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うつ病で仕事を辞めるのは「逃げ」?退職に関する基礎知識や再出発のポイント

うつ病で仕事を辞めるのは「逃げ」?退職に関する基礎知識や再出発のポイント

目次
  1. はじめに
  2. うつ病で仕事を辞めるのは逃げではない
  3. うつ病を自覚したらまず取るべき対策
  4. 退職の決断はうつ症状が落ち着いてから行う
  5. うつ病における休職と退職の判断基準
  6. うつ病で仕事辞めるのはずるい?理由と対策
  7. うつ病での退職手続きを進めるステップ
  8. うつ病での退職時は代行サービス利用も検討する
  9. うつ病で退職後の生活基盤を固められる制度
  10. うつ病の再発防止も含めた再出発
  11. まとめ

はじめに

公務員や医療職、教育職など、社会的責任が重い職種では、うつ病で職場を離れることに強い罪悪感や恐怖を抱く傾向があります。

退職を考えることは逃避や弱さではなく、現状の苦痛を和らげるための合理的な選択として受け止める必要があります。

精神的な疲労が蓄積すると思考力や判断力も低下しやすく、冷静な判断が難しくなるでしょう。

適切な情報と支援を得ながら病状や生活状況を整理し、自分自身を守るための行動を取ることが大切です。

本記事を通じてうつ病と仕事の関係性を理解し、どのように退職を考えるべきか整理していきましょう。

うつ病で仕事を辞めるのは逃げではない

うつ病を抱えながら勤務を続けると体力や気力の消耗が進み、日常生活にも支障をきたすことがあります。

責任感が強い人ほど「辞めたら迷惑をかける」と自分を責めてしまい、無理を重ねる傾向があります。

しかし、退職は逃げではなく、病状の悪化を防ぐための合理的な手段です

治療や休養を優先することが、最終的には再出発にもつながる選択肢となるでしょう。

ここからは、なぜうつ病による退職が逃げではないのか複数の観点から解説します。

うつ病は治療と休養が必要な病気だと理解する

うつ病は脳の働きに変化が生じ、感情や意欲、思考に影響を及ぼす病気です。

根性や気持ちの切り替えで乗り越えることは難しく、医療的な治療と十分な休養が不可欠です。

多くの人が「我慢していれば治る」と考えがちですが、放置すれば症状は悪化し、回復までの期間も長くなります

治療を受けることで脳内のバランスを整え、心身のエネルギーを回復させられます。

早い段階で専門医に相談することで、病状の悪化を防ぎ、将来的な社会復帰の可能性につながるでしょう。

退職は病気の悪化を防ぐ最優先の選択肢である

仕事の継続が心身に過度な負担をかけている場合、退職は「逃げ」ではなく「自分を守るための行動」です。

長時間労働や人間関係によるストレスが主な要因である場合、無理に勤務を続けると回復が遅れ、再発のリスクも高まります

退職を選ぶことで治療や生活リズムの安定に集中でき、回復を早められます。

仕事を離れる選択は立ち止まるためではなく、再び歩き出す準備を整えるための行動として位置づけましょう。

「甘え」「逃げ」という過度な罪悪感は切り離す

うつ病の特徴として、自責感が強まり、自分の行動に過剰な否定的感情を抱く傾向があります。

そのため、退職を考えると「自分は弱いのではないか」「周囲に迷惑をかけてしまう」と感じやすくなります

しかし、罪悪感に支配されたままでは回復は進みません。

病気の治療に専念することは自分を大切にするための行為であり、同時に家族や職場にとっても最良の選択となる場合があります。

精神的な余裕を取り戻すことで、将来的に新たな形で社会に貢献できるようになります。

責任感の強さが心身の不調を招いていると認識する

うつ病を発症する人の多くは、真面目で完璧を目指す傾向を持っています。

職務への誠実さや他者への配慮が強い一方で、自分の限界を無視して過度に努力を重ねることがあります

次のような特徴が見られる場合、注意が必要です。

性格的傾向 具体的な行動例
責任感が強い 体調不良でも業務を優先する
完璧主義 小さなミスにも強いストレスを感じる
他人を優先 自分の休息より周囲の期待を優先する

