ラポールとは?信頼される営業になるために必要な考えとテクニックを紹介

ラポールとは?信頼される営業になるために必要な考えとテクニックを紹介

目次
  1. 【営業活動におけるラポール】ラポールとは
  2. 【営業活動におけるラポール】ラポール形成が必要な理由
  3. 【営業活動におけるラポール】ラポールを築く上で必要な考え方
  4. 【営業活動におけるラポール】ラポール形成における5段階
  5. まとめ

営業の仕事を始めると「ラポール」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

ラポールとは、話し手と聴き手の信頼関係を指す言葉で、主にカウンセリングの場などでよく用いられます。

ラポールのテクニックを磨くことは、営業の質を上げるために非常に重要です。

そこで今回は、信頼される営業になる考え方やテクニックについて、ラポールを主軸に説明をしていきます。

営業先の企業などと信頼関係を結び、円滑に営業活動を進めていきたいという人は、ぜひチェックしてみてください。

【営業活動におけるラポール】ラポールとは

冒頭でも説明したとおり、「ラポール」とは話し手と聴き手の信頼関係を指す言葉です。

カウンセリングなどの場でうまくラポールを構築していることが、うまくいく秘訣だともいわれています。

これは、営業活動の中でも同じことがいえます。

営業は取引先との信頼関係があってこそ、継続的に売れるようになります。

ラポールが構築されていると、取引先は安心して自然な振る舞いをしてくれるようになり、営業の言葉にも素直に耳を傾けてくれることが多いのです。

一方、ラポールが築けていない状態で提案し続けていても、顧客は耳を貸してくれません。

このテクニックが身についていれば、安定して売上を構築できるようになり、トップ営業マンへ一歩近づくでしょう。

なお、ラポールを築くための技法として、「キャリブレーション」「ペーシング」「ミラーリング」「マッチング」「バックトラッキング」というものが存在します。

これは最後の章で解説するので、ぜひ最後までお読みください。

【営業活動におけるラポール】ラポール形成が必要な理由

先ほども説明したとおり、人間は無意識ながらもラポールが築けている関係の相手の言うことは素直に聞けます。

また聞いた内容を疑うことなく受け入れるのです。

反対に、ラポールが築けていない相手の言うことは、どれも上辺の言葉に聞こえてしまったりします。

自分をだまそうとしているのではないかと疑ってしまうこともあるでしょう。

営業マンからすると、自分の話すことをしっかりと受け入れてもらうことが、営業を成功させる第一歩ともいえます。

そのためにも、ラポール形成が必要となるのです。

相手の警戒心をとくことができる

顧客が法人でも個人でも、営業されることに対して少なからず警戒心を持つことでしょう。

新規開拓営業における初回接触時は、なおさら警戒して心を開いてくれません。

いくらトーク力に自信があっても、信頼度が低い状態だと成約率を上げることは難しいものです。

しかし、ラポール形成ができていれば相手の警戒心を解いて一気に距離を縮めることができます。

営業から成約に至るまでには複数のプロセスを踏みますが、ラポールを駆使して接触をし続けることで徐々に信頼度が高まり、グリップの強いクロージングに持っていくことができるのです。

