退職時の「離職票」とは?退職証明書との違いや失業手当のもらい方を解説

退職時の「離職票」とは?退職証明書との違いや失業手当のもらい方を解説

目次
  1. はじめに
  2. 【退職時の離職票】離職票とは
  3. 【退職時の離職票】離職票が必要なシーン
  4. 【退職時の離職票】離職票の発行方法
  5. 【退職時の離職票】離職票の書き方と確認項目
  6. 【退職時の離職票】失業保険申請手続き方法
  7. 退職時の離職票に関するQ&A
  8. 【退職時の離職票】転職活動も忘れずに進めておこう
  9. まとめ

はじめに

退職をする予定の会社員の方は、離職票の存在をご存知でしょうか。

離職票は退職したときにもらえる書類で、退職後も一定の生活が送れるように失業保険を受ける際に必要です。

今回の記事では、離職票のもらい方や失業保険の申請手続き方法などをご紹介しています。

これから退職する人も、既に退職をしていて失業保険を受ける予定の人もぜひ参考にしてください。

【退職時の離職票】離職票とは

離職票とは、文字通り離職したことを証明する公的な書類です。

正式には「雇用保険被保険者離職票」といい、退職する際に会社に申請すれば受け取ることができます。

ただし、全ての人が受け取れるわけではありません。

雇用保険に加入していることが前提で、たとえば 週の所定労働時間が 20 時間未満のパートタイマーなどは対象外です。

会社員は基本的に週80時間以上勤務しているので、正社員や契約社員などフルタイムで勤務している人は問題ないと言えます。

なお、離職票は主に退職後に失業保険を申請する際の手続きに必要です。

退職者はハローワークに離職票を持って申請をすることで手続きが完了します。

既に退職をしている人で離職票をもらっていない人も、直近で在籍していた会社に申請をすればもらえるので、失業保険申請をする予定がある人は早めにもらっておくようにしましょう。

