出版業界の営業職のキャリアとは?出版営業で身につくスキルやその後のキャリアプランについて徹底解説!
はじめに
出版業界の営業職は「花形」とも言われており、数ある営業職の中でも人気の職業です。
しかし、誰もが憧れる業界だからこそ、表には出ていない営業職の詳細な事情を知らない方も多いのではないでしょうか。
今回は、出版業界の営業職に焦点を当ててご紹介していきます。
身につくスキルやその後のキャリアプランなど、出版業界とその営業職について徹底解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
出版業界とは?
はじめに、出版業界について詳しくご説明します。
出版業界とは、主に書籍・雑誌に関連する業界を指します。
書籍の企画・制作から、完成品を書店に流通させるまでが出版業界の仕事です。
書籍・雑誌などを作り上げ、売るまでの一連の流れを担っているということです。
出版業界は主に、出版社・編集プロダクション・書店・出版取次の4つに分類されます。
出版社は、主に書籍の企画から制作を行っている、出版業界の中でも特によく知られている部門です。
編集プロダクションは、出版社の依頼を受け書籍の編集に携ることが多い部門になります。
書店は本の売買を行っており、最近ではネット書店なども有名です。
出版取次は、出版社と書店をつなぐ流通業者のことを指しています。
そんな出版業界の中でも、営業・編集・制作・校閲が主な職種です。
次は、本題の営業職について詳しく説明していきます。
出版業界の営業職とは
では、出版業界の営業職についてご紹介します。
出版業界の営業職は主に、書店営業・取次営業・広告営業・企画会議への参加といった4つの業務があります。
営業職はどの業務も売上に直結する、重要な職種です。
しかし、編集や制作と違い、専門的な技術や経験が重視される職種ではありません。
そのため、出版業界が未経験でも採用される可能性が高いのが、営業職になります。
次は、そんな出版業界の営業職が行う、主な業務についてご紹介していきます。
書店営業
主な業務の一つ目は、書店営業です。
書店営業の役割は、自身の担当地域の書店を回り、自社で出版している書籍を置いてもらえるように営業をかけることです。
たとえば、新作が出た時にチラシやサンプル書を持って書店に出向きます。
基本的には取引のある書店を回って営業活動をするため、いわゆるルート営業の部類になります。
このような売り込み業務は、よく耳にする営業職のイメージ通りではないでしょうか。
また、出版社の営業職は、ブックフェアの開催などを書店に提案しにいくこともあります。
書店がブックフェアを開催することで、商品が売れやすくなるためです。
さらに、営業先で得た情報を出版社に持ち帰るのも営業職の重要な役目です。
現在の需要などを伝えることで、新作のアイデアに活かされることがあります。
取次営業
2つ目は、取次営業です。
取次営業という言葉は、普段あまり耳にしないので、どのような業務かよく知らない方も多いのではないでしょうか。
取次とは、小売店である書店に出版物を卸す流通業者を指します。
出版社の営業職は流通の段階にも、自社製品をアピールする必要があるのです。
出版業界の流通は、独自の仕組みを持っています。
商品が完成したらまず、編集社から取次業者に商品が送られます。
その後に取次業者が必要な部数を決め、商品を全国の書店に配布するのです。
その際、少しでも多く書店に置かれるように営業をかけるのが取次営業です。
また、書店ではジャンル別に書籍キャンペーンを開催することがあります。
その支援を書店側から提案されることもあり、取次業者に詳細を伝えるというのも取次営業の業務です。
広告営業
3つ目は広告営業です。
主に、広告を載せたいというクライアントや雑誌のスポンサーを見つけるのが仕事になります。
出版物の中でも雑誌は特に、広告で収益を得ている商品です。
そのため、自社の雑誌の広告ページを使用したいクライアントを見つける必要があります。
しかし、広告営業の仕事は、広告枠を売るだけでは終わりません。
クライアントと協力して、新しい広告づくりやイベントの企画まで行うこともあります。
その際にはクライアントだけでなく、自社の製品に対しても広告を制作するケースも多いようです。
また、他社の雑誌に自社の広告を入れてもいいかを交渉しにいくのも広告営業の仕事です。
自社商品やクライアントの魅力を、広告を使って発信していくというのが広告営業の軸になります。
企画会議への参加
4つ目は、企画会議への参加です。
出版社での企画会議は、主に新作やイベントの企画を行っています。
企画立案の際にはターゲットはどうするか、現在需要が高いのはどのようなものかを考える必要があります。
その際に、どうしても現場の声が必要になるのです。
現場の需要や理想を知らずに売れる商品を作り上げるのは、非常に困難です。
しかし、実際に制作を行う編集者が直接現場に出向く機会は、そう多くありません。
そのため、書店員と距離が近い営業職が、企画会議に情報を持っていく必要があります。
