福祉用具営業がきついと言われる理由とは?向いている人の特徴や将来性について詳しく紹介

福祉用具営業がきついと言われる理由とは?向いている人の特徴や将来性について詳しく紹介

目次
  1. 福祉用具の営業がきついと言われる理由
  2. 福祉用具の営業だからこその魅力
  3. 福祉用具の営業が向いている人の特徴
  4. 転職を検討した方が良いケース
  5. 転職する前にやっておきたいこと・考えておきたいこと
  6. 福祉用具の営業の将来性
  7. まとめ

営業はさまざまなモノやサービスを取り扱う仕事です。

ノルマがあったり残業が多かったりし、「営業は大変だ」と言われることもあります。

中でもきついと言われる職種が、福祉器具を取り扱う営業(福祉用具専門相談員)ではないでしょうか。

営業としての大変さのほか、幅広い専門的知識が求められるといった理由から、つらいと感じる人も多いようです。

きついと言われる理由を見ていけば、福祉用具営業のやりがいや魅力、向いている人の特徴などが見えてくるでしょう。

そこで今回は、福祉用具の営業について解説していきます。

転職を検討するならやっておきたいこと、考えておきたいことなどについても紹介するので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

福祉用具の営業がきついと言われる理由

福祉用具の営業は、なぜ世間できついと言われるのでしょうか。

そこには次の8つの理由が考えられます。

営業がきついと言われる理由
  • 残業になることが多いから
  • 事務作業が多いから
  • ノルマが課せられているから
  • 福祉用具に関する幅広い知識が必要だから
  • 体力仕事が多いから
  • 給与水準が低いから
  • イレギュラー対応に追われることが多いから
  • 人間関係に悩まされることがあるから

残業になることが多いから

残業が多くなりがちなのが、福祉用具専門相談員のきつい部分でしょう。

取引先との打ち合わせ、利用者さんへの訪問等は相手の都合の良い時間に進めることがほとんどで、予定どおり仕事が進まないこともあります。

また福祉用具の営業は外回りだけでなく事務作業があるため、時間内に仕事を終えるのが難しい仕事です。

外回りが終わったあとに帰社して、山積みになった仕事をこなしていくということも多々あるでしょう。

売上目標が芳しくないときは、上司との面談や経営戦略の練り直しなどで残業を余儀なくされることもあるでしょう。

事務作業が多いから

福祉用具の営業は、先述のとおり事務も多く、さまざまな作業が発生します。

なかでも書類の作成に時間を取られてしまうことがよくあり、例えば次のようなものです。

書類の作成に時間を取られてしまう場合
  • 利用者さんの希望や福祉用具の効果を一覧にした「福祉用具サービス計画書」
  • 利用者さんへの提案過程を記録した「選定提案書」
  • モニタリング業務を記録した「モニタリング報告書」
  • メンテナンスにおける部品の使用・交換等を記載した「メンテナンス報告書」など