退職証明書との違い

離職票と混同されがちなのが「退職証明書」です。

退職証明書も会社を退職したことを証明する書類なので、目的は同じ。

しかし、離職票が公的な書類である一方、退職証明書は公的な効力を有しません。

離職票は会社がハローワークから受け取った上で従業員に渡すものですが、退職証明書は会社が発行元です。

そのため、失業保険の申請などでは使えないので注意しましょう。

雇用保険被保険者資格喪失届との違い

「雇用保険被保険者資格喪失届」も、離職票と同じ公的な効力を有する書類です。

ただし雇用保険被保険者資格喪失届は、離職したことを証明する書類ではなく”雇用保険の対象者から外れた”ことを提示している書類です。

これも失業手当の申請手続きに必要ですが、離職したかどうかはこの書類でわかるわけではないため、あくまで離職票と一緒に提出するのが必須です。

【退職時の離職票】離職票が必要なシーン

離職票は、基本的に失業手当をもらう際に必要で、ハローワークの手続き時に提示が求められます。

それ以外にも、59歳以上の人が高年齢雇用継続給付の手続きをする際にも必要です。

それぞれどのようなシーンで提示が求められるのか、次より見てみましょう。

失業手当申請

失業手当は、雇用保険に加入していた人が失業したときに受けられる手当です。

受け取れる額は個人により異なりますが、基本的には前職の月給の5割〜7割を一定期間受け取ることができます。

また、失業手当を受けるための申請手続きはハローワークで行います。

退職後に失業手当を受ける人は、離職票を持ってハローワークに出向き申請を行います。

なお、申請手続きは退職日の翌々日から10日以内が期限です。

まだ離職票が手元にない人は、できるだけ早い段階で前の会社からもらっておきましょう。

退職者が59歳以上の場合

退職者が59歳以上の雇用保険被保険者だった人には、会社が離職票を発行する義務が設けられています。

60〜64歳で再就職した場合で前職の賃金の75%未満だった場合、「高年齢再就職給付金」を受け取ることができます。

このときに、失業手当申請と同様に離職票が必要です。

詳しくは、ハローワークのサイトよりご確認ください。

【退職時の離職票】離職票の発行方法

ここからは、離職票の発行方法をご紹介します。

基本的には会社に打診して離職票をもらう形ですが、59歳未満の退職者には全ての人に発行する義務はないため、打診しなければもらうことができません。

会社が繁忙期だったり、単純な怠慢でもらえないことも少なくないため、必ず「離職票をください」と伝えておきましょう。

離職票の発行方法を順を追って説明します。

1.雇用保険被保険者かどうかを確認

まず確認しておいていただきたいのが、あなたが雇用保険に加入している「雇用保険被保険者」かどうかということです。

離職票は雇用保険加入者を対象に発行されるものなので、当然ながら被保険者でなければ受け取ることができませんし、失業保険も対象外です。

なお、雇用保険被保険者の加入条件は以下の通りです。

雇用保険被保険者の加入条件
  • 1 週間の所定労働時間が 20 時間以上
  • 31 日以上の雇用見込みがある人

簡単にお伝えすると、フルタイムで通算31日以上勤務していた人なら誰もが雇用保険に入っているということになります。

会社員なら基本的には対象者であることを覚えておきましょう。

ただし、失業保険を受け取れるのは、離職日より前2年間に12ヶ月以上勤務していた人です。

1年未満で早期退職してしまった人は対象外の可能性が高いので、注意しましょう。

詳しくは、ハローワークの基本手当についてをご確認ください。

2.在籍していた会社に依頼する

離職票の発行は基本的に希望制です。

会社によっては退職届を提出した時点で離職票発行希望の有無を問われますが、従業員からの申請がない限り、わざわざ発行することはほぼありません。

できるだけ在職期間中の早いタイミングで申請しておきましょう。

どの会社でも総務部や人事部が離職票発行の業務を担当しているので、まずは担当部署に質問してみてください。

3.会社からハローワークに申請する

従業員から離職票の発行を求められたら、会社の総務部や人事部の担当者がハローワークに申請をします。

会社は、対象の従業員の離職証明書(雇用保険被保険者離職証明書)と雇用保険の資格喪失届をもってハローワークに申請をします。

実際に訪問して提出することが大半なので、担当者の手間などを考慮して、できるだけ早いタイミングで依頼しておいた方が安心です。

4.ハローワークが会社に交付する

会社がハローワークに離職票発行の申請をしたら、対象の従業員の離職票が会社に交付されます。

離職票には従業員の氏名や住所、賃金支払い状況などの基本的なことが記載されています。

担当者は記載内容に間違いがないか入念にチェックし、問題がなければ退職する従業員に手渡しします。

5.会社が退職者に交付する

先述した1〜4までのステップを経て、いよいよあなたの手元に離職票が届きます。

在職中の場合は社内で渡されることが大半ですが、既に退職をしていたり有給休暇消化中で会社にいない場合は郵送などで対応してくれます。

離職票が届いたら、念のため記載内容に間違いがないかチェックしておきましょう。

氏名などの誤字脱字など万が一ミスがあると、このあと行う失業保険の手続きがスムーズにいきません。

また、離職票は紛失してしまうと再度様々な工程を経なければ再発行ができません。

手元に届いたらわかりやすい場所に保管しておくなどをして、無くさないように対処しましょう。

【退職時の離職票】離職票の書き方と確認項目

離職票には、退職者のあらゆる情報が記載されています。

氏名やマイナンバーなどのパーソナルな情報はもちろん、離職理由や離職者本人の判断など細かな情報まで存在します。

ここからは、実際どのようなことが書かれているかご説明します。

離職票は受け取ったらそのままハローワークに提出して失業保険申請をすれば問題ないですが、念のため記載項目を把握しておいて、ミスがないようにしておきましょう。

マイナンバー(個人番号)

マイナンバー制度が施行された平成28年以降は、離職票にもマイナンバーの記載が必須となりました。

マイナンバーは、基本的に会社に既に提出したマイナンバーをもとに記載されていますが、人事・総務の離職票発行手続きは属人的な作業でもあるため、ミスがないとは言い切れません。

番号にミスがないか再度チェックしておきましょう。

求職者給付等払渡希望金融機関指定届

離職票は基本的に失業手当を受け取る際の申請手続きに使われるものです。

そのため、失業保険の受け取り先である金融機関の届けも、離職票に存在します。

これは既に記載されているものではなく、自分で手書きで記載するものです。

後々ハローワークに申請する際に記載を求められるので、あらかじめ書いておいた方がスムーズでしょう。

離職理由

離職票は離職したことを証明する書類でもあるため、離職理由の記載欄も存在します。

ただし、退職した理由を具体的に書く必要はありません。

複数のチェック項目があるため、該当する離職理由にチェックを入れるだけでOKです。

なお、離職理由欄には既に会社側がチェックを入れている項目もあります。

自分が離職した理由に該当しているかどうかも確認しておいた方が安心でしょう。

もし離職理由が会社都合であるにもかかわらず、自己都合として処理されてしまっていると、失業手当を受け取る時期が遅くなってしまいます。

少しでもおかしいと感じたら、自分のチェック欄に記載する前に会社側に確認しておきましょう。

具体的事情記載欄(離職者用)

