【営業マン必見!】顧客の潜在ニーズを引き出す方法とは?潜在ニーズを引き出すメリットやポイントも紹介!
営業マンとして活躍するためには、お客様が抱えるニーズをいち早く察知し、悩みを解決する手段(商品やサービス)を提供する必要があります。
しかしながら、お客様は常に自分の悩みを明確にできているわけではありません。
また、自分にとっての悩みを打ち明けてもらえたとしても、お客様自身が悩みの根本的な原因を取り違えている場合もあります。
営業マンは、お客様の悩みを鵜呑みにするだけでは活躍できないのが正直なところです。
では、どうすれば、お客様自身が気づいていない潜在的なニーズを引き出すことができるのでしょうか。
この記事では、お客様の潜在ニーズを引き出す手法を紹介します。
潜在ニーズを引き出すには、何も天才的なコミュニケーション能力やビジネススキルが必要というわけではありません。
日頃から、潜在ニーズを引き出す訓練を実践すれば、自在に潜在ニーズを引き出せるようになります。
この記事を読んで、その方法とコツをつかんでください。
【ニーズを引き出す】潜在ニーズとは
まずはじめに、潜在ニーズという言葉の意味について確認しておきましょう。
潜在ニーズとは、クライアントとなる顧客自身も気づいていなかったり、見出せていなかったりする需要や要求について指すものです。
それに対するものが顕在ニーズといわれるもので、文字通りはっきりと明らかになっている、つまり何が欲しいのかが具体的である状態です。
例えば「新しい枕が欲しい」というのは顕在ニーズ、「質の高い睡眠をとりたい」というのが潜在ニーズとするとわかりやすいかもしれません。
ニーズとウォンツ
潜在ニーズについて深く知るためには、「ニーズ」という言葉そのものについてよく理解しておかなければなりません。
そこで引き合いに出されるのは「ウォンツ」という言葉で、ニーズと近い意味ではあるものの、必ずしも同義語ではありません。
ただし、潜在に対する顕在のように反対の意味というわけでもなく、よりわかりやすくイメージできるように次の具体例を参考にしてください。
ニーズというのはぼんやりとした欲求のことで、例えば「仕事に疲れていて、気分をリフレッシュしたい」という願望がこれに当たります。
気分転換したいという気持ちがあっても、その手段や方法が明確ではないのに対し、「長期休暇を取って南国のビーチリゾートに滞在したい」という具体的な欲求がウォンツです。
潜在ニーズと顕在ニーズの違い
潜在ニーズと顕在ニーズの違いに引っかかっている方もいるでしょう。
潜在ニーズと顕在ニーズの違いは簡単で、以下になります。
お客様自身が気づいていないニーズ(悩み)
お客様自身が気づいているニーズ(悩み)
顕在ニーズは、すでにお客様も自覚している悩みなので、こちらから提案をしても、よくて納得感を得られる状態に落ち着いてしまいます。
しかし、潜在ニーズは、お客様自身も自覚のない悩みです。
潜在ニーズを営業マンが言葉にして確認するだけで、「この人は自分のことをよく理解してくれている」と思ってもらえるので、早い段階で信頼してもらえるようになります。
結果として、説明する商品やサービスの魅力も感じてもらいやすくなり、営業マンとして売上を上げることにつながるため、潜在ニーズを的確にとらえる力をつけるのはおすすめです。
【ニーズを引き出す】潜在ニーズを引き出すメリット
ニーズとウォンツとの違いを知ったうえであらためて、潜在ニーズについてそれを引き出すことによるメリットについて見ていきましょう。
上記の例を基に、旅行代理店におけるカウンターで対面サービスをし、お客様の相談に乗って要望にそったプランを提案するとしましょう。
そもそもリフレッシュしたいという顧客のニーズがわからなければ、目的地としてリゾートあるいは、温泉地などを具体的に提案するのが難しいでしょう。
要望を聞きながら南国のリゾート地を提案したり、さらにニーズを深掘りしながらアクティビティが楽しめる先を提案したりすれば、満足度も高まります。
このように根底にあるニーズを見出すことにより、自社のサービスの中から最適なものを売れる可能性が広がっていくのです。
顧客は潜在ニーズを引き出した営業から購入する
顧客のニーズが顕在化しているのなら、顧客は自ら商品やサービスを探せます。
情報を収集し、その中から自然に安くて品質の良いものを選ぶでしょう。