また介護保険が適用される福祉用具を提供する際は役所への届け出が必要で、営業サイドで次のようなものを用意しなければなりません。

営業サイドで用意するもの
  • 購入費の支給申請書
  • 購入の領収書
  • 福祉用具のカタログ
  • 委任状など

そのため提案力やコミュニケーション能力だけでなく、高い事務処理能力が求められる仕事でもあります。

「効率よく事務処理を進めるのが苦手」という人は、福祉用具の営業をきついと感じてしまうことが多いでしょう。

ノルマが課せられているから

営業は結果の求められる仕事であり、ノルマ(営業目標)を課しているのが一般的です。

特に福祉用具を取り扱う営業は、単価が高いものを取り扱っているため、高い数値でノルマが設定されています。

福祉用具専門相談員の場合、新規顧客獲得数、居宅介護支援事業所への訪問件数などが主なノルマです。

ノルマ未達により上司から叱責を受けていれば、仕事でプレッシャーを感じるようになり、やがて仕事をきついと感じてしまいます。

福祉用具に関する幅広い知識が必要だから

福祉用具の営業は、商品に関する幅広い知識が求められます。

福祉用具は車いすや寝台、入浴補助用具やスロープ、移動用リフトの吊り具など実に多くの商品があり、特徴や利用方法はそれぞれ異なります。

当然自社で取り扱うものについては、相手に十分に説明ができるレベルで知識を入れておかなければなりません。

そして利用者さんだけでなく、ご家族に対しても納得してもらえるように説明できる能力が求められます。

またモノだけでなく、定期的に内容が更新される介護保険制度、サービス利用に必要な手続きや安全上の説明義務等についての理解も必要です。

定期的に新商品・新制度の知識をインプットし、常に勉強し続ける姿勢を持つ人でなければ、働き続けるのは難しい仕事でしょう。

体力仕事が多いから

福祉用具の営業は、体力が求められます。

なぜなら営業自らが、利用者さんの家に直接福祉用具を搬入、組み立てすることもあるからです。

福祉用具は電動・特殊ベッドや車いす、入浴装置などいずれも大型で重量があるものばかりです。

状況によってはエレベーターが使えない環境で運ぶこともあり、腰痛になってしまう人もいます。

福祉用具の搬入を外部に委託する企業で働いている場合は、営業が運ばないで良い場合もあります。

しかし営業は肉体労働だけでなく、訪問や出張で連日移動することもあるので、基本的には体力が重要視される仕事です。

給与水準が低いから

福祉用具専門相談員は、給与水準が低く設定されています。

求人ボックス給料ナビによれば、福祉用具専門相談員の仕事の平均年収は約349万円で、月給換算すると29万円です。

国税庁「令和3年 民間給与実態統計調査」では、令和3年における日本の平均年収は443万円でした。

つまり平均年収よりも若干下回っていることがわかります。

さらに厚生労働省の「令和4年 賃金構造基本統計調査」によれば、介護職の平均年収は約362.9万円、月収換算すると約25.6万円です。

福祉用具専門相談員は「介護職員」という位置づけで、一般的な介護職と同じような給与水準となっています。

仕事に対するモチベーションは、給与によっても大きく影響される部分です。

給与水準が低ければ、どれだけやりがいを得ていても、やはりつらいと感じてしまうことが多いでしょう。

ただしインセンティブを設ける企業であれば、成果やノルマ達成など頑張りによって平均年収以上の収入を得ることもできます。

イレギュラー対応に追われることが多いから

福祉用具専門相談員は、イレギュラー対応に追われることが多くきつい部分があります。

障がい者の方や寝たきりの人などは、24時間電動ベッドや床ずれ防止用具といった福祉用具を利用します。

もし福祉用具に不具合があったときは、たとえ営業時間外であっても対応のため訪問しなければならないこともあるでしょう。

ケアマネージャーから急きょ仕事の依頼が来ることもあり、マニュアルどおりに進められずきついと感じる人が多いようです。

人間関係に悩まされることがあるから

人間関係で悩まされることがあるのも、福祉用具の営業ではよくあることでしょう。

契約を結び営業成績を上げるには、相手との信頼構築が欠かせません。

その中で福祉用具の営業は、ケアマネージャーやご利用者さんと関わることが多くあります。

ケアマネージャーはケアプランの作成をしたり利用者さんとご家族の相談対応をしたりする仕事であり、介護サービスの中枢とも言える存在です。

利用者やそのご家族との距離が、非常に近いポジションだとも言えるでしょう。

そのため信頼のおける福祉用具専門相談員でなければ、商品を利用しようとは考えません。

福祉用具専門相談員は、定期的に訪問しなければならない、苦手な相手とも上手く話をしなければならないという部分で、人間関係に疲れてしまうことがある仕事です。

福祉用具の営業だからこその魅力

福祉用具の営業のきつい部分に最初に触れましたが、もちろん次のように福祉用具の営業だからこその魅力もあります。

福祉用具の営業だからこその魅力
  • 利用者さんと家族の不安を解消できる
  • 直接感謝の言葉をもらえる
  • 日々成長を感じられる

利用者さんと家族の不安を解消できる

利用者さんとご家族の不安を取り除ける点は、福祉用具専門相談員だからこその魅力だと言えるでしょう。

福祉用具専門相談員は、福祉用具を販売・貸出して終わりではありません。

利用に関して不安を抱えている高齢者や障がい者の方に向けて、安心・安全に利用いただけるように使い方を丁寧に教えるまでが仕事になります。

また定期的なモニタリング、訪問等により利用者さんが快適に利用いただけるようアフターフォローも必要です。

自立支援と介護負担の軽減に努めることで、利用者さん本人とご家族に安心感を与えることができ、とてもやりがいを感じながら仕事ができるでしょう。

利用者の生活と心を支えることこそが、まさに福祉用具の営業の要と言える部分です。

直接感謝の言葉をもらえる

数ある営業職の中でも、福祉用具専門相談員は、利用者さんから直接感謝の言葉をもらいやすい仕事だと言えるでしょう。

なぜなら福祉用具を通じて利用者本人と直接言葉を交わしたり、その家族とも話をしたりする機会が多いからです。

誰かから「ありがとう」という言葉を直接もらえるのは、仕事をする上で大きなモチベーションとなるでしょう。

また自身が提供する福祉用具をきっかけに、ふさぎこんでいた利用者さんの気持が前向きになる姿を目の当たりにすることもあります。

福祉用具の営業をすれば、自分の行動や働きかけによって利用者さんに良い影響を与えているという実感が、そのままやりがいへとつながっていくでしょう。

日々成長を感じられる

福祉用具専門相談員として働けば、日々自分自身の成長を感じることができるでしょう。

なぜなら契約件数、訪問件数など目に見える目標に向けて仕事に取り組めるからです。

目標を一つ達成するごとに、レベルが上がっていくことをダイレクトに感じられるでしょう。

また仕事を続けていくうちに徐々に専門的な知識が身に付き、ケアマネージャや利用者さんに対して上手な提案ができるようになります。

「成長を実感しながら働きたい」という人なら、福祉用具の営業は働きやすい環境にあると言えるでしょう。

福祉用具の営業が向いている人の特徴

福祉用具の営業が向いている人の特徴は、主に次の4つが考えられます。

福祉用具の営業が向いている人の特徴
  • コミュニケーションをとるのが好きな人
  • 常に学ぶ姿勢がある人
  • 介護業界への関心がある人
  • 体力に自信がある人

