
キャリアチェンジとは?未経験OK!異業種転職の定義から成功のコツまで完全ガイド
「今の仕事を変えたい」
「違う業界に挑戦してみたい」
こうした思いを抱いたことはありませんか?
このような職業人生の大きな転換を「キャリアチェンジ」と呼びます。
キャリアチェンジは単なる転職とは異なり、今までとは違う業界や職種へと挑戦することを意味します。
自分の経験とは異なる分野への転身を考えたとき、多くの人が「自分の年齢で可能なのだろうか」「これまでの経験が無駄になるのではないか」という不安を抱えるものです。
日本の労働市場では「一つの会社で定年まで」という従来の価値観が変化しつつあり、キャリアパスの多様化が進んでいます。
転職サイトの調査によれば、異業種・異職種への転職を検討する人は年々増加傾向にあります。
キャリアチェンジは確かに勇気のいる決断ですが、適切な準備と戦略によって、未経験の業界でも新たな可能性を見出すことができます。
本記事では、キャリアチェンジの定義から具体的な進め方、年代別のキャリアチェンジまで解説します。
これから転職を考えている方、とくに異業種への転職に関心をお持ちの方は本記事を参考にして、転職活動にのぞんでください。
キャリアチェンジとは
キャリアチェンジとは、単なる転職とは異なり、今までとは違う業界・職種・役割へと職業人生の軸を大きく転換させることを指します。
これは単に会社を変えるだけでなく、自分のキャリアの方向性そのものを見直し、新たな分野でスキルや経験を積み上げていく選択です。
キャリアチェンジには大きく分けて「業界転換型」「職種転換型」「役割転換型」の3つのパターンがあり、それぞれ必要な準備や難易度が異なります。
また、似た概念として「キャリアアップ」がありますが、これは現在の専門性や役割を発展させるものであり、キャリアチェンジとは本質的に異なります。
業界転換型
業界転換型のキャリアチェンジは、活躍する業界そのものを変更するパターンです。
たとえば、教育業界から製造業へ、金融業界からIT業界へといった大きな変化を指します。
このタイプのキャリアチェンジは、業界特有の知識やネットワークを一から構築する必要があるため、最も大きな挑戦となります。
業界転換を成功させるためには、移行先の業界に関する深い理解が不可欠です。
業界の動向、主要プレイヤー、ビジネスモデル、将来性などを徹底的にリサーチすることで、面接時の説得力が増すだけでなく、自分自身の適性も見極められます。
業界は変わっても、これまでのキャリアで培った「転用可能なスキル」を見出し、アピールすることが重要です。
職種転換型
職種転換型のキャリアチェンジは、同じ業界内で担当する職種を変更するパターンです。
たとえば、IT企業のカスタマーサポートからエンジニアへ、製造業の営業から商品企画へといった転換が該当します。
業界の知識やネットワークは維持したまま、新たな専門スキルを習得する必要があります。
このタイプのキャリアチェンジは比較的取り組みやすく、多くの企業が社内公募や部署異動の制度を設けています。
社内でのキャリアチェンジであれば、会社の文化や商品・サービスへの理解がすでにあるため、新しい職種への適応に専念できるメリットがあります。
転職による職種転換においては、前職で得た知見や視点がどのように新しい職種で価値を生み出せるかを明確に言語化することが成功への近道です。
役割転換型
役割転換型のキャリアチェンジは、業界や職種は同じでも、組織内での役割や立場を大きく変える選択です。
たとえば、チームメンバーからマネージャーへの昇進、専門職からプロジェクトリーダーへの移行、プレイヤーからマネジメント層への転換などが該当します。
このキャリアチェンジでは、技術的なスキルよりも、リーダーシップ、コミュニケーション能力、戦略的思考力などのソフトスキルが重視されます。
自分の強みを理解し、組織やチームにどのような価値を提供できるかを明確にすることが重要です。
転職による役割転換においては、自分の適性や仕事から得る満足感の源泉を再考することが不可欠です。
自己理解に基づかない役割転換は、強いストレスや環境への不適応を招く恐れがあるため、注意が必要です。
キャリアアップとの違い
キャリアチェンジとキャリアアップは、しばしば混同されますが、本質的に異なる概念です。
キャリアアップは現在の専門性や経験を基盤として、より高度な役割や責任を担うことでキャリアを発展させる道筋を指します。
