
第二新卒の転職で給与交渉は可能?交渉の手順と成功させるポイントを解説
はじめに
転職を考える理由は人それぞれですが、給与に関心を持つ人も少なくありません。
とくに第二新卒は経験が浅いため、給与交渉ができるのかどうか迷う場面もあります。
実際には、タイミングや伝え方を工夫すれば、第二新卒でも給与交渉は可能です。
この記事では、交渉できるタイミングや準備すべきこと、企業とのやり取りで注意したい点を解説します。
【第二新卒】転職で企業と給与交渉はできる?
第二新卒でも、転職時に企業へ給与の交渉は可能です。
ただし、キャリアや実績が少ない場合は、交渉の進め方に注意が必要です。
企業側は応募者が即戦力かどうかを見ているため、自分のスキルや実績を示し、納得感のある伝え方をすることが求められます。
また、給与交渉は「いつ」「どう伝えるか」が重要です。
タイミングが早すぎると印象が悪くなるおそれがあり、交渉の意図が誤解されることもあります。
企業側から条件提示がある最終面接や内定後など、適切な場面を見極める必要があります。
伝え方も重要です。
強気な態度ではなく、丁寧で誠実な話し方を心がけましょう。
給与について話すこと自体は問題ではありませんが、話し方ひとつで評価が分かれる可能性があります。
自分の実力を正しく伝えつつ、相手に配慮した姿勢を持つことが、納得のいく条件を引き出すためのポイントです。
【第二新卒】転職で企業と給与交渉するタイミング
給与交渉は「伝える内容」だけでなく、「伝えるタイミング」も重要です。
第二新卒の場合、交渉の時期を誤ると採用に影響を及ぼすことも。
企業との信頼関係がある程度築かれてから交渉に入るのが理想です。
ここからは、給与交渉のタイミングと避けるべき場面を解説します。
面接終盤~内定後がおすすめ
給与に関する交渉は、面接の終盤または内定通知の後に行うのが望ましいでしょう。
たとえば、最終面接など選考が進んだ段階で、企業側から給与条件に触れたタイミングは自然な流れで希望を伝えやすくなります。
企業が条件提示を始める場面では、応募者の評価もある程度固まっており、交渉が成立しやすい状態です。
また、内定後から内定承諾までの期間も、条件のすり合わせを行ううえでおすすめのタイミングといえます。
早すぎる交渉はリスクを伴いますが、終盤や内定後であれば、交渉の意図も伝わりやすく、冷静な判断を得られるでしょう。
内定前に給与交渉するリスク
内定前に給与交渉を持ちかけるのは慎重にすべきです。
理由の一つは、選考が進行中の段階で条件交渉を行うと、企業側に「条件面ばかりを重視している」「協調性に欠ける」といったネガティブな印象を与える可能性があるためです。
また、評価が定まっていない段階で給与を求める姿勢は、強引・自己中心的と受け取られかねません。
特に第二新卒の場合、経験や実績が十分でないと判断されることも多く、交渉によって選考そのものに悪影響を及ぼすことがあります。
給与の話は企業側が提示するタイミングを待つのが基本です。
内定前の交渉は、よほどの理由がない限り避け、信頼関係が築けた後に行うようにしましょう。
給与交渉してはいけないタイミング
給与交渉は、最初の面接(一次面接)で持ち出すのは避けましょう。
応募者の人物像がまだ見えていない段階で条件を求めると、自己中心的と受け取られる可能性があります。
複数回の面接がある場合でも、中盤の面接で交渉するのはおすすめできません。
役員面接の場も同様です。
役員は待遇面の決定に関与していないことが多く、交渉を持ち出す相手として適切ではありません。
交渉の場面は慎重に選ぶ必要があります。
評価が固まった後で話すほうが、話を聞いてもらいやすくなるでしょう。
【第二新卒】転職で企業と給与交渉をする前の準備
給与交渉では、事前の準備が必要です。
準備がないと、相手に納得してもらうのは難しくなります。
業界や職種の給与相場を調べることが出発点です。
次に、自分が提示できるスキルや実績を整理します。
給与以外に重視したい条件も考えておくと、選択肢が広がります。
ここからは、交渉に向けて確認すべき項目を紹介します。
業界・職種の給与相場を調べる
給与交渉を行うには、相場を把握することが前提です。
まず、希望する業界や職種の平均年収を調べます。
公的機関の調査や転職サイトを参考にしましょう。
たとえば、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」では、職種別の平均給与が確認できます。
ITエンジニア(情報通信業)30〜34歳の平均月収は約35.5万円です。
