インサイドセールスとテレアポの違いとは?運用方法も合わせて解説

インサイドセールスとテレアポの違いとは?運用方法も合わせて解説

目次
  1. インサイドセールスとは
  2. インサイドセールスの種類
  3. テレアポとは
  4. インサイドセールスとテレアポの違い
  5. インサイドセールスを導入するメリット
  6. インサイドセールスを適切に運用するためのポイント
  7. インサイドセールスとテレアポを混同しないためのポイント
  8. インサイドセールスの導入手順
  9. インサイドセールスで活用したいツール
  10. まとめ

見込み顧客の育成を目的に「インサイドセールス」を取り入れる企業が増えてきています。

しかし、中にはテレアポとの違いがわからなくなり、インサイドセールスを導入したにも関わらずテレアポと変わらない業務を行なっていることも少なくありません。

そこで本記事では、インサイドセールスとテレアポの違いから、運用時に混同させないポイント、適切に運用するためのポイントなどを解説していきます。

ぜひ、参考にしてみてください。

インサイドセールスとは

インサイドセールスとは、自社で持っているリード顧客に対して、メールや電話などで日対面アプローチを行う営業活動のことです。

「内勤営業」や「リモートセールス」とも呼ばれており、自社にいながらも営業活動を行える点が大きな強みです。

また、顧客の元へ訪問をしないため、素早く効率的に営業件数を増やすことにもつながります。

インサイドセールでは、顧客へのヒアリングを行い、抱えている課題やニーズを把握することで、顧客を商品やサービスの検討をさせるなどが目的です。

リードナーチャリング(見込み顧客の育成)とも呼ばれ、より具体性の持った商談へ移行する際には、その後の対応を営業へと引き継ぐのが大きな役割になります。

しかし、昨今では新型コロナウイルス感染症の拡大によって、リモートでの営業活動も主流になってきており、インサイドセールスで商談を完結させる企業もあります。

自社の状況などによって、インサイドセールスが担当する業務範囲はさまざまなといえます。

インサイドセールスが注目されている背景

インサイドセールスが注目されている背景には、「コロナ禍による働き方の変化」と「営業担当者の負担軽減」が挙げられます。

前章でも解説した通り、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、従来の営業活動だけではなく、リモートでの営業活動も主流になってきました。

最近では、Web会議ツールを活用して遠隔地にいる顧客に対しても、非対面で営業活動を行うこともめずらしくありません。

また、コロナ禍ではテレワークの浸透が進みました。

つまり営業が顧客先へ訪問したとしても、担当者が会社にいないという状況も出てきたのです。

こうしたコロナ禍による人々の働き方の変化が、営業のやり方にも変化をもたらし、非対面で営業活動を行うインサイドセールスに注目が集まっています。

また、従来の営業活動は営業担当者が、顧客のニーズを把握し、ニーズを満たす提案、クロージングまでの一連の流れを行っていました。

加えて毎回、顧客先へ訪問をする必要があるなど、営業担当者の負担は大きなものとなっていました。

そのため効率的な営業活動を行うニーズが高まっており、営業活動を分業化させ、営業担当者の負担を軽減させるインサイドセールスに注目が集まっています。

インサイドセールスの種類

インサイドセールスの種類は、以下の2つに分けられます。

2つの違いを理解し、使い分けられるようにしましょう。

それぞれがどのようなものかを解説していきます。

この見出しの内容
  • SDR(反響型営業)
  • BDR(新規開拓型営業)

SDR(反響型営業)

