出版社の営業がきついと言われる理由は?仕事内容や向いている人の特徴も解説
はじめに
出版業界に興味があり、「出版社で働いてみたい」と考える人の中には、営業職という仕事に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
営業と聞くと「ノルマが厳しい」「体力的にきつい」「精神的にプレッシャーが大きい」といったイメージが先行しがちです。
特に出版業界は華やかな印象がある一方で、実際の現場では地道な努力や人間関係の構築が求められ、想像以上にハードな一面もあります。
出版社の営業職は、単に本を売るだけの仕事ではありません。
書店や取次会社に対して自社の書籍を置いてもらうための提案を行い、陳列の仕方や販促施策まで関わることもあります。
また、雑誌や広告媒体を扱う出版社であれば、企業の広告主に向けたプロモーション提案を行う「広告営業」もあります。
つまり出版社の営業は、販売・企画・マーケティング・広報といった多面的なスキルが求められる職種なのです。
一方で、この仕事には大きなやりがいもあります。
自分の提案が採用され、店頭で本が売れていく瞬間を見届けられるのは営業職ならではの喜びです。
読者の反応を直接感じられる貴重な立場でもあります。
この記事では、出版社営業が「きつい」と言われる理由を整理しながら、仕事内容・やりがい・向いている人の特徴を解説します。
出版業界への転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
【出版社営業への転職】出版社の営業職の仕事内容
出版社の営業職は、書店や取次会社との商談、販売促進の提案、広告主への企画営業など、担当領域によって業務内容は多岐にわたります。
また、編集部や制作部と連携し、書籍や雑誌が読者の手に届くまでを支える重要な役割も担っています。
ここでは、出版社営業の代表的な2つの職種を紹介します。
書店営業
書店営業は、出版社の営業職の中でも現場感のあるポジションです。
自社の出版物を一冊でも多くの読者に届けるため、全国の書店を訪問し、担当者に対して新刊の提案や販売促進の打ち合わせを行います。
単に「本を置いてもらう」だけではなく、売れるための仕掛けづくりを考えるのが大きな特徴です。
新刊や話題作の陳列位置を相談したり、売上が伸びるようにPOP・ポスター・フェア展開を提案したりします。
書店によって客層や売れ筋が異なるため、担当者との関係構築が重要です。
ビジネス書に強い店舗なら企業向けフェアを、学生が多いエリアでは就活関連書を前面に出すなど、販売戦略を店舗ごとに相談、提案します。
また、売上データや現場の声を編集部に共有するのも書店営業の役割です。
「どんなジャンルが売れているか」「読者がどの表紙デザインに反応しているか」といった情報をフィードバックすることで、次の企画づくりや重版判断にも繋がります。
外回りが多く体力的な負担はありますが、自分の提案で本が売れたときの達成感は大きく、書店員や読者との距離が近い分だけ「出版の現場に関わっている実感」を得やすい仕事です。
広告営業
広告営業は、「メディアの価値を企業に売る」仕事です。
雑誌やWebメディア、書籍広告、イベントなどを活用し、企業や団体などのクライアントに向けてプロモーションを提案します。
出版物を通して商品やサービスを広く発信するため、マーケティングの知識と企画力が求められるポジションです。
業務内容としては、広告主の課題をヒアリングし、読者層や特集内容に合わせた広告企画を立案します。
健康雑誌であれば医療・食品メーカー、女性誌であれば美容・アパレルブランドなど、媒体特性に合う企業へアプローチします。
掲載ページのレイアウト提案や撮影スケジュールの調整、校了までの進行管理も担当するため、編集者やデザイナーとの連携も欠かせません。
また、デジタル媒体を持つ出版社では、SNS広告やオンラインキャンペーンの提案を行うケースもあります。
従来の紙媒体に加えてWebや映像など複数のチャネルを組み合わせることで、より効果的な広告展開を行うことができるでしょう。
広告営業は成果が数字で明確に見える仕事であり、クライアントの売上向上に直結する提案ができたときの達成感は格別です。
一方で、納期や予算調整などプレッシャーも多い仕事ですが、自分のアイデアが形となり、読者の目に触れる瞬間を味わえるのは、出版業界ならではの魅力といえるでしょう。