一方、医療・福祉では約27.5万円と開きがあります。
転職エージェントの調査では、同じ職種でも企業規模や勤務地によって金額に差があります。
大手企業は高くなる傾向がありますが、地方勤務や中小企業では水準が下がることも。
希望額を考える際は、相場の中央値や上限も確認しておくと現実的な範囲が見えてくるでしょう。
相場を知ることで、根拠ある金額提示が可能になります。
交渉材料を考える
給与交渉では、自分が企業にどのように貢献できるかを明確に伝える必要があります。
そのためには、これまでの実績やスキルを具体的に整理しておくことが大切です。
たとえば、「3年間で売上を150%に伸ばした」「Excelを使って業務効率化を実現した」といった成果を数字とともにまとめてみましょう。
即戦力であることを示すには、仕事に役立つ資格や専門知識も交渉材料になります。
TOEICのスコアや業務関連の資格、社内での表彰実績なども有効です。
実績が少ない場合でも、業務への意欲や新しいことに挑戦してきたことを伝えると、評価につながることもあります。
また、給与以外の条件にも注目しましょう。
「資格取得費用の補助制度」や「住宅手当」「リモートワークの可否」なども交渉の対象です。
企業によっては給与額を大きく変えられない場合でも、これらの制度で希望に近づけられるかもしれません。
交渉の前に、どこまで希望するのか、どの部分で譲歩できるのかを整理しておくと、話し合いがスムーズです。
主張すべき内容と柔軟に対応できる項目を分けて準備し、相手の立場にも配慮した交渉をしていきましょう。
【第二新卒】企業の給与設定で用いられる基準
企業は、応募者の給与を一律には決めているわけではありません。
総合的に見て、支給額を判断しています。
以下は、第二新卒を対象とした給与決定で、よく使われる基準です。
学歴と最終学位
大卒・大学院卒・専門卒など、最終学歴に応じて初任給の水準が異なる場合があります。
職務経験の有無と内容
社会人経験の年数よりも、どの業務にどの程度関わったかが重視されます。
アルバイトやインターン経験は参考程度に見られます。
スキル・資格
業務に直結する資格や、業界で評価されるスキルがあると給与が上がる要因になります。
IT系資格や英語力の証明は代表例です。
前職での給与
前職がある場合は、その給与額も参考にされます。
大幅に下げると離職リスクがあるため、企業はある程度の水準を維持しようとします。
配属予定の職種と地域
営業職や専門職は他の職種より給与が高い傾向にあります。
また、都市部勤務か地方勤務かでも差が出ることがあります。
社内の等級制度・給与テーブル
企業ごとに等級や評価基準があり、それに基づいて初任給や昇給幅が決まっています。
個別交渉よりも制度による上限が優先されることがあります。
上記はあくまでも基準であり、企業によって重視するポイントが異なります。
交渉を行う際は、自分がどの要素で評価されやすいかを把握して取り組んでみましょう。
【第二新卒】転職面接で希望給与を聞かれたら?
面接では、希望年収を聞かれることがあります。
曖昧な返答や根拠のない高額な希望は、評価を下げる原因に繋がるかもしれません。
逆に、低く言いすぎると、実力よりも低い条件で採用される可能性も。
ここからは、転職面接時の給与金額の伝え方と避けるべき言い回しを紹介します。
「前職と同程度」がおすすめ
希望給与を聞かれたときは、「前職と同程度」と答えると、条件交渉が進めやすくなります。
企業は、過去の給与水準をひとつの目安として確認しています。
大きく乖離した金額を提示すると、採用を見送られることがあります。
特に第二新卒は、経験や実績が少ないため、高すぎる金額を希望すると評価とのギャップが生まれやすくなります。
前職と同じ水準を提示することで、企業は計算しやすく、条件のすり合わせが現実的に進みます。
ただし、前職の給与が低すぎた場合は注意が必要です。
市場相場と比較して妥当な範囲であるかを事前に確認し、「相場と同等程度を希望します」と伝えるのもひとつの方法です。
希望額にこだわりすぎず、企業側の条件にも目を向けることで、合意に至りやすくなります。
具体的な金額を出す前に、過去の給与や相場を確認しておきましょう。
「御社の規定に従う」ことを伝える
面接で希望年収を聞かれたら、「御社の規定に従います」と伝えるのも一つの方法です。
特に、給与水準が低めの業界や職種では、高い金額を提示すると現実味がないと判断されることがあります。
「御社の規定に従う」と伝えておけば、相手に柔軟な印象を与えられるでしょう。