SDR(反響型営業)とは、商品やサービスについての問い合わせがあった企業に対して、こちらから接触を試みる営業のことです。

SDRを行う目的としては、既存のリード顧客との関係をより深める、問い合わせ企業などに対しての接触を試みて感触を掴むなどが挙げられます。

つまり今後顧客になり得る見込み顧客へのリードナーチャリングを行っていきます。

具体的には、自社のホームページから資料請求やセミナーへの出席連絡、問い合わせフォームからの依頼などに対して、アプローチを行っていくなどです。

SDRのメリットとしては、顧客側がすでにこちらの存在を認知していること、状況によっては購買意欲が高いためスムーズに話が進む可能性があるなどが挙げられます。

商談につながる大きなチャンスのため、アクションはスピード感を持ってやることが鉄則とされます。

具体的には問い合わせがあった企業の担当者に対しての電話やメールで直接的な接触を図り、アポイントなどを取っていきます。

他にもメルマガ配信などの登録を行い、定期的な接触を図り続けるアクションを起こすことで、その後の商談につながっていきます。

BDR(新規開拓型営業)

BDR(新規開拓型営業)とは、SDRと異なり、自社からターゲットの企業に対してアプローチをかける手法のことです。

SDRでアプローチを行う企業は、相手から何らかのアクションがあり、それに反応するリアクション型でしたが、BDRは自ら動いていくアクション型になります。

たとえばBDRでは、つながりを持ちたいがなかなか難しい企業や今後積極的に関わりを持ちたいと考えている企業などに対してアプローチをしていきます。

ターゲット企業は、自社を認知していない場合がほとんどのため、商品やサービスに対しての購入意欲も低いいのが特徴です。

つまり自社とターゲット企業の信頼関係を構築させることが最初の目的になります。

BDRは闇雲に行ってしまうと、なかなか成果につながらないため、ターゲット企業の事前調査からアプローチ方法、リードナーチャリングの戦略などを策定し、実行していきます。

アプローチ方法も代表電話への荷電やキーパーソンへの手紙などさまざまです。

地道なアプローチが必要なため、随時進捗を確認しながら進めていくことが大切です。

テレアポとは

インサイドセールスと似た手法として、テレアポが挙げられます。

テレアポとは、自社の抱えている見込み顧客に対して電話によるアプローチを行うことで、アポイントを獲得して商談につなげる手法のことです。

テレアポのメリットは、インサイドセールスと同じく効率的に見込み顧客にアプローチができることです。

顧客先への訪問が必要ないため、1日で多くの顧客にアプローチが可能です。

また、テレアポを効果的に行うために「顧客リスト」を用意し、見込み顧客に優先順位を付け、優先順位の高い顧客からアプローチをかけている企業もあります。

インサイドセールスとテレアポの違い

インサイドセールスとテレアポは、似た営業手法ですが、5つの大きな違いがあります。

テレアポとの違いを理解し、記事冒頭で言ったような「中にはテレアポとの違いがわからなくなり、インサイドセールスを導入したにも関わらずテレアポと変わらない業務を行なっている」という状況を改善できるようにしましょう。

それぞれの違いについて具体的に解説していきます。

この見出しの内容
  • 目的の違い
  • 成果指標の違い
  • 時間に対する考え方の違い
  • アプローチ対象の違い
  • 他部署との連携の違い

目的の違い

インサイドセールスとテレアポでは、活動に対する「目的の違い」がはっきりとしています。

それぞれの活動の目的は以下の通りです。

・インサイドセールス:見込み顧客の育成
・テレアポ:アポイントの獲得

インサイドセールスでも、アポイントの獲得を目的にしている場合があります。

しかしインサイドセールスでは、アポイントの獲得は手段の一つであり、主たる目的ではありません。

インサイドセールスは、見込み顧客との関係性を構築し、見込み率を高めていくことを目的としています。

そのため、見込み顧客に対して定期的なコンタクトを取ることで、課題やニーズを把握するなどのマーケティングの側面もあります。

一方でテレアポは、文字通りアポイントの獲得が目的の手法です。

見込み顧客の状況に関わらず、何件のアポイントを獲得できたかを重視していきます。

こうした「目的の違い」が、インサイドセールスとテレアポにはあります。

成果指標の違い

それぞれの目的が異なるため、当然、成果指標も異なります。

それぞれの成果指標は、以下のように異なります。

<インサイドセールス>
・どれくらいの顧客のニーズを聞き出せたか
・顧客の課題や現状を聞き出すことができたか
・どれくらいの商談化につながったか
・どれくらいの受注数につながったのか
<テレアポ>
・何件のアポイントを獲得できたか
・何件の顧客にアプローチができたか
・成功率は高いか

