中退の理由を面接で聞かれたらどうする?ケース別の回答例や押さえておきたいポイントなどを解説
はじめに
中退経験のある人は面接で理由を聞かれたとき、どのように答えたらよいのかわからず、なかなか転職活動に踏み切れない人も多いのではないでしょうか。
中退の理由は人によってさまざまですが、いずれの場合においてもどこか後ろめたい事情があることも多いでしょう。
中退してしまった事実を変えることはできないので、面接官が納得できるよう上手に理由を伝えることが重要となっていきます。
今回は、中退の理由を面接で聞かれたときの回答ついて詳しく解説していきます。
ケース別の回答例や押さえておきたいポイントについても紹介しているので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
【面接で聞かれる中退の理由】大学中退でよくある理由
大学中退でよくある理由を大きく分けると、次の5つがあります。
- 学業が疎か・単位不足だった
- 経済的な理由があった
- 就職・起業した
- 病気や怪我などがあった
- 人間関係に悩みがあった
学業が疎か・単位不足だった
学業が疎かだった、もしくは単位が不足していた等により学びへのモチベーションが下がり、そのまま中退してしまうケースがあります。
学業不振についてはネガティブな理由であることから、面接で理由を話すときに苦労することの多い理由の一つかもしれません。
大学は入るまでも大変ですが、しっかりと勉強をしておかなければ成績は下がっていきますし、単位が取れなければ卒業が難しくなります。
経済的な理由があった
経済的な理由で、大学を中退してしまうこともあるでしょう。
ただし金銭面を理由とした中退はやむを得ない事情として、面接でも理解してもらえることが多くあります。
これまで問題なく学校に通えていたという場合でも、両親が病気になったり失業したりしてしまうことにより、中退を余儀なくされることがあるかもしれません。
また結婚や出産という理由で、経済的に厳しくなってしまうこともあるでしょう。
学費に余裕がない人は、奨学金制度を利用する学生も多いと思います。
しかし返済への不安から、あえて大学中退という選択を選んでしまうことも少なくはないでしょう。
就職・起業した
在学中にどこかに就職、もしくは学生であれば自身が起業したことにより中退しなければならないこともあります。
在学中にビジネスをしていて、事業に集中したいとなった場合は大学に通うことが難しくなってしまうでしょう。
または学校に通っているうちにやりたいことが見つかり、今いる環境が変わってしまったということで中退を選択する人もいます。
病気や怪我などがあった
重い病気や怪我などにより、大学を中退してしまう人もいます。
特に入院が必要となってしまった場合は、長期療養のために通学そのものが困難となってしまうでしょう。
入院中は治療費がかさんでしまい、大学を中退しなければならないような事態に陥ってしまうことがあります。
パニック障がいなど精神的な疾患であればなおさらで、人と関われないような状況になってしまった場合は、卒業まで在籍することが難しく中退せざるを得なくなるでしょう。
人間関係に悩みがあった
人間関係に悩みがあって、大学を中退してしまうケースも少なからずあるでしょう。
例えば友達ができず、孤独感があるといった人間関係の悩みです。
大学には中学校・高校のようにクラスがあるわけではないので、自分から率先してコミュニティを作っていかなければなりません。
たとえ部活やサークルに所属したとしても、自分から相手に働きかけなければ円滑なコミュニケーションは生まれないでしょう。
交通関係が広がらない日々が続くと、精神的な負担となってしまい、やがて休学・退学という選択をしてしまう人も数多くいます。
特にオンライン授業も一般的になっている昨今、対面によるコミュニケーションは希薄になりがちです。
コミュニケーション不足により就学意欲が低下し、大学に通って学ぶことに価値を見いだせなくなってしまうケースが多々あります。
【面接で聞かれる中退の理由】ケース別の回答例
「なぜ中退したのですか?」と面接で理由を聞かれると、どのように答えて良いのか悩んでしまう人も多いでしょう。
ここでは次の中退理由について、ケース別の回答例をご紹介していきます。
- 学業が疎か・単位不足により中退のケース
- 経済的な理由による中退のケース
- 就職・起業による中退のケース
- 病気やケガによる中退のケース
- 人間関係による中退のケース
学業が疎か・単位不足により中退のケース
学業が疎か・単位不足により中退したときの回答例は次のとおりです。
「とにかく大学生になれば良い」という安直な考えで大学と学部を選んでしまい、授業への興味・関心が徐々に薄れていき、中退を決断いたしました。
在学中は、いつしか単位を取るための勉強になってしまい、今考えれば本当に自分が学びたい分野からは脱線していたと思います。
現在は、過去の失敗を反省し、何か行動を起こす前に情報収集や分析を欠かさず行うことを念頭に置きながら転職活動をしています。
