退職したくても引き止められた場合はどうする?円満退職のために上手な退職理由を伝えよう
退職の意思を上司に伝えた時に引き止められた場合、無理に踏みとどまる必要はありません。
退職は決してマイナスなものではなく、あなたの今後のキャリアを左右する大切なステップです。
万が一無理に引き止められてしまった場合は、今回の記事でご紹介する対処法を踏まえて円満退職に備えましょう。
【退職引き止めの対処法】会社から引き止められる要因
会社から引き止められる要因としてあげられるのは、会社側の勝手な都合の場合もあれば、あなたを手放したくないという大変ありがたい理由などがあります。
ここからご紹介するのは、会社が社員の退職を引き止めるときによくある4つの要因です。
退職を引き止められた人は、引き止められている背景を理解した上で交渉をした方が、円満退職がしやすくなります。
まずは会社側の理由を紐解いて、交渉方法を考えましょう。
会社が人材不足だから
日本の企業のほとんどが人材不足ということもあり、一人の社員が退職することで大きなダメージを被る会社も少なくありません。
どんな職業でも、一人当たりが上げている利益は大きいものです。
とくにわかりやすいのが、営業職や技術職など、一人当たりの売り上げが分かりやすい職業。
一人当たり月間で100万円の利益を生み出しているとしたら、毎月100万円のマイナスを出すことに等しいのです。
辞められてしまうことで利益が減ってしまったり、他の社員に負担をかけてしまうことを考えると、一人でも辞められてしまうことはどうしても避けたいというのが、会社の本音です。
上司の力量不足と見られることを避けたいから
社員の退職が続出する組織は、その組織のトップのマネジメント不足によるものととらえられることもあります。
とくにあなたの直属の上司が中間管理職だった場合、一人でも退職者を出してしまうことで会社の上層部から「力不足」というレッテルが貼られてしまうことにもなりかねません。
デキる上司がいる組織は社員の定着率が良いとも言われているので、プライドが高い上司の場合は自分の評価のために退職を引き止めることもあるでしょう。
いずれにしても上司の勝手なわがままと言えます。
引き止められたからといって我慢して居続けても、その上司が果たしてあなたに良い影響を与えてくれるかというと疑問です。
情に訴えられても、決してぶれることなく自分の軸を持って退職を伝え続けましょう。
組織全体のモチベーションが低下するから
退職は会社にとってマイナスなものです。
それは所属する部署の同僚たちから見ても同様で、「◯◯さんが退職する」という噂が流れてしまえば、組織全体のモチベーションを下げることにもつながります。
また、会社や働き方に何かしらの不満を持っている人は、誰かが退職をすると「自分も辞めたい」という気持ちが大きくなってしまうもの。
一人退職するだけで、他の誰かも退職を考えてしまうという負の連鎖が続くことにもなりかねません。
そうした自体は会社としても避けたいので、できるだけ退職者を出さないように引き止めることもあるのです。
優秀なあなたを手放したくないから
非常にありがたい理由ですが、あなたのスキルや人柄を高く評価しており、どうしても辞めて欲しくないという理由で引き止めるケースもあります。
とくに社歴の長い人や、組織でトップクラスの成績を上げていた人が退職することは、尚更会社にとって惜しいもの。
優秀な人材はなかなか採用できるものではありませんので、今活躍している優秀人材には長く働いてもらいたいというのが会社の本音です。
【退職引き止めの対処法】引き止めの予防策
実際に退職の引き止めに合っていない場合は、引き止められないように予防策を張っておくことも大切です。
伝え方や転職活動の動き方によっては、引き止められたときでも具体的な理由で退職を交渉することもできます。
ここからお伝えする3つの予防策を把握しておき、万が一の時に備えておきましょう。
まずは就業規則を確認
就業規則は会社によって異なりますが、退職に関する規則としては一般的に「退職希望日の30日前までに申告すること」などと一定の期日が決められています。
厳密にいうと、民法では退職日の14日前に申告をすればOKとされていますが、会社で設けられたルールを無視してしまうことで無理な引き止めや先延ばしされてしまうことも想定されます。
たとえ法律的に問題ない14日前申告だったとしても、退職する2週間前にいきなり申告してしまうと引継ぎ業務や人事部の処理が間に合わないこともあります。
そうした理由で引き止めにあうことは少なくありません。
就業規則を確認しておき、ルールにのっとった上で申告をすれば、よほどのことがない限りは強引な引き止めにあうことはないでしょう。
納得のいく退職理由を伝える
退職の旨を報告する際、一番初めに伝えるべきは直属の上司です。