残業や長時間労働
基本的にはほかの一般的な企業と変わることはなく週休2日制で、土日はもちろん祝日も休みの企業ばかりです。
年次有給休暇や年末年始や夏季休暇などもあるほか、企業によってはリフレッシュ休暇を取得できるところもあります。
ただし、出版業界では「発行日」「発売日」という明確な締め切りがあるため、その前後は業務が集中しやすい傾向があります。
営業職の場合、取次や書店との商談・販促資料の作成が重なり、帰宅時間が遅くなることも少なくありません。
特に月刊誌や新刊が多い出版社では、月の後半から納品準備や販促対応が立て込み、自然と残業が増えるでしょう。
もちろん時間外の勤務手当は支給されますが、発行物の締め切りや、発売日に合わせて働かなければならないことがあるかもしれません。
最近では働き方改革の浸透により、在宅勤務やフレックスタイムを導入する出版社も増えています。
特に大手では勤怠管理システムが整備され、長時間労働を防ぐ仕組みが進んでいます。
繁忙期に忙しくなるのはどの業界にもあることですが、出版社の場合は「本を届ける日が決まっている」という特性上、どうしても業務が一時的に集中するだけの話です。
転職活動中の方は、応募先企業の平均残業時間や業務スケジュールを事前に確認しておくと、自分に合う働き方を選びやすくなるでしょう。
体力を使う
たとえば自社で出版する書籍を書店にて販売促進をする、いわゆる書店営業といったセクションに配属された場合を見てみましょう。
書店営業とは街の書店を1件ずつ自分の足で回らなければならないため、ときには書籍を抱えながら歩くなど、してどうしても体力的な負担がかかります。
都心のターミナル駅にある書店を回るだけでも、密集しているわけではないため、それらを歩いて回るだけで何時間もかかることもあるでしょう。
転職して出版社の営業職に就いた場合も、書店営業は依然として体力を使う仕事のひとつです。
担当エリア内の書店を1日に数店舗訪問することもあり、移動時間が長くなる日も少なくありません。
特に大型書店や駅ナカ店舗では階段移動や荷物運搬も多く、体力と持久力が求められます。
このように、出版社営業は「デスクワーク中心」というイメージとは異なり、実際には現場を動き回るアクティブな職種です。
その分、得られる情報量は多く、書店員との会話や売場の反応から得た感覚を即座に仕事に活かせる魅力もあります。
転職を考える方は、体力面の負担を理解したうえで、効率的なスケジュール管理や移動経路の工夫をしていくことが重要です。
精神的な負担
書店営業にはどうしても体力的な負担がかかるだけではなく、精神面におけるプレッシャーも他の業種にはないものかもしれません。
そもそも書店営業とは、直接交渉をして書店に本を売るというものではなく、まずは何冊かを置いてもらうことが仕事のスタートだからです。
つまり、自分の提案や努力がすぐに数字として反映されにくく、成果が見えづらい点が精神的な負担になることがあります。
特に出版不況が続く中では、販売部数や配本数の減少に直面し、モチベーションの維持が難しくなることもあるでしょう。
また、担当書店で売上が思うように伸びなかったり、陳列提案が採用されなかったりすることもあり、「自分の努力が無駄だったのでは」と感じる瞬間も少なくありません。
さらに書店営業の役割はそれだけに留まらず、できるだけ多く売るためには、陳列方法の提案もしなければなりません。
本屋に行ったことがあれば容易にイメージできるはずですが、陳列方法にもいろいろあり、本棚に背表紙を向けて入れるものばかりではありません。
雑誌ならば「棚差し」と呼ばれる標準的なスタイルでは売り上げがあまり見込めないため、平台に置いてもらって表紙を見せるなどの提案までしなければならないのです。
このように、営業職は売上や反応が直接目に見える分、結果責任を強く感じやすい仕事です。
しかし一方で、自分の提案が採用されて売上が上がったときの達成感は格別です。
転職を検討している方は、「失敗を糧にできる前向きさ」や「相手の反応から学ぶ姿勢」を持っておくと、出版営業の現場で長く活躍できるでしょう。
勉強のための出費
出版社の営業職は、出版物を売るだけでなく「どんな本が読者に響くか」を理解する力が求められます。
そのため、日常的にトレンドや市場動向を学ぶ“勉強の時間”が欠かせません。