一方、キャリアチェンジは方向性そのものを変更する選択です。
具体例で見ると、ITシステムの営業からITコンサルタントへの転身はキャリアアップの一例です。
営業で培った製品知識や顧客理解を土台に、より戦略的なアドバイザリー役割へと進化させています。
また、飲食店の店長からエリアマネージャーやスーパーバイザーへの昇進も、同じ軸での成長を意味します。
対照的に、福祉施設の介護士から人材業界の営業へ、または同じ会社内でも経理部から営業部への異動は、キャリアチェンジに該当します。
これらは「今までとは異なる知識やスキルセット」を必要とする変化なのです。
キャリアチェンジを検討する際は、単なる環境変化を求めているのか、それとも本当に新しい分野での成長を望んでいるのかを見極めることが大切です。
キャリアチェンジの動機として「今の仕事に価値を感じない」「収入の頭打ち」などネガティブな要因が多く挙げられますが、これらは必ずしも悪いことではありません。
むしろ、自分の市場価値を高める戦略的な選択となり得ます。
キャリアチェンジのメリット
キャリアチェンジをすることの最大のメリットは、新しい機会に出会えることです。
経験したことのない職業や業界に進むことで、今まで気付けなかった自分の価値を引き出せる可能性もあり、挑戦と成長の機会が広がります。
転職のきっかけがネガティブな理由だったとしても、キャリアチェンジ後は無限大の可能性が広がっています。
具体的には次の2つがメリットです。
希望する業界で新たな挑戦ができる
転職をしてキャリアチェンジをすれば、希望している業界で働くことができます。
今まで通ってこなかった業界に入ることで覚えることはたくさんありますが、新鮮味を感じながら働くことはとてもワクワクすることでしょう。
また、今の仕事に何かしらのネガティブ要素を感じている方の中には、本来行きたかった業界とは違う業界で働いている方も多くいると思います。
就活で第一志望の面接に落ちてしまったり、学歴フィルターにより書類選考に通らなかった経験を持っている方は、妥協して今の会社に入ったという背景もあるでしょう。
そんな過去があっても、ある程度社会経験を積めば中途採用枠というチャンスがあります。
新卒時に別の道を歩んだとしても、希望していた業界に再チャレンジすることに遅いということはありません。
キャリアチェンジをすることは、自分の人生を好転させることが期待できるのです。
自分の可能性が広がる
キャリアチェンジをして新しい知識をつけることで、今まで気づかなかった新たな自分に出会うことができます。
経験したことのない仕事にチャレンジすることで、実は得意分野だったことや性格的に新たな一面を見つけることができるので、キャリアチェンジ直後は新しい自分を見つけられる楽しい毎日を送れることでしょう。
また、キャリアチェンジをした業界が本当に自分に合っているなら、それを主軸にキャリアアップすることも可能です。
例えば、不動産業界の営業へ転職をしたとしたら、土地活用のコンサルティングや宅建士になることでキャリアアップができます。
キャリアチェンジをして一から仕事を覚えることは大変ではありますが、長い将来を考えるとポジティブにとらえて良いでしょう。
キャリアチェンジのデメリット
キャリアチェンジのメリットがある反面、デメリットもあります。
未経験からスタートし直すわけなので、待遇面が下がる可能性があることについては特に注意したいところです。
ただし、それは転職をしてから最初の数ヶ月〜1年程度の話です。
入社直後に多くを求めすぎてしまうと「やっぱり転職しなければよかった」と後悔してしまうので、デメリットについても念頭において心の準備をしておくことをおすすめします。
年収が下がる可能性がある
転職をしてキャリアチェンジするということは、未経験からスタートすることになります。
そのため、年収が今より下がってしまうことも想定されます。
もし今の給与額がこれまで育ててきたスキルや資格による昇給が加えられた額であれば、その評価は新しい職場だとゼロになると考えた方が良いでしょう。
新しい業界でも役立つスキルを持っているのであれば別ですが、キャリアチェンジのほとんどはゼロベースからスキルを習得する必要があることは覚悟しておいた方がベターです。
転職後にもらえる給与額の目安は、基本的には求人募集要項に記載の給与額であると考えた方が良いでしょう。
今までの経験が全く役に立たない可能性もある