コミュニケーションを取るのが好きな人

コミュニケーションを取るのが好きな人は、福祉用具の営業が向いています。

利用者や家族、ケアマネージャーから話を聞き、必要に応じた福祉用具を提案しなければならない仕事だからです。

「話をしながら相手の要望を汲み取る」というのが福祉用具の営業の大事な仕事であり、当然コミュニケーションが必要不可欠となります。

また相手の本音の部分を見るという意味で、深い洞察力も必要です。

洞察力があれば利用者さんの些細な気持ちの変化にも気づけ、状況に応じて最適な福祉用具を提供できるようになります。

福祉用具の営業として活躍するためには、まずコミュニケーションが苦にならないという人が大前提だと言えるでしょう。

常に学ぶ姿勢がある人

常に学び続ける姿勢を持つ人であれば、福祉用具専門相談員として長く働けるでしょう。

福祉・介護は制度や状況が目まぐるしく状況が変化する業界で、福祉用具については新しい技術が続々と登場しています。

自分の中の情報を常に最新へとアップデートしていける人なら、より利用者にとって最適な福祉用具を提案できるでしょう。

学ぶ姿勢がある人であれば、多様なニーズを理解しながら、個々に合わせた福祉用具を提供できるようになります。

介護業界への関心がある人

介護業界への関心がある人は、福祉用具の営業として活躍できるでしょう。

介護業界の現状や抱える問題などについて深い関心があれば、市場やニーズの変化にも敏感になることができます。

そして利用者一人ひとりの状況に合わせた福祉用具の提案ができるようになるでしょう。

間接的に高齢者・障がい者をサポートできる仕事の代表格であり、「介護業界で困っている人の生活を支えたい」という気持ちを持つ人が活躍できます。

体力に自信がある人

体力に自信のある人は、福祉用具専門相談員という働き方が向いているかもしれません。

なぜなら福祉用具の営業は頻繁に訪問や出張があり、ベッドや車いすといった大型で重量のある福祉用具を搬入する業務も多いからです。

日ごろから体力をつけておかなければ、ハードな業務を繰り返すうちに体調を崩してしまうこともあるでしょう。

そのため運動して体を鍛えているような人に、福祉用具の営業は向いています。

転職を検討した方が良いケース

福祉用具専門相談員は感謝されることが多く、日々成長を感じられるという点で魅力のある仕事だと言えるでしょう。

しかし次のような状況であれば、転職を検討した方がいいかもしれません。

転職を検討した方が良い例
  • 毎日「きつい」「つらい」と感じている
  • 現状抱える人間関係が解決しない

毎日「きつい」「つらい」と感じている

福祉用具の営業は体力仕事であり、忙しい日には「きつい」「つらい」と感じることがあるかもしれません。

たしかに仕事である以上、そう思う日もあるかもしれません。

しかし毎日ネガティブな気持ちを抱えているようであれば、転職した方が良いサインが出ている可能性があります。

毎日しんどい気持ちを抱えながら仕事を続けていると、うつ病などの精神疾患を患ってしまい、治療に多くの期間を費やさなければなりません。

「仕事を好きになれない」「毎日辞めたいと思っている」というような状況であれば、心身に負担をかけないよう早めに転職を検討しましょう。

現状抱える人間関係が解決しない

現状抱える人間関係が解決できない人は、早めに転職を検討しましょう。

福祉用具の営業は、社内の人間関係だけでなく、利用者さんとの関係にも悩まされることがあります。

いわれのない言いがかりをつけられたり、理不尽なクレームを言われたりし続けると仕事のパフォーマンスを大きく損ねてしまうでしょう。

社員数の少ない職場、部署異動がない職場では、このような人間関係は改善が進まない傾向にあります。

いくら仕事にやりがいを感じていても、人間関係が劣悪な状態では働き続けるのは難しいので、転職した方が良いでしょう。

転職する前にやっておきたいこと・考えておきたいこと

福祉用具の営業から転職する前にやっておきたいこと・考えておきたいことは、次の4つです。

転職する前にやっておきたいこと・考えておきたいこと
  • 部署異動を願い出てみる
  • ケアマネージャーを目指す