作家や編集者が登壇するトークイベントや文学賞授賞式に足を運んだり、人気作品をチェックして内容や表現の傾向を分析したりすることも仕事です。
また、広告営業やマーケティング寄りの部署に配属される場合、SNS広告・Web解析などデジタル分野の知識も必要になります。
自発的にオンライン講座を受講したり、業界セミナーに参加したりと、自己投資を行う営業担当者も少なくありません。
このような勉強には、チケット代・書籍代・受講料など個人的な出費が発生します。
もちろん会社から補助が出る場合もありますが、多くは自腹です。
とはいえ、こうした学びが営業提案や市場分析の精度を高め、自分の成長に直結することを考えれば、十分に価値のある投資といえるでしょう。
将来性が貧しい
一概にはいえないものの、書籍の発行が業績の大半を占めている会社の場合は、デジタル化が進んでいる中で将来的なきびしさがあるかもしれません。
それほど多くはないとはいえ、週刊誌や月刊紙、あるいは業界専門の雑誌だけを発行しているような出版社などがこれに該当します。
出版業界全体を見ると、紙の出版物の売上は年々減少傾向にあり、電子書籍やWebメディアへの移行が急速に進んでいます。
出版社の営業職もその変化の波を強く受けており、「従来型の書店営業」だけに依存しているとキャリアの幅が狭まる可能性も。
一方で、デジタル出版やコンテンツマーケティングに対応できる営業職のニーズはむしろ増加中です。
広告営業や電子書籍部門など、新たな分野に挑戦できる柔軟性を持てるかどうかが、今後のキャリアを左右するポイントになります。
こうした背景から、「出版=安定した業界」という時代は終わりつつあります。
ただしこれは、悲観的な意味ではなく「変化のチャンス」でもあります。
出版コンテンツの販路は、書店だけでなくECサイトやSNS、サブスクリプション型配信サービスへと広がっています。
そのため、紙とデジタルの両方を理解し、企画力やマーケティングスキルを磨けば、将来性のあるキャリアを築くことが可能です。
転職を考える方は、従来の出版営業だけでなく、新しいビジネスモデルに挑戦できる企業を選ぶようにしていきましょう。
【出版社営業への転職】出版社の営業のやりがい
出版社の営業職は「きつい」「大変」というイメージが先行しがちですが、その分だけ他の仕事では得られない充実感があります。
本を通じて社会に新しい価値を届けることができ、自分の提案が売上や話題につながる瞬間に大きなやりがいを感じられます。
また、編集者や書店員、広告主など多くの人と関わりながら、作品を世に送り出す過程に携われるのも出版営業ならではの魅力です。
ここからは、出版社営業として働く中で感じられる代表的な3つのやりがいを紹介します。
日々の仕事の中で得られる成長や達成感、そして出版業界ならではの面白さを知っていきましょう。
人間的に成長ができる
まずは出版社に限らないこととはいえ、営業職はあらゆる場所に出向いて、多種多様な人間と出会える利点があります。
内勤業務でずっとデスクに座りっぱなしの職種などでは決してできない経験をしたり、交流を通じて見識を深めたりすることもできるでしょう。
出版社の営業は、取引先や書店員、編集者、広告主など、幅広い業界の人々と関わりながら仕事を進めます。
異なる立場や価値観を持つ相手とのコミュニケーションを重ねる中で、相手の意図をくみ取る力や交渉スキル、柔軟な対応力が自然と鍛えられていきます。
社会人としての成長スピードは非常に早く、「人として磨かれる仕事」と言われています。
さらに書店営業にしかない強みとして、世に出る前の最新情報やトレンドをいち早く把握できることがあげられます。
本を売るためには本が好きなだけではなく、当然ながら内容を理解しなければなりませんし、それを書店員に簡潔に説明する能力も身につける必要があります。
これらを繰り返していくうちに知識が豊かになっていくことはもちろん、聞き手に興味をもたせるようなプレゼンテーション能力まで磨いていけるでしょう。
転職希望者にとっても、出版社の営業は「学びながら成長できる環境」といえます。
日々の対話や提案活動の中で得られる気づきは、ビジネス全般に通用するスキルに繋がります。
自分の成長を実感しながら働きたい人にとって、やりがいのある職種といえるでしょう。
成果が目に見える
