【転職】人事評価に納得いかない時は?退職の前にやるべき対処と準備
はじめに
仕事で成果を出しているはずなのに、人事評価が思ったより低かった経験はありませんか。
頑張っているのに正当に評価されないと感じると、モチベーションが下がり、退職や転職を考えてしまうのも無理はありません。
実は、人事評価に不満を抱えている人は決して少なくないのです。
退職を決断する前に、まずは冷静に状況を整理し、できる対処法を試してみることからはじめてみましょう。
この記事では、人事評価に納得できない理由や評価制度の仕組み、不満を感じたときに取るべき行動、そして転職を考える際のポイントについて解説します。
自分に合った職場で正当に評価されるために、ぜひ参考にしてください。
人事評価に納得いかない人は多い?
日経ビジネスの調査では、9割以上の人が人事評価に満足していないという結果が報告されています。
また、他の複数の調査を見ても、最低でも6割以上の人が人事評価に何らかの不満を抱えているといわれているのです。
調査によって割合に多少の違いはありますが、いずれの結果も「人事評価への不満は多くの職場で共通の課題である」ことがいえるでしょう。
これだけ多くの人が不満を感じているということは、評価制度そのものや運用方法に問題があります。
自分の評価に納得できないと感じたとき、「自分だけがおかしいのではないか」と悩む必要はありません。
多くの人が同じような思いを抱えながら働いているのが現実なのです。
参照:「人事部に不満」9割、課題は評価制度 日経ビジネス調べ
なぜ人事評価に納得できないのか
人事評価に不満を感じる理由はさまざまですが、主に以下のような原因が挙げられます。
- 評価基準が不明確
- 評価者によって結果にばらつきがあり不公平
- 自己評価と乖離している
- 結果のフィードバックが十分でない
それぞれ見ていきましょう。
評価基準が不明確
評価基準が曖昧だったり、明示されていなかったりすると、何をどう頑張れば評価されるのかがわかりません。
これは人事評価への不満の中でも特に多い原因のひとつです。
たとえば、「積極性」や「協調性」といった抽象的な項目だけが示され、具体的にどのような行動が評価されるのか説明がない場合、従業員は手探りで仕事をすることになります。
ある社員は積極的に発言することが積極性だと考え、別の社員は自ら新しい業務を引き受けることが積極性だと解釈するかもしれません。
しかし、会社が本当に求めているのはどちらなのか、明確でなければ正しい方向に努力することができないでしょう。
また、評価基準が社内で共有されておらず、上司によって解釈が異なるケースもあります。
A部署では成果重視、B部署ではプロセス重視といった具合に、同じ会社でも部署によって評価のポイントが違うことがあります。
このような状況では、たまたま厳しい上司の下にいるというだけで、不利な評価を受けてしまう可能性も出てきます。
さらに問題なのは、評価基準が毎年変わったり、後から追加されたりする場合です。
期初に示された目標に向かって努力したにもかかわらず、期末になって「今年は別の要素も重視する」と言われれば、納得できないのは当然です。
どれだけ努力しても、何が評価されるのかわからなければ、納得のいく結果を得ることは難しいかもしれません。
評価基準の不明確さは、社員のモチベーション低下や離職につながる大きな問題です。
評価者によって結果にばらつきがあり不公平
同じような成果を出していても、評価する上司によって結果が大きく異なることがあります。
これは評価制度の公平性を大きく損なう問題です。
ある上司は厳しく評価し、別の上司は甘く評価する、というように評価者の主観や基準のばらつきが大きいと、社員間で不公平感が生まれます。
たとえば、同じプロジェクトで同程度の貢献をした2人の社員がいたとします。
片方の上司は「まだ改善の余地がある」としてB評価をつけ、もう片方の上司は「よく頑張った」としてA評価をつけた場合、B評価を受けた社員は強い不満を感じるでしょう。
特に、同期入社の同僚が自分より高い評価を受けているのに、その理由がわからない場合、不公平感はより強くなります。
客観的に見て自分の方が成果を出しているはずなのに評価が低い、あるいは、同じようなミスをしても自分だけが厳しく評価される、といった状況は、働く意欲を失う原因になります。
また、上司との相性や人間関係が評価に影響してしまうケースも。
上司に気に入られている社員は多少のミスも大目に見てもらえる一方、そうでない社員は些細なことでも厳しく指摘される、といった不公平が生じることがあります。
本来、人事評価は客観的な成果や能力を測るものであるべきですが、人間が評価する以上、どうしても主観が入り込んでしまうのが現実です。
評価者による差が大きい職場では、努力や成果よりも「誰の下で働くか」が評価を左右してしまうという問題が起こります。
