経理の仕事がきつい!辛さを感じる理由と頑張るための改善策
経理の仕事を始めたばかりの方も、入社して数年経っている中堅社員の方も、経理部の仕事内容が「きつい」と感じたことがあるのではないでしょうか。
各部署からの請求書や領収書をまとめて処理したり、細かい数字だらけの書類に嫌気がさしたこともあるでしょう。
しかし、経理部の仕事は大変な分やりがいが多く、キャリアアップに役立つスキルが得られます。
今回は、現在経理の仕事をしている方へ向けて、「きつい」と感じる理由や改善策をご紹介します。
また、効率よく仕事を進めるためのコツもご紹介しているので、今後も経理として活躍したい方はぜひ仕事のバイブルとしても参考にしてください。
【経理の仕事がきつい】きついと感じる理由8選
経理の仕事はとにかく業務量が多く、細かい確認作業もこなさなければなりません。
仕事を早く進めるためにパソコンの入力速度も求められますし、社内の全部署と連携を取る必要があるため、コミュニケーション能力も必要です。
ここからは、経理の仕事が「きつい」と感じる方によくある理由を8つご紹介します。
業務量が多いから
経理部の仕事量はとにかく膨大です。
自社で扱っている商品・サービスの請求書作成や、税務関係の帳簿の入力、社員の給与計算や経費の処理など、多岐に渡ります。
また、最近ではインボイス制度導入に伴って、パートナー企業間での受発注額のやり取りに新たな作業も増えました。
取引金額に応じて処理方法が異なったりと、覚えることも盛り沢山です。
大企業の経理部は10名以上の経理人材がチームで仕事をこなしていますが、中小企業の場合は1名の経理担当者が会社の経理業務を全て担うこともあります。
一人当たりの業務負荷がかなり高いことも、「きつい」と感じる理由の一つです。
小さなミスも許されないから
経理業務は伝票や請求書、発注書、領収書など金額に関わる書類のデータをパソコンに入力する作業が多くあります。
紙ベースの書類に記載されている金額を、パソコンで一つずつ手打ちで専用システムに入力する作業はとても根気がいる作業です。
1桁間違えてしまうととんでもない金額の損失を出してしまうことになり、会社に大きな迷惑をかけてしまいます。
ミスをしないために、作業の一つ一つを確認しながら慎重に進めて、全ての作業が終わったらダブルチェックも必要です。
かなり神経を使う仕事でもあるため、プレッシャーから「きつい」と感じる人も多いようです。
承認フローが長いから
会社がお金を使うとき、承認をもらうまでのフローはかなり長いです。
例えば営業部がアルバイトのアシスタントをしてくれる人材募集をしたいとき、求人広告を掲載するとしましょう。
このとき、まず営業部のリーダーが求人広告に掲載する費用の見積書を広告会社から取得します。
そして次に人事部に申請し、承認が通ったら経理部に届きます。
全て社内で完結するとはいえど、紙による属人的な承認フローであるため、申請・差し戻し・承認の作業で経理部の業務負荷が増えます。
決算時期などの繁忙期にこのような申請が複数舞い込んでくると、当然ながら経理部内はてんやわんや。
承認がおりるまでの長い期間、複数の申請を抱え込むことになるため、精神的にも肉体的にも疲れを感じやすくなります。
専門知識が必要だから
経理の仕事は、資格がなくてもチャレンジすることができますが、専門的な知識を身につけていく必要があります。
例えば、伝票処理や仕分けデータの処理には簿記の知識が必要になりますし、税務会計データの入力作業にはある程度の税務知識を身につけておく必要があります。
財務表や総勘定元帳など、専門用語の多い書類の見方を知っておく必要もあるでしょう。
これらの知識は、日々実務で学んでいくことで身につけることができますが、膨大な量を学ばなければなりませんので、先に日商簿記などの資格を取得しておくこともおすすめです。
他部署とのやりとりが多いから
経理部は経費申請業務などで他部署とのやりとりが多い部署です。
会社には経理部以外に総務部や営業部など複数の部署が存在し、各部署で予算を持っていることが一般的です。
その予算を使うための経費申請のシーンで、他部署の担当者とのやりとりが多く、とくに月末は混雑します。
前述したとおり、会社の予算を使うまでの承認フローが長いだけでなく、申請方法にミスがある社員がいた場合はやり直しを指摘しなければなりません。
その数が多くなればなるほど経理部の手間がかかるので、時期によっては経費申請業務だけで残業が長くなってしまうことも少なくありません。
また、予算の承認がおりなかった場合、各部署担当者にその旨を伝えるのも経理部の仕事です。
憎まれ役になってしまうこともあり、その度にストレスがかかるでしょう。