しかし、顧客自身もまだ認識していないような、潜在ニーズを発見できる営業がいれば、顧客はその営業から購入する可能性が高くなります。
潜在ニーズは、顧客の頭の中でもまとまっていないことが多いため、顧客の最初の発言は具体的に思い浮かぶ顕在ニーズによるものが多いです。
営業はその顧客の発言から、潜在ニーズを引き出さなければなりません。
ここで顧客が理解できていない潜在ニーズを明らかにできれば、競合の差別化につながります。
そして顧客のニーズに対して、根本的な解決や新たな提案ができるでしょう。
潜在ニーズを引き出せば顧客のパートナーになれる
潜在ニーズをはっきりと形に表すことができれば、顧客にとって相談しやすい営業担当者になれるでしょう。
顧客が自分ですでに把握しているニーズとは顕在ニーズに過ぎず、そのニーズに対して求められているサービスをするだけでは、顧客のパートナーになれません。
なぜなら、ただ顕在ニーズの理解に留まっているようでは、御用聞き営業と変わりないからです。
潜在ニーズを引き出せたり、顧客が気づいているのに解決策が見つかっていないニーズを表面化させたりできれば、その営業は課題解決型営業といえます。
営業は受け身にならず、顧客と力を合わせて課題を解決する方法について考えることが大切です。
御用聞き営業ではなく課題解決型営業ができるようになると、顧客との関係性は対等なパートナーとして良好なものになります。
【ニーズを引き出す】潜在ニーズの引き出し方
それではいったい潜在ニーズはどのように引き出せば良いのか、顧客に対してどのような質問を投げかけるべきなのでしょうか。
経験が浅くて難しそうに感じるかもしれませんが、実はそれほど専門的なテクニックがなくてもできることばかりです。
相手がどうしてそう思っているのか、疑問に思ったことをシンプルに質問すれば良いのです。
質問を重ねていくことによって欲求の本質にじわじわと迫り、顧客自身が気づいていなかった潜在ニーズを引き出せるようになるでしょう。
まずはウォンツから
さらに具体的な潜在ニーズの引き出し方について、どうすれば顧客の満足につなげられるのでしょうか。
その1つの方法としては、顧客のウォンツを知ることで、それを深掘りすることにより、潜在ニーズが引き出される場合もあることを知っておきましょう。
今度は顧客が「新しく冷蔵庫を購入したいと考えている」そんな場面を想定してみてください。
まずはどうして買い替えたいのかを知り、理由が故障ではなく家族が増えたこと、あるいは自宅で過ごす時間が長くなったり、外食の機会が減ったりしたことなどを知るといった具合です。
これらの質問を重ねていくことで、今より大型のものが欲しかったり、チルド室など機能が多彩なものを求めていたりすることなどを深く理解できるのです。
ウォンツを把握する
顧客から最初に要望されるものは、基本的にウォンツであることが多いでしょう。
ウォンツとは具体的な欲求や、ニーズを満たす手段のことです。
前述の例であれば「新しく冷蔵庫を購入したい」がウォンツになります。
顧客にとってウォンツは意識しやすいものです。
一方、ウォンツに対するニーズは言葉にされることが少なく、顧客のウォンツとニーズは区別して知ろうとしなければなりません。
ニーズとはぼんやりとした欲求や「新しく冷蔵庫を購入する」という行動に先行する目的のことです。
1つのウォンツに対してさまざまなニーズがあげられ、その反対に、ニーズに対してもさまざまなウォンツを対応させられます。
ウォンツの先には、必ずニーズが存在します。
顧客のウォンツを把握することは、潜在ニーズを引き出すための第一歩になるのです。
ウォンツを深掘りする
ウォンツを把握できたら、次は繰り返し質問をしてみてください。
何度も質問をすることによって、ニーズを深掘りしていくことが可能になります。
ニーズを掘り下げていくと、より本質的なニーズが把握できます。
顧客のニーズをくみ取るために「なぜ?」という言葉を意識してみましょう。
「なぜ?」という質問を繰り返すことで、潜在ニーズは自覚されます。
ただ「なぜ〜ですか?」という質問のみでは、顧客は問い詰められているように感じてしまうかもしれません。
質問をする際には、バリエーションをもたせてください。
自分はどのような質問をし、相手はそれにどのように答えるのか、具体的に場面を頭に浮かべてから、ウォンツを深掘りしていきます。
顧客が不信感を抱かないように、自然な会話を挟みながら、潜在ニーズを引き出しましょう。