これでは、真面目に努力している社員が報われず、不満が蓄積していくのも無理はありません。
自己評価と乖離している
自分では十分な成果を出したと思っていても、上司からの評価が予想より低いと、納得できない気持ちになります。
自己評価と上司の評価のギャップは、多くの職場で見られる問題です。
自己評価と上司の評価にギャップがあること自体は珍しくありません。
自分の仕事を客観的に評価するのは難しく、自分では頑張ったつもりでも、会社全体から見ればまだ不十分だったということもあります。
しかし、問題は「なぜ低い評価になったのか」が説明されないケースです。
ある社員が新規顧客を10社獲得し、自己評価をA(最高評価)とつけたとします。
しかし、上司からの評価はB(普通)でした。
もし上司が「目標は15社だったから」と説明してくれれば、社員も納得できるでしょう。
しかし、何の説明もなく単に「B評価」とだけ伝えられたら、社員は混乱し、不満を感じます。
また、自分では重要だと思っていた業務が、会社の評価基準では重視されていなかった、というケースもあります。
社員は顧客満足度の向上に力を入れたのに、会社は売上額しか評価しなかった、といった価値観のズレが、評価の乖離を生むことも。
さらに、上司が自分の貢献を十分に把握していなかった、という問題もあります。
特に、複数のプロジェクトに関わっていたり、他部署との連携業務が多かったりする場合、上司の目に見えないところでの貢献が評価に反映されないことがあります。
評価の理由が不明なまま結果だけを伝えられると、不満は大きくなるでしょう。
自己評価と上司の評価にギャップがあるのは自然なことですが、そのギャップを埋めるための対話が不足していることが、本当の問題です。
結果のフィードバックが十分でない
評価面談が形式的に行われるだけで、昇給や降格などの結果のみが通知され、詳しい説明がないケースも不満の原因です。
フィードバックの不足は、評価制度が機能していない証拠ともいえます。
たとえば、「今期の評価はBです」と伝えられるだけで、なぜその評価になったのか、どの部分が良くてどの部分が不十分だったのか、次の評価を上げるためには何をすべきかといった具体的なフィードバックがなければ、改善のしようがありません。
社員は「何が悪かったのか」「どうすればよかったのか」がわからないまま、次の評価期間を迎えることになります。
評価面談が一方的な通知の場になってしまうと、社員は置き去りにされた気分になります。
上司が評価シートを読み上げるだけで、質問する時間もなく面談が終わってしまう、あるいは、形式的に「何か質問はありますか?」と聞かれても、その場で思いつかず結局何も聞けなかった、という経験をした人も多いのではないでしょうか。
また、フィードバックがあったとしても、抽象的で具体性に欠ける内容では意味がありません。
「もっと積極性を出してほしい」「コミュニケーション能力を改善してほしい」といった漠然としたアドバイスでは、具体的に何をどう変えればいいのかが、わからないからです。
フィードバックが不十分な職場では、評価制度が社員の成長や意欲向上につながらず、ただの査定作業になってしまいます。
本来、人事評価は社員の成長を促し、組織全体のパフォーマンスを向上させるためのものです。
評価は「結果の通知」ではなく「成長のための対話」であるべきなのです。
人事評価制度の仕組み
人事評価に納得できない原因を理解するためには、そもそも人事評価制度がどのような仕組みになっているのかを知ることが重要です。
多くの企業では、人事評価制度は「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3つの要素で構成されています。
それぞれ見ていきましょう。
等級制度
等級制度とは、社員の職務や能力、役割に応じて段階的にランク分けする仕組みです。
一般的には、一般社員、主任、係長、課長、部長といった形で等級が設定されています。
等級制度の目的は、社員の成長段階を明確にし、キャリアパスを示すことです。
どの等級にいるかによって、求められる役割や責任の範囲が変わります。
たとえば、一般社員には与えられた業務を確実にこなすことが求められ、係長には部下の指導やチーム運営が求められるといった具合です。
また、等級が上がることで、昇給や昇格が見えるため、社員のモチベーション向上にもつながります。
「次の等級に上がるには何が必要か」が明確であれば、社員は目標を持って働くことができるでしょう。
ただし、等級制度が不明確だったり、昇格基準が曖昧だったりすると、不満の原因になることもあります。
「何年働けば昇格できるのか」「どんな成果を出せば昇格できるのか」がわからなければ、社員は不安を感じ、将来が見えないと感じてしまいます。
評価制度
評価制度は、社員の業務成果や能力、行動を定期的に評価し、その結果を昇給や昇格、賞与に反映させる仕組みです。