上記の違いの通り、インサイドセールスは質を重視し、テレアポは量を重視しています。

インサイドセールスを行う際は、アプローチする見込み顧客をステータスで分けていることがほとんどです。

たとえば、すでに課題やニーズを把握しているため、提案を行うことで商談化につなげる段階である、担当者の名前を知っているのみで顧客の情報についてはあまりわかっていないなどです。

当然、それぞれの状況によって、インサイドセールスのゴールは異なってきます。

つまり顧客の状況によって、インサイドセールスの成果指標も変わるということです。

一方でテレアポは、顧客の状況はあまり関係がありません。

顧客の状況にかかわらず、リストに記載している見込み顧客に対してアプローチを行い、とにかくアポイントを獲得することが成果になります。

こうした成果指標の違いも、インサイドセールスとテレアポの大きな違いです。

時間に対する考え方の違い

結論から言えば、インサイドセールスでは「長期」、テレアポでは「短期」の視点で捉えていきます。

繰り返しになりますが、インサイドセールスは見込み顧客の育成を目的としています。

そのため何度も顧客にアプローチをかけ、関係を構築し、長期的な利益を獲得することを求めていきます。

つまり1度のアプローチだけで、早急な結果を求めていないということです。

そのため成果が出ているかの検証期間も、月単位や半年単位、長期間だと1年単位などのケースもあります。

一方でテレアポは、1度の荷電でアポイントを獲得することが目的です。

そのため1日単位、1週間単位などの短期間で、どれくらいのアポイントを獲得できたかなどを検証していきます。

とにかくアポイントの獲得する成功率を上げるため、短期間で成果を確認し、トークスクリプトの改善などを行なっていきます。

それぞれの目的が異なるため、時間に対する考え方も異なってきます。

アプローチ対象の違い

インサイドセールスは顧客を育成することが目的のため、ある程度は自社に興味を持っている顧客が対象になります。

確度の違いはあるにせよ、時間をかけてアプローチを続けていくため、リストを消費することなく、繰り返し荷電を行なっていきます。

一方でテレアポは、アポイントの獲得がゴールとなるため、顧客の確度に関係なく荷電を行なっていきます。

コールに利用するリストも、一度でも名刺交換を行った、以前のセミナーに参加したなど、ほとんど情報がない段階でも荷電するのが特徴です。

また、テレアポは自社に興味がないとわかると、リストから削除するなど消費が激しいのも特徴です。

こうした目的の違いがあるため、自社に興味があるかどうかのアプローチ対象の違いも、インサイドセールスとテレアポにはあります。

他部署との連携の違い

インサイドセールスは、電話で営業活動の全てを完結させることはほとんどありません。

多くが、顧客の情報やニーズを聞き出し、長期的な視点から受注を目指していくため、担当の営業に引き継ぐことを目的にしています。

そのため、顧客がどのような課題やニーズがあるのかはもちろんのこと、対応してくれた担当者の雰囲気や、ターゲットとしている顧客の詳細な情報などを連携させることが求められます。