スピードを求められるから
経理部の仕事量は非常に多いので、タスクを早く処理するためのスピードも求められます。
ただでさえ量の多い仕事に対し、ミスをしないように慎重に進めながらスピードも求められることは、精神的な疲労を感じやすくなるでしょう。
パソコンのタイピング速度も一定基準のレベルが必要ですし、大量の仕事を効率よくこなす要領の良さも求められます。
仕事に慣れてくれば自然とスピードがついてくるものですが、息抜きする暇もなく常にあくせく仕事をこなすことは、ストレスの原因にもなるでしょう。
パソコンスキルに自信がないから
社会人経験の浅い人や、前職でパソコンを使ったことがない人は、とくにこの理由から「きつい」と感じるようです。
経理の仕事は基本的にパソコンを使用します。
大量の請求書やExcelデータに打ち込むため、スピーディーなタイピングが必要ですし、会計システムなどの専門的なアプリケーションに慣れる必要もあります。
ある程度パソコンに慣れている人でないと、処理が追い付かずに辛い思いをすることでしょう。
なお、経理の仕事に就く前に日商簿記などの資格を取得する人も多いですが、日商簿記の勉強をした経験があれば、経理業務に役立つ基礎的なパソコンスキルは持てるはずです。
もしまだ日商簿記の資格をお持ちでないなら、パソコンに慣れる意味でも取得しておくと良いでしょう。
仕事の優先順位の立て方が分からないから
経理部の仕事はかなりの量を同時進行でこなさなくてはなりません。
各部署から上がってきた経費申請の処理をしながら、会社の支出をはかるための会計データ入力、決算資料の作成など様々です。
これらのマルチタスクを効率よく進めるためには、一つひとつの仕事に対して優先順位を決める必要があります。
【経理の仕事がきつい】経理に向いている人の特徴
ここからは、経理の仕事に向いている人の性格的な特徴についてご紹介します。
今からご紹介するのは5つのタイプですが、どれか一つでも当てはまっていれば経理に向いているかもしれません。
これから経理に転職を検討している人は、入社後にきつい思いをしてしまわないよう、向き不向きの精査から始めてみてください。
正確性を追求できる人
経理は決算書や会計データなど、会社のお金に関わる重要なデータを管理しています。
そのため、正確さを追求してミスのないように慎重に仕事をこなせる人でないと難しいでしょう。
一桁間違えてしまうだけでも会社に多大な損失を出してしまうことにもなるので、小さなことにも一つひとつ目を向けて処理していく必要があります。
「おかしいな」と思ったらどれだけ小さなことでも先輩に確認したり、タスクが終わったらダブルチェックするなどを徹底すればミスが防げるでしょう。
計画性のある人
経理部の仕事はマルチタスクなことが多いので、複数の業務を効率よく処理できるように1日単位でスケジュールする必要があります。
ひとつのタスクに対して「この日までに」という納期があることが大半ですが、そのタスクが複数存在するため、同時に処理できるようにスケジュールに落として調整します。
計画性なくただスピードだけ追求してこなしていても、納期ギリギリになって終わらずに残業をする羽目になるでしょう。
計画性を持って仕事をこなせる真面目さは、経理の仕事において重要です。
責任感の強い人
責任感を持つことは社会人として当たり前ですが、経理の仕事においてはもっとレベルの高い責任感が求められます。
なぜなら、会社全体のお金に関わる重要な役割を担っているからです。
納期までに仕事が終わらなければ利益の創出が遅くなりますし、ミスをしてしまえば会社の損失になります。
自分が会社の利益を守っているという責任感を持って仕事に向き合える人は、経理の仕事に向いていると言えるでしょう。
お金に対する苦手意識がない人
経理部は会社の経費や税金、売上などを総合的に管理している部署です。
そのため、仕事内容のほとんどはお金に関わる内容。
毎日会計データを入力したり、各部署の経費精算をまとめたり、Excelに細かなデータを入力して管理する毎日です。
お金を扱っていることに対して面倒くささを感じてしまったり、苦手意識を持っていると仕事がつまらないと感じてしまうでしょう。
お金という非常にシビアな分野での仕事ですが、数字に目を向けることに抵抗がなく仕事が進められれば向いていると言えるでしょう。
コミュニケーション能力の高い人
経理部は取引先と仕事をすることがほとんどない部署ですが、コミュニケーション能力は重要です。
なぜなら、経理部内でのチームワークを円滑に進める必要があり、他部署とのやりとりも多い仕事だからです。
仕事の大半はパソコンに向かっているものの、同じ経理部内の同僚や先輩と仕事を分担して進めているため、チーム全体へ配慮できないと人間関係の悪化にもつながります。
