葬儀屋の仕事は本当にきついのか？失敗しない転職のために知っておくべき業務のリアル！

亡くなった方の弔いをサポートする葬儀屋の仕事ですが、「葬儀屋の仕事はきつい」「葬儀屋は大変」などこんなイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか？

葬儀屋は亡くなった方とご家族、そしてそのご友人の最後のお別れをサポートするやりがいのある仕事ともいえそうですが、なぜ大変そうなイメージが先行しているのでしょうか？

本記事では葬儀の業務にフォーカスして、実際大変なのかを徹底調査しました。

やりがいや向いている人などもピックアップしていますので、葬儀屋の仕事に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

【葬儀屋はきつい？】主な業務内容

葬儀屋とは、昨今ではセレモニースタッフとも呼ばれ、葬儀全般のサポートをする業者を指します。

業務内容は、ざっくりとした流れでいうと、亡くなった方の遺族から依頼を受けて、ご遺体の管理や葬儀全体の取りまとめを行い、葬儀以外にも仏壇やお墓の相談にのるなど、弔いごとに関わるサポート全般に対応しています。

葬儀屋には「葬儀専門業者」「協同組合業者」「冠婚葬祭互助会系業者」「葬儀紹介業者」の4つの種類があります。

業務的なところよりも、利用者側の観点で違いがあるので、知識として知っておきましょう。

7つの業務内容

葬儀屋は葬儀の依頼を受けてから、早急に準備等に取り掛かります。

葬儀を執り行う上での一連の流れは下記の通りです。

上記の業務内容からわかるように、葬儀を執り行うにあたり、細かい段取りが必要になります。

遺族の方は大切な方を亡くしてしまったということもあり、動揺されていることも往々にしてあります。

葬儀屋は、辛いお気持ちの遺族の方のお気持ちのフォローもしつつ、大切な最後のお見送りの時間をサポートするのです。

葬儀の依頼受付

葬儀の依頼が入るのは、不幸がおこったときです。

故人の遺族や警察、病院、介護施設から連絡が入ります。

病院で亡くなられた場合、霊安室に移動したタイミングで葬儀社にご遺体の搬送依頼が入ります。

ご遺体の搬送・安置

ご遺体は数時間ほどしか滞在させられないため、依頼が入ればすぐに搬送の手続きに入ります。

搬送先はご自宅、斎場などが多いです。

ご遺体を清めて保全のために環境を整え、お供物の準備をして安置します。

葬儀の打ち合わせとお見積り

安置が終われば、ご遺族と式の一連の段取りを決めていきます。

お通夜の準備、霊柩車や火葬場の手配など、ご遺族のご要望を伺いながら、詳細を決定します。

見積書を作成し、同意書を得たら、葬儀の準備に取り掛かります。

詳細が決まれば、お寺や供花、香典返し、料理などほかに必要となるものの手配も同時進行で進めます。

通夜の手配

お通夜は自宅や斎場などで執り行われるケースが多く、地域の集会所で実施されることも。

お通夜が始まるまでに会場の設置といった準備を済ませ、ご遺体を納棺し、会場へと搬送します。

お通夜の司会進行も葬儀屋にて対応します。

葬儀・告別式の司会進行

お通夜が滞りなく完了したら、翌日に執り行われる葬儀の準備にうつります。

当日は数名体制で業務を分担し、チームで動きます。

会場の設営を初め、弔問客の対応、司会進行といった葬儀と告別式全体を、チームで協力しつつ運営します。

葬儀・告別式終了の後のサポート

葬儀と告別式が終了すると、次は火葬です。

葬儀会場から出棺し、故人とご遺族、一部の弔問客は火葬場へと向かいます。

火葬場でのお別れがされている間に、会場の片付け、精進落としの会食準備をします。

精進落としが終わる前に遺影や骨壷を持ち帰れるように準備をし、葬儀後はご自宅へ同行し、骨壷を安置します。

一連の葬儀の流れが完了したら、事務所に戻って事務処理を行います。