また、インサイドセールスを行う部署から担当営業に引き継ぐケースもあれば、反対に担当営業からインサイドセールスに引き継ぎを行うケースもあります。

たとえば、受注確度が低くなり、改めて育成の必要が出てきた場合などです。

効果的な営業を行っていくうえで、スムーズな連携がインサイドセールスには求められます。

一方でテレアポでは、アポイントを獲得した際に担当営業に引き継ぐことはありますが、それ以外の連携はほとんどありません。

テレアポでは顧客フォローなども行わないため、独立したものとして扱われます。

こうした他部署との連携が密かどうかも、大きな違いです。

インサイドセールスを導入するメリット

インサイドセールスを導入するメリットには、4点が挙げられます。

メリットを理解し、効果的に営業業務を進めましょう。

それぞれのメリットについて解説していきます。

この見出しの内容
  • 営業活動の効率化
  • 営業活動のコスト削減
  • 属人化の防止
  • 多様な働き方への対応

営業活動の効率化

インサイドセールスを導入することで、顧客に対するアプローチが格段に増えるため、営業活動の効率化につながります。

担当営業が見込み顧客に対して、訪問アプローチを行う場合、移動時間などや日程の調整などが必要になり、1日のアプローチ件数は限定的になってしまいます。

インサイドセールスは、電話やメールなどで非対面での営業活動を行うため、アプローチの件数は必然的に多く行えます。

また営業リソースが足りない場合でも、インサイドセールスに特化することで、少人数でも複数の顧客を担当することが可能です。

インサイドセールスに注力するスタッフがいることで、担当営業は商談に集中ができるようになり、成果にも繋がりやすくなります。

こうした営業活動の効率化に、インサイドセールスは大きく貢献できます。

営業活動のコスト削減

インサイドセールスは、対面営業の活動コストと比較すると、コストがほとんどかかりません。

インサイドセールスで必要なコストは、電話代や通信の維持費、Webサイトを利用する場合の運営費などです。

一方で対面営業の場合は、顧客に訪問する移動費、出張が伴う場合の宿泊費など、コストが嵩んでしまうことが多くあります。

会社として利益を出す場合には、コストをかけないことは必須であると言えるでしょう。

インサイドセールスを導入することで、顧客への訪問は必要な時に必要な回数だけ行えれば良いため、コスト削減につながります。

属人化の防止

従来の営業方法では、営業担当者が顧客の課題やニーズの把握を行い、受注確度は高いかどうかなどは、肌感覚で行われていることがほとんどでした。

つまり営業担当者のスキルやコミュニケーション力に依存する形となっており、営業活動の属人化につながっていました。

見込み顧客の育成という面でも、スキルの営業担当者が行っているうちは問題がありませんが、担当者が異動してしまう、離職してしまうなどをしてしまうと、育成もリセットしてしまうリスクもあります。

インサイドセールスでは、見込み顧客の育成度合いについては、共通で決められた事項から判断していきます。

決してインサイドセールスを行った担当者の肌感覚にならないため、判断基準が標準化されます。

そのため、営業活動における属人化の防止のリスクを軽減することにつながります。

多様な働き方への対応

昨今では、テレワークの導入など多様な働き方が当たり前の世の中になってきました。

加えて人手不足の影響もあり、会社に出社しなければならないという働き方では、優秀な人材確保につながらないケースも少なくありません。

こうした働き方に対する考え方の変化は、営業活動にも取り入れられるようになってきています。

インサイドセールスを導入することで、テレワークを行っている従業員でも対応ができ、リソースを効果的に利用することが可能になるからです。

インサイドセールスを導入することは、働き方に対するニーズにも応えることができるため、人材の引き止めはもちろんのこと、新たな人材確保でのアピールポイントにもなります。

インサイドセールスを適切に運用するためのポイント

実際に自社で、インサイドセールスを適切に運用するためのポイントとしては、4点を押さえることが大切です。

これから紹介する運用するためのポイントを理解し、効果的に運用しましょう。

それぞれのポイントについて解説していきます。

この見出しの内容
  • ターゲットを絞る
  • 徹底した情報管理
  • レスポンスを早くする
  • ノウハウの共有

ターゲットを絞る

インサイドセールスでは、顧客のターゲットをきちんと絞ることが大切です。

繰り返しになりますが、インサイドセールスの目的は顧客の育成になるため、あらゆるフェーズの顧客がリストに混在していることになります。

たとえば、まだ検討を始めた段階の顧客、ニーズや課題が明確になっていない顧客、すぐにでも案件化をしそうな顧客などです。

これらの顧客フェーズをリスト分けし、自社がインサイドセールスを行う際に優先順位を付け、効率的に行うことが求められます。

ターゲットの絞り方は、企業によってさまざまですが、業界や業種、事業規模、地域性、案件化フェーズなどです。

ターゲットを絞らず、優先順位もつけないままで運用してしまうと、闇雲に営業活動を行っていることになってしまい、インサイドセールスの強みである効率性が失われてしまいます。