自分の体調や気分の変化を軽視せず、心身のサインに気づくことが大切です。

衝動的な判断を防ぐために冷静な思考を取り戻す

うつ病の症状が強まると思考が極端になり「今すぐ辞めたい」「すべて投げ出したい」と感じることがあります。

しかし、思考が極端な状態で退職を決断すると、後悔や不安が残ることがあります。

判断力が低下している時期は、まず心身を休ませ、医師や信頼できる人の意見を聞くことが重要です

冷静さを取り戻すことで、退職後の生活設計や制度の活用方法を現実的に考えられるようになります。

うつ病を自覚したらまず取るべき対策

気分の落ち込みや意欲の低下、集中力の欠如が長く続く場合、早期に専門的な支援を受けることが重要です

心身の異変を放置すると症状が悪化し、日常生活や仕事への影響が拡大します。

ここからは、うつ病を自覚した際に取るべき初期対応と、支援を受けるための具体的な行動を説明します。

身近な人に現状を伝え支援を得る

うつ病を抱えた状態では孤立感が強まり、誰にも相談できないまま苦しむことが多くなります。

結果、問題を一人で抱え込み、病状が悪化する可能性もあるのです。

周囲に理解者がいるだけで、症状の回復が早まるケースも多くあります。

また、周囲の人があなたの変化に気づき、医療機関への同行や生活のサポートを行うことも可能になります。

支援を受けることは決して弱さではなく、回復を進めるための戦略的な行動です

孤立を避けることで、治療に集中できる環境を整えられます。

公的機関や専門相談窓口に相談する

医療機関の受診に加えて、行政や支援団体の相談窓口を活用することも効果的です。

各自治体には、メンタルヘルスに関する無料相談や、職場復帰・再就職を支援する制度があります。

代表的な窓口は、以下のとおりです。

  • 精神保健福祉センター:病状や治療、生活支援制度の相談が可能
  • ハローワーク:うつ病による離職後の手続きや給付制度の案内
  • 労働基準監督署:職場でのハラスメントや長時間労働への相談