SPIN営業法
ここから先はより具体的に、実践で役立つ潜在ニーズの引き出し方について見ていきましょう。
まずは「SPIN営業法」と呼ばれるもので、これはニーズを聞き出すだけではなく、現状において抱えている課題などをヒアリングして、商談を成功に導くという手法です。
例えば「ノートパソコンを購入したい」という企業に対して、ただ商品を売るというだけではなく、「リモートワークの導入がなかなかうまく進んでいない」という課題に耳を傾けるといった姿勢が求められます。
そもそもSPIN営業法とは、状況や事態・問題や悩みの種・関わり合いや含意・解決やうまく処理すること、これらの英単語の頭文字を取って名付けられた手法です。
つまりSPIN営業法を理解するためにはヒアリング力を高めつつ、それら4つの段階をしっかり使い分けなければなりません。
そこでこの先はSPIN、アルファベットの順に質問方法を見ていきましょう。
状況質問
まずは「状況質問」と呼ばれるもので、ここでは顧客が置かれている状況を大まかに把握して、次の質問へつなげるような意識が求められます。
「社員数が何名くらいなのか」など客観的な事実を知る程度に留め、いきなりプライベートなことなど立ち入ったことを聞くべきではありません。
また、あらかじめ商談の機会が決まっていれば、いくつか質問を用意しておくと良いでしょう。
問題質問
次は顧客が抱えている課題をより明確にするため、あるいはニーズを把握するための「問題質問」をしていきます。
あくまでも問題を明らかにしていくための過程であって、行動データを分析したり、自社のサービスを通じて、いきなり問題を解決しようとしたりするものではありません。
真の課題を知るためにもまずは幅広く質問することが大切で、相手が回答に頭を悩ませるようなことがないよう配慮しましょう。
できるだけ「はい」や「いいえ」で答えられるような質問が有効で、そうすれば相手に心理的なプレッシャーも与えません。
いわゆるクローズドクエスチョンが上手にできると、相手からの回答を素早く受け取れるだけではなく、初対面の相手ともすぐに打ち解けられるでしょう。
示唆質問
状況質問により大まかにでも課題の背景を知って、問題質問を通じて課題がより明確になってきたところで「示唆質問」に移ります。
この段階においても結論や解決を急ぐことなく、文字通りそれとなく本質を示唆するような発言をしたり、相手に問題点を気づかせたりすることが大切です。
理にかなっていたとしても、いきなり自分の見方や考えを押し付けたりせず、多面的な視点を示して顧客に課題を認識させることが目標です。
この段階では問題質問におけるクローズドクエスチョンよりも、自由に答えられるオープンクエスチョンが有効といえます。
回答に幅をもたせることで、より多くの情報を引き出せるだけではなく、会話が盛り上がり、顧客との関係性を深められて本音まで聞き出せるでしょう。
解決質問
ここまでの三段階を経て、ようやくたどり着くのが「解決質問」のプロセスです。
最終的に自社の商品などを提案するまでを目的とします。
現状分析から始まって問題の本質をお互いに理解したり、顧客が自発的に問題点を探ったりして、解決策に気づいたうえで交渉するため、スムーズにことが進んでいくでしょう。
この段階にもなれば顧客からパートナーとしての信頼を得ているはずで、自社のサービスにも積極的に関心をもってもらえるに違いありません。
ただし状況質問から示唆質問まで順調に進んだとしても、顧客が自ら解決策を見出したとしても、それが自社のものとマッチしないかもしれません。
あくまでも最終段階までこちらから売り込もうとせず、むしろ提案しないくらいの意識をもち続けると良いでしょう。
【ニーズを引き出す】潜在ニーズの引き出し方を事例で紹介
ここからは、潜在ニーズの引き出し方を事例を使って紹介します。
潜在ニーズの引き出し方には、先ほど紹介したとおり、さまざまなフレームワークがあるものの、実際に使われている場面が見れなければ、具体的なイメージが湧かない方も多いと思います。
これから事例を五つ紹介するので、現在就いている職種や自分自身がよく経験する場面に応じて使い分けてください。
車が欲しい
車が欲しい家族を例に、潜在ニーズの引き出し方を紹介します。
車が欲しい理由を深掘りすると以下のようになります。
営業:今回、新しい車をお求めな理由は何でしょうか?