また、顧客の状況を把握することもできないため、機会損失につながってしまう可能性もあるでしょう。

徹底した情報管理

インサイドセールスで扱うリストの顧客情報は、非常に重要なものです。

そのため、リアルタイムで最新の情報が更新されていることが理想的になります。

インサイドセールスで扱う情報は、会社名や事業規模、業界、業種、課題やニーズ、活用しているシステムやツール、これまでの営業活動の記録など多くものです。

インサイドセールスを行ううえで多いのが、顧客の担当者が変更しているのにも関わらずリストの担当者名が更新されていない、会社が移転しているにも関わらず対応ができていない、営業担当が話した内容が記載されていないなどです。

インサイドセールスにおいては、こうした情報が営業活動の鍵を握っているため、常に情報を収集し、リアルタイムで更新していくことが求められます。

また、リアルタイムで更新を行っていくためには、担当営業やインサイドセールスの担当者が簡単に情報を共有できる体制も必要です。

加えて扱う情報をきちんと管理するためにも、セキュリティ体制にも目を向ける必要があります。

万が一、流出などをしてしまうと、社会的信用の失墜や裁判沙汰になってしまう可能性もあります。

レスポンスを早くする

レスポンスを早くすることも、適切な運用を行っていくうえで非常に重要です。

なぜなら、レスポンスが遅くなればなるほど、顧客を待たせることになってしまうため、機会損失に繋がってしまう可能性があるからです。

すぐの回答が難しい場合は、その旨の連絡を一度入れ、いつまでに回答するかを連絡しておくことが大切です。

そのため、すぐにレスポンスができる環境を整えることが必要になります。

また、顧客のフェーズが情報収拾の段階だった場合、次のアクションについても検討することが必要です。

3ヶ月後や半年後には、具体的な商談につながっているケースも少なくありません。

顧客から、商品やサービスについての問い合わせがあった場合は、次につなげられるような対応も求められます。

たとえば、商品やサービスに関する資料を送付する、担当者で面談の機会を設けるなどです。

これらもその場でレスポンスすることができれば、商談につながっていきます。

ノウハウの共有

インサイドセールスは、個人ではなく組織で行うことで、営業効率が上がっていきます。

そのためには、ノウハウを共有しながら改善を続けていくことが大切です。

ノウハウは実際の成果などのデータはもちろんのこと、質の高いスタッフの話し方や言い回し方法を共有するなどしていくと良いでしょう。

たとえばデータの共有は、インサイドセールス部門で共有のフォルダをクラウド上に作り、そこにアップロードするなどの方法があります。

個人でノウハウを独占してしまっては、自社の営業効率の向上にはつながっていきません。

適切な人材配置と環境を整えることで、ノウハウの共有もスムーズになっていきます。

インサイドセールスとテレアポを混同しないためのポイント

繰り返しになりますが、インサイドセールスとテレアポは混同しやすい業務ですが、目的などが異なるため、まったく違った業務になります。

混同しないためのポイントは、以下の3つの点を押さえておくことが大切です。

それぞれのポイントについて、解説していきます。

この見出しの内容
  • 適切な評価軸を設定する
  • 長期的な視点での運用
  • コンテンツを一つにこだわらない

適切な評価軸を設定する

