修制度にネガティブな姿勢で臨むのではないかとの不安を面接官に抱かせてしまいます。
1日でも早く戦力となれるよう努力したいとの姿勢を、上手に表現できるよう準備しておきましょう。
成長戦略やビジョンに関する質問
面接の際に、成長戦略やビジョンをさらに深掘りした質問は、応募先企業への関心や興味の深さをアピールできるため効果的です。
多くの企業ホームページには、会社の理念や今後のビジョンが掲載されています。
大まかな情報を事前に入手し、応募先企業が業界の中でどのような立ち位置にいるのかを把握しておくことは大切です。
ニュースなどの報道資料も活用できます。応募先企業に関する情報が少なければ、同業者の情報を収集しておきましょう。
面接官は、自社に必要なスキルや経験が多少欠けている場合でも、関心や興味を持ってくれている人材に魅力を感じるケースが多い傾向です。
異業種への転職を検討している場合などは特に、成長戦略やビジョンに関する質問を効果的に用いましょう。
企業全体のビジョンはもちろん、個人としてスキルアップや今後のビジョンを持ちつつ、会社に貢献したいとの気持ちも伝えるようにしましょう。
離職率に関する質問の注意点
転職を決意する背景は、人それぞれ異なります。
転職理由として、これまでの職場環境が自分に合わないと感じたり、給与や福利厚生面での待遇に不満だったりするケースが多い傾向です。
そのため、できるだけ長く勤められるよう、離職率が低い良好な職場環境を探す人が多いのもうなずけます。
ただし、質問する際は、自分の希望条件ばかりを全面に押し出さないよう注意が必要です。
覚えておきたい注意点と、代わりに用いられる質問例を紹介します。
給与や福利厚生への質問は避ける
応募者にとっては、給与や福利厚生面での待遇は、転職先を決める大きな要素です。
しかし、単刀直入に質問してしまうと、マイナスイメージを与えかねません。
面接官は、応募者が業務への関心が低く利己的な人だとの結論を抱いてしまいます。
面接時に確かめておきたい内容の質問は、質問内容を工夫しましょう。
マイナスイメージを与えないポイントは、ポジティブな言葉に置き換えて質問することです。
他社との比較を避け、自社に対する質問に焦点を当てる
逆質問の際に注意したい別のポイントは、他社との比較を避けることです。
同業者はもちろん、他社と比べられていい気持ちがする人はいないことを覚えておきましょう。
面接官は、応募者が他社と比較して自社に応募していることは重々承知しているはずです。
その点をわざわざ述べるよりは、応募先企業に向き合って、少しでも理解を深めたいとの気持ちを伝えるほうが面接官に良い印象を与えます。
中でも、企業風土や働き方に関する質問では、他社と比較しているかのような印象を与えないか言葉選びに注意しましょう。
前職の退職理由を述べる際も同様です。
応募先企業を褒める意図がある場合でも、比較して決めるとのイメージを持たれることはマイナスにつながりかねません。
面接官は、自社でも何か問題が生じた場合は、同じように比較されるのではないかと危惧する可能性があります。
応募先企業の情報のみに焦点を当てるようにしましょう。
まとめ:離職率についての質問を上手に活用する方法
転職を決意して新たな職場を探す際には、できるだけ長く勤められる会社を選びたいと思うのではないでしょうか。
職場の良し悪しは、さまざまな条件が関係するため一概には言えません。
しかし一般的に、働きやすい職場であれば辞める人が少ない傾向です。
そのため、面接の際に、離職率を聞きたいと思うのも無理はありません。
離職率を知りたい場合は、単刀直入に聞くよりも、ある程度推測できるような質問のほうが面接官に好印象をもってもらえます。
プラスイメージを与えるように言葉選びを工夫しましょう。
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