高卒の転職は厳しい？大卒との違いや転職を成功させるポイントについて詳しく解説

はじめに

「高卒だから転職は厳しいかもしれない」

「大卒じゃないからもう転職はできない」

このように考えて、転職に踏み切るのが難しい人も多いのではないでしょうか。

たしかに高卒は、大卒に比べても学業経験が少ないので、転職で不利に働くと言われることもあります。

また待遇面でも大卒と異なる部分があり、転職が難しいと感じていることが多いかもしれません。

しかしながら、高卒の転職が厳しいと言われる理由を知り、転職を成功させるポイントについて理解を深めれば、内定を貰うことは十分に可能です。

事前にしっかりと高卒の転職に関する情報と知識を集めていきましょう。

今回は、高卒の転職について詳しく解説していきます。

高卒の転職におすすめの業界・職種についてもいくつか紹介していくので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

【高卒の転職】高卒の転職はなぜ厳しいと言われるのか

高卒の転職が厳しいと言われる理由については、以下のようなことがあります。

離職率が高いから

高卒の転職が難しい理由の一つが、離職率が高いということです。

厚生労働省が発表した「令和3年度における新規学卒就職者の離職率」では、新規学卒就職者の3年以内の離職率は高卒で38.4%、大卒で34.9%でした。

高卒は大卒よりも若干離職率が高いことがわかります。

短大卒、中卒となればさらに割合は上がり、学校の卒業が早いほど離職率が高くなっている状況です。

「初めての就職でミスマッチがあった」「キャリアに対して不安を抱えている」といった背景から、離職をしてしまう高卒の人が多いと推測されます。

企業としては長く働いてもらいたいのが本音です。

そのため、できる限り離職率の低い大卒を優先して採用する動きがあります。

応募できる枠が限られているから

高卒の学歴で転職活動をすると、応募できる枠が限定的になります。

実際に求人情報を眺めていると「大卒以上」と記載されているものを、多く目にするのではないでしょうか。

総合職や専門職を中心に採用活動をする大手企業・有名企業などは、特にその傾向が顕著です。

昇進ルートも大卒か高卒かで区分けする企業があり、仮にそのような企業から内定を貰えたとしても、高卒は将来キャリアが打ち止めになってしまう可能性もゼロではありません。

