ソリューション営業とは?業務の流れや営業時のポイントなど徹底解説!
はじめに
数多くの種類が存在する営業職の中には、ソリューション営業というものもあります。
しかし、一般的な営業職と比べて、耳なじみのない単語だと感じる人も少なくないでしょう。
ソリューション営業は、ほかの営業と比べて何が違うのでしょうか。
この記事では、そんなソリューション営業について、業務内容や求められる背景など基礎的な知識を解説しています。
ソリューション営業についてくわしく知りたい、営業職について理解を深めたい人はぜひ読んで参考にしてください。
【ソリューション営業の基礎知識】ソリューション営業とは?
ソリューションとは、いくつか意味があるものの、ビジネス分野においては、問題の解決方法を指す英単語です。
ソリューション営業は、簡単に言うならば、問題を解決するための営業ということになります。
顧客とのコミュニケーションを通して、顧客が自覚している問題のほかに潜在的な課題やニーズも発見し、その解決につながる提案をする仕事です。
営業職であるため自社の商品やサービスを売ることも大切ですが、同じくらい顧客の抱える課題を解決するのが重要な任務になります。
まずは潜在顧客が自覚している課題や、解決したい問題から自社の商品に興味を持ってもらい、相手のほうからアクションがあった場合にあらためてアプローチをかけるため、プル型営業に分類されます。
【ソリューション営業の基礎知識】なぜソリューション営業が求められるのか
顧客の問題解決に主眼を置いたソリューション営業は、近年注目を集めています。
それでは、なぜ今ソリューション営業が求められているのでしょうか。
その背景には、技術の革新や情報化による消費者の価値観の多様化といったポイントがあります。
市場の潮流が目まぐるしく変化する現代だからこそ、顧客と一緒に、一丸となって問題解決に取り組むソリューション営業が必要なのです。
今回は、そんなソリューション営業が求められている理由を2つご紹介します。
ニーズの把握ができない
ソリューション営業が求められる理由として、顧客自身が自分の求めているものを把握できていない、というものがあります。
IT技術の発達により、市場で扱われている情報は膨大なものとなりました。
その中で、一企業が取り扱う情報量も以前と比べて多くなり、その処理に追われるばかりで、何を課題として解決に取り組んだら良いのかがわかりにくい時代に変化しています。
そこで課題の解決へ着手する前に、顧客自身が自らの抱えるニーズに気づけるよう、営業側から働きかけることが求められているのです。
商品の差別化が難しい
もう1つ、ソリューション営業が求められている理由に商品の差別化が難しいというものがあります。
社会全体の情報化にともなって、活発にさまざまな情報がやり取りされるようになったことで、消費者の価値観は多様化しました。
それと合わせるように、企業は日々多種多様な商品の開発を行っています。
しかし、技術の発達と共に開発スピードが高まり、次から次へと新商品が出るため、他社との差別化が難しくなっているのです。
差別化をはかるためには、自社の商品の強みや、いかなる場面でどのように活用できるのかまで理解したうえで、マーケティングに臨まなくてはなりません。
それを解決する存在が、ソリューション営業なのです。
【ソリューション営業の基礎知識】ソリューション営業はどの業界で採用されている?