同じ内容でも話す人間によって相手に与える印象は大きく変わる

たとえ同じ内容を話したとしても、相手との関係性などによって、受け取り手が感じる印象は大きく変わります。

たとえば、とても尊敬している上司と苦手な上司の2人がいるとして、どちらからも「この記事を読んでみて」と声をかけられたとしましょう。

尊敬する上司からの声かけなら「どんな素晴らしい内容が書いているのだろう、どのような意図があるのか気になるから読んでみよう」となる方が多いはずです。

反対に嫌いな上司からの場合は「どうして自分が読まないといけないのか、面倒臭い」とネガティブに感じてしまうかもしれません。

このように、ただ同じように「記事を読んでみて欲しい」と言われただけでも、相手と築き上げた関係性や、印象の違いだけで受け取り方が変わってしまうのです。

これが営業マンと取引先だった場合、関係が築けていないとどれだけ頑張って提案しても「面倒臭い」「よくないものに違いない」と思われてしまうかもしれないのです。

会話をする相手の本音を引き出せる

ラポールが築けているということは、お互いに素直に言いたいことを話せて、素直な気持ちで話を聞けるということです。

つまり、営業マンと取引先の場合なら、取引先がどのような希望や思いをもっているのかという本音を引き出すことがしやすくなります。

取引先がこのような商品が欲しい、というような思いをもっていたとします。

ラポールを築けている営業マンと築けていない営業マンが話を聞きに行ったとしたら、前者に自分が欲しい商品の話をするのではないでしょうか。

実際に欲しいと思っている商品を聞き出せたら、営業活動はとてもスムーズになり、上手に営業活動を進められるようになります。

提案を受け入れられる関係性ができる

顧客の購買意欲を一気に100にするということは難しいものです。

実際に欲しいと思っている商品やサービスだとしても、他社製品と比較して懸念点が残ってしまうものです。

そのため、最終的に購買の決め手となるものが「安心感」です。

もちろん、商品やサービスに関して「この商品なら安心して使い続けられそう」という気持ちを持つことが前提です。

しかし、同様の商品と比較したときに安心できるか否かのポイントになるのは、提案している営業の人柄も重要です。

同じものを2人から提案されたとして購入を決める場合、誰から買うかを判断基準にするというわけです。

そのため、ラポールを構築してきた営業は非常に強いのです。

また、強豪がいなかった場合でも同様です。

ラポールが形成されていないのに、ただ闇雲に「いい商品です!」とアピールしても、本当にいい商品なのか疑われてしまったりいいところが全然伝わらなかったりします。

ラポールが形成された関係性なら、受け入れ体制でこちらの提案を聞いてもらえるので、しっかりと伝えたいことを伝えられるでしょう。

信頼が高まれば高まるほど、「あなたがいいと言う商品なら良いものだろう」と無条件に認めてもらえるようになるのです。

【営業活動におけるラポール】ラポールを築く上で必要な考え方

ラポールは高度なテクニックが必要であると思っている人も少なくありませんが、考え方は非常にシンプルです。

相手に信頼してもらうためには、まず自分を隠さずに開示することから始まります。

そして徐々に関係性ができてきた時、相手の話に共感をしたり褒めたりと、「あなたに好感を持っていますよ」という意思表示をします。

これは、コミュニケーション能力が高い人ならプライベートでも自然に使っているのではないでしょうか。

仕事においても、人との距離を縮めるためには相手に興味を持っていることが伝わる姿勢を表すことが必要なのです。

このラポールテクニックにおける姿勢は、次の5つに分けられます。

ラポールテクニックにおける姿勢

・自己開示

・受け入れる

・共感する

・感謝する

・褒める

これらを意識して商談を進めるだけで、今までよりも圧倒的に実のある話ができるようになるでしょう。

それでは、これらの具体的なテクニックをご紹介します。

自己開示

相手に心を開いてもらう前に、まず自分が何者かを伝える必要があります。

それは表面上だけの自己紹介で良いというわけではありません。

提案している商品にどういう思いを持って仕事をしているか、どのくらい相手と関係性を築きたいと思っているかなど、気持ちの面を伝えることで相手の心にひびきます。

顧客が「買ってみようかな」という気持ちを持つためには、営業マン自身が自分の商談や話す内容に対して懐疑心をもたず、相手に素直な気持ちで向き合うことが大切です。

反対に、自分の提案に懐疑的になっている場合は相手にもその気持ちが伝わり、素直に気持ちを届けられません。

「どうせこの提案では受け入れてもらえない」「自信がないから、あえて虚勢を張っておこう」というような態度の営業マンの話は、受け入れてもらいにくいのが現実です。

相手に向き合えないと、信頼関係を構築することは難しいでしょう。

ラポールを築くためには、まず自分から相手に素直な自分を見せるというのが大切なのです。

本音で話してくれない人に対して、心から信頼してくれる人はいません。

まずはありのままの自分を受け入れ、率直な態度で相手と向き合うことがラポール構築の第一歩です。

受け入れる

相手(話し手)が話すことに対して、批判したり批判的な目を向けたりせず、いつでも受容的な態度で接するのが大切です。

自分の意見が否定されたら、誰しも良い気持ちにはならないでしょう。

相手が顧客ならなおさら、自分の気持ちを理解してくれない営業からは物を買おうとは思いません。

営業は、相手も1人の人間ということを念頭に置いて大切にして思いやる姿勢でいることが非常に大切なのです。

とはいえ、相手の意見が明らかに間違えている場合もあるでしょう。

その場合はもちろん正しい意見を伝えてあげないといけませんが、否定から入ってはいけません。

相手が言うことはしっかりと受け止めたうえで、その良いところを見つけながら、自分の考えも素直に話す関係性が理想だといえます。

共感する

「信頼関係を強くするには、相手に共感する姿勢を見せよう」と、営業の現場ではよく聞く話です。

ラポール構築において、相手に共感をすることは非常に大切です。

人は誰しも自分の価値観と似た人に好感を持つ生き物です。

ラポール構築をしていく中で共感してくれれば、一気に好印象を持って話を進めることでしょう。

また、共感をするためには話し手がどのようなものの見方や考え方をするのか、本質から知ることが重要です。

会話をする中でも、「この話はこのような考えがあるからしているのだな」「このように考えているから、このような商品が受け入れやすいのではないかな」と察するのヒアリング力が大切なのです。