専門機関を利用することで制度の情報を正確に把握し、適切な支援を受けやすくなります。

特に、うつ病の影響で判断力が低下しているときは、専門家の意見を取り入れることで安心して次の行動を決められます。

職場の人事・上司に早めに状況を共有する

症状が続く場合は、可能な範囲で職場の上司や人事担当者に現状を伝えることも重要です。

早い段階で相談することで、業務量の調整や勤務時間の短縮など職場環境の改善を図れるかもしれません

特に、公務員や医療・教育関係の職種では、休職制度やメンタルヘルス支援制度が整っていることも多いため、早期に活用すれば回復を優先しやすくなります。

無理を続けて限界を迎える前に環境を整える行動を取ることが、自分と職場の両方にとって重要視されます。

退職の決断はうつ症状が落ち着いてから行う

うつ病の症状が強い状態では思考や判断が極端になりやすく、冷静な決断が難しくなります。

そのため、退職を検討する場合にはまず治療を優先し、症状が落ち着いた段階で判断を下すことが重要です

心療内科・精神科を受診し診断書を取得する

退職を考える前には、心療内科や精神科で正式な診断を受けることが欠かせません。

医師からの診断書は自身の健康状態を客観的に示す証拠となり、職場への説明や退職・休職手続きにおいて強い説得力を持ちます。

診断書には「業務継続が困難」「一定期間の休養が必要」といった内容が記載されるため、無理な引き留めを避ける効果もあります

さらに、退職後の各種手続きにも診断書が役立つのです。

傷病手当金の申請や失業保険の特定理由離職者扱いの認定など、給付を受ける際に必要になるため、早めに準備することが望ましいでしょう。

診断書がもたらす休職・退職交渉のメリットを確認する

医師が発行する診断書は単なる医療文書にとどまらず、労働者の権利を守る「交渉の支え」です。

診断書を提出すれば退職理由が感情的なものでなく医学的な判断に基づくものだと証明できるため、職場との話し合いが円滑に進みやすくなります

また、診断書がある場合、民法上の退職予告期間である2週間を待たずに体調を理由とした早期退職を交渉できるケースもあります。

さらに、退職後に「特定理由離職者」と認定されると、失業保険の給付制限が免除され、給付日数も優遇されるでしょう。

家族や身近な人に現状を伝え理解と協力を得る

退職を決める際は家族や信頼できる人に現状を説明し、理解と支援を得ることが欠かせません。

退職後の生活費や治療費の見通しを共有し、協力して計画を立てることで不安を軽減できます

特にうつ病の症状があると、判断力や計画力が低下するため、家族の客観的な意見が意思決定の助けになります。

可能であれば、医師の診察時に家族も同席し、病状や治療方針を共有すると良いでしょう。

家族が病状を正確に理解することで、日常生活でのサポートが受けやすくなります。

うつ病における休職と退職の判断基準

うつ病を抱えながら働く場合「休職で回復を目指すか」「退職して療養に専念するか」は大きな分岐点になります。

冷静な判断を行うには、会社の制度や金銭面、職場環境の要因を整理し、もっとも回復につながる選択を見極めることが欠かせません

以下では、うつ病で休職・退職を検討する際の基準を順に説明します。

会社に籍を残せる休職制度の有無を確認する

退職を決断する前にまず会社の就業規則を確認し、休職制度の有無や条件を把握しましょう。

多くの企業では一定期間休職し、回復後に職場へ復帰できる仕組みが整えられています。

休職期間中は給与が支給されない場合もありますが、健康保険に加入していれば傷病手当金を受け取れます

また、休職期間中に職場とのつながりを維持できる点もメリットです。

休職制度の内容は企業ごとに異なるため「休職期間」「復職条件」「給与の有無」を事前に確認し、自身の治療計画と照らし合わせて判断しましょう。

無収入期間や再就職難易度のデメリットを把握する

退職を選ぶと収入が一時的に途絶えるため、経済的な不安が大きくなります。

うつ病治療中は働くことが難しく、再就職まで時間を要することもあります。

収入や再就職にまつわるリスクを理解するため、退職前に次の項目を整理しておきましょう。

  • 傷病手当金・失業保険の支給額と受給期間を把握する
  • 毎月の生活費と医療費の合計を試算する
  • 貯蓄や家族の支援でどれくらいの期間生活できるかを確認する