お客様:前の車が古くなってきたので、新しい車に買い替えようと思っておりまして。
営業:承知いたしました。
ちなみにですが、古い車を買い替える目的などございましたら、うかがえますでしょうか。
最新モデルの新しい車が欲しい、燃費の良い車が欲しいなど、お客様によってさまざまなご要望がありますので、お客様のニーズに沿ったご提案をさせていただければと考えております。
お客様:新しい車がほしいのもそうですが、どちらかというと今の車は燃費が悪くなっているのを気にしています。
ガソリン代も高いので、車にかかる経費を安く抑えたいと思っています。
車が欲しいお客様の声を深掘りした結果、「経費を抑えたい」というニーズが分かりました。
このようなお客様には、単純に車を紹介するだけではうまい営業とは言えません。
低燃費な車種や、車の節税の方法、その他かかるお金を安く抑えるノウハウなどをお伝えすることで信頼を得られ、最終的な売上も上げることができます。
求人を出したい
続いて、求人広告を出したい経営者の潜在ニーズを深掘りする事例を紹介します。
営業:今回はお問い合わせいただき、ありがとうございます。
求人広告を出したいとのことですが、今回お問い合わせいただいた背景をうかがえますか。
お客様:それはもちろん、人手が足りないからです。
会社は順調に成長していますが、それにともない、今の人員では仕事をさばききれなくなっています。
だから、求人広告を出して、新しい人を採用しようと思いました。
営業:ありがとうございます。
今回のお話を伺っていると、かなりお忙しいご様子ですが、今の社員の皆様はどのようにして仕事の対応をされているのでしょうか。
お客様:基本的に仕事は彼らに任せています。
なので、請求書や経費関連の伝票などの処理ももろもろ現場に任せています。
営業:承知しました。
今の話から推察したのですが、業務が各現場担当者に一任されており、属人化している可能性が考えられますがいかがでしょうか。
請求書の自動発行や営業の顧客管理システムなどがあれば、人員補充以外にも生産性を上げることが可能に思われます。
このように、お客様が忙しく人員不足だからとすぐに求人広告の案内をするのではなく、生産性向上という観点で自動化するITシステムを提案できます。
業務マニュアルを作成したい
業務マニュアルを作成したいというケースもあるので、事例を紹介します。
お客様:業務マニュアルの作成をお願いしたいのですが。
営業:お問い合わせいただき、ありがとうございます。
今回、業務マニュアルの作成をご希望とのことですが、その背景をうかがえますでしょうか。
お客様:はい。
今回問い合わせをした背景ですが、教育に時間がかかっていることが背景にあります。
マニュアルを作成しておけば、教育に割く時間を短くできるので業務が効率化できると考えています。
営業:ありがとうございます。
教育に割く時間を短くしたい理由もうかがえますか。
お客様:はい。
会社の中で教育に関する予算がカットされたことが原因としてあります。
教育予算がカットされたことで人員が足りず、なんとか今の人員とコストで社員教育の仕事を回す必要があるのです。
営業:ありがとうございます。では、教育マニュアルの他に、社員研修教育サービスのご利用はいかがでしょうか。
お客様の新入社員や中途社員の方向けに、ビジネスマナーやビジネススキルの研修を外注できるサービスがございますので、教育予算カットと人員不足の問題の両方を解決できます。
教育に関する予算がカットされたことで、社員教育に充てる人員と時間が不足している潜在ニーズを突き止めました。だからこそ、業務マニュアル以外のサービスが提案できているのが分かります。
将来が不安
将来に不安を抱えたお客様に対しては、どのようにニーズを引き出せばよいのでしょうか。
不安といっても、お金に関するものや、健康に関するもの、家族に関することなどさまざまな種類の不安があります。
丁寧にヒアリングしてお客様の潜在ニーズを引き出しましょう。
営業:本日はお時間をいただきまして、ありがとうございます。今回はどのようなお悩みでお問い合わせいただいたのでしょうか。
お客様:将来が不安で、それに対する備えをしておこうと思い、問い合わせしました。病気になれば、何もできなくなるので、病気になっても入院費やその後の生活をまかなえるようにしておきたいと思っています。
営業:ありがとうございます。将来の健康面に関する不安をお持ちということですね。もしそうでしたら、今の生活の中で、可能な限り生活費を下げる方法もありますし、より健康的な生活のために〇〇(健康食品)がございます。今後の生活を送る上でお客様のライフスタイルに合うものをお選びください。