もし今の職業で技術や資格などを取得していたとしても、新しい職場が異業種なのであれば、そのスキルを役立てられるシーンはほとんどないに等しいです。
これはとくに専門職に従事していた人にはもったいないと感じることかもしれません。
難しい技術を努力して習得しても、今後また同じ業界に戻らない限りはお蔵入りになってしまうので当然です。
もしその技術を活かしたいというのであれば、無理にキャリアチェンジをするのではなく、同業他社へキャリアアップ転職をすることをおすすめします。
職場環境が変わることで新たな価値を見出せるかもしれないので、何を優先したいかを決めた状態で転職活動をしましょう。
キャリアチェンジした人によくある失敗事例
ここからはキャリアチェンジをした人がよくする失敗事例についてご紹介します。
キャリアチェンジは働くことをポジティブにするきっかけでもありますが、しっかりと考えた上で行動をしないと取り返しのつかないことになります。
たまに「今の仕事が嫌で勢いで会社を辞めてしまったからキャリアチェンジしたい」という方もいますが、考えもなしに転職活動をすると想像以上に採用への道のりが長くなってしまいます。
なぜ転職してキャリアチェンジをしたいのかを言語化して、明確に「やりたい」という気持ちが現れているのなら行動すべきですが、感情的な理由による転職は入社後にもギャップを抱えたままの状態で働くことになるでしょう。
このように、キャリアチェンジで入社後に「やっぱり違うかも」という気持ちが芽生えてしまう要因は、主に次の2つです。
プライドが高すぎて頭でっかちになりすぎる
ある程度社会人経験の長い人は、今まで従事してきた仕事に対するプライドを持っていることでしょう。
しかし、前段でもお伝えした通りキャリアチェンジによる転職は今までのスキルを活かせるシーンがほとんどありません。
ゼロからのスタートであるため、むしろ叱られることも多くなるでしょう。
プライドが高いと、些細なことで指摘をされたときに落ち込んだりカチンときてしまったりもします。
これが続くと自分自身がもどかしく感じられますし、周りにも良い影響を与えません。
キャリアチェンジによる転職をするときは、必ず頭の片隅に「自分は新人だから仕方ない」ということをおいて初心にかえるスタンスでいましょう。
憧れだけで入社してしまった
「隣の芝は青く見える」ということわざがあるように、今いる環境と違う業界はよく見えてしまうものです。
それが憧れに変わり、「この業界に行きたい」というポジティブな気持ちを持つことは大事ですが、その業界の理解を深めないまま憧れだけで入社してしまうと後悔しがちです。
どんな仕事でも大変な一面はあり、決して楽ではありません。
憧れている業界は良い一面しか見えていないことが多いので、転職前にはしっかりと業界分析をしておいた方が安心です。
業界分析の方法についてはこの後の項で説明するので、ぜひ確認した上で進めてみてください。
キャリアチェンジを成功させるコツ
キャリアチェンジはリスクや後悔しがちな側面もありますが、進め方次第では成功率をぐんとアップさせることが可能です。
その方法は、少し多いですがこの7つです。
ポン
- 徹底した業界分析をすること
- 自己分析をして自己理解を高めること
- その業界に行きたい理由を紐解くこと
- 求人情報だけでは確認できないことを調べておくこと
- 技術やスキル以外のアピールポイントを持っておくこと
- 転職エージェントに相談しながら進めること
- 転職前にできる限り資格取得をしておくこと
上記7つの方法について、次より細かく解説します。
業界分析を徹底する
業界分析は、対象の業界についてあらゆる方法で情報を取っていくことを指します。
自分が今いる業界以外のことは、深い部分まで把握することができません。
そのため、表面上の情報だけで憧れを持ってしまい、せっかく入社できても「思っていた環境と違う」とギャップを感じて後悔してしまいます。
業界分析の方法としては、次の3つが効率的です。
- 対象の業界のトップ企業のホームページを見ておおよその仕事内容を理解する
- ビジネス系ニュースサイトで対象の業界に関する時事ネタを読んでおく
- 知り合いの中に業界人がいればプラス面・マイナス面の両面を聞いておく
とくに注目して見ておきたいところが、その業界の仕事のマイナス面です。
例えば、残業が多い傾向にあるのか?離職率はどのくらいか?学ぶべき情報の多さはどうか?今後も価値が向上し続ける業界か?など。