引き止めにあうとしたらこの段階が可能性が高いので、まず上司を説得できるような退職理由を考えてから伝えましょう。
上司が納得がいく退職理由としておすすめなのは、以下のような退職理由です。
- キャリアアップのために視野を広げたい
- かねてから夢だったことにキャリアチェンジしたい
- どうしても行きたい業界がある
これらの退職理由は、会社に対する不満や愚痴ではなく、あなた自身の人生をポジティブな方向に向かわせてくれるものです。
よほど頑固な上司ではない限り、あなたの夢を応援してくれることでしょう。
転職先を既に見つけておく
無理な引き止めに合わないために、既に転職先を決めておくというのも手です。
転職先が決まっていれば、入社日も決まっているはず。
上司も無理強いはできません。
伝える際は「実は転職活動を進めていて、◯月◯日から勤務開始を推奨されている」と伝えれば、上司も無理に引き止めるわけにもいかず、承諾してくれるでしょう。
なお、転職活動には平均で3ヶ月程度かかると言われています。
思い立ったらすぐに転職サイトや転職エージェントに登録をしておき、水面下で徐々に転職活動を始めておくことをおすすめします。
【退職引き止めの対処法】引き止めにあった時の交わし方
退職を申し出たときに万が一引き止めにあった場合、上司を納得させる言い方で引き止めを交わす必要があります。
ここからご紹介するのは、引き止められ方のパターン別に対処する方法です。
もし自分が引き止めに合いそうな気配が少しでもある場合、想定されるパターンに合わせて交し方を知っておきましょう。
理不尽かつ強引な引き止めの場合
退職を申し出た途端に「今は無理だ」「多忙な時期に何を勝手なことを言っているんだ」などと理不尽な圧力で引き止められた場合、次の3つの方法で対処しましょう。
- 1on1の環境で強い意志を伝える
- メールで伝える
- 自分では対処できない場合は退職代行に依頼する
これらそれぞれの進め方を詳しく解説します。
できれば1on1の環境で強い意思を伝えよう
退職を申し出るときは、可能な限り1on1で上司と二人きりになれる環境をセッティングしましょう。
他者がいない環境であれば落ち着いて会話ができますし、上司もあなたの会話を耳にしやすくなります。
1on1の環境が設定できたら、あらかじめ伝えたい内容を考えておくことをおすすめします。
まずは育ててもらったことに対する感謝の気持ちを述べ、上司が納得できるような理由を伝えます。
なぜ今の環境ではなく転職する必要があるのかを具体的に伝えられれば、熱意を感じて上司も納得するはずです。
なお、退職の意志を伝える段階では同僚など他者の耳に入ることを徹底して避けてください。
もし誰かの耳に入って噂話が広まってしまうと同僚たちも不安になり、チームワークが乱れてしまう可能性もあります。
メールで伝えるのもアリ
一度退職の意思を伝えたにもかかわらず、頑なに拒まれてしまった場合は文章で伝えるのも手です。
強い圧力で引き止められた場合、対面だとなかなか自分の本音を伝えにくいものです。
しかし文章なら一つ一つの言葉を考えながら気持ちを伝えられるので、メールやビジネスチャットなど個別に発信できるツールで伝える方法もおすすめです。
ただし、最初からメールで伝えるのは失礼な行為なので、あくまで上司が話を聞いてくれないときの最終手段として考えてください。
退職代行もおすすめ
昨今では退職代行サービスを提供している民間業者や弁護士法人も増えてきました。
あまりにも強引な圧力で引き止めにあった場合、法律に反している可能性もあります。
間に専門家を挟むことで上司も納得せざるを得ませんので、なんとしてでも希望日に退職する手段としては非常に効率的です。
なお、退職代行サービスは1回あたり2〜5万円の利用料が相場です。
金銭的に余裕があれば、検討してみてください。
熱意や情に訴えてきた場合
「やめないでほしい」という熱意を持ってあなたの情に訴えてきた場合、感情を揺さぶられて退職をとどまってしまいたくなるでしょう。
しかし、退職は今後のあなたのキャリアを考える上で有効なプロセスでもあります。
情に流されて退職をとどまるのではなく、論理的に伝えられるようにしましょう。
おすすめの方法は以下2つです。
- 感謝の気持ちを伝えてから納得できる理由を述べる
- 強い意志とキャリアプラン を述べる
これら2つの伝え方について、詳細を解説します。
感謝の気持ちを伝えた上で理由を述べる
退職は決して良いイメージではありませんから、ストレートに「辞めたいです」と伝えると上司の心象も悪くなります。
まずは今まで成長させてもらったことに対して感謝を述べた上で、それでも退職したいという意思を理由とともに述べます。
引き止めに合わないための有効的な退職理由としては、先述したとおり「キャリアアップのため」「やりたいことがある」といったポジティブな未来を想像させるようなニュアンスで伝えることをおすすめします。