また、他部署の社員とのコミュニケーションを円滑に進める必要もあります。
とくに月末は他部署とのやりとりが増える時期です。
経費申請されてきた内容に対して不足があれば指摘しなければいけませんが、この時に伝え方に優しさが感じられなければ、経理部のイメージを悪くしてしまいかねません。
【経理の仕事がきつい】経理に向いていない人の特徴
続いて、経理に向いていない人の特徴をお伝えします。
今から主に3つご紹介しますが、当てはまっていたからといって卑屈になる必要はありません。
経理の仕事を続けたい、またはこれから転職をしたいという方は、改善策を見つけるヒントとして参考にしてください。
大雑把な人
経理部の仕事は大量のデータと数字を扱うことです。
そのため、仕事を大雑把に片付ける傾向のある人は要注意。
スピード重視で一つずつ雑な仕事をしていると、小さなミスに気付けずに大きな失態に発展することも想定されます。
請求書の金額を間違えてしまったり、申請業務のスケジュールを管理せずに漏れが発生してしまったりすれば、経理部だけでなく他部署の業務にまで影響が出てきてしまいます。
もし仕事にケアレスミスが多いと感じたら、スピードよりもクオリティ重視で仕事に向き合ってみてください。
ゆっくり時間をかけてみると、今まで気付けなかったミスしやすいポイントが見えてくるかもしれません。
忍耐力がない人
経理部の仕事はほとんど外出せず、オフィスのデスクに一日中座りっぱなしでパソコンに向かっています。
そのため、じっとしていることが苦手な方は苦痛に感じるかもしれません。
また、膨大な資料やデータを処理していると、飽きがきてモチベーションが下がってしまうこともあります。
何事にも忍耐力を持って挑まないと、経理の仕事は務まらないでしょう。
独創性を大事にしたい人
マニュアルよりも独創性を大事に仕事がしたい人も要注意です。
経理は数字を扱う仕事なので、マニュアルに沿って仕事を進める必要があります。
もちろん、スケジュール管理やモチベーション向上のために自分なりに仕事の仕方を工夫しても構いませんが、仕事の処理の仕方についてはマニュアルにもとづいて進めなければミスが頻発します。
もし独創性を大事に仕事がしたいのであれば、経理よりも営業やクリエイティブ系職種の方が向いているかもしれません。
【経理の仕事がきつい】辛いときの対処法7選
今回ご紹介したように、経理の仕事はさまざまな要因で「きつい」と感じやすくなります。
現在経理部の一員として頑張っている人も、一度は仕事が嫌になったことがあるのではないでしょうか。
今からご紹介するのは、経理の仕事が「きつい」と感じないようにするための対処法です。
明日にでも自分で出来ることや中長期的に改善していけそうなことまでご紹介するので、今後のキャリアアップのためにもぜひ参考にしてください。
自分なりの目標を持つ
仕事を楽しめるように、ゲーム性を持って仕事にのぞんでみてはいかがでしょうか。
一つひとつのタスクに目標設定をして「できた」「できなかった」を振り返るだけでも、仕事のモチベーションが向上するはずです。
もしミスが多くて悩んでいるのであれば、「まず今週はミス2個までに減らす」「来週は1個まで」など。
そして仕事のスピードに悩んでいるのであれば、「30分で終わらせる」「その次は20分」などと自分なりの小さな目標を立ててみてはいかがでしょうか。
このような一つひとつのことに目標設定をしてみると、いつの間にか仕事のクオリティもスピードもアップし、達成感が生まれるでしょう。
スケジュール管理を徹底する
タスクが終わらずに残業が増えてしまうようであれば、スケジュール管理方法を見直してみてください。
残業が増えてしまう原因は、一つひとつの仕事のスケジュール配分が上手くいっていないのかもしれません。
時間配分やタスクの優先順位決めが荒いとだらだらと仕事をしてしまい、やらなければならないことが溜まってしまいます。
タスクには納期があるので、納期ギリギリになっても終わらないという事態に発展してしまうのです。
それを防ぐために、1日のスケジュールを細かく設定してみてください。
おすすめの方法は、30分単位でタスクに処理時間を設けることです。
例えば、以下のような方法です。
10:00~10:30|請求書作成
10:30~11:30|営業部の経費申請処理
11:30~12:00|半月分の会計データ入力
このように細かく設定すれば「時間内に終えよう」という意識ができて、自然とスピードアップにもつながります。
経理に関わる資格を取ってみる
仕事のモチベーションを上げるには、自分のスキルをレベルアップさせることもおすすめです。