ソリューション営業が求められる背景についてはわかりました。
それでは、実際にソリューション営業はどのような業界で採用されているのでしょうか。
ソリューション営業は顧客と密接に関わり、相手の悩みや課題を解決する手段として、自社の商品やサービスを提供できる企業によって取り入れられつつあります。
主な業界は、メーカー業界・IT業界・広告業界の3つです。
これらの業界について、どのような目的でソリューション営業を行っているのか、詳細を確認していきましょう。
メーカー業界
メーカー業界は、ソリューション営業を取り入れている業界の1つです。
近年では、各メーカーにおける商品の開発力が高まり、消費者のニーズに合わせたもの作りをすることで、類似した商品が短期間で販売されるようになりました。
このような状況では、それぞれの商品を差別化しにくく、単に店頭に商品を置いて価格や説明を提示しておくだけでは売れません。
そのため、顧客に直接アプローチして彼らの抱える課題や潜在的なニーズをくみ取り、その解決手段として商品を提案することで、他社との差別化をはかろうとしています。
顧客とコミュニケーションを取りながら問題解決のために商品を提供する手段として、ソリューション営業を取り入れている企業が多いです。
IT業界
IT企業もソリューション営業を取り入れている業界の1つです。
IT技術が発展したことにより、多くの企業がなんらかの形でIT技術を取り入れるようになりました。
それは、業務効率化をするためのソフトウェア導入であったり、消費者に対する広報の場や窓口としてのWebサイトの開設であったり、データベースによる情報の管理であったりと多岐にわたります。
しかし、IT技術を取り入れた企業のすべてがその技術に明るいわけではありません。
そこで、その分野の専門家であるIT企業が、顧客となる企業とのコミュニケーションを通して技術的な問題や課題を発見し、自社サービスを用いて解決をはかるためにソリューション営業を導入しています。
この場合、単に契約を取るだけでなく、その後も継続してサービスを利用してもらうため、アフターケアに力を入れることも必要です。
広告業界
もう1つ、ソリューション営業を取り入れている業界として広告業界があげられます。
顧客の望む形で最適な広告を作成するには、顧客自身と打ち合わせを重ねたうえでの「どのようなイメージで商品を売り出したいと考えているのか」といったニーズの把握が欠かせません。
そのニーズの発見のために、ソリューション営業が行われています。
商品の特徴・打ち出したいイメージ・広告を届けたい購買者層など、丁寧なヒアリングで具体的な要望を引き出すことが重要です。
また、広告業界においてもフィードバックやアフターケアは大切になります。
広告の閲覧数などを知れる測定ツールなども開発されているため、そこから得られた結果をもとに契約後も顧客と打ち合わせを続け、改善をするための営業を行うのです。
【ソリューション営業の基礎知識】ソリューション営業の流れ
ソリューション営業がどのような仕事をするのか、概要はわかったものの、より詳細な仕事内容について知りたい人も多いでしょう。
ここからは、ソリューション営業の流れについて説明します。
ソリューション営業の仕事は、事前の準備・問題点の確認・解決案の提示・契約後のアフターフォローといった4つのプロセスが基本です。
これらは1サイクルで終わりではなく、継続的な関係構築のために何度も繰り返す必要があります。
それぞれの流れについて、くわしく見ていきましょう。
事前準備
ソリューション営業の仕事を始めるにあたって大切なのが、事前の準備です。
何も備えずにぶっつけ本番で営業に臨んでも、底の浅い提案しかできません。
顧客に寄り添った提案をするために、まず相手の基本的な情報を押さえる必要があります。
顧客が企業であるならば、どのような事業を行っているのか・規模はどの程度か・直近の業績はどうなっているかなど、調べられることはできるだけ調べておくものです。
また、そのうえでどのような問題を抱えていそうなのか予測をし、これまでの経験やプロファイリングから解決策の例をストックしておきます。
問題点の確認
ソリューション営業の仕事における要となるのが、コミュニケーションによる問題点の確認です。
顧客の多くは、自身の抱えている問題が何なのか具体的な理解には至っておらず、ただ漠然と「この状況をなんとかしたい」とだけ考えています。
そこで、営業が顧客との会話のなかでヒアリングを試み、潜在的な問題を発見し、具体的に説明したうえで解決の必要性を感じてもらうのです。
ここで重要なのが、顧客との認識にずれが生じないようにすることです。
自分と相手の常識や知識は異なるため、あとからトラブルに発展しないように細かく確認することが大切と言えます。
解決案の提示
コミュニケーションによって課題がはっきりしたならば、次はその解決をするための提案に移ります。
事前に用意した解決策の中から一番適切なものを中心にいくつか提示するほか、場合によってはまったく新しい解決策を創出したり、既存のものをカスタマイズしたりして最適化できるように提案していきます。
このとき、各提案のメリットだけをプッシュして強引に契約を取ってしまうと、あとから問題や追加コストが発生した際に「そんな話は聞いていない」としてトラブルになりかねません。
