退職する人はボーナスが支給されない?損しないための退職のステップ

退職する人はボーナスが支給されない?損しないための退職のステップ

目次
  1. はじめに
  2. ボーナス(賞与)とは
  3. 退職者はボーナスが支給されない?
  4. 確実にボーナスをもらってから退職するコツ
  5. ボーナスをもらって退職をするスケジュール例
  6. 退職とボーナス支給に関するトラブルに注意
  7. こんなケースの退職はボーナスが支給されない
  8. ボーナス支給後に退職したらやること
  9. 転職活動はエージェントの活用がおすすめ
  10. まとめ

はじめに

これから退職をする人の中には「退職者はボーナスが支給されないのでは…」と不安になっている方も多いことでしょう。

結論からお伝えすると、ボーナスが支給されるかどうかは退職の方法や退職日によって異なります。

タイミングを誤ると、ボーナスが受け取れずに損をしてしまうので、確実に受け取れるようにスケジュール調整から徹底することが大切です。

今回の記事では、ボーナスを満額受け取ってから退職をするために必要なステップについてご紹介します。

退職日までのスケジュールの決め方や、ボーナスが支給されない条件などもご紹介するので、トラブル回避のためにも参考にしてください。

ボーナス(賞与)とは

そもそもボーナスとは「賞与」とも呼ばれている、給与以外の特別手当のことを指します。

会社で決められた日にちや決算期に合わせてほぼ毎年支給されるもので、一般的な金額は基本月給の1〜2ヶ月分が相場です。

また、ボーナスの規定は会社によって様々です。

支給されるタイミングや、賞与のタイプなどが異なるため、退職者が支給されるかどうかは会社の就業規定によります。

まずは自分の会社のボーナスの仕組みがどうなっているのかを確認した上で、退職日を調整してスケジュールを決めることから始めましょう。

支給日

ボーナスの支給サイクルは会社により異なりますが、一般的には年1回か2回が相場です。

公務員や古くからある民間企業の場合は夏季(6月〜7月)と冬季(12月)が平均的ですが、決算時期に合わせて年1回に支給している企業もあります。

また、おおよその支給日が決まっていても、その年の業績によってはボーナスがカットされることもあります。

確実にもらえるというわけではありませんので、期待しすぎないということを前提に考えた方が安心でしょう。

様々なタイプのボーナス

ボーナスには主に3つのタイプが存在します。

様々なタイプのボーナス
  • 決算賞与
  • 業績連動型賞与
  • 基本給連動型賞与

自分の会社がどれに当てはまるかは就業規則や入社時の雇用契約書などに記載されているので、まずは確認してみましょう。

なお、基本的に「基本給連動型賞与」であれば毎年安定して決まった金額のボーナスが支給されるのが一般的です。

決算賞与や業績連動型賞与の場合は会社の業績に応じて支給されるため、減額されたり支給されなかったりと変動が激しいことが特徴です。

決算賞与

決算賞与は会社の決算期前後に支給されるタイプのボーナスです。

決算期は基本的に年に一度ですから、このタイプのボーナスの支給サイクルは年1回ということになります。

会社の決算でその年度の予算に対してどの程度利益が出たのかを計算し、大幅に利益が出た分を社員にボーナスとして還元します。

そのため、年1回といえども夏季・冬季の年2回支給されるタイプの賞与よりも金額が大きいことが特徴です。

なお、決算期は3月もしくは9月が一般的です。

会社の決算にあまり馴染みのない方は、自社のIR情報などを見て確認すると良いでしょう。

業績連動型賞与

業績連動型賞与とは、文字通り業績に連動して支給されるタイプのボーナスです。

業績が良ければ支給されますし、マイナスなら支給はされません。

このタイプのボーナスの支給サイクルは会社によって異なります。

年2回のところもあれば、年1回のところもあったりと様々。

確実に受け取れるかの保証が他のタイプの賞与に比べてさほどないため、まず確認すべき点は前年度までのボーナスの実績と会社の業績です。

業績については一般社員だとあまりわからない部分もありますが、信頼できる上長に質問してみたり、公開されているIR情報などを参考にするのが良いでしょう。

基本給連動型賞与

基本給連動型は、毎年決まったタイミングに基本給に応じて支給されるボーナスです。

このタイプのボーナスは会社で規定がしっかりと決まっていることが多く、就業規則には「夏季・冬季」「基本給の2ヶ月分」などと記載されていることが一般的です。

基本給に連動するわけなので、例えば基本給25万円の社員が2ヶ月分のボーナスを支給されるとすると、50万円が1回のボーナス額というわけです。

業績に関係なく支給されるため、公務員などはこのタイプの賞与を採用しています。

民間企業でもよほどの赤字が出ない限り、基本的には支給されるので最も安心なタイプの賞与と言えるでしょう。

平均的なボーナス支給額

厚生労働省が公表している「毎月勤労統計調査 令和6年2月分結果速報等 表2 令和5年年末賞与の支給状況」によると、令和5年度の一人当たりの平均の賞与金額は395,647円であることがわかりました。