マイナス面を知っておけば入社後に感じるギャップが少なくて済みますので、求人情報を見ただけではわからない部分を細かく探っていきましょう。
自己分析をする
自己分析は、転職活動を円滑に進めてくれる重要な要素です。
なぜなら、自己理解を深めた状態でないと本当に自分が進むべき道がどこなのかがわからないからです。
キャリアチェンジの場合はとくに自己理解の深さが重要で、自分の思考性を知っておかないとキャリアチェンジ自体が正しい選択なのかどうかも判断がつきません。
冷静になって自己分析をしておけば、本当に行きたい業界なのか?一時的な憧れによる気持ちなのか?を整理することができます。
なお、自己分析の方法として最も簡単にできる方法は、大手転職サイトなどで展開されている自己分析ワークです。
基本的には無料で使えるので、気軽に試してみましょう。
ただし、インターネット上のサービスだと自己分析結果の保存ができない可能性があるので、メモを用意した上で進めることをおすすめします。
また、以前のコラム記事「【既卒者】自己分析で大切なこと!具体的なやり方やおすすめのツールを徹底解説」ではもっと具体的な自己分析方法をまとめているので、ぜひお読みください。
なぜその業界に行きたいのかを言語化しておく
なぜキャリアチェンジをしてまでその業界に行きたいのかを言語化しておけば、本当に転職をしても良いのかの判断材料にすることができます。
言語化できないようであれば、もう少し深く自分に問い詰めて冷静に考えた方が良いです。
また、行きたい理由を言語化しておくことで、転職活動における書類作成や面接時に有利に働きます。
キャリアチェンジの場合、高確率で面接時に異業種への転職の理由を問われます。
このときに抽象的な回答しかできないと、面接官にも「憧れでだけで応募しているな」と思われてしまい、不採用になる確率も上がってしまいます。
言語化するポイントとしては、まず行きたいと思ったきっかけを書き出してみること。
そして将来その業界でどんな人間になっていたいかを書き出しておくことです。
こうすることで、きっかけから将来というゴールに向かって歩む道筋が見えてくるので、その段階でなぜその企業に応募したのかを具体的に話すことができます。
求人情報だけでは確認できない環境面を確認しておく
転職先探しで見るべきポイントとして、求人情報だけではなく社員の口コミサイトなどを確認して労働環境面も調べておくことをおすすめします。
求人広告や求人サイトに載っている情報の多くは、その会社で働くメリットややりがいなどポジティブな要項のみです。
求人情報というものは、ある意味会社を求職者へアピールするツールなので、マイナス要素はほとんど載っていないのです。
とくに環境面については現場で働く社員しかわからないことが多いので、表面化されていないことも少なくありません。
以下の項目はとくに確認しておきたいところです。
ポン
- 繁忙期がいつか
- 繁忙期にはどのくらいの残業があるか
- 毎年もらえる賞与に変動はないか
- 育休は取りやすい環境か
- 人間関係でギクシャクしているところはないか
- きつい上司はいないか
これらの内面的な部分は求人情報に載せることではありませんので、社員の口コミサイトや実際に働く人が知人にいれば質問してみましょう。
業界スキル以外にアピールできる部分を見つけておく
キャリアチェンジによる転職だとスキルを武器に転職活動をすることができず、会社にアピールできるポイントがほとんどありません。
そこで、スキル以外の魅力をアピールする必要があるのです。
例えば、自己分析をした結果でわかった自身の強みや、それを今までの職場でどう活かしてきたかの具体的なエピソードです。
それがなぜ新しい環境で活かせるのかも言語化できると良いでしょう。
以下の具体例のようなアピールポイントが言えるとベストです。
- 自身の強みは計画性を持って行動することで、前職でも納期に遅れたことはありません。御社の業務はお客様に対する◯◯の継続的な提案と存じておりますので、スケジュールを遅らせることなく円滑に進めることができると思っております。
このように、スキル以外の価値を武器に具体的な自己PRをするために、前段で説明した自己分析をする必要があるのです。
転職が初めての方は長々と説明することに不安を感じるかもしれませんが、あらかじめ文章にしておけば面接対策にもなるのでおすすめです。
転職エージェントに相談する