そのため高卒の場合、やる気や熱意等のポテンシャル採用をしている求人、未経験歓迎の求人を積極的に探すといったアプローチが必要です。

やはり大卒と比べると、選択肢が狭まってしまうことがあります。

学業経験が少ないと思われるから

高卒は学業経験が少ないと思われてしまい、選考で不利になってしまうことがあります。

3年学業経験がある高卒と、7年以上学業経験のある大卒とでは、比べられてしまう部分があるかもしれません。

高校時代にどれだけ勉学に励んでいたとしても、履歴書の上では「高卒」の一言でまとめられてしまいます。

あなたのことを知らない採用担当者からすれば、たとえ社会人経験があったとしても、初めは専門性が薄い人という印象を持つでしょう。

そのため転職活動では、前職で培った実績を上手に伝える工夫が必要です。

大卒の人以上に、人となりが伝わるようなエピソードを用意しておかなければ、転職を乗り切るのは難しいでしょう。

【高卒の転職】高卒と大卒の違い

高卒と大卒の違いは、以下の通りです。

求められるスキルの違い

高卒と大卒では、求められるスキルにも若干の違いがあります。

高卒を採用する際、企業は即戦力として期待するので、基本的なPC操作を初め、意欲的に仕事に取り組む姿勢や柔軟性を求めているのです。

一方で大卒に対しては、学校生活で学んだ専門的知識を求める傾向があります。

管理職やリーダー職のポジションを見据えて、分析力や思考力を必要とする場合もあるでしょう。

しかしながら、高卒だから、大卒だからといって求められないスキルでも、あるに越したことはありません。

仕事をしながら、足りないスキルを磨いていく姿勢も大切です。

高卒・大卒ともに共通して必要なスキルは、コミュニケーション能力です。

上司への相談・報告はもちろん、クライアントとのやり取りでも、信頼関係を構築するための必須スキルだと言えるでしょう。

初任給の違い

高卒と大卒とで、大きく差が出るのは初任給です。

令和4年度の厚生労働省「新規学卒者の学歴別にみた賃金」を見ると、学卒者別の初任給は以下の通りでした。

高校	専門学校	高専・短大	大学	大学院
18万円	21万円	20万円	22万円	26万円

このように専門卒・短大卒は大卒とあまり差はありませんが、高卒とでは4万円ほどの違いがあります。

しかしながら転職であれば、高卒という学歴でも大卒以上の初任給が得られる可能性もあります。

実務経験があり、前職で大きな実績を出していた人の場合、即戦力が期待され待遇が良くなることもあるでしょう。

職種と役割の違い

高卒と大卒とでは、職種や役割が異なることもあります。

専門職でない限り、大卒は業界・職種を問わずさまざまな仕事を任されることがほとんどで、重要なポジションを担うことも多いです。

また大卒は管理職へのキャリアパスが用意されており、ゆくゆくは経営部分に関わる役割を務めることもあるでしょう。

一方で高卒は、製造や販売、建設などコミュニケーション能力と体力が重要になる仕事を任されることが多い傾向にあります。

しかし転職後に働き続けていれば、製造管理者や店長といった現場のリーダーへのキャリアアップを目指すことは可能です。

どちらが良いかは人によって異なるため、自分の能力を発揮できるフィールドを見つけることが重要だと言えるでしょう。

【高卒の転職】高卒の転職で有利な業界・職種

高卒の転職で有利な業界・職種は、主に以下の6つがあります。

IT業界

まず一つ目に高卒の転職で有利になりやすいのが、IT業界です。

急激なAIの発展とDXの加速化により、IT業界は人手不足が課題となっています。

さまざまなバックグラウンドを持つ人が集まっているので、高卒未経験でも応募できるチャンスが多い業界です。

IT業界は多種多様な職種がありますが、なかでも高卒におすすめなのがシステムエンジニアです。

システムエンジニアは、クライアントへヒアリングをし、必要なシステムの設計・開発をする仕事です。

プログラミングスクールを無料で開放する企業もあるので、そのような企業に転職すれば、未経験でも働きながらプログラミングを学べます。

また仕事で成果を出すことにより、学歴に関係なく評価をしてくれる業界です。

満足できる月給を得たい人は、IT業界に挑戦してみましょう。

製造業界

製造業は製品を製造し、消費者へ販売する業界です。

マニュアル通りに進めていく仕事が多いため、未経験者の高卒が転職しやすい業界の一つと言えます。

製品は身近な家電や家具、衣類など多種多様で、人々の生活を支えている実感が得られやすく、やりがいの大きな業界です。

工場勤務であれば、組み立て作業や検品作業、仕分け・梱包作業など、工程ごとにポジションがあります。

黙々とルーチンワークをこなしたい人には非常に向いている仕事だと言えるでしょう。

また製造業界は、高収入かつ福利厚生が充実している企業が多いため、働きやすさを重視する人にもおすすめです。

土木・建設業界

土木・建設業界も、実務経験やスキル、人柄を重視する業界です。

人々の生活に欠かせないインフラや建築物に関わる仕事であるため、常に需要が絶えず安定した収入が得られます。

そして高卒から大きなキャリアアップを目指せるのが土木・建設業界の強みです。

重機オペレーターや技術士といった資格を取得すれば、昇給のチャンスもあります。

一級施工管理士に認定されることで、年収1,000万円以上を得ることも夢ではありません。