平均的な会社員の月給分と考えると、申し分ない金額であると言えるでしょう。

しかし、産業別に見てみると業種によって支給額が大きく異なることがわかります。

例えば電気・ガス関連の業種の平均賞与金額は803,194円と高額である一方、飲食サービス業は69,234円と月給分にも到底満たないほど賞与額です。

決算賞与や業績連動型賞与を採用している会社の場合、利益に応じて支給されます。

粗利がでやすい業種はボーナスが大きく、逆に利益が少ない業種はボーナスも少額というわけです。

退職者はボーナスが支給されない?

この記事を読んでいる方が最も気になっていることが、「退職者はボーナスが支給されないのか」ということでしょう。

結論からお伝えすると、ボーナスが支給されるかされないかは、タイミングにより異なります。

タイミングさえ合えば支給対象者になれるので、退職は少し先延ばしにするなどをして対処すると良いでしょう。

ただし、タイミングが合ってもボーナスが支給されない場合もあります。

これらの条件も含め、ボーナス支給日が退職前後でどう異なるのかを見ていきましょう。

ボーナス支給日が退職”前”の場合

ボーナス支給日が退職日よりも前の場合、当然ですがまだあなたはその会社の社員です。

有休消化中であっても、ボーナス支給対象者ですのでまずは安心しましょう。

ただし、支給されなかったり減額されてしまう可能性はゼロではありません。

ほとんどの会社は平年通り支給してくれますが、退職者をボーナス支給から除外する就業規則を用意している場合は支給されないこともあります。

実際に、某大手教育関連企業で退職予定者のボーナスを通常の82%も大幅カットするという事案が発生したことがあります。

これは就業規則でのボーナスの規定に、「ボーナス=将来性と期待を込めたもの」という位置付けをしていたためであり、退職者を除外するような動きがありました。

ボーナス支給日が退職”後”の場合

ボーナス支給日が退職よりも後の場合は、当然その支給日にあなたは会社の社員ではありませんから、ボーナスを受け取ることはほぼできません。

会社の就業規則のボーナスの規定には、「支給日在籍条項」が設けられています。

これはボーナス支給日に会社に在籍している社員に対してしかボーナスを支給しないという意味。

運悪くボーナス支給日が退職予定日よりも後になってしまった場合は、残念ながら諦めるしかないのです。

ただし、支給日在籍条項が設けられていない会社の場合だと、業績や貢献度に対してボーナス支給をしてくれるところもあるので、あなたの実績次第では悪い状況を大きく転換することができるでしょう。

確実にボーナスをもらってから退職するコツ

確実にボーナスをもらってから退職をするためにはやっておきたいことが、退職日までのスケジュールの設定と円満退職をすることです。

さらに、会社側の心象を悪くしないように退職の意思や転職活動をしていることなどは周囲に漏らさないようにしましょう。

これらを具体的にどう気をつければ良いか、以下でご説明します。

退職の申し出は可能な限りボーナス支給後にしよう

「すぐにでも会社を辞めたい」という人は要注意。

ボーナス支給前に退職の申し出をすることで、退職希望日をボーナス支給後にしたとしてもボーナスが減額されてしまったり支給されないという可能性もゼロではありません。

会社を辞めたい気持ちや焦りはできるだけ抑えて、確実にボーナスが支給されてから退職を申し出た方が安全です。

なお、退職の申し出は退職希望日から最低でも2週間前までを原則としています。

会社によっては30日前などと規定されていることもあるので、必ず就業規則も確認した上でスケジュール調整しましょう。

円満退職を心がけよう

ボーナスはあなたの頑張りや業績に応じて支給されるものですから、退職するからといって業務をおざなりにしたり人間関係を悪くしてしまっては元も子もありません。

規模の小さな会社の場合はなおさら、社長の采配でボーナス支給額が決まることもあります。

媚を売る必要はありませんが、できるだけあなたの印象が良い状態を保ったまま退職をするのがベターです。

なお、円満退職のコツは以下。

円満退職のポイント
  • なるべく繁忙期を避けて退職する
  • 引き継ぎ業務を徹底する
  • 退職の挨拶回りを怠らない
  • 最後まで感謝の気持ちを持ちながら働く
  • 何か大きな業績を残す