インサイドセールスとテレアポの最も大きな違いは、目的が異なることです。

インサイドセールスは、顧客の育成が目的であることに対して、テレアポの目的は、アポイントを獲得することです。

目的が異なるのであれば、評価軸も異なってきます。

そのため、テレアポで用いられる「アポイントを何件獲得できたか」などの評価軸は、適切ではありません。

大切なことは、インサイドセールスを行ったことで、顧客の育成につながっているかどうかを判断できることです。

たとえばインサイドセールスでは、以下のような評価軸を用いることが多いです。

<インサイドセールス評価軸例>
・案件化数
・受注率
・通話時間
・メール開封率

これらの評価軸は、数値として見える化できるものです。

蓄積されたデータは、インサイドセールスの改善にも役立つため、積極的に活用すると良いでしょう。

たとえば、案件化につながった数が何件以上であれば、顧客の育成が成功していると言えます。

こうしたインサイドセールスの適切な評価軸を用いることで、テレアポと混同することを避けられます。

長期的な視点での運用

インサイドセールスにおいて、一度の荷電やメールで営業活動が完了することはありません。

顧客を育成することが目的なため、長期的な視点での運用が求められます。

もちろん顧客のフェーズによって、すぐに案件化するケースもあれば、半年以上案件化しないケースもあるでしょう。

しかしインサイドセールスの目的は、長期的に自社の利益をもたらすことであり、決して目の前のアポイントを獲得することが目的ではありません。

長期的な視点での運用を前提に、業務を行っていくことを、現場の従業員に対しても周知していくことが大切です。

コンテンツを一つにこだわらない

インサイドセールスを行う際は、コンテンツを一つにこだわらないことも大切です。

基本的には、電話を利用することがほとんどですが、メールやWebサイトの運営、動画コンテンツを活用することも効果的です。

たとえば、システムの案内を行う際に会話や文章だけでは、顧客に伝わらないことは多々あります。

なぜなら言葉だけでは、イメージがしにくいからです。

その場合は、顧客がイメージをしやすいように動画コンテンツを合わせることで、顧客は商品についての、より具体的なイメージをすることが可能です。

また、複数のコンテンツを用意しておくことは、顧客との接点の機会を増やすことにもつながります。

電話だけに注力してしましまうと、無意識のうちにテレアポとの差別化ができていないケースもあります。

複数のコンテンツを運用していくことで、テレアポとの差別化も図れ、より効果的なインサイドセールスにもつながります。

インサイドセールスの導入手順

前段では、インサイドセールスのメリットや適切な運用法について解説してきました。

この見出しでは、実際に自社でインサイドセールスを導入し、効果的に利用する方法について解説していきます。

以下の順番で解説していきます。

この見出しの内容
  • 担当範囲の明確化
  • 所属部門の決定
  • 人材の確保
  • KPIの設定
  • 情報管理の環境設定

担当範囲の明確化

まずは、インサイドセールス部門がどこまでの範囲を担当にするかを明確にしていきます。

範囲が明確でなかった場合、本来は担当営業が行うべき業務をしてしまう、スムーズな情報共有に至らないなどのデメリットが大きいため、きちんと明確にしておくことが大切です。