自分の意思とキャリアプランを伝える
上司からの熱意や情により引き止められた場合、あなたも同じく熱意や情に訴えて伝えましょう。
転職して成し遂げたいことを、具体的なキャリアプランとともに伝えると熱意が感じられます。
キャリアプランとは、あなたが生涯働く上での設計図のようなものです。
なりたい姿ややりたい仕事を明確にした上で、その理想に近づくために転職やキャリアアップなどの計画を立てることを指します。
キャリアプランの立て方については以下の記事でも紹介しているので、具体的なプランが見つからない方は参考にしてみてください。
【例文あり】面接でキャリアプランを質問されたときの答え方やこつを徹底解説
退職時期を先延ばしされそうな場合
人手不足や繁忙期などの都合上、退職時期を先延ばししてくれないか打診されるケースもあります。
会社によっては決算後だったり繁忙期過ぎだったりと様々ですが、あまりにも先延ばしされてしまうとあなたの貴重なキャリアアップの機会を失うことにもつながります。
希望する退職日に退職をしたい人は、明確な理由をもって交渉をしましょう。
具体的な方法としては次の2つです。
- 転職先の内定通知書を提示する
- 希望する退職日でなければならない理由を明確にする
内定通知書を提示する
既に転職先が決まっている人は、内定通知書をもらっているはずです。
内定通知書には予定している入社日が記載されているので、先延ばしされそうな場合は通知書を提示してしまうのも良い方法です。
ただし、退職の旨を報告する際にいきなり提示してしまうと驚かれてしまうので、あくまで先延ばしされそうな場合にのみ使ってください。
希望する退職日である理由を明確にする
まだ転職先が決まっていない人は、希望する退職日でなければならない理由を明確にする必要があります。
自分の転職活動計画を伝えたり、今抱えている仕事が落ち着くタイミングであったり、明確にできる理由はたくさんあります。
意味もなく「ただ辞めたい」だけだと納得してもらえませんので、退職報告の前に理由を考えておきましょう。
【退職引き止めの対処法】無理な引き止めは違法
従業員が退職の相談をしたときに無理な引き止めをすることは、憲法22条第1項の「職業選択の自由」に違反することになります。
職業選択の自由とは、国民が自由に職業を選択できる権利であり、逆を言うと退職も自由です。
退職をする14日前までに申し出をすることが定められているので、それ以上前の申告で辞めさせないということは立派な憲法違反。
少しでもおかしいと感じたら、労働基準局や弁護士に相談すると良いでしょう。
また、最近では退職代行サービス業者がこの権利を駆使して退職を手伝ってくれるので、退職代行業者に依頼するのもおすすめです。
【退職引き止めの対処法】円満退職のコツ
無理な退職引き止めにあってしまうと、仮に退職できたとしても円満退職になる可能性は低くなります。
辞める会社といっても、気分良く送り出してもらいたいはず。
ここからは、円満に退職するために気をつけたいことをご紹介します。
退職時期を考慮する
引き止めにあう理由の一つとして、繁忙期など時期的な要因があげられます。
仕事の書き入れ時に急に退職されてしまうと会社も困ってしまうので、できるだけ考慮して退職時期を決めましょう。
円滑に退職できる時期としては、繁忙期の次の月か年度末、決算期過ぎなどです。
円満に退職したいなら、あなたが辞めたことで会社が迷惑にならない時期を選びましょう。
退職理由はポジティブな内容にする
退職の申し出をする際に、「仕事が辛い」「環境が合わない」などのネガティブな理由を述べると引き止めにあう可能性は高いです。
なぜなら、会社への不満がある人に対しては、会社側も働き方を考えてくれたり部署異動を推奨することが多いからです。
会社側もあなたのためと思ってプラスの提案をしてくれますが、退職したい側としてはあまり刺さらないでしょう。
退職の申し出をしたときに一つ返事で「それなら応援するよ」と言ってもらうためには、ポジティブな退職理由でなければなりません。
やりたいことやキャリアアップなど、あなたの夢を叶えるための退職であることを伝えましょう。
会社への感謝の気持ちを伝える
急に「会社、辞めます」と伝えると非常に冷たく感じてしまいます。
まずはお世話になったことに対する感謝の気持ちを伝えた上で退職を申し出ましょう。
どんな時も感謝の気持ちを忘れてはいけません。
「どうせ辞めるから」と感謝もなしに退職日までの残り期間を過ごすと組織のメンバーも良い気持ちはしませんし、あなた自身も気分良く送り出してもらえないでしょう。
嫌な気持ちのまま転職先の会社に入っても後味が悪く、清々しい気持ちで新しい環境をスタートできません。
最後まで感謝の気持ちを持って業務を終わらせましょう。
引継ぎ業務は早めに徹底する