特に現場は体力仕事が多いので、粘り強く頑張れる人であれば、誰でも平等に評価が受けられる業界だと言えるでしょう。

また研修や現場サポートが充実しているので、未経験者でも挑戦しやすい点が大きな魅力です。

介護・福祉業界

介護・福祉業界は、高齢化現象が加速するなかで、社会的な需要が非常に高い業界の一つです。

施設を利用する人への対応が主な仕事であるため、ある意味で接客的な面を持ち合わせており、学歴よりも人柄や熱意を重要視する傾向にあります。

地域ごとに需要があるので、都心部で働きたい人、地方で働きたい人も応募しやすい点がメリットです。

またIT業界と同様に人手不足が大きな課題となっていることから、高卒未経験者でも挑戦できる環境が整っています。

介護福祉士やケアマネージャーの資格を取得すれば、キャリアアップをして年収を上げることも可能です。

介護・福祉業界は、誰かのために働くことが好きな人におすすめの業界だと言えるでしょう。

販売業界

販売業界は、直接お客様と関わりながら商品・サービスを提供するのが仕事です。

学歴を問わず人柄採用が多いため、元気で明るく接客できる人なら、誰でも歓迎されます。

接客時の言葉遣い、売上管理といった販売に必要なスキルは現場で働きながら身につけていくことができるので、未経験でも安心して仕事ができます。

レジは基本的に立ち仕事であり、売り場変更や商品陳列などもあるので、体力に自信のある人ならやりがいを感じながら働けるでしょう。

さらに高卒でも、店舗の売上をしっかりと出せれば高い評価が得られ、店長やエリアマネージャー、本社勤務といったキャリアアップが目指せます。

またシフト制が多いことから、平日に休みを取りたい人にもおすすめできる業界です。

そして社員であれば転勤もあるので、さまざまな人と出会いながら仕事を進めていきたい人はやりがいを持って働けるでしょう。

公務員

民間企業へ転職することにこだわりがなければ、公務員を目指してみても良いでしょう。

公務員試験は平等に採用が実施されるため、高卒・大卒に関係なく、誰でもチャレンジできます。

自治体によって応募できる年齢が決まっていますが、多くの場合、20代ならほとんどの求人に応募が可能です。

いつの時代も景気に左右されないのが魅力で、安定した収入を得ながら生活を送りたい人にはおすすめの職業だと言えるでしょう。

また給与の支払い、昇給やボーナスも制度によってしっかり定められているので、サービス残業や休日出勤を強いられることもありません。

しかし一般常識・論文問題は、いずれの場合も大卒以上の知識が求められるので、ある程度の勉強は必要です。

【高卒の転職】高卒で転職する際の注意点

高卒で転職する際の注意点は、以下の通りです。

応募資格を確認する

高卒の場合、求人へ応募する前に必ず応募資格を確認しましょう。

どれだけ自分の興味・関心のある企業であっても、応募資格では「大卒以上」と記載されてしまっていることもあるからです。

毎年多くの応募が殺到する大企業・有名企業では、学歴を絞って採用活動を進める傾向があります。

一般的に以下のような記載があれば、高卒でも応募することが可能です。

高卒を対象に含めている企業であれば、やる気や熱意といったポテンシャルで採用してもらえる可能性が高いと言えます。

求人を探すときは応募資格の欄を確認して、応募できるのかどうかをまずチェックしておきましょう。

条件にこだわり過ぎない

高卒からの転職をするときは、あまり条件にこだわり過ぎないようにしましょう。

給与や福利厚生、残業の有無といった条件は、転職の決め手となる部分であり、欠かせない要素です。

しかし全ての理想を叶える企業と出会うことは大卒以上でも難しく、こだわり過ぎてしまうと転職活動の幅を狭めてしまいます。

そのため転職活動においては、自分の中で譲れない条件を決めておくことです。

譲れない条件を転職活動の軸とすれば、妥協できる条件も受け入れられるようになり、ミスマッチのない転職が目指せます。

転職先に求める条件については、あらかじめしっかりと優先順位をつけておきましょう。

できる限り在職中に転職活動をする

転職活動は、できる限り在職中に進めましょう。

退職してから転職活動をすると、次の転職先が決まるまでの時期が空白期間となってしまうことも多いからです。

そしてあまりにも長い時間、空白期間ができてしまうと、転職に対するモチベーションも大きく低下してしまいます。

そして空白期間中は、貯金に余裕がなくなっていくかもしれません。

在職中の転職活動なら、収入を得ることで経済的な余裕が生まれ、焦ることなく自分のペースで進めていけます。

ビジネスマナーを確認する

自分のビジネスマナーがきちんとできているかどうか、今一度確認してみましょう。

高卒のように若くして社会に出た人は、目上の人に対する言葉遣いについて自分なりのルールが出来上がっている可能性があります。

できていると思っていたビジネスマナーが間違っていると、面接の評価を落としてしまうかもしれません。

選考においては、次のような部分でビジネスマナーが見られています。

選考において見られるビジネスマナー

• 時間厳守ができているか
• 挨拶が元気よくできているか
• 丁寧な言葉遣いで話ができているか
• 清潔感のある身だしなみができているか
• きちんと相手の目を見ながら会話ができているかなど