アフターフォロー

葬儀屋は、葬儀や告別式を執り行った後もアフターフォローを行います。

49日法要に向けて、仏壇やお墓、本位牌などの準備が必要です。

それ以外にも喪中ハガキの作成、相続関連のサポートなどご遺族のご要望に応じて、アフターケアを行います。

最近では「終活」といった言葉もあるように、亡くなった後にご家族に迷惑をかけたくないと、生前に葬儀のあれこれを決定するという動きも見られます。

生前、逝去後のトータルサポートを葬儀屋で行うことがあります。

とある1日の流れ

細かく業務を見ていくと、葬儀屋の業務は故人の逝去後、24時間でのサポートが必要になります。

葬儀屋の1日の流れは、葬儀やお通夜ある日、セレモニー関連がない日で動き方が大きく変わります。

24時間体制の葬儀屋が多いので、日勤と夜勤のシフト制が採用されているケースが多いです。

また、葬儀のタイミングが重なれば、残業や早出をしなければならないケースもあるでしょう。

葬儀屋の年収

24時間体制の勤務が多いというのもあり、ハードワークに感じている人も多いでしょう。

その一方で、給料はどうなのかというのも気になっている人も多いはず。

厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」によれば、葬儀屋の平均年収は386.1万円です。

平均月給は28.1万円、年間賞与及びその他特別給与額の平均は48.4万円と報告されています。

年収は勤続年数や資格の有無などによって変わりますが、年収約300〜500万円がボリュームゾーンといえるでしょう。

この数字が高いのか低いのかでいうと、やや低めです。

というのも日本の全年齢の年収中央値は399万円と言われており、それを下回っているのです。

しかし、大手の葬儀屋と個人経営の葬儀屋では待遇や福利厚生なども大きく変わってきます。

また、深夜勤務もある分、手当などで手取りが高い可能性もあります。

業界の平均で考えると年収は低い傾向ではありますが、正しい求人情報については気になる企業の募集要項をくまなくチェックすることをおすすめします。

葬儀屋の休日

24時間勤務のシフト制かつ、依頼状況が読みにくい。

そうなってくるときちんと休むことができるのかと心配になってきますよね。

ここでは葬儀屋の休日事情についてチェックしていきます。

葬儀屋の休日日数は、正直なところ会社によってばらつきがあります。

週休2日制の企業や月5〜7日程度で休日がある企業などさまざまです。

「友引」は葬儀そのものが執り行われないことが多いので、休日になるケースも。

シフト制ということもあり、販売職のように年末年始やお盆期間、ゴールデンウィークなどの大型連休は、会社そのものが休みになることは少ないようです。

まったく休めないということはありませんが、ご遺族のご要望に応じて動いていく勤務スタイルになるので、融通が利きにくい部分は多少あると言えます。

【葬儀屋はきつい？】きついと言われる理由

これまで葬儀屋の業務について振り返ってきました。

現時点では葬儀屋の業務についてどのような印象をもたれていますか？

「きつそう」と思っている方も多いでしょう。

葬儀屋がきついと言われるのには、下記4つの理由が挙げられます。

では、ここからは葬儀屋がきついと言われる理由について深掘りします。

体力的にきつい

葬儀屋の仕事は体力勝負です。

だからこそ、体力がないときついのです。

葬儀会場の設営や運搬、祭壇の設置、ご遺体の搬送など体力を使う場面は往々にしてあります。

さらに葬儀が始まってからも、基本的に立ちっぱなしとなります。

分業化がきちんとされている企業ならば、適材適所で役割分担をされるでしょうが、人手が足りていない企業に関しては、体力の有る無いを問わず、やらざるを得ない瞬間があることを十分に理解しておきましょう。