製品の特徴や導入・運用にかかるコストなど、必要な説明は欠かさず行うべきです。
アフターフォロー
契約が完了して商談が成立したあと、その商品の継続的な購入やサービスの持続的な利用を促すためには、アフターフォローが欠かせません。
製品の使い方や効果などについてくわしく説明し、トラブルにはいち早く駆けつけるなど、頻繁かつ綿密に連絡を取ることで、顧客と信頼関係を築きます。
この信頼関係を着実に構築することで、継続的な契約や顧客満足度の向上に役立つのです。
さらには、別のサービスを導入する際に、また自社のものを選んでもらえる可能性が高まります。
【ソリューション営業の基礎知識】ソリューション営業のポイント
ソリューション営業の仕事について、大体の流れは理解できたでしょう。
それでは、ソリューション営業として働くうえで、ポイントとなるスキルはなんでしょうか。
どのような職業にも、その仕事を続けていくならば、求められるスキルというものがあります。
ソリューション営業の仕事をこなすためには、顧客との対話に関する能力や、物事を冷静に捉えるための能力が必要です。
ここからは、ソリューション営業のポイントとなるスキルについて、くわしく見ていきましょう。
ヒアリングスキル
ソリューション営業には、顧客に対するヒアリングスキルが求められます。
これは、顧客が潜在的にどのような問題やニーズを抱えているのか、会話の中で見つけ出すために重要な能力です。
顧客は、多くの場合自分の抱えている課題や要望を、すらすらと述べられる状態にありません。
そのため、ソリューション営業は、1つずつ質問と解答とを積み重ね、相手の深層心理にくい込むような問題をあぶり出す必要があります。
これには、相手の話を途中でさえぎったり、持論を押し付けたりしてしまわないよう、じっくり聞き取るためのヒアリングスキルが求められるのです。
きちんと話を聞いてくれる営業だという印象を持ってもらえれば、顧客からも信用を得やすいため、契約の成立にも良い影響があります。
分析能力
ソリューション営業は、現状に対する分析能力も必要です。
何が問題となっているのかを正しく把握し、その原因は何かを分析できなければ、有効な解決手段は提案できません。
顕在化した課題やニーズを解決し、達成条件を満たすために必要な手段を講じるためには、現状をしっかり把握し、過去の事例などから根本的な解決方法を探る力が必要になります。
問題に対してどのようなアプローチが有効か、自社のどの製品をどう活用すれば解決につながるのかを論理的に分析して、対策を組み立てることが大切です。
正しい分析を行うためには、それまでに積み重なってきた事例や、他社での例などもしっかり理解しておく必要があります。
常に情報収集は怠らないようにしましょう。
表現力
ソリューション営業には、表現力も求められます。
顧客との対話の中で重要なのは、聞く力だけでなく伝える力も同様です。
分析した結果や、それをもとに算出したアプローチ方法、そしてそれを実現するための商品やサービスについて、受け手となる顧客が理解できるように説明できなければなりません。
このとき、専門用語を多用したり、必要な説明を省略したりするなど、独りよがりな説明にならないように気をつける必要があります。
相手が自社の商品やサービスについて、専門知識を持っているとは限らない点については念頭に置いておきましょう。
また、契約前の説明のみならず、商品を使用したあとの将来的なビジョンや改善点のすり合わせ、または結果のフィードバックを行ううえでも表現力が必要です。
【ソリューション営業の基礎知識】ソリューション営業に向いている人の特徴
さまざまな業界から注目を集めているソリューション営業ですが、業務内容や求められる能力を見て、少し難しい仕事だと感じた人もいるかもしれません。
実際、ソリューション営業にはどのような人が向いているのでしょうか。
基本的には、考えることや学び続けることが苦にならない人が向いています。
脳内できちんと論理を組み立て、シミュレーションしてから実行に移すことが求められるため「何でもとにかくやってみよう」という実践タイプには大変な仕事になる可能性もあります。
ソリューション営業に向いている人の特徴について知り、自分に当てはまっているか確認してみましょう。
論理的思考ができる人
ソリューション営業に向いているのは、論理的な思考ができる人です。
ソリューション営業の仕事における最終的な目標は顧客の抱えている課題を解決することですが、そこまでの道のりは至極効率的なものでなければなりません。
無策で手当たり次第試行錯誤しているようでは解決までにかなりの時間を費やしてしまうでしょう。
そのような「当たって砕けろ」の精神ではなく、論理的な思考でしっかり分析を行い、事前に効率の良い解決策を提案できる人がソリューション営業に向いています。
じっくり考えるのが得意な人、限られた条件から論理を組み立てるのが得意な人は多いです。
しかし、論理の構築のためにはデータの蓄積が必要なため、最初から完璧にできるとは思わないほうが良いでしょう。
課題を解決することが得意な人
ソリューション営業には、課題を解決することが得意な人も向いています。