これらを心がけると、スムーズな会話や提案ができるようになるでしょう。

また、本質的に共感できるようになると、表面上だけで同調や同感するだけでなく、心から同調でき、それが相手にも伝わり信頼関係が築きやすくなります。

上辺で接するというのはどうしても相手に伝わってしまいます。

難しいことではありますが相手の本質から理解するという気持ちが大切です。

それができることで、相手も心を開いてさらに深い本音も話してくれるようになるかもしれません。

相手の「ものの見方・考え方」に沿って理解するように努めることが重要です。

感謝する

大人になってくると、だんだんと「ありがとう」が言いにくいという人もいるでしょう。

相手に感謝の気持ちを表すことは、恥ずかしいことではありません。

むしろビジネスの場では非常に重要なパフォーマンスでもあるのです。

「話を聞いてくれてありがとう」

「時間をくれてありがとう」

「縁があって嬉しい」

このような感謝の気持ちは、オーバー気味に相手にさらけ出すことも必要です。

とくに新規開拓営業における初回商談では、「お会いできて本当に嬉しい」ということを感謝することは大切です。

感謝されることで、相手は営業に好感を持ってくれます。

また、既存の取引先だとしても、感謝を忘れてはいけません。

「ありがとう」という気持ちは、伝え続けることで相手との縁をつないでくれるのです。

褒める

営業テクニックを学んでいると「相手をひたすら褒めよう」などと言われることがあります。

これは単なる根性論ではありません。

ラポールテクニックの一つとして非常に大切な要素なのです。

なぜなら、褒めてくれた相手に対して悪い印象を持たないからです。

とくに初めてお会いする顧客に対しては、褒めるポイントを探してみてください。

たとえば、初めてオフィスに足を運んだ取引先がいたとした場合、受付の丁寧な対応やピカピカに磨かれた床などを褒めてみるのも良いでしょう。

相手先が業界内で特化したものがあれば、「ホームページで見ましたよ」と素晴らしいと思ったポイントを伝えてみてはいかがでしょうか。

なお、相手の容姿など褒めることがあまり好ましくないポイントもあるので気をつけましょう。

自分の思いを伝える

営業はどれだけ饒舌なトーク力を持っていても、自分の気持ちや熱意が乗っていなければ相手の心に響くことはありません。

むしろ、商品の売り文句が上手に言えることより、自分の気持ちを上手に伝えられる方が重要です。

なぜなら、顧客は何を考えているか分からない営業に対して警戒心を解くことはないに等しいからです。

自分が持ってきた提案があるとした場合、どれだけ完璧なプランに仕上げたとしても、「この要望をどうしても叶えてあげたくて、こういうプランにしました」という気持ちが伝わらなければただの紙切れになる可能性もあります。