  • 心身のリフレッシュに努める
  • 業務改善の工夫を試みる

部署異動を願い出てみる

働きづらいという気持ちで転職を考えているのなら、部署異動できないかどうかを願い出てみましょう。

「人間関係に悩んでいる」などやむを得ない理由をきちんと伝えれば、部署を変えてもらえて解決に向かうことがあります。

部署異動によって働き方を変えることができるのなら、その後いきいきと働き続けることができるかもしれません。

ケアマネージャーを目指す

「営業はきついけど福祉関係の仕事を続けたい」ということなら、ケアマネージャーを目指すのも一つの手段です。

ケアマネージャーとして働けば、ケアプランの作成や福祉用具貸与事業者の選定など、同じ業界の中で営業とは違った目線で仕事をすることができます。

ケアマネージャーは、ホームヘルパー2級を取得し、福祉用具の実務経験が5年あれば受験可能です。

独学のほか、通信教育やグループ学習などで受験勉強ができます。

これまで福祉用具を取り扱ってきた営業なら知識面でアドバンテージがあるので、次のキャリアとしての選択肢に入れて見ても良いでしょう。

受験資格がない場合は、福祉用具専門相談員ではなく一般の介護スタッフとして働くことを検討してみても良いかもしれません。

心身のリフレッシュに努める

福祉用具の営業がきついと感じたときは、一旦仕事のことを考えずに、心身のリフレッシュに努めるようにしましょう。

ストレッチや軽いジョギングなどの運動はストレス軽減につながりますし、生活習慣の改善も体調が整い気持ちが前向きになります。

また音楽を聞いたり映画を鑑賞したりなど自分の趣味の時間に没頭するのも効果的です。

心身がリフレッシュされると、次の日も頑張ろうという気持ちが生まれ、また働き続けることができます。

業務改善の工夫を試みる

仕事がきついという状況は、業務改善を工夫してみることで解決に向かうことがあります。

業務改善ができれば業務のスピードも上がり、残業時間を減らしながら働くことができるでしょう。

例えば、次のような工夫を用いることで業務改善が進むことがあります。

業務改善が進む工夫
  • To Doリストの作成
  • タスクの優先順位の選定
  • 顧客情報の管理やスケジュール管理を自動化
  • 説明資料で大事な箇所はマーカーを引く
  • ご利用者さんへ説明する手順を示したマニュアルの作成など

仕事量の多さがネックになっている場合は、一度自分の工夫で業務改善ができないのかを考えてみましょう。

福祉用具の営業の将来性

日本の高齢化率は、令和4時点で29.0%となっています。

参考:令和4年度 高齢化の状況および高齢社会対策の実施状況

また後期高齢者である75歳以上は総人口のうち15.5%で、今後も割合は伸び続けることが予測されています。

後期高齢者社会が訪れているにも関わらず、介護業界では人手が不足しており、福祉用具専門相談員のニーズも年々増加傾向にあります。

また介護保険制度において、福祉用具を取り扱う場合は福祉用具専門相談員2名以上の配置が義務化されています。

このように需要の高い仕事である以上、働き続ければ給与面も期待できるでしょう。

また事務作業がAIに代わることは予想されますが、営業の仕事は人の手でしかできない性質があり、今後しばらくは需要が絶えることはありません。

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

福祉用具の営業は、ノルマが課せられている、体力が必要という点できつい部分もたしかにあります。

しかし直接感謝の言葉がもらえる、日々成長が感じられているという部分で非常にやりがいのある仕事です。

そして今後も需要が絶えることはない仕事なので、現在営業として働いている方は頑張り続けることも選択肢の一つでしょう。

しかし人間関係が改善されないという問題を抱えている場合は、転職を検討してみても良いかもしれません。

現状を確認しながら、今一度ご自身のキャリアについて考えてみてください。

今回の記事が、転職活動をしている方の参考になれば幸いです。

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