人事評価制度の中核をなす重要な要素といえます。
評価制度の目的は、社員の貢献度を公正に測り、適切に処遇することです。
多くの企業では、年に1回または半年に1回の評価期間を設け、目標達成度や業務遂行能力、勤務態度などを総合的に評価します。
評価方法には、上司による評価だけでなく、自己評価や360度評価(上司・同僚・部下からの評価)を取り入れている企業もあります。
評価項目は企業によって異なりますが、一般的には「業績評価」「能力評価」「情意評価」の3つに分類されます。
能力評価は、業務遂行能力や専門スキルなど、社員の持つ能力を評価する。
情意評価は、勤務態度や協調性、積極性など、仕事に対する姿勢を評価する。
ただし、評価基準が不明確だったり、評価者の主観に左右されやすい制度だったりすると、不公平感が生まれやすくなります。
特に、情意評価は主観的になりやすく、評価者によってばらつきが出やすい項目です。
報酬制度
報酬制度は、給与や賞与、福利厚生などの報酬を決定する仕組みです。
等級制度と評価制度の結果を基に、社員への報酬が決まります。
基本給、業績給、各種手当、賞与などが報酬制度に含まれます。
報酬制度が機能していれば、努力や成果が収入に反映され、社員の満足度やモチベーションが向上、維持します。
しかし、評価結果が報酬に十分に反映されない、報酬の決定基準が不透明な場合、不満が生じやすくなる原因につながります。
どれだけ頑張っても評価されないケースもある
残念ながら、どれだけ努力しても正当に評価されない職場があるのも事実です。
これは個人の能力や努力の問題ではなく、会社の評価制度そのものや企業文化に問題があるケースです。
年功序列の文化が強い企業では、成果を出しても年齢や勤続年数が優先され、若手が高く評価されにくい傾向があります。
「まだ若いから」「経験年数が足りないから」といった理由で、実績があっても昇格や昇給が見送られることも。
このような企業では、どれだけ優れた成果を出しても、一定の年数を経なければ評価されないという暗黙のルールが存在します。
また、評価基準が曖昧で上司の主観に大きく左右される職場では、どれだけ頑張っても上司に気に入られなければ評価されません。
上司の好みや価値観に合わない仕事のスタイルを持っていると、客観的に見て優れた成果を出していても低い評価を受けてしまうことがあります。
特に、「結果よりも過程を重視する上司」と「過程よりも結果を重視する部下」といったミスマッチがあると、いくら努力しても評価されない状況に陥ります。
また、業界や職種によっては、成果が評価されにくい構造的な問題があることもあります。
バックオフィス業務やサポート部門は、営業のように数字で成果を示しにくいため、どれだけ効率化や改善を進めても評価されにくい傾向があります。
会社全体が売上至上主義の場合、直接売上に貢献しない部門の社員は、どれだけ頑張っても報われないと感じることもあるでしょう。
こうした会社では、個人の努力だけで状況を変えることは難しいかもしれません。
このような職場に長く留まることは、キャリアの停滞や自己評価の低下につながる可能性があります。
人事評価に納得いかない!退職する前にやるべきこと
人事評価に不満を感じて退職を考えたとしても、感情的に決断するのは避けるべきです。
まずは冷静に状況を整理し、できる対処法を試してみましょう。
ここからは、退職する前にやるべきことを解説します。
人事評価への不満を整理する
まずは、自分が何に対して不満を持っているのかを整理しましょう。
「評価が低かった」という漠然とした不満ではなく、「プロジェクトで成果を出したのに評価されなかった」「同期より評価が低い理由がわからない」など、具体的な出来事や事実を書き出してみてください。
不満を明確にすることで、今後上司に質問したり相談したりする際に、感情的にならず冷静に話ができるようになります。
また、自分の中で問題点が整理されることで、本当に退職すべきかどうかの判断もしやすくなるでしょう。
会社の評価基準を再確認する
評価基準は会社によって異なります。
改めて働いている会社の評価基準を確認し、自分の認識とずれがないか確かめてみましょう。
流れとしては、まず就業規則や人事制度の資料、評価シートなどを見直して、会社が何を重視しているのかを再確認します。
もしかすると、自分が重要だと思っていた業務が、会社の評価基準ではそれほど重視されていなかったということも。
評価基準を正しく理解することで、今後どのような行動を取れば評価されるのかが見えてくるでしょう。
冷静になる時間を作る
評価結果に納得できないと、つい感情的になって「もう辞めよう」と思ってしまうこともあります。
しかし、感情に流されて退職や転職を決断するのは危険です。
退職の決断は取り消しが難しく、後悔しても元に戻せません。
まずは数日から数週間、冷静になる時間を作りましょう。