自分の能力や適性を客観的に見れるように努めている次第です。
学業不振が中退理由の場合は、面接でもマイナスイメージを持たれやすいため特に答えるのが難しいものです。
学業に関する中退理由の場合、単位が不足していたことをあえて伝える必要はありません。
しかし自分が学業に集中できなかった理由については正直に話すようにしましょう。
そして必ず過去についてどのように反省したかについて触れるのがポイントです。
経済的な理由による中退のケース
経済的な理由で中退したときの回答例は次のとおりです。
両親の会社が倒産してしまい、学費を払い続けることが難しくなってしまったことで中退という選択に至りました。
中退したあとも大学で学び続けたいという気持ちが強く、悔しい思いをしていました。
しかしやむを得ない事情として、現在は「苦しいときこそ成長のチャンス」とポジティブに捉えています。
前向きな気持ちで仕事や転職活動をしていくうちに精神的な余裕が生まれ、将来は両親の支えになりたいと考えるようにもなりました。
社会人として一生懸命働き、両親に恩返しができればと考えております。
経済的な理由を伝えるときは、どのような状況・背景があって経済的に困窮したのかについて詳しく話すのがポイントです。
そして理由をそのまま伝えるだけでなく、現在どのような気持ちを持って転職活動に取り組んでいるのかを話しましょう。
内容がポジティブであればあるほど、面接官からの心象は良くなります。
上記の回答例は、両親が間接的な原因だった場合であっても、育ててくれたことに対する感謝の気持ちがあり、前向きな表現ができています。
就職・起業による中退のケース
就職・起業により中退したときの回答例は次のとおりです。
集中して自身のビジネスに取り組んでいきたいと思うようになったことが、中退した理由です。
元々アプリ開発に関心があったため、商学部に在籍する傍らプログラミング言語を学び、学生同士が利用できるフリーマーケットアプリを開発しました。
初めは大学に通いながら働くという二足のわらじも考えましたが、やはりそれでは日々目まぐるしく変化するユーザーニーズを把握することができなくなると考えました。
転職理由は、自社の解決すべき社会課題が、御社の中でスピーディーに果たせるのではないかと考えたからです。
就職・起業による中退は、他に比べても前向きに受け取ってもらえることが多く、面接官に興味を持ってもらえることがあるでしょう。
就職・起業することになった理由や経緯を伝えるようにして、自分の開発実績などについて話しておくことがポイントです。
また起業の場合は「中退して起業したにも関わらずなぜ転職を目指しているのか」について明確な理由を用意しておきましょう。
応募先の企業と自分が持っている価値観や経営理念が合致すれば、面接においても相手に良い印象を残せます。
病気やケガによる中退のケース
病気やケガにより中退したときの回答例は次のとおりです。
大学在学中に〇〇を患ってしまい、1年入院することになり中退せざるを得ない状況となりました。
中退してしまったことに負い目を感じ、また周囲の友人と差ができることにくやしさを覚えるなど、ネガティブな気持ちに陥りがちでした。
しかし家族のサポートや病院の献身的な対応により、復帰できました。
今後は、自分も人の役に立てる人材として頑張っていきたいと思っている次第です。
なお現在は完治しており、医師からも健康状態に問題はないと言われているため、勤務について支障はございません。
病気やケガによる中退理由は、やむを得ない事情として汲み取ってもらいやすく、面接で悪い印象を持たれることもありません。
しかし「入社したあと、業務に支障が出るのではないか」という懸念を持たれやすい中退理由でもあります。
そのため面接官が安心できるように、現在の健康状態や通院状況などを詳細に伝えて、相手に安心感を与えるようにしましょう。
人間関係による中退のケース
人間関係により中退したときの回答例は次のとおりです。
大学入学後に〇〇サークルに入りましたが雰囲気になじめず、そのまま大学に通わなくなってしまったので中退いたしました。
しかし馴染めないのであれば、自分から声をかける、自身の環境を変えるといった対応ができたはずです。
現在は後悔もありますし、反省をしております。
中退後は、就職先が決まるまでアルバイトに打ち込むことにしました。
チームワークやコミュニケーションスキルについては、アルバイト経験で一通り身に就いたものと自負しております。
お客様のために働くという目的意識を強く持ったことで、些細な人間関係に悩むことがない強い強いマインドが手に入りました。
人間関係によって中退してしまったときも、正直に話すと良いでしょう。
ただし社内業務で必要となるコミュニケーション能力を疑われてしまう可能性があります。
そこでアルバイトを頑張った経験など、悪いイメージを払拭できるエピソードを伝えるのがポイントです。
アルバイトの経験が薄い人は、ほかに力を入れたエピソードでも良いでしょう。
【面接で聞かれる中退の理由】中退は面接で不利になる?