具体的事情記載欄は、離職した理由が具体的に記載されている項目で、これも既に会社側が記載しています。

記載内容に問題がなければ、そのまま「同上」と記載して提出してOKですが、全く異なる離職理由が記載されていた場合は会社側に確認しましょう。

離職者本人の判断

離職者本人の判断欄は、会社側が記載した離職理由に関して異議がないかチェックする項目です。

もし離職理由が本人の意思とは異なる場合は「有」にチェックをしますが、文脈の認識違いである可能性も少なくないため、まずは会社側に確認を取った方が良いでしょう。

署名欄

署名欄は、離職票をチェックして記載したことを確認するための項目です。

自筆フルネームで記載します。

記載するときは鉛筆やシャープペンシルなど消えてしまうものではなく、必ずボールペンで記載するようにしましょう。

【退職時の離職票】失業保険申請手続き方法

離職票を受け取ったあとは、失業保険の申請手続きを行います。

離職票を持ってハローワークに出向き、手続きを行いましょう。

なお、失業保険申請を終えてから実際に給付額が受け取れるまで、1週間から2ヶ月ほどの期間を要します。

会社都合退職の場合は申請から約1週間ですが、自己都合退職の場合は約2ヶ月ほどかかります。

まずは自分の状況から受給条件を確認し、その都度必要に応じた対応を取りましょう。

1.受給条件の確認

失業保険を受け取ることができるのは、雇用保険被保険者として過去2年間の間に12ヶ月加入していた人です。

新卒1年目やフリーターから正社員になったばかりの人は対象外の可能性もあるので、次にご説明する受給条件に合致するか確認してみましょう。

失業状態であること

大前提として、失業保険を受け取れるのは失業状態にある人です。

失業状態とは、働く意思があるものの実際にはまだ求職中の状態を指します。

あくまで求職中であることが条件なので、たとえば次のような人は対象にはなりません。

受給の対象外になる人
  • 家事に専念する人
  • 学業に専念する人
  • 既に転職先が決定している人
  • フリーランスや自営業としてスタートした人

簡単に言えば、会社を辞めて転職活動中の人なら対象ということです。

雇用保険被保険者期間が一定期間あること

失業保険は雇用保険の一環の手当です。

そのため、雇用保険被保険者として加入していた人が対象です。

ただし、失業保険を受け取れる人は、過去2年間で累計12ヶ月以上雇用保険に加入していた人が対象。

会社員として在籍していた期間が11ヶ月未満の人は受け取れない可能性があります。

新卒1年目の人はもちろん対象外ですが、フリーターとしてアルバイトを転々としていた人も対象外の可能性があります。

雇用保険は週の所定労働時間が20時間以上の人を対象とした保険です。

そのため、単発バイトを転々としていたり複数のアルバイトを掛け持ちしていた人は雇用保険に加入されていない可能性が高いので注意しましょう。

自分が雇用保険に加入しているかどうかは、退職時に会社から雇用保険被保険者資格喪失届を渡されるはずです。

ハローワークに求職登録をしていること

失業保険は「求職中」の人を対象とした保険です。

そのため、ハローワークで求職登録をすることも必須条件です。

ただし、求職中であることを提示できれば良いので、必ずしもハローワークから紹介された会社に転職しなければならないわけではありません。

定期的に求人紹介をしてもらったり応募したりする必要はありますが、同時進行で転職サイトや転職エージェントに依頼をしても問題はありませんので安心してください。

2.ハローワークに申請申し込み

受給条件に合致していることがわかれば、次はハローワークに申請の申し込みを行います。

以下の書類を持ってハローワークに直接出向き、専門窓口に申請を出してください。

申請の申し込みに必要な書類
  • 離職票
  • 雇用保険被保険者資格喪失届
  • 身元確認書類(免許証、マイナンバーカードなど)
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカード、マイナンバー通知書)

一つでも漏れがあると申請手続きができなくなるため、二度手間にならないようにチェックした上で出向いてください。

3.待機期間(7日間)