熱意は単なる根性論ではありません。

むしろ、人が提案しているからこそ、体温のこもった言葉で商談を進める必要があるととらえましょう。

【営業活動におけるラポール】ラポール形成における5段階

ここからは、相手とのラポールの構築法を具体的に紹介していきます。

営業テクニックにおけるラポールには諸説ありますが、今回ご紹介するのは5段階に分けたテクニックです。

営業テクニックにおけるラポール

1.相手の気持ちを読み取る「キャリブレーション」

2.相手の仕草や声の調子を合わせる「ペーシング」

3.視覚情報を鏡のように合わせる「ミラーリング」

4.会話のリズムを合わせる「マッチング」

5.いわゆるオウム返しともいわれる「バックトラッキング」

それぞれどんな理由でラポールが築けるのか、上手な使用方法などを確認してみましょう。

1.キャリブレーション

まず初めにおこなうことは、相手の表情や仕草、言動から気持ちを読み取る「キャリブレーション」です。

キャリブレーションとは、言葉以外で相手の心情を読み取る行為で、営業現場においては初回商談で重要なスキルです。

例えば、資料を使って相手に説明しているとしましょう。

この時の相手の目線が資料の文章を読み込んでいるのか、さらっとページをめくっているだけなのかで、興味の度合いがわかるでしょう。

また、会話をしていてどの程度目線が合っているかで、営業側に対する警戒心の度合いを把握することもできます。

キャリブレーションをおこなうことで、この後の「ペーシング」のフェーズで相手と波長を合わせて話を進めることができるので、まずは意識して相手を観察してみましょう。

2.ペーシング

相手の言語や非言語情報に調子を合わせるのが「ペーシング」です。

相手の仕草や無意識に発する声の高さ、テンポなどをさりげなく合わせながら、会話をします。

なぜペーシングがラポール形成に効果的かというと、相手と話す調子や仕草を合わせていくうちに、相手は無意識下で「自分に似ている」と感じ始めます。

これは心理学的に類似性と呼ばれ、人は類似性を感じると心を開きやすくなり、親しみやすくなるといわれているのです。

もともと良好な関係性の家族や友人は、同じ調子で話したり同じ手振りをしたりするともいわれます。

つまり、ペーシングはわざと相手と調子を合わせることで、相手に家族や友人のような親しみをもたせることです。

ペーシングをうまく活用するためには、その前に相手をしっかり観察する「キャリブレーション」という工程も必要になります。

相手の表情や仕草、リズムの取り方などを先に観察しておくことで、適切にペーシングを取り入れられるでしょう。

3.ミラーリング

「ミラーリング」もペーシングと同じように相手に合わせていく手法ですが、こちらは視覚情報を鏡のように合わせていく方法です。

相手の姿勢や仕草や、手や足の位置などさまざまな視覚情報を合わせることで、相手に親しみをもたせることができるのです。

ミラーリングで合わせる場所は、顔や上半身、下半身、呼吸などになります。

顔は頭の向きや傾き具合、さらに顎の位置を合わせることでミラーリングになります。

合わせるのは、位置だけでなく表情も重要です。

口角の上がり具合や目の開け方などを合わせるようにします。

上半身なら、背筋の伸び具合や前後左右の傾き加減をミラーリングし、手や腕の位置、ジェスチャーなどもミラーリング対象です。

足を組んでいる、開いている、閉じているなども、ミラーリングできます。

ミラーリングの対象は、呼吸にも及びます。

呼吸は胸とお腹のどちらでしているのか、深いのか浅いのかというのも、チェックが必要です。

ミラーリングは少し遅らせて行うのが重要で、同時に合わせるとただの猿真似になってしまいます。

ここを間違えると失敗するので、注意して使うようにしましょう。

4.マッチング

マッチングは、相手の声のボリュームやトーン、テンポなどを合わせる行為です。

ペーシングと似ていますが、マッチングは話の内容ではなくリズムやテンポを合わせることに意識を向けます。

相手がゆっくりと話すタイプなら、早口で商談を進めてしまうと萎縮されてしまうでしょう。

反対に早口で話すタイプなら、営業がゆっくりと話しているとイライラさせてしまうかもしれません。

ビジネスの場では、商談のスピードにも相性を感じるものです。

テンポが違うだけで会話のミスマッチが起こり、せっかく案件が進んだとしても認識のズレから失注してしまうリスクも考えられます。

最初のキャリブレーションの段階から、相手をしっかりと観察してテンポを合わせて話し方を変えていきましょう。

5.バックトラッキング

いわゆるオウム返しといわれるのが「バックトラッキング」という手法です。

たとえば「昨日、おいしいご飯を食べに行きました」という声かけに、「おいしいご飯を食べたのですね!」と返します。

すると、「そうなんです!もう一度食べたいなぁ」と必ず肯定の返事がきます。

相手の言うことに肯定したら、相手の存在自体も肯定するという思考になります。

バックトラッキングには、5段階のレベルがありどんとんレベルが上がるにつれて、しっかりと話を聞いて返事をしてくれていると相手に思わせる返事をできるのがポイントです。

1つ目は、オウム返しの基本である内容をそのまま繰り返すことです。

たとえば、「昨日は家族でおいしいご飯を食べに行ったよ」「ご家族でご飯を食べに行ったんですね!」というような形です。

2つ目は、感情の部分を繰り返すものになります。

たとえば、「昨日は家族でおいしいご飯を食べに行って、楽しかったよ」「ご家族で楽しんだんですね、羨ましいです!」というような会話になります。

3つ目は言い換えで、「昨日は家族でおいしいご飯を食べに行って、楽しかったよ」「仲良しのご家族で素敵ですね!」というような具合です。

4つ目は要約して返事をするもので、「昨日は家族でおいしいご飯を食べに行って、楽しかったよ」「おいしいご飯をご家族で食べて楽しんだんですね!」というような形となります。

最後の5つ目は、深いレベルでの繰り返しです。

「昨日は家族でおいしいご飯を食べに行って、楽しかったよ」「ご家族皆で思い出に残る食事をしたいとおっしゃってましたね!」というような会話です。

たかがオウム返しと思いがちですが、レベルが上がるにつれてしっかりと話を聞いてくれていると相手に感じてもらえるのではないでしょうか。

徐々に難易度が上がるので、日常生活の中でも練習が必要です。

まとめ

こちらの記事では、営業活動においてとても重要となるラポールについて解説しました。

ラポールを構築できるかどうかが、営業活動をスムーズにしたり、他の営業マンよりも信頼してもらったりするための鍵となります。

ラポール構築に関するテクニックを学んで、相手との信頼関係を結べるように練習してみてください。

SHARE この記事を友達におしえる!