キャリアチェンジはキャリアアップ転職よりも難しいと言われているため、転職のプロである転職エージェントに相談することもおすすめです。
転職エージェントは数々の会社と人を結び付けてきた、いわば転職における仲介役のような存在です。
そのため、行きたい業界のスキルがない人がスムーズに転職できるよう、その人と相性の良い会社を紹介してくれます。
また、転職エージェントは求人紹介だけでなく、履歴書や職務経歴書などのレジュメ作成から面接対策までサポートしてくれます。
キャリアチェンジという少しハードルの高い転職活動でも、プロならではのノウハウを伝授してくれるので、とくに転職が初めての人におすすめです。
今取れる資格はとっておく
行きたい業界が専門的なスキルが必要な業界であってもなくても、その業界で役立つ資格が何十時間も勉強する必要があるものでなければ、早めに取っておくことをおすすめします。
参考までに、各業界で役立つ資格のうち比較的取得しやすい資格をご案内します。
- ITパスポート
- Webデザイン技能検定
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 販売士
- 登録販売者
- ネイリスト技能検定
- 日商簿記
- ビジネス実務法務検定3級
- Excel表計算処理技能試験
- 医療事務
- Excel表計算処理技能試験
これらの資格を転職前に取得した実績がわかれば、その業界に本当に入りたい気持ちが面接官にも伝わり好印象を残すことができるでしょう。
在職中の方は無理に時間を作ってまで勉強する必要はないので、スキマ時間で勉強できる資格から優先的に進めてみることをおすすめします。
キャリアチェンジのタイミング
キャリアチェンジによる転職の成功率は、年代ごとに大きく異なる傾向にあります。
20代よりも30代の方が難しいですし、30代よりも40代の方が難しいという相場です。
なぜなら、キャリアチェンジによる転職者=未経験者というわけなので、のびしろがある若年層の方が採用されやすいからです。
30代や40代ともなると長い社会人経験を持っているため、即戦力として求められている傾向にあるのです。
とはいえ、年齢が高いからといってキャリアチェンジに失敗するということではありません。
年代別の難易度に応じた対策を取れば、キャリアチェンジ転職でも成功する確率は上がります。
20代のキャリアチェンジ
20代は最もキャリアチェンジがしやすい年齢層です。
経験やスキルがなくてもポテンシャルの高ささえあれば、入社後に徐々に成長していけるのびしろが大きいからです。
20代の場合は、このポテンシャルや性格的な側面をアピールして転職活動をすると良いでしょう。
例えば「幼少期にこの業界に入ることが夢でしたが、残念ながら大学在学中の就活ではご縁がなく、今回再チャレンジしたいと思い入社しました」など、熱意を込めて具体的なストーリーを添えると伝わりやすいです。
また、未経験OKの求人案件の大多数が若年層を求めています。
そのため、20代ならまだまだ選び放題とも言えるでしょう。
しかし、その好条件な環境が仇となるケースもあります。
それは、業界分析を怠った状態で転職活動をしてしまうことです。
20代の未経験転職は選び放題な市場がゆえに、「選ばなければどこでも入れる」という環境。
だからこそ転職活動のプロセスを怠ってしまうこともあります。
入って後悔しないかどうかを見極めるためにも、業界分析やその企業の情報を徹底的に調べておくべきです。
30代のキャリアチェンジ
30代は前半か後半かでキャリアチェンジの成功率に差が出ます。
30代前半であれば、ある程度のビジネススキルと年齢的なのびしろが考慮されて採用確率が上がりますが、30代後半はのびしろの部分を懸念する会社も少なくありません。
年齢的な部分をネックにしないためには、どういう能力を持っていて、それをどう活かせるのかを具体的にアピールする方法が得策です。
業種や業界問わず、30代のビジネスパーソンに求められるスキルは以下のようなスキルが挙げられます。
- 交渉力
- コミュニケーション能力
- 企画・提案力
- 課題・分析力
- マネジメント力
とくに目を引くスキルはマネジメント力です。
マネジメントする立場になったことがあれば、前職でも評価されていた人ということに結びつくので、良い印象を与えられることでしょう。
40代のキャリアチェンジ
40代のキャリアチェンジは、20代や30代に比べるとハードルがぐんと上がります。