自分が担当する書店を回って本を売り込むだけではなく、どうしたらより来店客の目に留まるような配置になるのかまで考える仕事です。
自分なりにリサーチしたりしてどうしたら際立って見えるか、関心を引くような陳列方法はないかなど、日々考えなければなりません。
出版社営業の魅力は、努力の成果が数値や現場の反応として明確に表れることです。
書店での陳列提案やPOP制作が売上につながると、その成果が数字に直結します。
さらに、書店員から「この配置にしたら売れました」といった声をもらえることもあり、自分の提案が形になって読者に届いた実感を得られます。
広告営業では、掲載した広告の反響やアクセス数が具体的なデータとして現れるため、よりビジネス的な達成感があります。
数値目標を追うことにプレッシャーを感じる人もいますが、裏を返せば頑張りが評価につながりやすい仕事でもあります。
成果が明確に可視化されることで、自信やモチベーションの向上にも繋がるでしょう。
自分のアイデアが売上という形で評価される瞬間は、営業職ならではの喜びです。
転職を考えている人にとっても、努力が報われる実感を得やすい環境であり、成果を通じて自己成長を感じたい人にはぴったりの仕事です。
出版物に対する知識が深まる
出版社に属していれば本がどのように作られるのか、作られてから読者の手元に渡るまでの流通経路にくわしくなることは間違いありません。
それだけではなく、本を出すにも企画書を作らなければならないことや、月刊紙ならば次号の特集記事がどう組まれるのかも知ることができるでしょう。
また、営業視点から得た「読者がどんなテーマに興味を持つか」という情報を編集部にフィードバックできるため、本づくりに関わる実感を持てるのも特徴です。
それにより次の流行を先取りできたり、トレンドに敏感になれたりすることもあるかもしれません。
さらには現場でのヒアリングを通じて読者の反応を確認でき、書籍に携わる中でもっとも読者に近い立場ともいえるでしょう。
この経験を積むうちに、「売れる本」の共通点や読者心理を自然と読み取れるようになります。
トレンドの兆しをいち早くつかみ、企画提案や販売戦略に反映できるようになるため、出版物に対する理解はより深まります。
さらに、担当ジャンルによっては専門知識が身につくため、その分野のエキスパートとしてキャリアを広げることも可能です。
営業として数字を追うだけでなく、コンテンツの質を高める側にも貢献できる点が、出版営業の大きなやりがいです。
自分の関わった作品が世に出て、多くの人の手に届く。
そのプロセス全体を理解できることが、この仕事で得られる学びといえるでしょう。
【出版社営業への転職】出版社の営業職に向いている人の特徴
出版社の営業職は、体力や精神面で大変な部分もありますが、それ以上に「人」と「本」に真摯に向き合える人にとっては大きなやりがいを感じられる仕事です。
求められるスキルは多岐にわたりますが、共通して重要なのはコミュニケーション力と本への興味、そして柔軟な発想力です。
ここからは、出版社営業に向いている人の特徴を紹介します。
本が好きな人
出版社に限らず営業職は自社の商品や、その分野に少なからず関心をもっていなければなりません。
自動車メーカーだったら免許はなくても車に興味があったり、化粧品メーカーなら美容の知識を多少でももっていたりすることが望まれます。
出版社においても同様で、大学に入ってからまったく本を読んでいない人よりは、月に数冊だけでも読書をする人の方が向いているでしょう。
また、好きだからこそ新刊や話題作の動向を自発的にチェックし、どんなテーマやジャンルが注目されているかを日々キャッチできます。
こうした好奇心は、営業成績にも繋がるはずです。
ただし、営業として成果を上げる人は、単なる読書好きにとどまらず、「どんな本が、どんな人に響くのか」を考えられるタイプです。
読書を通じて得た知識や感想を自分の言葉で伝える力は、営業現場でも強い武器になります。
出版業界に挑戦するなら、「本が好き」という情熱を出発点に、自分なりの視点で本を語れる力を磨いていきましょう。
コミュニケーション能力が高い人
こちらも出版社だけが求めるものではないものの、コミュニケーション能力は高いに越したことはありません。
もちろん実際にどのように書店でプレゼンテーションするかなどは、入社してから研修があるため、今から不安になることはありません。