精神的にきつい

大切な人との最後のお別れは、サポートで立ち会う立場の人間でも辛いものがあります。

ご遺族の悲しみをダイレクトに感じる分、精神的に参ってしまう人も多いでしょう。

さらにご遺体を見ることに慣れるのも、また大変のようです。

亡くなった理由も突然の事故、老衰、病死など故人によってさまざまです。

お子様のご遺体や交通事故のご遺体など、ご遺体の状態によってはショックを受ける可能性があることを覚悟しなければなりません。

そのようなショックを感じても、葬儀中は気丈に振る舞い、業務をまっとうすることが求められます。

対外的な印象が悪くてきつい

葬儀屋は個人とご遺族の最後のお別れをサポートする、大切な仕事ではありますが、世間的な印象はいいものだけではありません。

人によっては「死」を商売にしていると感じる方もいるようで、ご家族から反対される人もいます。

「死」というデリケートな部分に関わる仕事のため、世間的な印象やご家族から反対されることで、きつさを感じてしまうのでしょう。

気を使うことが多くてきつい

「死」を取り扱う分、葬儀に関わる人々は一定の配慮が求められます。

故人との別れを悲しむご遺族の前で、不用意な発言、ご遺体に対する粗相、不謹慎な行為はご法度。

絶対に許されない行為です。

遺体の安置から葬儀まで、ご家族と一緒に過ごす時間も多くなる分、ずっと気は抜けません。

不謹慎に当たる行為や発言は、地域性や宗教観によっても異なります。

担当現場に応じた対応が常に求められてきます。

夜勤が多くてきつい

葬儀屋の休日でも触れましたが、葬儀屋は基本24時間営業です。

そのため、夜勤も必然と発生します。

日勤と夜勤があると、生活リズムが不規則になり、体力的にも精神的にもきつくなります。

また、不規則なスケジュールの関係で、家族や友人とも予定が合わせづらくてきつくなる人もいるようです。

【葬儀屋はきつい？】きつさを上回るやりがいを感じる瞬間

ここまで葬儀屋のきつさについてピックアップしてきました。

きつそうと思っている人も少なくないでしょうが、逆にきつくてもやりがいや楽しさを見出し働き続けている人がいるのも1つの事実。

葬儀屋の業務の中でやりがいを感じるのは、下記4つの瞬間といえます。

それぞれの項目について、さらに深掘りしていきましょう。

ご遺族からの言葉をいただいたとき

葬儀屋は精神的にも体力的にもきつい仕事ですが、ご遺族の方からの感謝の言葉やお喜びのお声をもらったときに、やりがいを感じられると言えます。

感謝の言葉は当たり前にいただけるものではない分、ご遺族から「いい葬儀ができた」「あなたが担当してくれてよかった」「ありがとうございます」という言葉を引き出せたのは、寄り添ったサポートの賜物。

お別れは寂しいものですが、葬儀が終わった時のご遺族の和らぐ表情を見ると、安堵感と達成感を感じられます。

そして、いただいた言葉たちが仕事を頑張る原動力となるのです。

送り出しを無事にできたとき

無事に送り出しができたときは、達成感を感じられます。

というのも、葬儀に失敗は許されません。

担当する故人の葬儀は、その人の人生、ご遺族の人生にとって一度きり。

ご遺族がお別れまでの時間を集中して過ごせるよう、葬儀屋としてできるだけのサポートを行います。

たとえば、ご遺体に傷をつけることはもってのほかですし、ご遺体が火葬までの間に腐敗しないよう、ドライアイスを詰めるなど綺麗な状態を保たなければいけません。

お顔に損傷があれば、ご遺族に変わり果てた姿を見せたくないという思いから、エンゼルメイクを施すことも。

人生の大事な節目であるという重みを分かっているからこそ、1回1回の葬儀に真剣に取り組み、無事に終えられたことに喜びを感じられます。

チームでの連携を円滑にできたとき

葬儀屋はひとつの式を完成させるために、多くの職種の人と連携しなければなりません。

それぞれに与えられた役割は異なりますが、故人やご遺族それぞれに敬意をもち、チームとして動いていく必要があります。

現場で何度も一緒に働くようになれば、業務の進め方やスタンス、考え方、癖を各々が理解し、阿吽の呼吸で業務を進めやすくなってくるのです。

信頼を寄せるチームのメンバーと滞りなく葬儀をまっとうできたとき、達成感や充実感を感じられます。

頼ってもらえる存在になれたとき

未経験であっても、できることをしっかりとやる。

その積み重ねをすることで、信頼を積み上げていくのが葬儀屋の仕事です。

葬儀屋は思っている以上に体力を使う仕事が多いので、男性であれば力仕事を率先してやったり、女性であれば力仕事というよりも細やかな気配りで献茶や受付の業務をこなしていったり。