会社を辞めるからといって業務をおざなりにしてしまったり、苦手な上司に反抗的な態度を取ったりすると、あなたの評価に大きく影響してしまいます。

会社に所属している以上その会社で職務を全うするのは義務です。

最後まで責任感を持って働きましょう。

転職活動をしていることは周囲に漏らさないように

転職活動をしていることや会社を辞めたいという愚痴を周囲に漏らしてしまうと、いつの間にか上長の耳に入ってあなたの評価を悪くしてしまいます。

先述した通り、ボーナスはあなたの評価に対して支払われる対価です。

噂が悪い方向に伝わってしまうと評価がダダ下がりしてしまう恐れがあるので、いくら愚痴や不満があっても同僚に漏らさないように注意しましょう。

ボーナスをもらって退職をするスケジュール例

ここからは、確実にボーナスをもらってから退職をする場合のスケジュール例をご紹介します。

一般的なボーナス支給時期が夏季と冬季の2回なので、それぞれどのタイミングで動けば良いかをお伝えします。

これから退職の申し出をする人は、まずスケジュールを設定してから段階的に退職手続きをとりましょう。

夏のボーナスの場合

夏のボーナスを受け取ってから退職をする場合の流れは、以下がおすすめです。

仮に7月5日に支給されるとした場合のスケジュールです。

・6月30日:退職の申し出(口頭)

・7月5日:ボーナス支給

・7月7日:退職届の提出

・7月30日:退職

冬のボーナスの場合

冬のボーナスを受け取ってから退職をする場合は、以下の流れがおすすめです。

一般的には12月10日前後をボーナス支給日としている会社が多いので、有休消化〜年末年始休暇も加味してご紹介します。

・11月1日:退職の申し出(口頭)