面接対策だけでなく、新しい職場環境に慣れる意味でも、ビジネスマナーは事前にしっかりと身につけていきましょう。

【高卒の転職】高卒の転職を成功させるポイント

高卒の転職を成功させるポイントは、以下の通りです。

大卒資格を取得する

高卒をネックに感じている人は、大卒資格を取得してみましょう。

大卒資格とは、大学を卒業して得られる学士号に関する資格のことです。

高卒や専門卒、短大卒でも資格を取得することで、大学を卒業した人と同じ状態になります。

大卒資格は、通信教育を行う大学に通って単位を取得するか、夜間大学に通わなければなりません。

もしくは専門学校を卒業することでも取得が可能です。

大学資格があれば肩書を「大卒」とすることができ、転職の選択肢を広げられることもあります。

自己分析をする

高卒から転職を成功させるには、自己分析をきちんとやっておきましょう。

自己分析は過去の経験を深掘りして、自分の強みや魅力を見つけ出す作業のことです。

就活や転職活動では欠かせない準備の一つと言えます。

なぜ転職したいのかを客観的に分析できるようになるので、自分の理想のキャリアプランを考えるきっかけともなります。

さらに履歴書・職務経歴書のアピールポイントの欄で書ける項目にも深みが出て、採用担当者の目に止まるような応募書類が作成できるようになるでしょう。

自己分析は、自分を中心に関連するテーマを紐付ける「マインドマップ」や、モチベーションの上がり下がりを調べる「モチベーショングラフ」などさまざまな方法があります。

自分に最適な方法で自己分析をして、アピールポイントを探してみましょう。

企業研究をする

自己分析と一緒に進めておきたいのが、企業研究です。

企業研究を重ねることで、業界・職種について理解が深まります。

面接においても、採用担当者と話せる内容が充実するでしょう。

また具体的な業務内容を知ることで、実際に働いているときのイメージが想像できるようになるので、転職後のミスマッチを未然に防ぐことも可能です。

企業研究は、採用ページからある程度の情報が収集できます。

さらに詳しい情報については、説明会やインターンシップに参加すれば、得ることが可能です。

業界の動向を知り、競合他社にはない強みを理解するように研究をしましょう。

そうすることで「なぜこの業界なのですか」「なぜ自社なのですか」という面接で必ず聞かれる質問についてもスムーズに回答できます。

同業種の転職を狙う

高卒で転職活動が上手くいかないときは、同業種の転職を狙ってみても良いでしょう。

前職と応募先の企業が同じ業種であれば、即戦力として経験や実績をアピールしやすいからです。

業務の流れも同じで共通点が多く、面接でスムーズに話ができ、良い印象を与えることができるでしょう。

実際に転職したあとも、応用できるような業務があり、すぐに仕事に慣れていけるはずです。

転職が難航しているときは、同業種の企業を探してみましょう。

資格を取得する

資格を取得することで、他のライバルと差をつけられるでしょう。

例えば介護業界であれば介護職員初任者研修、IT業界なら基本情報技術者など今回ご紹介した、業界・職種の中でも有利な資格があります。

その他、どのような業界・職種でも有利に働く資格は次の通りです。

どのような業界・職種でも有利に働く資格

• TOEIC®（英語能力評価試験）
• 日商簿記検定
• ファイナンシャルプランナー
• 秘書検定など

自分の転職に必要な資格を考え、取得を目指してみるのも良いでしょう。

面接対策をする

選考をしっかりと通過するためには、面接対策も大切です。

以下3つのポイントを意識して面接の練習をしてみましょう。

転職理由はポジティブに話す

転職理由はできる限りポジティブに話すようにしましょう。

人間関係や残業が辛かったなど、たとえ前職の退職理由が後ろめたいことであっても、ストレートに伝えてしまうと悪い印象を与えてしまう可能性があります。

「チームで協力しながら働きたい」「ライフワークバランスを守っていきいきと仕事をしたい」など、前向きさが伝わるような言葉に置き換えましょう。

数字や実績をアピールする

面接では、ただ前職のエピソードをアピールするのではなく、数字や実績を用いて話をしましょう。

数字や実績を添えることで、説得力のあるエピソードトークができるようになり、面接で評価を得られる可能性が高まります。

「営業売上昨対比の120%を達成した」「プロジェクトリーダーを任され50名のチームをまとめた」など、できる限り具体的に伝えることがポイントです。

即戦力になることを伝える

攻めの姿勢で、即戦力になることを伝えましょう。

転職組を採用する際、企業は早い段階で業務に慣れてもらい、自社に貢献してもらいたいと考えているからです。

そのためには自己分析や企業研究が欠かせません。

なぜ自分が企業に即戦力として企業に貢献できるのかについて道筋を立てて、採用担当者が働いている姿をイメージしやすいように話を進めましょう。

転職支援サービスを利用する

転職活動を不安に感じている人は、転職支援サービスを利用してみるのがおすすめです。

特に転職エージェントは、履歴書・職務経歴書といった応募書類の添削から面接対策まで、転職活動の中で必要となる一連のサポートが受けられます。

さらに求人の紹介までしてくれるので、転職活動の効率が上がり、強い味方となってくれるでしょう。

サービスごとに得意とする業界・職種が異なるため、自分に合った転職エージェントを探し、まずは無料相談をしてみるのがおすすめです。

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

成果主義を掲げるベンチャー・スタートアップ企業が増える状況の中で、昔に比べると高卒が転職できる可能性は高くなっています。

転職後に実績を出せれば企業から高い評価が得られ、満足できるような収入も得られるでしょう。

しかしながら、大手・有名企業などでは採用枠を大卒以上に限定するなど、高卒が不利になるような状況があることも事実です。

転職が難航しているときは、大卒資格の取得を目指したり自己分析や企業研究をしたり、転職活動の準備を怠らないようにしましょう。

また死亡する業界・職種にまつわる資格を取得することでも、転職を有利に進められることがあります。

一人で転職活動をするのが難しい人は、転職エージェントの力を借りてみても良いでしょう。

これから転職活動を考えている方の一助になれば幸いです。