とくに全く未経験の業界だと難しいと考えた方が良さそうです。
40代が最も効率的にキャリアチェンジをするには、現職と同業界の他職種へ転職をすることがおすすめです。
例えば、アパレル販売職から営業職へ転職をしたいとした場合、アパレル業界の卸売営業などが該当します。
アパレル業界での転職であれば、トレンドや流通に関する知識を持ったままキャリアチェンジができるので、転職しても活かせる事は多いでしょう。
なお、どうしても行きたい業界が今の業界と異なる場合は、転職前に資格を取得しておいたり副業などで少しずつ実績をつけたりと、今の業務と同時並行で少しずつ進んでいくと良いでしょう。
業界別キャリアチェンジガイド
キャリアチェンジを検討する際、どの業界・職種に進むべきか迷われる方も多いでしょう。
年代によって難易度は異なりますが、適切な対策と準備があれば年齢に関わらず新たなキャリアを築くことは可能です。
ここでは、人気の高い業界・職種へのキャリアチェンジについて、特徴や必要なスキル、給与水準などの情報を紹介します。
営業職へのキャリアチェンジ
営業職は業界や企業を問わず常に需要のある職種であり、キャリアチェンジの選択肢として検討される方も多いです。
未経験からでも挑戦しやすく、コミュニケーション能力や前職での経験を活かせる可能性が高いのが魅力です。
とくに、自分の強みや興味のある業界・商材の営業職を選ぶことで、スムーズな適応が期待できます。
ただし、営業職は成果主義の傾向が強いため、実績を出す覚悟と粘り強さが求められることを理解しておきましょう。
職種の特徴
営業職の最大の特徴は、企業の収益に直結する「顔」としての役割を担うことです。
顧客のニーズを理解し、自社の商品やサービスを提案して契約を獲得することが主な業務となります。
営業スタイルは大きく分けて「ルート営業」と「新規開拓営業」の二つがあります。
ルート営業は既存顧客との関係維持や追加提案を行うもので、新規開拓営業は文字通り新しい顧客を獲得するものです。
前者は安定性があり、後者はよりチャレンジングな環境と言えるでしょう。
また、法人向け営業(BtoB)と個人向け営業(BtoC)でも営業スタイルは大きく異なります。
法人向け営業では提案から成約までの期間が長く、専門知識や交渉力が求められる傾向があります。
一方、個人向け営業はより短期的な成果を求められることが多く、瞬発力や説得力が重視されます。
どちらの営業スタイルも、顧客との信頼関係構築を基盤としている点は共通しています。
この信頼関係こそが、営業職の醍醐味であり、長期的な成功につながる要素といえるでしょう。
給与水準
dodaの「2024年版 平均年収ランキング」によると、営業職の全体平均年収は469万円です。
本調査の対象となった60万人のデータの年収中央値は、380万円ですので、中央値よりも高いことがわかります。
さらに、営業職の中でも男女で分類すると、男性は501万円、女性は403万円です。
いずれも中央値よりも高い給与水準であることがわかります。
必要なスキル
- 傾聴力
- 状況に応じた対応力)
- 自社商品・サービスへの深い理解と業界知識
- 説得力のあるプレゼンテーション能力
- 自己管理能力
- 目標達成への強い意志と粘り強さ
- 基本的なビジネスマナーと対人スキル
事務職へのキャリアチェンジ
事務職は安定性を求める方や、ワークライフバランスを重視する方にとって魅力的な選択肢です。
比較的規則正しい勤務時間と明確な業務範囲が特徴で、PC操作スキルや事務処理能力を活かしやすい職種といえます。
事務職は一般事務、営業事務、貿易事務、医療事務など様々な種類があり、自分の適性や希望に合わせた選択が可能です。
とくに専門分野の知識を持っている方は、その分野に関連した事務職へのキャリアチェンジがスムーズに進む可能性が高いでしょう。
転職市場では常に一定の需要がある職種ですが、競争も激しいため、差別化できるスキルの獲得が重要です。
職種の特徴
事務職は企業の円滑な業務運営を支える縁の下の力持ちとして、重要な役割を担っています。
一般的な業務内容には、データ入力や資料作成、電話応対、来客対応、スケジュール管理、ファイリングなどがあります。
一見すると地味に思える作業も、正確性と効率性が求められ、組織全体の生産性に大きく影響します。
事務職は「裏方」と思われがちですが、実際には社内外の様々な部門や人と連携する「ハブ」的な役割を果たしているのです。