また、担当範囲が明確になっていないと、顧客はどちらが主担当であるかがわからず、最悪の場合、クレームにつながってしまう可能性もあります。

インサイドセールスは、顧客の育成が目的であるため、担当営業との役割分担を明確にすることで、より効率的な営業活動につながっていきます。

所属部門の決定

インサイドセールスがどこの部門に所属にするかを次に決めていきます。

所属部門を決める理由は、自社でどの部分を強化したいかを明確にするからです。

たとえばマーケティング部門に、インサイドセールスを所属した場合、より顧客のニーズや課題についての把握に強みを発揮します。

一方でニーズの把握などに注力してしまうため、すぐに担当営業に引き継いでしまうなど、深い関係構築につながらない可能性もあります。

また、営業部門に所属した場合は、顧客となんどもやり取りを行うため、深い関係を構築できるのが強みです。

一方で何度も同じスタッフが対応すると、属人的になってしまうリスクもあるため、自社の強化したいポイントを押さえたうえで、所属部門を決定すると良いでしょう。

人材の確保

担当範囲と所属部門が決定したら、実際にインサイドセールスを行う人材を確保していきます。

人材は誰でも良いわけではなく、マーケティングや実際の営業現場に知見を持っている人材が良いでしょう。

なぜならインサイドセールスは、各部門との連携が不可欠なため、他部門についての知見がある人を選任したほうが、より良い連携になるからです。

多くの企業では、営業部門から異動させるなどのケースが多いですが、異動をさせると既存の営業部門の力が弱まってしまうケースもあります。

そのため、外部から新規採用を行うなども一つの方法です。

なお、インサイドセールス部門を、全て外部からの登用で埋めてしまうと、既存の営業部門との連携が上手く取れない可能性もあります。

外部から登用する場合は、中心メンバーを内部のメンバーで固めつつ、必要な箇所にピンポイントで補強するなどを考えると良いでしょう。

KPIの設定

KPIは前章で解説したように、インサイドセールスに適した評価軸を設定することです。

テレアポと混同しないように、インサイドセールスの目的に沿ったKPIを設定していきます。

たとえば、すでに検討段階にいる顧客が50件あり、1ヶ月以内に10件の商談化を目指し、3ヶ月以内に2件の受注を目指すなどです。

繰り返しになりますが、顧客のフェーズによって、育成する期間は変わってきます。

自社で優先順位を付け、すぐに商談化を行いたい場合などは、上記のようなKPIを設定すると良いでしょう。

KPIを明確に設定することで、スタッフも目指すべき指針を認識できるため、目標に向かって業務を進められます。

情報管理の環境設定

インサイドセールスを実施する前には、どのように情報管理を行うかを明確にルールとして定めておくことが大切です。

インサイドセールスでは、情報が非常に重要だからです。

そのため顧客情報から検討フェーズ、受注プロセスまでを一元的に管理することが理想になります。

可能であれば、営業支援システム(SFA)や顧客管理システム(CRM)などの専用のツールを利用することがおすすめです。

ツールを活用することで、業務もより効率的に行うことも可能です。

自社の業務体制や情報管理方針などと照らし合わせて、環境設定を行っていくことが大切です。

インサイドセールスで活用したいツール

インサイドセールスで活用していきたいツールとしては、6つのツールが挙げられます。

それぞれのツールがどのようなにインサイドセールスに活かせるかを解説していきます。

以下の順番で解説していきます。

この見出しの内容
  • 名刺管理ツール
  • CRMツール
  • SFAツール
  • MAツール
  • Web会議ツール
  • ビジネスチャットツール

名刺管理ツール

インサイドセールスでは、多くの企業をターゲットにしてアプローチをかけていきます。

どの企業がどのような担当者であったかを把握するためには、名刺管理ツールの活用が適切です。

名刺管理ツールとは、受け取った名刺をカメラで撮影する、専用の機械で読み取るなどをした際に名刺の情報をクラウド上で一元管理できるものです。

名刺の情報をデータ化することで、クラウド上で自社の目的に合わせて管理することが可能です。

たとえば業種分けで管理するのではなく、優先的にアプローチしたい順にグループ分けをするなどです。

さらに検索機能や名刺管理ツールに紐付けたSFAツールなどを活用すれば、マーケティングデータとしても利用ができます。

CRMツール

CRMツールとは、自社の顧客を管理するデジタルツールです。

顧客情報を一元的に管理できる、顧客情報の詳細な分析が行えるなどが特徴です。

自社が持っている顧客情報をデータ化から、分析、内容の可視化までを行えるため、より深く顧客についての理解ができます。

CRMツールを活用することで、顧客視点でのビジネスを考える、ビジネスモデルを構築するなど、さまざまなメリットがあります。

さらに顧客の情報が深くわかるため、アプローチの方法から適したタイミングなども分析できます。

インサイドセールスでは、すでに自社の顧客となっている顧客を対象にアプローチ施策を考える、見込み顧客に対してランク分けを行い、今どのようなアプローチが適しているかを考えられます。