出版社営業は、書店員や広告主、取次、編集者など社内外のさまざまな人と関わる仕事です。
そのため、相手の立場を理解しながら信頼関係を築く「聞く力」と「伝える力」の両方が重要になります。
単に話すのが得意というだけでなく、相手の意見を引き出し、双方にとって良い提案を導ける人がこの仕事に向いているといえるでしょう。
自分の言葉で本の魅力を伝え、相手の反応を見ながら話の流れをつくる力は経験とともに身についていきます。
特に書店営業では、「この人と仕事がしたい」と思ってもらえるような信頼構築が大切です。
コミュニケーションを武器にできる人こそ、出版社営業で長く活躍できるタイプといえます。
トレンドに敏感な人
顧客のニーズを探り、どのような商品がこれから売れるのか、常にリサーチを求められる仕事において大切なのは、トレンドに敏感なことです。
大手になればなるほど取り扱うジャンルは増えるため、なかなかすべてを網羅するのは難しいかもしれません。
ただ、新刊のテーマや特集の方向性を決める際に、営業からの市場情報が活かされるケースも多いため、トレンド感度が高い人ほど社内で重宝されます。
SNSやニュース、書店の売場などから日々変化する読者の動きを察知し、それを営業戦略に反映できる人が求められている人材です。
政治・経済・エンタメなど幅広い分野の情報にアンテナを張ることで、次にヒットするテーマを予測する力が養われます。
ジャンルを限定せずに柔軟な視点を持つことが、企画力や提案力の向上につながります。
転職活動中の段階からでも、トレンドをつかむ練習は可能です。
書店での陳列状況や話題の書籍ランキングを観察するだけでも、どんな作品が支持を集めているのかが分かります。
こうした情報感度の高さは、入社後の提案力や発想力に繋がります。
【出版社営業への転職】出版社の営業職に向いていない人の特徴
出版社の営業職は、やりがいや成長の機会が多い仕事ですが、誰にでも向いているわけではありません。
人との関わりが多く、変化の早い出版業界では、柔軟さや粘り強さが求められます。
そのため、性格や価値観によってはストレスを感じやすい場合も。
ここからは、出版社営業に「向いていない人」の特徴を紹介します。
転職前に自分の性格や働き方を照らし合わせて、ミスマッチを防ぐ参考にしてみましょう。
活字媒体が苦手な人
そもそも活字媒体に苦手意識がある、または敬遠しているような人にとっては、営業だけではなく出版社そのものが不向きといえるでしょう。
特に営業として本を売り込むために書店を回るなら、あらかじめ商品の知識を得るために本の中身に一通り目を通さなければならないからです。
出版社営業の仕事では、扱う商品が「本」そのものです。
読書や文章に苦手意識があると、内容を理解した上で魅力を伝えることが難しくなります。
読書量の多さは問われませんが、活字への抵抗がないこと、そして作品に興味を持って関わる姿勢は最低限必要です。
転職を検討している方は、「本を読むことが好き」というよりも「言葉で何かを伝えることが苦にならないか」を基準に考えるのが現実的です。
営業の現場では、読者の反応や市場動向を言語化して伝える機会が多くあります。
活字や文章への苦手意識が強い人にとっては、出版社営業はストレスを感じやすい職種かもしれません。
傷つきやすい人
書店を回る営業も、雑誌に載せるための広告を取るための営業も、成果がダイレクトにわかることによってやりがいを感じるばかりではありません。
本がまったく売れなかったり「出稿した広告の効果が掲載料に見合わなかった」というクレームが入ったりすることもあるでしょう。
出版社営業は「数字で評価される仕事」です。
どれだけ努力しても、思うように売上が伸びないことや、クライアントの反応が得られないこともあります。
特に広告営業では、成果が可視化されやすい分、プレッシャーを感じやすい職種です。
こうした結果に一喜一憂してしまうタイプの人は、精神的に疲弊しやすい傾向があります。
すべてにおいて結果を出し続けることは難しいことからも、うまくいかなくてもめげないタフさが必要です。
精神的に疲労を溜め込まずに、上手に気分を切り替えられるタイプではないと務まらないでしょう。
転職を考えている人は、「批判や失敗をどう受け止めるか」という点を自己分析しておきましょう。
タフさと切り替え力がある人ほど、出版営業の現場では長く活躍できます。