経理に関わる資格を取得してみてはいかがでしょうか。
知識がつけば仕事で分からないことも少なくなるので、精神的にも楽になるはずです。
経理の仕事に役に立つ資格としては、以下が挙げられます。
・日商簿記
・ファイナンシャルプランナー(FP)
・ビジネス会計検定
・給与計算検定
・MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
日商簿記やビジネス会計検定については経理業務で役立つ専門知識を学ぶことができます。
MOSを取得していればパソコンの処理速度が上がってより効率的に仕事にのぞむことができるでしょう。
周りとのコミュニケーションを増やす
経理の仕事はオフィス内で黙々とパソコンに向かって作業をすることが多いです。
そのため、コミュニケーション不足によるストレスを感じる方も少なくありません。
人と会話をすることでモチベーションが上がったり、ストレス発散につながるので、たまには雑談をしてみてください。
経理部に信頼できる人がいれば、休憩時間などに積極的に話しかけてみたり、他部署に同期がいれば飲み会を企画してみてはいかがでしょうか。
同じ会社内の人と会話をすることで、お互いの仕事の愚痴が吐き出せるかもしれません。
お互いにフラットに話すことで「悩んでいるのは自分だけではなかった」と気づくきっかけにもなります。
DX推進を申し出る
とくに中小企業や地方の歴史ある企業などにお勤めの方は、ペーパーレス化が進むこの時代でもまだアナログな方法で仕事をしているケースもあるでしょう。
もし自分の会社が「時代遅れだ」と感じるのであれば、ぜひDX推進を申し出てみてください。
会社の業務をDX化することで仕事の効率が格段に上がり、残業を減らすことにつながるかもしれません。
DX化を推進するにはそれなりにステップを踏んで上長に承認をもらう必要がありますが、会社の生産性向上のためにはメリットしかないので、思い切って伝えてみてください。
社内での部署異動を申し出る
今仕事が「きつい」と感じているのであれば、その原因が経理業務にあるのか会社自体にあるのかを精査してみてください。
もし経理業務に対するストレスが要因であれば、部署異動して自分に合った仕事をすることで向いている仕事に出会えるかもしれません。
なお、希望の部署に異動を申し出るタイミングとしては、会社の人事異動時期の少し前くらいがおすすめです。
まずは上長もしくは人事担当者と1on1で面談を設定し、異動したい理由や次の部署でどうなりたいかなどを伝えます。
なお、ただ単に「経理の仕事がきついから」「他の部署に興味があるから」など抽象的な理由では異動させてもらえない可能性が高いので注意しましょう。
伝えるときは具体的で納得できる理由をまとめてからがおすすめです。
別の企業の経理に転職をする
経理の仕事はどの会社も同じことをしているように思われますが、会社の業種や規模によってやっていることは違います。
中小・ベンチャー企業であれば経理部がその他雑務も担当していることもありますし、大手企業であれば経理業務のみを専門で担当しています。
また、メーカーの経理部とIT企業の経理部とではやっていることが異なる場合もあります。
メーカーは営業が多いため交通費や出張代に関わる処理が多かったり、IT企業は提供しているサービスの月額利用料の請求書作成などがあったりします。
もし今お勤めの会社が1社目で転職歴がないのであれば、いきなり転職活動を始めるのは勇気がいることでしょう。
そんな方は転職エージェントに登録をして、プロに相談しながら転職活動を進めるのもおすすめです。
エージェントなら希望や転職したい理由を加味した上で相性の良い会社を紹介してくれます。
もちろん、今よりも好条件な会社を探してくれるので、キャリアアップにもつながるでしょう。
まとめ
今回のコラムでは、経理の仕事が「きつい」と感じている方に向けて、その原因と対処方法を中心にご紹介しました。
今経理部の一員として活躍している方は、今回ご紹介した対策方法を実践してみてください。
ほんの少しの行動でモチベーションが上がるかもしれません。
これから経理の仕事に転職をしたいという方は、転職先選びの参考にしていただけたら幸いです。
また、転職先を探す際は、転職エージェントからの紹介がおすすめ。
未経験の方が無理なくスタートできるように、相性の良さそうな会社を紹介してくれます。
経理の仕事は一見単調に見えますが、スキルや経験に応じてできることは大きく異なります。
今の自分に合った職場をその都度選んでいくことで、着々とキャリアアップができるでしょう。
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