ハローワークへの申請をしたら、翌日から7日間は待機期間です。

待機期間中は失業保険を受け取れない期間であり、アルバイトや単発バイトなど金銭が発生する職務につくこともできません。

もしアルバイトをしてしまった場合は待機期間が延長されるので、この期間は転職活動に注力するだけにとどめておきましょう。

4.雇用保険受給説明会

7日間の待機期間を終えたら、再度ハローワークに出向きます。

ここでは、失業認定を受けるための雇用保険受給説明会に参加します。

説明会といっても簡単なもので、失業保険受給中の注意事項や手続き、申請書の書き方などを説明されるだけです。

2時間程度で終わります。

5.失業認定→失業手当受け取り

雇用保険受給説明会が終わったら、その場で失業認定されるケースがほとんどです。

当日は「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」の2つの書類を渡されるので、あとは決まった失業手当支給日に指定口座に振り込まれるのを待つだけです。

退職時の離職票に関するQ&A

ここからは、退職時の離職票に関してよくある質問にお答えします。

退職手続きも失業手当の申請も細かな部分で疑問点が多いため、ここでご説明するQ&Aもよくチェックした上で離職票に関する理解度を高めておきましょう。

離職票をもらわずに退職した場合は?

離職票をもらわずに退職をしてしまっても、会社に申請をすれば離職票を受け取ることができます。

なお、離職票は基本的に退職日から約2週間程度で会社に発行されたのちに本人に渡されるので、退職日からまだ日が経っていない人は少し待ってみても良いでしょう。

自己都合退職と会社都合退職の違いは?

自己都合退職とは、本人の意思による退職。

会社都合退職は会社側が本人に退職を促した場合の退職です。

一般的な退職理由である「キャリアアップのため」「違う環境に行きたい」という理由は自己都合に該当します。

会社都合退職は懲戒解雇や会社の倒産、人員削減など会社の都合によるものです。

なお、失業保険を受け取れる期間や金額は、この2つの事由によって異なります。

会社都合退職の場合は申請後7日間の待機期間を終えたら受け取ることができますが、自己都合退職の場合は約2ヶ月ほどかかります。

会社を辞めて当面の間失業保険でゆっくりしたいと考えている人は、退職後2ヶ月間は無給の状態であることを覚悟しておきましょう。

離職票がなくても失業手当申請はできる?

離職票がない場合、失業手当の申請はできません。

この記事でご紹介した通り、失業手当を受け取るための必要書類は以下の通りです。

失業手当を受け取るのに必要な書類
  • 離職票
  • 雇用保険被保険者資格喪失届
  • 身元確認書類(免許証、マイナンバーカードなど)
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカード、マイナンバー通知書)

これらが一つでも欠けていると申請が通らず、再度必要書類を準備してハローワークに出向く羽目になるので、漏れがないように準備しておきましょう。

【退職時の離職票】転職活動も忘れずに進めておこう

退職後に忘れてはならないのが、転職活動を進めることです。

一定期間の間失業保険で暮らそうとしている人も、近いうちに転職をしなければ生活が不安定でしょう。

できれば在職中に少しずつ進めておいた方が良いですが、退職後に転職活動をする人は想定よりも早めの行動が大切です。

なぜなら、転職活動は平均して3ヶ月間かかるためです。

数週間や1ヶ月でさくっと転職先が決まることは稀なので、しばらくの間休職するとしても早いうちから少しずつ始めておきましょう。

手間なく円滑に転職するならエージェントがおすすめ

転職活動はやることが盛り沢山です。

求人探しをしたり、履歴書や職務経歴書をまとめたり、面接対策をしたりと大忙し。

さらには面接に向けてスーツを新調したり証明写真を撮りにいかなければならないこともあります。

退職後ゆっくりしたくても、転職活動が入るとなかなか休む暇がないのも事実。

そこでおすすめなのが、転職エージェントを活用した転職方法です。

転職エージェントは求人紹介から履歴書・職務経歴書の添削、面接対策などあらゆるサポートをしてくれます。

さらに、面接日程調整や給与交渉もサポートしてくれるので、自分一人で転職活動をするよりも圧倒的に効率よく進められるのです。

また、転職エージェントなら大手企業の非公開求人を保有していることも多いため、思わぬビックチャンスに出会えるかもしれません。

登録には費用が一切かからないため、活用しない手はないと言っても過言ではないでしょう。

まとめ

今回の記事では、退職時の離職票に関する情報をご紹介しました。

離職票は失業保険の申請手続きに必ず必要な書類です。

紛失してしまったり、そもそも会社からもらっていない場合は申請手続きができませんので注意しましょう。

また、当面の間失業保険で生活をしたいと考えている人も、当然ながら転職活動は少しずつでも進めておく必要があります。

ハローワークに定期的に出向いて求人検索をするのはもちろん、より効率的に転職先を探すなら転職エージェントの活用もおすすめです。

離職期間中も時間を有効的に使って、自分に合った転職先を選びましょう。

SHARE この記事を友達におしえる!