時間を置くことで、感情が落ち着き、より客観的に状況を判断できるようになります。
焦って決断せず、じっくり考える余裕を持つことが大切です。
信頼できる人に相談する
一人で悩まず、信頼できる人に相談することも重要です。
まずは、友達や家族など社外の人に話を聞いてもらうのがおすすめです。
社外の人であれば、利害関係がないため客観的な意見をもらいやすく、心理的な負担も軽減されます。
その後、段階を踏んで上司に質問や相談をすることも検討しましょう。
評価の理由を丁寧に尋ねることで、誤解が解けたり、今後の改善点が明確になったりすることもあります。
その際は、感情的にならず、冷静に話すことが大切です。
会社から評価されるためにできること
人事評価に不満がある場合でも、自分の行動を見直すことで状況が改善する可能性があります。
会社で正当に評価されるために、以下のような行動を試してみましょう。
自分の業務実績や貢献を数字やデータで示せるようにする。
報告書や記録を残し、評価面談で具体的に説明できるようにしましょう。
・上司とコミュニケーションを密にする
定期的に進捗報告を行い、自分の仕事ぶりを上司に知ってもらう。
上司が把握していない成果があれば、積極的に伝えましょう。
・評価基準に沿った行動を心がける
会社の評価基準を理解し、それに沿った行動を意識する。
会社が求める人物像や行動規範を把握することが重要です。
・フィードバックを求める
評価面談だけでなく、日常的に上司からフィードバックをもらう。
改善点を早めに知ることで、次の評価に生かせるでしょう。
・目標設定を明確にする
期初(年度初め)に目標を設定し、上司と共有しておく。
目標が明確であれば、評価もしやすくなります。
・周囲との協力関係を築く
チームワークや協調性も評価対象になります。
周囲と良好な関係を築き、協力的な姿勢を見せましょう。
これらの行動を実践することで、評価が改善される可能性があります。
それでも状況が変わらない場合は、会社の制度や文化に問題があるかもしれません。
人事評価にどうしても納得できない場合は退職・転職も選択肢に
自分なりに努力しても状況が改善されず、どうしても納得できない場合は、退職や転職を検討することも大切です。
無理に我慢し続けると、心身の健康を損なう恐れも。
ここからは、転職先の見つけ方について解説します。
正当な評価が得られる会社を選ぶ
現在の職場の評価基準や人事評価への姿勢に根本的な問題があり、改善の見込みがない場合は、転職を考えましょう。
転職先を選ぶ際は、評価制度がオープンで分かりやすい会社を選ぶことが重要です。
- 評価基準が明文化されている
- 評価プロセスが透明である
- フィードバックが充実している
といった特徴を持つ企業を探しましょう。
面接の際には、評価制度について質問するのも良い方法です。
企業が評価制度についてしっかり説明できるかどうかで、その会社の姿勢が見えてきます。
自分に合った職業を選ぶ
評価基準が自分の強みや価値観と合っていない場合も、転職を視野に入れる理由になります。
自分にはどのような価値やスキルがあり、それをどの職種や業界で生かせるのかを考えてみましょう。
現在の会社では評価されにくい能力が、別の業界では高く評価されることもあります。
自分に合った環境で働くことで、正当な評価を得られるだけでなく、仕事へのやりがいや満足度も高まります。
キャリアの方向性を見直す良い機会と捉えましょう。
正当に評価される会社探しは「転職エージェント」に相談しよう!
正当に評価される会社を探すなら、転職エージェントの活用がおすすめです。
転職エージェントは、企業の評価制度や社風についての情報を持っている場合が多いからです。
希望や価値観を伝えることで、評価制度が明確で公平な企業を紹介してもらえます。
また、面接対策や条件交渉のサポートも受けられるため、転職活動をスムーズに進められるでしょう。
一人で転職活動を進めるのは不安も多いものです。
プロのアドバイスを受けながら、自分に合った職場を見つける方法をおすすめします。
まとめ
人事評価に納得できないという悩みは、多くの働く人が抱えている共通の課題です。
評価基準の不明確さ、評価者によるばらつき、フィードバック不足など、さまざまな原因が考えられます。
まずは冷静に不満を整理し、評価基準を再確認したり、信頼できる人に相談したりして、できる対処法を試してみましょう。
自分の行動を見直すことで、評価が改善される可能性もあります。
しかし、どれだけ努力しても状況が変わらない場合や、会社の評価制度そのものに問題がある場合は、退職や転職も一つの方法です。
転職を考える際は、転職エージェントなどの専門家に相談しながら、自分に合った職場を見つけてください。
納得のいく評価を得られる環境で、充実したキャリアを築いていきましょう。
SHARE この記事を友達におしえる!