さらに、事務職は下記のように大きく分けることができます。
・一般事務
幅広い業務を担当するジェネラリスト的な立場
・営業事務
業部門のサポートに特化
・経理事務
請求書発行や入出金管理などの財務関連業務
・貿易事務
輸出入に関する書類作成や手続きを担当
・医療事務
病院での受付や保険請求業務
専門的な事務職では、それぞれ固有の知識やスキルが必要となりますが、基本的な事務処理能力はどの分野でも共通して求められます。
業務の明確さと安定した勤務環境が、事務職の大きな魅力といえるでしょう。
給与水準
dodaの「2024年版 平均年収ランキング」によると、事務職の全体平均年収は350万円です。
年収中央値は380万円であるため、事務職は中央値より低いことがわかります。<\span>
さらに、男女で分類して事務職の平均年収をみていくと、男性は413万円、女性は335万円です。
男女で80万円近く年収に差がでていることがわかります。
とくに女性の事務職は年収が低いことがネックに感じますが、専門性を高めることで年収をあげることは可能です。
必要なスキル
- PCの基本的なスキル(Microsoft Office:Word、Excel、PowerPoint)
- クラウドツールの操作スキル(Google Workspace、Chatworkなど)
- コミュニケーション能力
- 基本的なビジネスマナー
- タイピングスキル
- ファイリングなどの文書管理能力
- 専門分野のスキル(例:貿易事務なら英語力、医療事務なら医療知識など)
IT業界へのキャリアチェンジ
IT業界は急速な成長を続け、人材ニーズも高い業界として、キャリアチェンジ先として高い人気を誇っています。
とくに近年はAIやDXの進展により、より多様な人材を求め、異業種からの転職者も採用される傾向が高いです。
IT業界の魅力は高い給与水準や将来性だけでなく、リモートワークなど柔軟な働き方が実現しやすい点も挙げられます。
ただし、常に新しい技術や知識を学び続ける必要があり、継続的な自己研鑽が求められる業界でもあります。
プログラミングスクールや資格取得など、事前準備をしっかりおこなうことで未経験からでも十分にチャンスをつかむことができるでしょう。
職種の特徴
IT業界には技術開発だけでなく、ビジネスの成功を支える様々な職種が存在します。
それぞれが独自の専門性を持ち、業界の発展に貢献しています。
たとえばIT営業は、企業のIT課題を理解し、適切なソリューションを提案・販売します。
顧客との信頼関係構築が重要で、技術を顧客のビジネス価値に変換する役割を担います。
ITマーケターは、IT製品やサービスの市場分析や販促戦略を立案・実行します。
デジタルマーケティングのスキルを活かし、複雑な技術の魅力を市場に伝える橋渡し役を果たします。
ITコンサルタントは、クライアント企業の課題を分析し、最適なIT戦略や解決策を提案します。
ビジネス目標の達成を技術で支援する戦略的アドバイザーとしての役割を持ちます。
他にも顧客がIT製品やサービスを最大限活用できるよう支援するカスタマーサクセス、マニュアルやヘルプドキュメントなどの技術文書を作成するテクニカルライター、使いやすさと視覚的魅力を兼ね備えたデジタル体験を設計するUI/UXデザイナーなどがあります。
IT業界は常に進化し続けており、これらの職種にも新しい専門性が次々と生まれています。
技術の変化に対応しながらも、人間同士のコミュニケーションや創造性が重視される点は変わりません。
多様な視点やバックグラウンドを持つ人材が、それぞれの強みを活かして活躍できる業界といえるでしょう。
給与水準
dodaの「2024年版 平均年収ランキング」によると、IT業界(IT/通信)の全体平均年収は460万円です。
年収中央値は380万円ですので、中央値よりも給与水準が高い業界であることがわかります。
さらに、IT業界の中でも男女で分類すると、男性は493万円、女性は406万円です。
男女差が大きい職種であるものの、いずれにしても平均年収は中央値を超えています。
IT業界の中でもとくにITコンサルティングの職種は平均年収が高い傾向です。
必要なスキル
- インフラ・ネットワークに関する知識
- システム設計能力
- 論理的思考力と問題解決能力
- チームでの協働能力
- 常に新しい技術に対応する姿勢
- コミュニケーション能力
- 企業が提供するIT領域の知識
キャリアチェンジの流れ