出版社の営業職は、現場の書店員の声を編集者に伝える役割まで担っているのです。
商品が売れるように営業をかけるだけでなく、売れる商品を作り出すことにまで貢献できる仕事になっています。
出版業界の営業職で身に付くスキル
営業出版の主な業務内容について、理解が深められたかと思います。
では、出版業界の営業職業務をこなすことで、身につくスキルはあるのでしょうか。
最終的に目指しているのが別の職業という方でも、はじめは出版業界の営業に就くというケースも珍しくありません。
また、入社後のスキルアップを目標に掲げる方も多いのではないでしょうか。
そのように将来を見据えて就活を行っている方は、特に気になる点だと思います。
次は、出版業界の営業職で身につくスキルをご紹介します。
コミュニケーション能力
1つ目は、コミュニケーション能力です。
他業界でも同様ですが、営業職は業務上、多くの人と話す機会があります。
商品や自社をアピールするために営業をかけに行く営業職は、いわば会社の顔です。
会社の顔となる職種だからこそ、顧客との信頼関係の構築は欠かせません。
そのため、営業職は日々工夫をしていく必要があります。
どのような雰囲気の人が受け入れられやすいか、どう説明したら商品をアピールできるか、常に顧客のことを考えて業務に臨む必要があるのです。
その結果コミュニケーション能力が向上し、対話能力や説明能力が身につくと考えられます。
コミュニケーション能力は他業界でも、他業種でも欠かせないスキルです。
営業で培ったコミュニケーション能力は、どの企業に行っても役に立つと言えるでしょう。
情報感度
2つ目は、情報感度が上がることです。
出版社が扱っている書籍や雑誌は文化的要素が高く、その年のトレンドに大きく影響します。
そのため出版業界の営業では、現在の需要や流行りを敏感にキャッチする必要があります。
どんな書籍が売れる傾向にあるのかだけでなく、現在どのような企画が求められているかまで市場調査する必要があるのです。
とくに月刊誌などは流行りの入れ替わりが早い傾向にあります。
そのため、出版業界の営業職は、市場の動向を逐一確認する必要があるのです。
どのようにしたら書籍を買ってもらえるのかを考えて、日々業務をこなさなくてはいけません。
そのため、出版業界の営業職に就くことでマーケティング能力が身につき、自ずと情報感度が上がるのです。
情報感度の高さや情報収集能力は、日常生活で身につけるのは難しいスキルです。
そのようなスキルを持っておくことで、他業種でも役に立つと言えるでしょう。
出版業界の営業職についた後のキャリアプランは?
出版業界の営業職に就くことで得られるスキルをご紹介しましたが、長いキャリアを考える上で気になることはその後のキャリアプランでしょう。
出版業界で身につけたスキルを他業種や他職種で活かしたり、出版社で出世したりと、さまざまな選択肢があります。
将来を見通して転職活動を行う方は、今後のキャリアプランもしっかり決めておくと、より自分にマッチした会社に出会えるはずです。
ここからは、出版業界の営業職に就いた後のキャリアプランについて、代表的な5つの事例をご紹介します。
出版業界の営業職を極める
1つ目は、出版業界の営業職を続けてトッププレイヤーになったり出世をするというケースです。
そのルートとして一般的なのは、営業部署から編集や企画などの他部署に異動して最終的に営業部に戻ってくることです。
出版業界は他業界と同じように、入社して2、3年後に他の部署に異動になることも珍しくありません。
編集や企画といった他部署で経験を積んでから、営業職に帰ってくるというパターンも多いようです。
他部署の業務を知ることで、どのような要素が営業職に必要か理解を深められることもあります。
そのため、営業職に戻ってきても評価を受けやすい可能性が高いのです。
営業職を極めるのであれば、他の業界と同様に「営業マネージャー」「営業課長」「営業部長」など社内での昇進が見込まれるでしょう。
出版業界の営業職で管理職を目指すというのも、キャリアプランとして十分に考えられます。
各社広報部、広告代理店
2つ目は、各社の広報部や広告代理店に就くことです。
出版業界が利益を得るマネタイズの大半は、広告収入をもらうことです。
先ほどご紹介した広告営業が、この業務にあたります。
広告営業を行うためには、SNSやラジオなどの多様な媒体を利用する必要があります。
いわゆるマーケティングスキルが求められます。
クライアントの広報として、総合的な広告提案をする力が必要なのです。
このような経験から身につけた力は、各社広報部や広告代理店で求められることになります。
また、広告関連の事業は業界を問わず多くの企業に存在しますので、出版系や広告系の枠を超えてキャリアアップ転職できる可能性が高いのです。
出版業界の営業職として培ってきた能力を活かしたいけれど他業界にもチャレンジしたい、という方にはぴったりなキャリアプランではないでしょうか。
コンサルティング
3つ目は、コンサルティング職です。
とくに広告営業を経験した人は、コンサルティング職にキャリアアップする人も少なくありません。