・11月30日:退職届の提出

・12月10日:ボーナス支給

・12月11〜29日:有休消化

・12月30日:退職

なお、12月は繁忙期を迎えている会社が多いので、引き継ぎ業務などを円滑にできるように早めに申し出をするのがおすすめです。

退職とボーナス支給に関するトラブルに注意

退職者のボーナスにまつわるトラブルは意外にも多く、過去には裁判にまで発展した事案もあります。

支給されないケースも想定しながら、どのような条件だとボーナスが支給されないのかを把握しておきましょう。

こんなケースの退職はボーナスが支給されない

ボーナスが支給されないケースは、以下の4つです。

ボーナスが支給されないケースの退職例
  • 会社の経営状況が悪い
  • 給与体系が年俸制
  • 就業規則の条件を満たしていない
  • 懲戒解雇

いずれかに該当しそうなら、退職時にボーナスをもらえることはあまり期待しない方が良いでしょう。

会社の経営状況が悪い

特に決算賞与や業績連動型賞与を導入している会社の場合、会社の経営状況が傾いていると当然ですがボーナスは支給されません。

また、会社は黒字でも部署ごとの業績連動型賞与を採用している場合、対象の部署の業績が悪ければ支給されないまたは減額されるケースもあります。

「他の部署は多くもらっているのに」と不満をこぼしたくもなりますが、就業規定でそのように決められていれば我慢するしかないのです。

給与体系が年俸制

年俸制とは、決められた年収を12ヶ月で割って毎月支給されるタイプの給与です。

とくに年収500万円以上の比較的高収入な職業をしている人に多く見られる給与体系で、この場合はボーナスはありません。

高い年収だからこそ、ボーナスではなく毎月平均的に支給しています。

なお、年俸制の給与体系をとっている人は、新卒から入社した会社員ではあまり見られません。

多くの場合、キャリアのある中途採用者が転職時に条件交渉をして年収を決めます。

あなたが今の会社に新卒から在籍している場合はほぼ該当しませんので安心してください。

就業規則の条件を満たしていない

就業規則は会社ごとに設けられたルールであり、ボーナスに関する規定もさまざまです。

退職予定者がボーナスに関してとくに注意しておきたいのが、「支給日在籍条項」です。

支給日在籍条項とは、ボーナス支給日に会社に在籍してるか否かで支給対象者かどうかが決まる規定。

もしあなたの退職日がボーナス支給日よりも前だった場合、ボーナスを支給されることはありません。

さらに、ボーナス支給対象者を在籍年数で決めている会社もあります。

在籍して1年未満の人は対象外であることも少なくありませんので、今一度就業規則をチェックしておきましょう。

懲戒解雇

懲戒解雇とは、いわゆる「クビ」です。

会社に対して何か不利益を被らせるような行為を行ったり、職務を怠慢したことで解雇されるケースに遭遇した場合は、当然ながらボーナスはありません。

ボーナスとはあなたの評価に対して支払われるご褒美のようなものなので、会社にマイナスな行為をとった社員にわざわざボーナスを与えることはないのです。

ただし、懲戒解雇を言い渡された際に不当だと感じた場合は、まず労働基準局や弁護士に相談をして退職を待ってもらうようにしましょう。

ボーナス支給後に退職したらやること

無事にボーナスを受け取ったら、しばらくのんびりするもよし、好きなことにチャレンジするのも良いでしょう。

ただし、会社を辞めたあともやることは盛りだくさんです。

各種保険や税金の切り替え手続きをしたり、転職活動など次のステップに進むための準備も必要です。

ここからは、退職後にやっておくべきことを5つご紹介します。

まとめてやると混乱して抜け・漏れが発生してしまうので、一つずつ順を追って進めていくことをおすすめします。

健康保険の切り替え

会社を辞めたら社会保険から抜けるわけなので、健康保険も切り替える必要があります。

今までは会社から渡された保険証を利用していたと思いますが、これからはそうはいきません。

基本的には国民健康保険に切り替える必要があります。

なお、国民健康保険への切り替えは、社会保険資格喪失後(退職後)14日以内に行う必要があります。

お住まいの区役所や市役所などで手続きができるので、退職をしたら早めに足を運びましょう。

住民税の切り替え

健康保険の切り替えと同様で、住民税も「特別徴収」から「普通徴収」と呼ばれるものに変わります。

これまでは会社の給与から自動的に天引きされていたのであまり実感がないかもしれませんが、これからは自分で支払わなければなりません。

この手続きに関しては退職した日から翌月の10日までに済ませておく必要があるので、健康保険の切り替え手続きと同じタイミングで進めておくと良いでしょう。

年金の切り替え

年金に関しても、会社員の場合は厚生年金から国民年金に切り替わります。

国民年金への切り替えも、健康保険と同様で退職後14日以内に済ませる必要があります。

切り替え手続きはお住まいの区役所や市役所の国民年金担当窓口でできるので、健康保険や住民税の手続きとまとめて行うのが良いでしょう。

失業保険の申請

会社を辞めてから一定期間就業する意向がない人は、失業保険を申請しておくと良いでしょう。

失業保険とは会社を退職してから就業していない期間に、一定の生活が送れるように手当を受け取れる雇用保険です。

支給金額は前職の月給のおおよそ6〜7割程度で、支給開始日は退職事由により異なります。

会社都合退職の場合は申請から7日で受け取れますが、自己都合退職の場合は約3ヶ月要します。

ボーナスをもらってから一定期間はそのお金で生活できたとしても、いつかは底をついてしまうでしょう。

何があっても安心できるよう、早めに失業保険申請をしておくことをおすすめします。

なお、失業保険はお住まいの自治体のハローワークで申請が可能です。

この時に、雇用保険喪失証明書が必要なので、会社からもらっておくことも忘れずにしましょう。

転職活動

ボーナスをもらって退職をして一定期間のんびり過ごしても、いつかは転職しなければ生活が難しいでしょう。

ある程度休む期間を設けても、少しずつ転職準備を始めておいて損はありません。

転職活動には一般的に3ヶ月ほどかかると言われています。

応募先求人を探したりレジュメを作成して送ったり、面接の日程調整や面接対策など、さまざまなステップがあります。

必ず希望通りの会社に転職できるとも限りませんので、複数の会社に同時に応募できるように準備しておくのがベターです。

転職活動はエージェントの活用がおすすめ

ボーナスをもらってから退職をした後に転職活動をするなら、転職エージェントの活用がおすすめです。

転職エージェントではマンツーマンでの面談からあなたに合った会社の求人を紹介してくれます。

さらに、転職活動において多くの人が難航しがちなレジュメ作成や面接対策もサポートしてくれる心強い存在です。

ボーナスをもらって退職をして、しばらくのんびりしたい人も、あらゆるサポートを受けられるので自分のペースで転職活動ができるでしょう。

まとめ

今回の記事では、ボーナスをもらってから退職をするために気をつけたいことやスケジュール調整の仕方についてご紹介しました。

ボーナス支給されるかどうかは就業規定ありきですが、支給対象者である場合でも減額などは避けなければなりません。

ボーナスをもらうまでのスケジュールと自分の退職希望日までにやることをうまく調整しつつ、最後まで自分の評価を落とさずに円満退職ができるように心がけましょう。

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