そのうえで、「前職と同程度を希望しています」や「業界の平均に近い金額を想定しています」と補足すれば、具体性も持たせられます。
希望額を押し付けずに伝えることで、スムーズなやり取りにつながるはずです。
あらかじめ自分の希望と相場を整理しておけば、面接の場でも慌てずに対応できます。
柔軟さと準備の両方が大切です。
面接での回答例文
希望年収を聞かれたときの回答は、事前に用意しておきましょう。
以下は、状況に応じた3つの例文です。
「給与については、御社の規定に従います。
ただ、参考までに申し上げますと、前職では年収320万円でしたので、同程度を想定しております。」
このように伝えると、企業の方針を尊重しつつ、自分の希望も明確にできます。
「業界や職種の相場を踏まえ、年収〇〇万円前後を希望しています。
ただ、御社の制度やポジションに応じて柔軟に対応したいと考えています。」
希望金額がある場合は、相場を根拠にして伝えると説得力が増します。
「今回の職種は未経験分野となるため、御社の規定に従いたいと思っております。
これまでの経験を活かし、早期に貢献できるよう努めます。」
経験が浅い場合は、姿勢を重視した回答が有効です。
面接での回答は、根拠を持って落ち着いて伝えることが大切です。
希望額だけでなく、その理由や相手への配慮も含めて、面接全体の評価につなげていきましょう。
【第二新卒】転職で給与交渉する際の注意点
給与交渉では、伝え方や態度によって評価が変わることがあります。
内容が正しくても、表現が強すぎたり、タイミングが適切でなかったりすると、相手に不快感を与える可能性も。
ここでは、交渉時に注意すべきポイントを解説します。
言葉遣い・話し方に注意する
給与交渉を行う時は、話し方や言葉の選び方に細心の注意が必要です。
特に評価が定まっていない段階で給与の話を持ち出すと、印象を悪くする可能性があります。
交渉する場面では、まず相手への敬意と感謝を伝えるのが基本です。
たとえば、「お時間をいただきありがとうございます」「内定をいただき、光栄に思います」といった言葉を冒頭に添えると、誠意が伝わります。
そのうえで、希望を伝える場合は、「御社の制度に従うことを前提としつつ…」など、柔らかく丁寧な表現を選びましょう。
また、「いくらもらえますか?」などの直接的な言い回しは避けるべきです。
「年収のご相談をさせていただければと思っております」といった言い方のほうが、相手に配慮が伝わります。
言葉遣いや姿勢ひとつで、印象が大きく変わることを意識しておきましょう。
希望する理由も伝える
給与の希望額を伝える時は、根拠が必要です。
金額だけを提示しても、理由がなければ企業側は判断に困ります。
まず、自分の希望額が業界や職種の相場と大きくずれていないかを確認しましょう。
次に、どのような経験やスキルがあるのかを整理し、具体的な内容とともに説明します。
たとえば、「前職で営業チームのリーダーを務め、目標達成率が常に120%以上でした」や「業務に直結する資格を取得し、すぐに即戦力として働けます」といった実績がおすすめです。
企業は、希望額が妥当かどうかを実力と照らし合わせて判断します。
明確な理由があれば、納得しやすくなります。
また、「この金額でなければ辞退する」という姿勢は避けましょう。
柔軟な対応を見せることで、前向きなやり取りにつながります。
歩み寄る姿勢を見せる
給与交渉では、「交渉は対立ではなく調整である」という意識が欠かせません。
希望額だけを一方的に伝えても、企業側が対応に困ることがあります。
大切なのは、「自分の希望額に対して、どう歩み寄れるか」を明確にすることです。
たとえば、「〇〇万円を希望していますが、御社の制度やポジションに応じて柔軟に検討いただければと思います」と伝えると、無理のない調整がしやすくなります。
また、「成果を出したあとで再評価いただける機会があればありがたいです」といった提案も効果的です。
交渉に応じる前提で、成長の意志をセットで伝えることができます。
すべてを希望どおりに通すのではなく、譲れる点と譲れない点を事前に整理し、交渉を進めていきましょう。
過去の給与について嘘をつかない
給与交渉で、過去の年収を実際より高く申告するのは避けるべきです。
良い条件を引き出したい気持ちは理解できますが、経歴や金額の不一致が発覚すると、信頼を失うかもしれません。
企業は、入社時に源泉徴収票や雇用契約書などの書類を提出させることがあります。
その時点で事実と異なれば、内定の取り消しや評価の見直しが行われることも。