できるところで最大限のパフォーマンスをしていけば、頼られる瞬間は必ず出てきます。

さらに、葬儀ディレクターとして葬儀全体を円滑に取り仕切れば、「何かあれば〇〇さんに相談したい」と頼っていただけることも。

未経験でも活躍できるフィールドが存在するのは、やりがいにもつながるといえるでしょう。

【葬儀屋はきつい？】葬儀屋に向いているのはどんな人？

葬儀屋は精神的にも体力的にもきつい仕事ですが、やりがいも十分にある仕事だとわかりました。

では、実際に仕事に向いているのはどんな人でしょうか？

下記のような人は葬儀屋の仕事に向いているといえます。

それぞれの人物像について詳しくみていきましょう。

責任感を持って行動できる人

故人の人生の最後を飾る葬儀の執り行いは、生半可な気持ちでは全うできません。

葬儀の内容はケースバイケースで状況が変わるため、完遂するにはチーム力が重要です。

そうなってくると各々のメンバーが責任を全うし、任せられることがポイントとなってきます。

責任感の強い方は、常に自責化で物事を捉え、自分の立ち振る舞いを改善し、より良いものを作ろうとアクションが起こせます。

これらより、責任感を持って行動できる人は葬儀屋の仕事に向いていると考えられます。

臨機応変に対応できる人

葬儀の案件は現場によって内容が異なります。

思ってもみなかった要望をご遺族から打診されたり、突拍子もない出来事に遭遇することもあったりするでしょう。

しかし、葬儀や短期間の間で計画し、実施まで行わなければならないので、すべて上長の確認待ちでは間に合わないこともあります。

時には自分で判断し、対応しなければならないこともあるでしょう。

想定外の出来事があっても、狼狽えることなく対応できる人は葬儀屋の仕事に向いていると言えます。

気配り上手な人

ご遺族が顧客であるため、気配り上手な人は向いています。

悲しみに暮れているご遺族に対して、配慮ある言葉かけやサポートができるのは、葬儀屋として強みになります。

細やかな気配りはご遺族の心にも残り、葬儀そのものが良いものだったと感じていただけるはず。

場合によっては、終活のご相談など次のお仕事につながることもあるでしょう。

体力がある人

葬儀屋の仕事がきついと言われる理由に体力的なきつさがあります。

逆に体力に自信があるひとは、葬儀屋の仕事は向いていると言えるのです。

24時間のシフト制、葬儀・告別式の際の設営など、体力自慢の方が輝く瞬間はたくさんあります。

体力がある人は必然と頼られやすくなったり、思考のクリアさから任せてもらえる業務の幅も広がったりするでしょう。

協働して働くことが好きな人

さまざまな役割を持つ人たちが協働して、ひとつの式を短期間で作るので、チームで働くことが好きな人は向いていると言えます。

自分の任された持ち場だけでなく、他の持ち場のメンバーが働きやすくなるにはどうすればいいのか。

葬儀・告別式が滞りなく進行するために、仲間とともに試行錯誤して完遂できた時、感じるやりがいや達成感はチームで働くことの醍醐味とも言えます。

そのため、協働して働くことが好きな人は葬儀屋の業務はおすすめです。

勉強熱心な人

葬儀は奥が深く、信仰する宗教や宗派によって作法や考え方が変わってきます。

さまざまな方の葬儀に関わるということは、さまざまな宗教などの信仰に触れるということ。

たとえば日本で行われる葬儀の9割近くが仏教ですが、浄土真宗、浄土宗など宗派によっても経典やお焼香回数、線香の本数などが変わってきます。

このような宗教観の違いを筆頭に、知的探究心が強く、勉強熱心な人は、葬儀屋に向いていると言えます。

【葬儀屋はきつい？】葬儀屋は覚悟が必要となる仕事だが、やりがいは十分

これまで葬儀屋はきついのかということについてフォーカスしてきましたが、一般的に考えるときつい仕事であると言えるでしょう。

その理由としては、故人とご遺族のお別れの時間を作る大切な業務だからこそ、24時間シフト制を取らざるを得ないし、葬儀依頼が入れば早急な対応を要されるといった側面にあります。

準備期間は短いですが、ミスをしないように常に緊張感を持たなければなりません。

そういった業務上の背景からきついと言われており、生半可な気持ちだと務まらないでしょう。

しかし、そのきつさを上回るやりがいがもあります。

ご遺族からの感謝の言葉、完遂できたときの達成感など、人生で一回のセレモニーに携わる人間としてのやりがいは十分にあります。

【葬儀屋はきつい？】実態をもっと知りたい場合は転職アドバイザーを活用するもよし！

葬儀屋がきついのかどうかを知りたいと読み始めた方の中には、葬儀屋についてもっと知りたいという人もいるかもしれません。

葬儀屋について詳しく知りたい人は、業界や企業研究をご自身でしてみるのはいかがでしょう。

「葬儀屋はきつい」と思っているかもしれませんが、あくまでも一般論の話であり、企業によってはそのイメージを払拭するべく、きつさをフォローするための福利厚生や体制を整えているケースもあります。

葬儀屋の仕事が気になるという方は、実際に募集要項や企業のHPなどを見てみてください。

ネット上にはない情報を知って転職を検討したい方は、転職エージェントの活用もおすすめです。

さまざまな求職者と関わってきたエージェントだから知っている、現場の実態をより深く伝えてくれるはずです。

業界研究のお手伝いだけでなく、求人紹介、選考対策、自己分析もサポートしてくれるので、この機会に活用してみてください。

まとめ

本記事では葬儀屋の業務にフォーカスして、葬儀屋の仕事は本当にきついのかを徹底調査しました。

結論、大変さはあるものの、故人とご遺族のために尽力する素敵な仕事です。

興味がでた方は、葬儀屋の仕事もぜひ検討してみてください。