これは、特にその業務内容に直結する資質と言えるでしょう。
普段から、自分自身や周りの人は大小さまざまな課題を抱えているものです。
それを積極的に見つけ出し、解決するための最適なプロセスについて考えている人は、その作業をそのままソリューション営業にも活かせます。
解決できるまで粘り強く取り組む姿勢も、ソリューション営業には必要です。
思ったようにいかないからと、未解決の課題を放り出して諦めてしまうような人物では、顧客からの信頼は得られません。
きちんと解決までの道筋を組み立て、最後までやり遂げる胆力のある人は、ソリューション営業にも向いていると言えます。
過去から学ぶことができる人
ソリューション営業には、過去から学べる人が向いています。
ソリューション営業としてどんなに力添えをして手を尽くしても、どうしても顧客の抱える課題を完全には解決できないこともままあります。
しかしそんなとき、簡単に諦めてしまうべきではありません。
過去にあった類似の事例を見直し、自分自身の経験からも当てはまる条件をかき集め、使えそうな解決策を学び取って業務に活かせるよう尽力する必要があります。
過ぎたこと、完了した依頼なども単に終わったこととして処理してしまうのではなく、解決策の宝庫として学習に活用できる人がソリューション営業に向いていると言えるでしょう。
考えること、学ぶことは、この仕事を遂行するうえで非常に重要なのです。
【ソリューション営業の基礎知識】ソリューション営業のキャリアパス
就職するにあたって、自分の将来のキャリアを思い描くのは大切なことです。
一度ソリューション営業として社会に出たあと、一生そのままの職種を歩み続けるという例は多くないでしょう。
それでは、ソリューション営業から考えられるキャリアパスとはどのようなものなのでしょうか。
ソリューション営業には、顧客に寄り添った提案を心がけるからこそ身につくスキルと、それを活用したキャリアパスが存在します。
ソリューション営業から考えられるキャリアパスについて知り、自身の将来像について具体的にイメージしてみましょう。
コンサルティングファームに転職
ソリューション営業は、顧客の課題の発見から解決までをプロデュースし、アフターフォローに至るまで自社商品を用いてサポートを行う仕事であり、コンサルティング的な色合いの強い職業です。
そのため、キャリアパスの1つとして、コンサルティングファームへの転職も考えられます。
ソリューション営業の業務で身につく課題解決のためのスキルは、コンサルタントにとって必須であり、転職の際も大きく評価されるでしょう。
一口にコンサルティングファームと言っても、複数の分野ごとにさまざまな企業があるため、自分が働いている業界を選んで移ることも可能です。
前職で培った知識が活用できる分野に転職すれば、仕事を覚えるのも業務を遂行するのも比較的楽になるため、おすすめのキャリアになります。
営業企画
課題解決のためにアプローチの方法を考え、商品やサービスの導入について提案するソリューション営業の仕事は、ある意味企画系の職種とも近いところにあります。
そのため、ソリューション営業を経験したあと、社内の営業企画になる人も少なくありません。
営業企画は、企業における営業戦略などを立案し、前線の営業職が効率的な営業を行えるようにバックアップする仕事です。
自分が営業として働いた経験を活用できるほか、社内の営業職が持つ課題を発見して細かく分析し、解決策を考えるという思考プロセスが業務を進めるうえで大いに役立ちます。
自社にとっても顧客にとってもより良い営業の方法とは何か、実際の営業職に近い立場から考え続けたい人には向いているキャリアでしょう。
経営企画
社内において企画を行う立場として、ソリューション営業からつながる仕事には経営企画もあります。
経営企画は、企業全体を俯瞰しつつ、プロジェクトの立案や、社内におけるスケジュールの調整などを行います。
ソリューション営業では、顧客の課題解決をするための企画力や分析力が身につくため、それらのスキルや営業成績が社内で高く評価され、経営企画部に移動するケースがあるのです。
経営企画部署での職務内容もまた、コンサルティングに近い性質をもっています。
社外の企業に商業的に企画立案とプロデュースを持ちかけるのがコンサルティング業、社内の経営戦略の企画を主に担うのがその企業の経営企画と言えるでしょう。
多少ハードルの高いキャリアではありますが、社内でも重要なポジションであるため、やりがいの大きい仕事です。
おわりに
ここまで、ソリューション営業について、業務内容や求められる背景・必要な能力・向いている人物像やキャリアパスといった基礎知識を解説してきました。
ソリューション営業は、自社商品の売り込みと同様に顧客の抱えている課題の解決を重んじる職業です。
潜在的な問題やニーズを見つけ出し、論理的に解決策を考える必要があります。
そのため、ソリューション営業に向いているのは、考えることや学ぶことが苦にならないような人です。
ソリューション営業について理解を深め、自分にできそうな仕事かどうか検討してみましょう。
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