退職後の生活設計を具体化することで、不安を減らし、療養に集中できる環境を作ることが可能になります。

職場環境の調整で回復が見込めるか見極める

仕事を続けるかどうかを決める際は、業務内容や職場の人間関係が回復に影響しているかを慎重に見極めましょう。

特に、業務量の過多や上司との関係が原因の場合、業務の分担変更や配置転換などの調整を申し出ることで症状が軽減するケースもあります。

具体的には、次のような対応を会社に相談してみることが有効とされます。

調整の内容 期待できる効果
業務内容の変更 精神的負担の軽減
勤務時間の短縮 体調に合わせた働き方が可能になる
部署異動 人間関係のストレスを軽減

職場環境が根本原因の場合は退職・転職を検討する

長時間労働やハラスメントなど、明確なストレス要因が存在する場合、改善を期待しても根本的な解決が難しいかもしれません。

そのため、いっそ退職や転職を検討する選択肢もあります。

特に、労働環境に違法性があるときは、労働基準監督署への相談や労災申請も視野に入ります。

新しい職場で働き方や人間関係を見直すチャンスが生まれ、再発防止にもつながるかもしれません。

治療に専念できる環境を整える

退職を決めた後は次の行動に焦らず、治療に専念できる生活環境を整えることを最優先しましょう

医師の指示を守り、規則的な生活リズムを取り戻すことが大切です。

経済面では、傷病手当金や失業保険などの公的支援制度を利用し、安心して療養を続けられるようにしましょう。

焦って再就職活動を始めると再発のリスクが高まるため、医師から就労の許可が出るまでは無理を避けることが大切です。

生活の安定と心身の回復を優先することで、次のステップに自信を持って進めるようになります。

うつ病で仕事辞めるのはずるい?理由と対策

うつ病を理由に仕事を辞めると「甘えている」「ずるい」といった誤解を受けることがあります。

うつ病は目に見えない症状が中心のため、他者からは努力不足や怠慢と誤解されやすいのです。

心身の限界を迎えながら働くことは、自分を追い詰める行為にほかなりません。

退職を選ぶことは治療を優先するための正当な決断であり、社会的に責められるものではありません

次の項目では、うつ病での退職が「ずるい」といわれる背景と、誤解にどう対応すべきか解説します。

「ずるい」という声は病気への理解不足から生じる

うつ病に対して否定的な意見が出る最大の理由は、精神疾患に対する認識の浅さです。

うつ病は脳の働きの不調によって引き起こされる病気であり、意志の強さや気力で解決できる問題ではありません。

しかし、周囲がそのメカニズムを理解していないと、「怠けている」「逃げている」と誤解されやすくなります。

特に、症状が外見に表れにくいため、見た目が元気そうに見えると誤解が深まります。

誤った認識に対抗するためには、うつ病が医学的に認められた病気であることを理解し、治療と休養が必要な状況であると説明できる準備を整えることが有効です。

働かずに給付金をもらうことへの「嫉妬」だと認識する

退職や休職に対して「ずるい」といわれる背景には、経済的支援制度に対する嫉妬や誤解もあります。

たとえば、傷病手当金や失業保険などの給付金を受け取っていることが周囲に知られると「働かないのにお金をもらっている」と不公平感を持たれることがあります。

しかし、あくまでも社会保険料を納めている人に認められた正当な「権利」です。

給付金は働けない状態で生活を維持し、回復を支えるために設けられたものであり、不正な支援ではありません。

社会復帰への近道として堂々と利用し、治療と回復に集中するようにしましょう。

回復後の再出発時には周囲への感謝を伝える

周囲からの誤解や不満を和らげるためには、復職や再就職の際に感謝の気持ちを伝えることが効果的です。

退職や休職中に同僚が業務を引き継いでくれた場合、改めてお礼を伝えることで関係を修復しやすくなります。

また、復帰後に「助けてもらったおかげで回復できた」と伝えることで、相手の理解が深まり協力的な関係を築けるでしょう

さらに、周囲への感謝を表すことで自分自身の回復を実感し、次の目標に向けて前向きな気持ちを育てる機会にもなります。

うつ病での退職手続きを進めるステップ

うつ病による退職は通常の退職と異なり、体調や精神面への配慮が必要になります。

無理をして通常通りの手続きを進めようとすると、症状が悪化するおそれがあります。

そのため、焦らず順を追って行うことが重要です。

ここでは、負担を最小限にしながらうつ病による退職を完了させるための具体的な流れを解説します。

まず直属の上司へ退職の意思を伝える

退職を決めたら、最初に直属の上司に意思を伝えましょう

会社では上司が人事や総務への窓口となることが多く、正式な手続きを進める際の起点になります。

直接会って話すのが理想ですが、体調が優れない場合は電話やメール、手紙での連絡でも構いません。

内容はできるだけ簡潔にまとめ「体調不良のため、勤務の継続が困難です」と伝える程度で十分です。

報告を先延ばしにすると、引き継ぎや手続きに時間がかかり、余計なストレスを抱えることになります。

診断書を提示し早期退職の交渉を行う

医師の診断書は、退職交渉をスムーズに進めるための有効な手段です。

診断書によって「勤務が困難である」という医学的根拠を示すことで、上司や人事担当者が理解を示しやすくなります

民法では、通常2週間前に退職の申し出を行うことが求められています。

ただし、診断書を提示すれば、心身の状態を理由に即日退職や短期間での退職を認めてもらえるでしょう。

また、診断書を提出しておくと、退職理由が「自己都合」ではなく「特定理由離職者」として扱われ、失業保険の給付制限が免除されることもあります。

「一身上の都合」など会社への不満を避けた理由を伝える

退職の際に伝える理由は、詳細に説明する必要はありません。

うつ病を理由にする場合でも「一身上の都合により退職いたします」と伝えるだけで問題はないでしょう

会社に対して不満や批判を述べるとトラブルを招いたり、円満退職が難しくなったりする恐れがあります。

仮に病気を理由として話す場合は「医師の指導により、療養に専念することになりました」と簡潔に説明しましょう。

また、退職理由は離職票にも記載されるため、将来的な再就職に影響が出ないよう穏やかな表現を選ぶことが大切です。

残った有給休暇の完全消化を会社に相談する

退職が決定した後は、残っている有給休暇をすべて消化するようにしましょう

有給休暇の取得は労働者に認められた権利であり、会社側が正当な理由なく拒否することは不可能です。

以下のような流れで進めると、スムーズに手続きを完了できます。

  1. 残存日数を確認する(給与明細や勤怠システムを参照)
  2. 上司や人事に「退職前に有給を消化したい」と伝える
  3. 引き継ぎや最終出勤日を明確にする
  4. 承認が得られたら、有給消化期間中は心身を休める