従業員の退職にともなって会社が苦労する部分が引継ぎ業務です。
後任者を決定したり、後任者はあなたの担当していた業務を引き継ぐので、作業量も時間も大きくなります。
そのため、退職日ギリギリではなく退職が決まった数ヶ月前から少しずつ計画的に進めるようにしましょう。
よくある失敗談としてあげられるのが、退職した元社員の業務が残ってしまい、後任者が気づかずに対象のタスクが漏れてしまうということ。
クライアントや社内のメンバーに大きな迷惑をかけてしまうので、計画的に行わなければいけません。
挨拶回りも漏れなく行う
退職が決まって社内に公表されたら、社内外への挨拶回りを行いましょう。
在籍している部署のメンバーだけでなく、お世話になった他部署の社員やクライアント、協力会社など関わった人にも挨拶回りをすることがマナーでもあります。
社内の他部署の社員への挨拶は休憩時間などを使って軽く回る形でも良いですが、クライアントや協力会社など社外の人への挨拶は事前にアポイントをとった上で訪問すると良いでしょう。
返却物は期日までに返す
当然ながら、退職をしたら会社から貸与されていたスマートフォンやPC、名刺などの備品を返却する必要があります。
これらの備品は退職日までに返却をしておきましょう。
退職後に返却漏れがあると、わざわざ郵送しなければならなかったりと手間なので、貸与されている備品が多い人は少しずつ返却していくと良いでしょう。
また、返却物は備品だけではなく、保険証なども含まれます。
健康保険証や雇用保険被保険者証などは退職後2週間以内を目安に返却する必要があるので、忘れずに対応してください。
万が一返却漏れがあると、転職先での社会保険の移行手続きが滞ってしまったり、失業保険が受けられないことがあります。
【退職引き止めの対処法】退職後するに転職する方法
退職をした後は、ほとんどの人がすぐに転職をしたいと考えることでしょう。
一定の休職期間を設けて当面の間は失業保険を受けながら生活したい人もいると思いますが、いずれにしてもすぐに転職活動に動ける体制を整えておいた方が安心です。
ここからご紹介するのは、転職活動を円滑に効率よく進める方法です。
とくに「退職してすぐにでも転職したい」という人は参考にしてください。
転職活動期間は3ヶ月以上がベスト
一般的に、転職活動期間は平均3ヶ月と言われています。
そのため、退職直後に転職をしたいなら予定している3ヶ月以上前には活動開始をしておくことが推奨されます。
転職活動でまずやるべきことは求人検索や転職サイトの会員登録、転職エージェントへの登録です。
このときにあらかじめレジュメを登録しておく必要がありますが、レジュメ登録が意外にも時間が取られます。
作業時間も考えると余裕を持って行動しておくのが吉です。
レジュメ登録をしたら、次は求人している会社への応募です。
複数の企業に応募をしておき、アクションがあった企業へ履歴書や職務経歴書を提出します。
これらの書類は複製して全く同じ内容を使い回すのはあまり好ましくないため、ある程度の時間を設けて1社ずつ丁寧にまとめる必要があります。
また、書類選考に通過したら面接に行き着くことができますが、面接の回数は企業によって異なります。
大手企業などの場合は三次面接まであることも少なくないため、採用に至るまでに長い道のりを辿ることになります。
これらのことを加味すると、転職活動期間として設けておくべき期間は3ヶ月以上がベストというわけです。
転職エージェントにサポートを依頼すると良い
転職活動をよりスムーズに進めるためにおすすめしたいのが、転職エージェントに転職サポートを依頼することです。
転職エージェントに登録をすると、まず担当のキャリアアドバイザーとの個別面談が入ります。
ここではあなたの希望する職業や業界、給与のベース、理想とするキャリアプランなどを細かく打ち合わせます。
そうしてまとめた情報をもとに、キャリアアドバイザーはあなたの希望やスキルに見合った求人を紹介してくれるので、客観的に自分に合った企業を見つけることができます。
また、転職エージェントに依頼をすれば、履歴書・職務経歴書の添削や面接日程の調整などあらゆるサポートが受けられます。
在職期間中で忙しい人でも効率的に転職活動を進めることができるのです。
まとめ
今回の記事では、退職時に引き止めにあった場合の対処法について網羅的にご紹介しました。
退職を申し出たときに「やめないでほしい」と引き止められることは、どんな状況であってもあなたを手放すのが惜しいということ。
非常にありがたいことですが、今後のキャリアを考えて決断したのなら、円滑に退職を進めるべきです。
今回ご紹介した内容を参考に、円滑に退職を進められるよう計画的に交渉しましょう。
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