初対面の人とのコミュニケーションが苦手な人
出版社営業の仕事では、書店員・取次会社・広告主など、初対面の相手と会話をする機会が非常に多くあります。
特に新刊やフェアの提案を行う際には、自分から積極的に話を切り出し、限られた時間で信頼を得る必要があります。
そのため、人見知りが強いタイプや、初対面の相手と打ち解けるのに時間がかかる人は、最初のうちは苦労するかもしれません。
とはいえ、もともと社交的でなくても、相手に興味を持って質問できる姿勢があれば十分通用します。
営業の現場では「話す力」よりも「聞く力」が重要で、相手の立場や意図を理解して提案に反映することが信頼につながります。
初対面の人と話すことに抵抗がある場合でも、経験を重ねるうちに自然と慣れていくので、コミュニケーションに前向きであることが何よりも大切です。
転職を考えている人は、自分が「人と関わる仕事にどの程度ストレスを感じるか」を見極めるのがおすすめです。
出版社営業は人間関係の構築が成果に直結する仕事です。
初対面でも柔軟に対応できるようになると、キャリアの選択肢も大きく広がります。
【出版社営業への転職】転職を成功させるコツ
出版社の営業職は人気が高く、求人数が限られているため、転職活動ではしっかりとした戦略が必要です。
出版業界への理解を深めるだけでなく、自分の強みをどう活かせるかを具体的に示していく必要があります。
ここからは、出版社営業へ転職するためのポイントを紹介します。
応募先の選び方から転職エージェントの活用法まで、コツを押さえておきましょう。
大手だけでなく中小規模の出版社も視野に入れる
出版業界への転職を目指す際、多くの人がまず大手出版社を思い浮かべますが、実際には中小規模の出版社にも多くのチャンスがあります。
大手はブランド力があり安定していますが、新卒中心の採用が多く、中途で入るのは狭き門です。
一方で、中小出版社はジャンルに特化していたり、フットワークが軽く新しい挑戦を歓迎する風土がある場合が多いのが特徴です。
特に営業職では、「未経験でも本や出版への熱意がある人」を積極的に採用する企業も少なくありません。
また、担当範囲が広く、企画・編集・販促など他部署と横断的に関わる機会もあります。
自分の意見を反映しやすい環境で経験を積みたい人にとっては、非常に成長しやすい職場です。
転職活動では、企業規模だけで判断するのではなく、「どんなジャンルの出版を手がけたいか」「どんな働き方をしたいか」という軸で探していくのもいいかもしれません。
ぜひこの機会に中小規模の出版社にもぜひ目を向けてみましょう。
出版社に強い転職エージェントを活用する
出版社の営業職を目指すなら、出版・マスコミ業界に強い転職エージェントを活用するのが効率的です。
出版業界は求人数が限られており、一般的な転職サイトには出ていない「非公開求人」が多く存在します。
転職エージェントを通じて応募すれば、業界特有の選考対策や、書類・面接でのアピール方法を具体的にアドバイスしてもらえるのが大きなメリットです。
また、出版系の転職エージェントは、企業ごとの採用方針や社風、配属傾向を熟知しています。
「書店営業を希望する」「広告営業に挑戦したい」など、自分の希望職種を明確に伝えることで、適性に合った企業を紹介してもらえるかもしれません。
特に出版未経験の転職者にとっては、業界とのパイプを持つ転職エージェントの存在が大きいといえます。
効率的に情報収集を行い、ミスマッチを防ぐためにも、転職エージェントを積極的に活用しましょう。
まとめ
出版社の営業職は、体力的にも精神的にも大変な一面がありますが、その分だけ「本を通じて社会に価値を届ける」という大きなやりがいがあります。
書店や広告主、編集部など、さまざまな立場の人と関わりながら、自分の提案が読者の手に届く瞬間は何よりの達成感です。
転職を考えている方は、まず「なぜ出版業界で働きたいのか」「自分がどのように貢献できるか」を明確にしましょう。
そのうえで、大手だけでなく中小出版社にも目を向け、出版業界に強い転職エージェントを活用すれば、自分に合った環境でキャリアを築けるはずです。
今の経験を糧に、新しい職場で自分らしいキャリアを実現していきましょう。
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