有給を活用することで、最後まで出社せずに退職を完了できる場合もあります。

療養と事務手続きの両立が難しいときは、家族や退職代行サービスを通じて進める方法も検討しましょう

うつ病での退職時は代行サービス利用も検討する

うつ病の症状が強く、上司や人事と直接やり取りを行うことが難しい場合は、退職代行サービスを利用する方法があります。

退職代行は、本人に代わって退職の意思を会社に伝え、書類や引き継ぎに関する調整を代行してくれるサービスです。

体調が不安定な状態で上司と対面したり、電話やメールのやり取りを行ったりすると、精神的な負担が増して症状が悪化するおそれがあります。

専門の代行業者を利用すれば、最短で即日退職が可能になり、会社との直接交渉を避けながら安全に手続きを完了できるでしょう

弁護士が関与するサービスを選べば、法的な観点からも安心して依頼できます。

また、利用者の多くが「もっと早く依頼すればよかった」と感じるほど、精神的負担の軽減効果が高いのが特徴です。

うつ病の治療を優先するためには無理をせず、必要なサポートを上手に活用することが大切です。

うつ病で退職後の生活基盤を固められる制度

退職後の生活を安定させるためには、公的支援制度の活用が欠かせません。

うつ病の治療を続けながら生活費を確保することは容易ではありませんが、制度を正しく理解して申請すれば、経済的負担を大幅に軽減できます。

ここでは、うつ病での退職後に活用したい5つの支援制度を紹介します。

傷病手当金

傷病手当金は、業務外の病気やけがで働けない期間に支給される制度です。

健康保険に加入していれば、給与の約3分の2が最長1年6か月間支給されます。

退職日までに継続して1年以上加入している場合、退職後も受給を続けられる可能性があります。

ただし、傷病手当金と失業保険は同時に受け取れないため、どちらを優先するかを事前に判断することが重要です

支給条件を満たしていれば、治療に専念しながら生活を維持できます。

なお、申請には医師の意見書や勤務先の証明が必要です。

出典:厚生労働省|傷病手当金について

失業保険

正式名称は「雇用保険の基本手当」であり、再就職を支援するための制度です。

うつ病で退職した場合、医師の診断書を提出して「特定理由離職者」に認定されると、待機期間なしで給付を受けられることがあります。

また、治療中で就職活動ができないときは、受給期間を最長3年(通算4年間)まで延長可能です。

退職後に体調が安定してから受給を開始できるため、焦らず治療に専念できます

手続きはハローワークで行い、診断書や離職票などの提出が求められます。

出典:厚生労働省|基本手当について

障害年金

うつ病が長期化し、日常生活や仕事に制限がある場合は、障害年金の申請が可能です。

初診日が厚生年金加入中であれば、受給の可能性が高まります。

等級は1〜3級に分かれ、症状の程度に応じて金額が決まる仕組みです。

障害者手帳の有無にかかわらず、医師の診断書をもとに審査が行われます。

手続きは複雑ですが、社会保険労務士に相談することでスムーズに進められます。

出典:日本年金機構|障害年金

自立支援医療制度

精神疾患に対する医療費の自己負担を軽減する制度で、通常3割の医療費が原則1割負担になります。

所得に応じて月ごとの負担上限が定められているため、収入が減少しても安心して治療を継続できます

申請には、主治医の意見書と市区町村の福祉課での手続きが必要です。

障害者手帳を持っていなくても利用可能であり、治療費が大幅に減ることからうつ病による退職後の生活を支えるうえで役立ちます。

出典:厚生労働省|自立支援医療制度の概要

うつ病の再発防止も含めた再出発

退職後の生活が安定してきたら、次のステップとして再就職を検討する時期が訪れます。

うつ病の再発を防ぐためには焦らず回復を最優先にし、自分に合った働き方を選ぶことが重要です

以下では再出発に向けた準備と、支援を受けながら安心して働き始めるための方法を紹介します。

医師の許可が出てから就職活動を開始する