お客様の不安は、将来の健康面に関する不安というよりも、その後のお金に関する不安ということが分かりました。
そのため、単純に保険を勧めるのではなく、生活費を削減する方法や、そもそもの健康度を上げ、入院費などのお金がかからないようにする提案ができています。
パソコンが欲しい
最後は、「パソコンが欲しい」というウォンツが先行しているパターンです。
こちらも、お客様の声を鵜呑みにするのではなく、「なぜ?」の質問を繰り返してニーズを深掘りしましょう。
営業:今回は、パソコンをお求めとのことですが、差し支えなければ理由を教えていただけますでしょうか。
パソコンが故障したのでしょうか。
お客様:いえ、故障はしていないのですが、今のパソコンの画面が小さいので、買い換えを検討しています。
営業:ありがとうございます。
画面が大きいパソコンをお探しということでしょうか。
※「パソコンの画面が小さい」という発言を受けて、「画面の大きいパソコンが欲しいのでは」と仮説を立てて確認するテクニック
お客様:そうですね。
デスクワークの仕事が中心で、普段から目を酷使しているせいか、文字が見えづらかったり、視界がぼやけてしまうことが増えている気がします。
なので、パソコンの画面が大きいものがあればと考えています。
営業:承知しました。
目の健康に関するお悩みをお持ちなのですね。
もしよろしければ、パソコン以外にもブルーライトカットのPCフィルムなども併せてご購入いただいた方がよいと思います。
また、別フロアには眼精疲労によく効くアイマスクなどもございますので提案させていただきます。
お客様の目の健康に関する不安を引き出すことで、パソコンの付属品や健康器具などの提案ができています。
このように、ニーズを深掘りするだけで提案の幅が広がるため、売上を上げるチャンスも増えるのです。
潜在ニーズを引き出す質問
潜在ニーズは、名前のとおりお客様が自覚していない悩みです。
そのため、潜在ニーズを引き出すには、こちらからいろいろな質問をして会話を積み重ねていく必要があります。
ここでは、潜在ニーズを効率的に引き出すための質問を四つ紹介します。
それぞれの質問を必要に応じて使い分け、お客様により良い提案ができるようになりましょう。
最近変化はありましたか?
お客様のライフスタイルや環境の変化に関する質問です。
最近の変化について質問することで、お客様に生じた新たな悩みや最近明らかになった問題などを知ることが可能です。
先ほど紹介したもので該当するのは、「子どもができたのはうれしいが、泣いたりするので公共交通機関を使いにくい」などの例が当てはまります。
お客様の生活が変化するときは、新たな問題に悩んでいることも多いので、お客様の中で生じた変化を確認し、潜在ニーズを探るようにしましょう。
具体的な悩みはありますか?
お客様が感じている悩みを具体的に言語化してもらうための質問です。
お客様自身が自分の悩みを言語化できていないと、お客様は漠然とした悩みを抱え続け、サービスを提供する側も的外れな提案をしてしまいます。
お客様に「具体的な悩みはありますか」と質問することで、お客様自身が悩みを言語化することにつながるので、より潜在的なニーズを引き出すことが可能です。
一方、上記の質問をしてもお客様がなかなか言語化できないこともあります。
そのような場合は、こちらから「〇〇でお悩みでしょうか」と投げ掛けてみてもよいでしょう。
普段からお客様の声を、たくさん聞いている営業や販売員であれば、他のお客様の事例を基にお客様の悩みに対して仮説を立てることもできます。
もし、「〇〇」がお客様の悩みを的確に表現しているものであれば、お客様の反応が変わり、潜在ニーズを探り当てたと分かります。
お客様の具体的な悩みを会話の中で掘り下げ、潜在ニーズを引き出しましょう。
この商品を購入した理由はなんですか?
過去に購入した商品の背景や理由を尋ねることで、当時感じていたニーズや、商品を購入して新たに分かった問題などを明らかにする質問です。
商品を購入したきっかけを知ることは重要なので、しっかりとヒアリングしましょう。
お客様が解決したい問題の本当の原因が隠れていることが多いからです。
しかし、購入後に自分には合わないとお客様が感じていれば、なおのことお客様も潜在ニーズに気づきやすくなっています。
商品を購入した理由を探り、潜在ニーズを引き出してより魅力的な提案ができるようになりましょう。
今の悩みが解決したらどんな影響がありますか?