SFAツール

SFAツールとは、営業活動の支援を行うツールのことです。

Sales Force Automationの頭文字を取ったもので、営業が行う行動管理から目標管理、CRMツールと紐づけた顧客情報管理や案件管理、いつどのようなアプローチを行ったのかなどの記録を一限管理することが可能です。

SFAツールを活用することで、営業活動が可視化することができ、属人的な営業活動を防ぐことにつながります。

さらに情報はSFAツールに一元管理されているため、全ての情報が集まり、誰でも簡単に情報を取得でき、他の顧客に対しても活かすことが可能です。

さらに営業報告などもSFAツールで行えば、個別に案件の進捗状況を確認する必要もなくなり、営業活動の効率化にも貢献します。

インサイドセールスでは、見込み顧客に対してのアプローチ記録をSFAツールに記録していき、状況をリアルタイムで把握するなどに用いられます。

さらに再アプローチをかける顧客に対しては、担当者が変わったとしても、以前にどのような話をしていたのかを確認できるため、スムーズな進行が行えます。

MAツール

MAツールとは、マーケティングオートメーションツールの略称で、新規顧客を獲得するためのマーケティング施策をサポートする、リードナーチャリングの促進をサポートするなどが行えます。

たとえばMAツールにはマーケティング施策の支援として、メールの一斉配信機能があります。

見込み顧客のランクや状況に合わせて、配信するメールの内容が変えられると共に、一斉送信のため、担当者の負担を大幅に軽減できます。

他にも見込み顧客の状況をスコアリングして、可視化を行うなども可能です。

それぞれのニーズに合わせた適切な配信が行えることが強みになっています。

インサイドセールスでは、メルマガ配信に合わせて連絡を取る、状況を確認しながらリードナーチャリングを行うなどに活用ができます。

Web会議ツール

昨今では新型コロナウイルス感染症の拡大などによって、オンラインでコミュニケーションを取る機会も増えてきました。

とくにアポなしでの訪問は感染症の対策から懸念されるケースも増えてきており、オフラインからオンラインへ商談も変わってきています。

Zoomなどのweb会議ツールを活用することで、遠く離れた場所にいる顧客に対しても顔を合わせながらコミュニケーションが取れるのはもちろんのこと、顧客側からも対面よりも簡単にコミュニケーションが取れるので、アポイントの獲得につながりやすいなどのメリットがあります。

さらに画面収録や議事録の作成や共有などを同時に行える機能も備えているため、効率的に営業活動が行えます。

インサイドセールスでは、Web会議ツールを活用してのアポイントの獲得を打診するなど、訪問ではなく対面のアポイント獲得に活用するなどが行えます。

ビジネスチャットツール

ChatworkやSlackなどのビジネスチャットツールもインサイドセールスでは活用したいツールの一つです。

ビジネスチャットツールは、メールよりも簡易的コミュニケーションが取れるため、簡単な連絡や急遽共有したい事項などを簡単に連絡し合うことが可能です。

1vs1でのコミュニケーションはもちろんのこと、グループ分けを行ってからのコミュニケーションも行えるため、業務の促進に大きく貢献できます。

たとえばチーム内のチャットグループで、その日の進捗状況を確認し合う、案件に対してのファイルの共有を行うなども行えます。

利用用途はさまざまなので、インサイドセールスだけではなく、自社の営業活動を効率化させるためにも効果的なツールです。

まとめ

インサイドセールスとテレアポは、業務の目的が大きく異なります。

インサイドセールスは、顧客の育成が目的であるため、長期的な視点で運用していくことが求められます。

また、せっかくインサイドセールスを導入したにも関わらず、テレアポの業務と変わっていないケースは少なくありません。

業務範囲を明確にする、適切な評価軸を設定するなど、テレアポではないことを意識付けすることも大切です。

ぜひ、インサイドセールスを適切に運用し、優良な顧客を育て上げ、自社の長期的な利益につなげてみてください。

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