最後に、キャリアチェンジの流れについてご説明します。
冒頭で説明した通り、キャリアチェンジは転職するか社内転職するかの二択です。
どちらで進めていくべきかも含め、それぞれの流れを説明します。
社内転属が可能な場合
なりたい職業があって、今の会社でも叶うようであれば社内転職という形でキャリアチェンジをすることをおすすめします。
なぜなら、同じ会社内であれば今の給与水準を保ったままキャリアチェンジできる可能性が高いからです。
転職をしてキャリアチェンジをした場合のほとんどは年収が下がることを覚悟したおいた方が良いですが、今の会社であればご自身の努力や辿ってきたキャリアを知ってもらえているため、ベースを落とさずにキャリアチェンジできます。
転職してキャリアチェンジをする場合
転職によるキャリアチェンジで最もおすすめな転職方法は、転職エージェントに求人紹介をしてもらうことです。
転職エージェントは会社と人の相性も見ながら転職先を紹介してくれるので、スキル以外を武器にできる案件がたくさんあります。
さらに、その会社の採用傾向や面接対策までサポートしてくれるので、戦略的にキャリアチェンジをすることもできます。
また、キャリアチェンジをすることで年収が下がりやすい傾向にはありますが、転職エージェントはスキルに見合った給与交渉もしてくれます。
自分で給与交渉する事はなかなかハードルが高い行動なので、こうしたセンシティブな面までサポートしてくれればとても心強いでしょう。
よくある質問
キャリアチェンジを考える際に多くの方が抱く疑問について説明します。
必要な準備期間はどれくらいか
キャリアチェンジに必要な準備期間は目指す業界や職種によって異なりますが、一般的には3〜6ヶ月が目安です。
専門性の高い業界への転身では、さらに長い期間が必要になることもあります。
最近は「パラレルキャリア」という形で、本業をこなしながら副業や趣味を通じて新しい分野のスキルを磨き、徐々に移行していくアプローチも増えています。
自分のペースで着実に準備を進めることが成功への近道です。
いつが最適なタイミングか
キャリアチェンジの最適なタイミングは、十分な情報収集と心の準備ができたときです。
市場の動向と個人の状況、両方を考慮する必要があります。
多くの企業は4月と10月に採用を強化する傾向があるため、その2〜3ヶ月前から動き出すと良いでしょう。
IT業界など人材需要の高い分野では年間を通じて採用が行われていますが、年度始めや大型プロジェクト開始前はとくにチャンスが多い時期です。
転職者自身の目線で考慮すると、現在の仕事で一定の成果を出し、自信を持って次のステップに進める状態が理想的です。
ライフイベントとの兼ね合いも重要な要素といえるでしょう。
ただし、完璧なタイミングを待ちすぎるとチャンスを逃すこともあるため、準備がある程度整ったら行動に移すことをおすすめします。
収入面での不安はどう対処すればいいか
キャリアチェンジでは一時的な収入減少が生じることもありますが、いくつかの対策で不安を軽減できます。
まず、貯金です。
転職期間や万が一の生活費を確保しておくことで、精神的にも余裕を持って転職活動に臨むことができます。
次に、転職先企業の給与体系や昇給制度を事前に調査することが大切です。
初任給は下がっても成長産業であれば数年後には現在以上の収入が見込めることも少なくありません。
一時的な収入減少は将来への投資と捉え、長期的なキャリア形成の視点で考えることが大切です。
まとめ
キャリアチェンジは未経験分野への挑戦という側面から見れば確かに容易ではありません。
新たな知識やスキルの習得には時間と労力を要しますが、その先にある可能性と充実感は、一時的な困難をはるかに上回る価値があります。
キャリアチェンジそのものは人生の新章を開く大きな転機となり、自己実現への重要なステップとなるでしょう。
準備期間やタイミング、収入面での不安は誰もが抱える課題ですが、適切な計画と心構えがあれば乗り越えられるものです。
心に留めておくべきは、年齢を重ねるほどキャリアの転換には様々な障壁が増えていくという現実です。
もしもキャリアチェンジを少しでも検討している方は、一歩を踏み出す勇気を持つことが、未来の自分への最高の投資になるのではないでしょうか。
「いつか」ではなく「今」行動することで、新たな可能性の扉が開かれます。
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