たとえ申告内容がその場で確認されなくても、他の情報と照らし合わせて矛盾が生じれば、誠実さに疑問を持たれる可能性があります。
一度失った信用を取り戻すのは容易ではありません。
交渉では、事実に基づいて伝えることが基本です。
「前職の給与は〇〇万円でしたが、業務内容や成果に応じて評価いただければと思います」といった形で、実績と希望をセットで説明するほうが現実的です。
正直な姿勢が、結果的に信頼と条件の両立につながるでしょう。
【第二新卒】転職で給与交渉を成功させるポイント
給与交渉をうまく進めるには、単に希望を伝えるだけでは不十分です。
企業が納得できる根拠や姿勢が必要不可欠です。
とくに第二新卒は、実績が少ない分、準備や戦略の違いが結果に影響します。
ここからは、交渉の確度を高めるために取り組むべき行動を紹介します。
必要な資格やスキルを取得する
給与交渉では、「即戦力になれる人材かどうか」が判断の大きな基準になります。
そのため、業務に直結する資格やスキルを持っていることは、有利に働きます。
IT系であれば「基本情報技術者」や「簿記」「MOS」など、実務で活かせる資格を取得しておくと、強みとしてアピールできます。
未経験職種でも、「学ぶ姿勢を証明できるか」が評価の対象になります。
資格は、知識だけでなく「計画的に努力できる人物」であることの証明にもなります。
また、スキル面では、業務効率を高めるツールの操作経験や、チームでの業務実績などもアピール材料になるでしょう。
資格やスキルがあれば、「入社後すぐに役立つ人材」として、条件面の交渉もしやすくなります。
前職の経験を活かせる業界・職種を選ぶ
前職の経験を活かせる業界や職種を選ぶと、給与交渉で有利になります。
企業は、過去の実績をそのまま再現できる人材に対して、より高い評価を出しやすくなるためです。
営業職で成果を出していた人が、同じく営業職に応募すれば、即戦力としての期待値が高まります。
業界が異なっても、業務内容が共通していれば、経験は十分に活かせるでしょう。
逆に、未経験の職種では、教育や育成のコストがかかる分、初期の給与は抑えられる傾向があります。
転職後すぐに力を発揮できる分野を選ぶことが、希望額に近づく一番の近道です。
選考前から交渉の下地を作っておきましょう。
正当な評価を受けられる企業を探す
給与交渉をしても、評価制度が整っていない企業では希望が通らないことがあります。
とくに第二新卒は、新卒扱いとして一律の初任給が適用されるケースが多く、実力に見合った条件を得るのが難しくなります。
重要なのは、スキルや実績をきちんと見てくれる企業を選ぶことです。
評価基準が明確で、年収が実力と連動している企業なら、交渉の余地があります。
逆に「年功序列」や「新卒一括採用」に近い体制の企業では、個別交渉が通りにくくなるかもしれません。
求人票だけでなく、企業の採用サイトや口コミ、転職エージェントの情報を使って、評価制度を確認しておきましょう。
どのような実績で昇給した事例があるかを知ることで、自分の価値をどう伝えるかも明確になります。
【第二新卒】転職で給与交渉するなら転職エージェントに相談しよう!
第二新卒が希望に近い条件で転職したい場合は、転職エージェントも検討してみましょう。
経験が浅い状態で希望を伝えてしまうと、条件ばかりを重視していると受け取られる可能性があるからです。
転職エージェントは、求職者に代わって希望額を適切な表現で企業に伝えます。
企業も第三者を通じた交渉には慣れているため、対応がスムーズに進みやすいメリットがあります。
実際に、エージェント経由で希望額が通ったというケースは珍しくありません。
さらに、エージェントは業界の給与相場や企業の評価基準を把握しています。
そのため希望額が妥当かどうかを確認しながら、現実的な交渉ができるようサポート可能です。
この機会に転職エージェントの利用も検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
第二新卒でも、転職の場で給与の希望を伝えることはできます。
ただし、伝えるタイミングや言い方を間違えると、採用に影響するため、状況を見て落ち着いて伝えるようにしましょう。
もし交渉に自信がないなら、転職エージェントを頼るのがおすすめです。
希望額の整理から企業とのやりとりまで、しっかりサポートしています。
納得できる条件で転職するための、準備を進めていきましょう。
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