うつ病は再発率が高く、治療が不十分なまま復職すると再燃のリスクが高まります。

心身の安定を確認するためには、主治医から「就労可能」の判断を受けることが前提です。

医師の許可が出るまでは生活リズムを整え、日中の活動量を少しずつ増やして体力を回復させましょう。

焦って就職活動を始めるよりも、段階的に行動範囲を広げる方が結果的に長く働き続けられる可能性が高まります。

リワーク支援を利用する

リワーク支援(職場復帰支援)は、うつ病などの精神疾患からの回復を目指す人が社会復帰の準備を整えるためのリハビリプログラムです。

内容は、以下のように多岐にわたります。

  • 生活リズムの立て直し
  • ストレス対処法の訓練
  • 職場での人間関係の再構築

医療機関や地域の支援センター、就労支援事業所などで実施されており、復職後に再発を防ぐ効果が期待できます。

特に長期休職後の復帰を考える場合、いきなりフルタイム勤務に戻るのではなく、リワークを通じて段階的に社会生活へ慣れていく方法が有効です。

出典:高齢・障害・求職者雇用支援機構|リワーク支援(メンタルヘルス不調により休職している方の職場復帰)

特性や適性を把握のうえ働き方を模索する

再出発を目指す際には、自分の特性や得意分野を理解することが大切です。

うつ病の再発を防ぐには、過去の職場で負担となっていた要因を整理し、今後避けるべき条件を明確にしておく必要があります。

支援機関やカウンセラーと一緒に、自己分析や職業適性診断を行うと、向いている職種や働き方を客観的に判断できます

たとえば、在宅勤務や短時間勤務など、柔軟な働き方の選択により体調を維持しながら仕事を続けることが可能です。

就労移行支援事業所を利用する

就労移行支援事業所は、うつ病などの精神疾患を抱える人が一般企業への就職を目指すための訓練やサポートを受けられる福祉サービスです。

職業訓練や面接練習、就職後の定着支援まで一貫して受けられるため、安心して社会復帰を目指せます。

利用者のペースに合わせてカリキュラムが組まれており、生活リズムを整えながら少しずつ社会参加の準備を進めることが可能です

多くの事業所では、企業実習を通じて実際の業務に慣れる機会も提供しています。

出典:厚生労働省|就労移行支援事業

転職エージェントで障害者雇用を探す

再就職を検討する際はうつ病の経験を理解し、個々の状況に寄り添ってくれるエージェントの利用も推奨されます。

アゲルキャリアは20代を中心に第二新卒や既卒などの転職支援を専門とするサービスで、専任のキャリアアドバイザーが面談を通じて一人ひとりの希望や特性を丁寧にヒアリングするのが特徴です

完全無料で相談が可能なため、経済的な負担を感じることなく安心して利用できます。

医師の許可が出たタイミングで信頼できるエージェントと連携し、自分らしい再スタートを切りましょう。

まとめ

うつ病で仕事を辞める決断は逃げでも甘えでもなく、心身を守るための正しい選択です

まずは医師の診断を受け、治療と休養を優先しましょう。

退職後は、傷病手当金や失業保険などの制度を活用しながら生活を安定させましょう。

再就職の際には、リワーク支援や就労移行支援とあわせて「アゲルキャリア」に相談してみてください

自分に合った働き方や環境を、一緒に見つけていきましょう。

もっとも大切なのは、他人の価値観ではなく、自分の健康を基準に判断することです。

治療と再出発の両立を意識しながら、少しずつ前に進んでいきましょう。

戸嵜滉大監修者

キャリアアドバイザーとして、これまでに累計1,000人以上のキャリア支援を経験。
人事や採用代行、採用コンサル、法人対応など幅広く携わってきました。

その後はマーケティングの世界に転身し、メディア運営やコンテンツ制作に取り組んでいます。
個人の転職支援から企業の採用まで両方の現場を見てきた経験をもとに、読者にとって役立つリアルな情報をお届けしています。

転職でお困りの方はぜひご相談ください。

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