出版業の広告営業の業務は、クライアントに自社の広告を出稿してもらうことが目的です。
そのためには、ヒアリングなどを通して現状把握を行う必要があります。
そこで傾聴力や、現状把握能力などを養うことができるのです。
また、広告をクライアントの課題解決案として提案することも求められます。
広告営業では、課題に対して適した解決方法を選ぶ力を身につけることもできるでしょう。
すると、必然とコンサルやマネジメントなどの力が身につくのです。
広告営業と通ずるものが多いコンサルティング業では、出版社の営業職としての経験を活かすことができると言えるでしょう。
編集者
4つ目は、編集者が挙げられます。
出版社が扱っている雑誌などは、クライアントの実態をよく調査してから内容を企画する必要があります。
加えて、ジャンルごとの一般消費者のニーズを踏まえながら制作していくのです。
そのため、編集者は流行り廃りや市場での需要に敏感なことが求められます。
また、雑誌を作るうえで必要な専門知識も、営業経験者が長けている部分です。
広告営業では書店員と距離が近く、現場を見ていることから、世の中の流れに敏感な人が多いのです。
営業として現場でリアルな会話をすることでいち早く情報をキャッチできるので、編集者としてキャリアアップした時に即戦力として働けるでしょう。
また、広告営業の業務の一部であるクライアントとのヒアリングや、その経験から得た業界ごとの知識も豊富に持っています。
このような経験やスキルは、雑誌編集の際にも役立ちます。
イベント運営
5つ目は、イベント運営業です。
出版業界の営業職は、自ら現場に出向くことが多くあります。
現場は書店だけではなく、さまざまな業界のクライアントのところにまで足を運びます。
そのため、出版社の営業職は、さまざまな業界の人物・出版物と関わる機会が非常に多いのです。
結果、より多くの業界との人脈が生まれることになります。
イベントの企画・運営において、人脈は特に重要な要素です。
イベントの運営にはさまざまな方面への準備が必要なため、人脈が広いに越したことはありません。
そのため、イベント運営・企画において、さまざまな業界に顔が広い人材は有利に働くのです。
また、営業職で培ったヒアリング能力や企画能力は、イベント運営の際にも役に立ちます。
イベント運営もクライアントの要望に添って行うため、営業職と通ずる部分があるのです。
出版業界の営業に転職するには
最後に、出版業界の営業に転職を成功させるためのコツをご紹介します。
出版社勤務は花形の職業でもあり、中途採用枠でもかなりのライバルがいることが想定されます。
そのため、いかに効率的に実のある転職活動を行うかが肝心です。
妥協したり選考対策を怠ったりせず、計画的に転職活動を進めましょう。
大手出版社のキャリア採用枠を狙う
まず狙っておきたいところが、大手出版社のキャリア採用枠です。
とくに営業経験者はぜひ大手を狙いましょう。
大手出版社の場合は安定した高収入が見込めますし、社内転属によりキャリアパスの幅も広くあるためです。
出版業界にとことん根付いて一生涯キャリアを歩みたいなら、ぜひ高い目標を持って進めてみてください。
なお、国内トップクラスの大手出版社が中途採用をしているところがかなり絞られます。
知っている出版社を地道に検索してみて、採用ページを確認して応募候補を決めておきましょう。
転職エージェントから紹介をもらう
出版社の営業に転職をするルートとして最もおすすめなのが、転職エージェントの活用です。
転職エージェントに登録をすれば、希望条件に合致した会社を複数紹介してくれるので、手間なく効率的に転職活動を進めることができます。
また、転職エージェントは非公開求人を多く保有しています。
非公開求人とは、公には中途採用を募集していないものの、条件に合致している人がいれば採用したい会社が行う求人のことです。
先ほどあげたように、大手出版社の中途採用枠は限られます。
どの出版社も、ホームページ上だと「現在は募集しておりません」というワードが出てきてしまう状況です。
しかし、公には出していないものの非公開求人として転職エージェント経由で求人をしている可能性は高いです。
大手企業狙いの方なら転職エージェントを活用すべきと言えるでしょう。
おわりに
今回の記事では、出版社の営業のキャリアについて、詳しくご紹介しました。
業務内容からその後のキャリアプランまで、将来を見据えた転職活動を行うための材料になる情報ばかりだったと思います。
出版社の営業職はキャリアパスが無限大に広がっている職業です。
晴れて転職成功した後も、営業として続けることもできれば他業界・他職種にキャリアアップすることも可能なのです。
先のことを考えて転職活動を行うことで、今後のライフプランに大きく差が出てきます。
表面的な情報だけで企業を選ぶより、少し先のことを見据えて企業選びができると、将来が開けて見えてくるでしょう。
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