悩みが解決した後の未来の状況について想像してもらうための質問です。
お客様と会話をする中でより良い未来を想像してもらうことで、現状の課題をより明確にする意図があります。
人間は、目的が決まることで具体的な行動が決まる側面もあり、ゴールを先に決めるのは理にかなっているのです。
例えば、登山をする際に、家の近くにある山を登るのと、エベレストを登るのとでは、必要な準備がまったく異なります。
家の近くにある山であれば、軽装で十分ですが、エベレストに登るのであれば、防寒用の服やアイスピックなども準備しなければなりません。
目的に応じて必要な準備(行動)が変わるのがお分かりいただけるでしょう。
自分が成し遂げたい未来の像(エベレスト登頂)から逆算し、達成に必要な要素を洗い出すこと(防寒服やアイスピックの準備)で潜在ニーズを引き出せます。
【ニーズを引き出す】潜在ニーズを引き出す際のポイント
ここまで潜在ニーズとはいったい何なのか、ニーズとウォンツには違いがあることや、ニーズを引き出すために覚えておきたいSPIN営業法について見てきました。
それではいざ交渉現場などで実践する場合、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか。
質問にバリエーションをもたせることなど、一朝一夕ではなかなか成し遂げられないものがあるものの、顧客の期待に応えられるように工夫しておきたいポイントを確認しておきましょう。
顧客が話す言葉はほとんどがウォンツ
これまでに、ウォンツとは手段や具体的な欲求であり、ニーズとは目的やぼんやりとした欲求であると言及しました。
ヒアリングの際に顧客が話す言葉は、ウォンツであることが多いです。
人間にとって抽象的なものよりも、具体的なものについて話す方が簡単だからでしょう。
目的は漠然としたものであり、目的よりも手段の方が明確にイメージできます。
そのため、顧客は手段であるウォンツをよく語りますが、このウォンツの存在は潜在ニーズの解決策として軽視できません。
最初は顧客のウォンツだけしかわからなくても、ウォンツに対する質問を重ねていくうちに、ニーズを突き止められます。
顧客から潜在ニーズを引き出すために、人間のウォンツに左右されやすいという性質を踏まえた上でヒアリングをしてください。
ゴールを作る
どれほど話術があって会話が達者だったとしても、相手のニーズや課題などを正確に把握して、自社のサービスなどを提案するまでにはなかなか至りません。
自社商品に対する理解や営業トークを身につけていたとしても、それだけでは契約を結ぶほどの信頼関係を築くことは難しいでしょう。
そこで押さえておきたいのがSPIN営業法です。
方法を理解して実行できるようになったからといって、直ちに売り上げを伸ばすことにはつながりません。
なぜならば効率良く成果を出すためには、タイムマネジメントやクロージングといった能力も身につけておかなければならないからです。
つまり、その質問によってどのような回答を得たいのかなど、ゴールを明確にする意識をもつことが大切になるでしょう。
諦めない
契約に至るまでのプロセスなどを具体的に描いたり、頭の中でゴールを作っておいたりすると、クロージング率を高めるなど良い結果を出すことにつながります。
そのためにはあらかじめ質問を用意しておく、または回答されるであることに見当をつけて助言を用意しておくと良いでしょう。
しかしそれらの心構えがしっかりできていたとしても、基礎的な知識を学んだうえで方法論を実行したとしても、全て成功につながるとは限りません。
それでも、たとえ自分が想定した答えでなかったとしても、それを真摯に聞くことが大切です。
したがって、質問力などを磨くとともに、謙虚な姿勢を持ち続けてください。
なかなか成果に結びつかないうちでも、丁寧に質問することを習慣化することで、日々の積み重ねによって次第に目標へ近づいていくはずです。
まとめ
営業の仕事は、お客様の潜在ニーズを引き出すことでより成果を出しやすくなります。
一方で、潜在ニーズを引き出すためには、さまざまなスキルと経験が必要です。
今回紹介した内容は、普段の営業活動の中で生かせるスキルや事例ですので、営業活動に役立てましょう。
どのようなスキルも、実践を通して身に付くものなので、一度やって終わりにするのではなく、繰り返し実践して自分のものにしてください。
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