たしかに大学を中退すると「高卒」になってしまうため、中退は面接で不利になることはあります。
また本来卒業して得られるはずだった資格がないために、応募できる企業が絞られてしまうリスクもあるでしょう。
さらに同じレベルの人材がいたときに、中退が減点対象となり、ふるいにかけられて落とされる可能性があります。
しかし個々の状況や企業の採用方針もさまざまなので、中退が面接において絶対に不利になるとは言い切れません。
採用において企業が重視しているのは、学歴や中退の事実よりも、入社後に活躍できるポテンシャルがあるかどうかです。
特に20代の社会人であれば、特別なスキルや経験がなくともやる気や熱意で高い評価が得られることもあります。
また長く働いてもらえそうかといった会社と相性が良いか等も重視されます。
そのため中途だからと言って諦めるのではなく、前向きな気持ちで転職するという強い気持ちを持って活動するマインドが何よりも大切です。
【面接で聞かれる中退の理由】中退者が面接で押さえておきたいポイント
中退者が面接で押さえておきたいポイントは、次の3つです。
- 前もって回答を作っておく
- 正直に話す
- 反省点と今後のビジョンを話す
前もって回答を作っておく
前もって回答を作っておきましょう。
中退した理由は人によってさまざまですが、過去のことなので事実があります。
そのため回答に時間がかかってしまうと「嘘をついているのではないか?」と疑われてしまうことがあるでしょう。
学業不振や人間関係の悪化など後ろめたい理由があっても、すぐに話せるように伝えたいことを箇条書きし、面接当日スムーズに話せるようにしておきましょう。
ただし作った回答を丸暗記しないようにすることが大切です。
丸暗記するとスラスラと話ができますが、棒読みになりやすく、覚えて練習してきた感じが相手にも伝わってしまいます。
そのため自分の言葉で話せているような空気が伝わるように、表情や声のトーンに気を使うことも大切です。
正直に話す
中退した理由は、必ず正直に話しましょう。
良く見せようと話を偽ってしまうと、面接官から深掘りされたときに上手く答えられなかったり、矛盾が生じたりしてしまうからです。
面接中に一度でも不信感を持たれてしまうと、その後どのようなアピールができていてもリカバリーが難しくなります。
たとえ後ろめたい中退理由だとしても、初めから正直に話をしておけば、その後何を聞かれても答えやすくなります。
むしろ正直に話したことで誠実さが伝わり、良い評価へとつながっていくこともあるでしょう。
ネガティブな中退理由があるときは、嘘ではなく、前向きな言葉に置き換えて伝えることがポイントです。
例えば、学業不振・単位不足等で中退してしまったときは「社会人として研鑽を積みたかった」などと言い換えができます。
反省点と今後のビジョンを話す
面接で中退理由を伝えるときは、反省点と今後のビジョンも添えましょう。
なぜなら中退はマイナスな印象を持たれてしまうことが多く、理由を伝えただけでは面接官を納得させることが難しいからです。
言い訳をするのではなく、まずは中退してしまったことに対する反省をして、今後どのように社会に出ていきたいのかを伝えるようにしましょう。
将来ビジョンが明確であれば、面接官に「長く働いてもらえそう」といった安心感が芽生えるでしょう。
【面接で聞かれる中退の理由】中退者が面接前に持つべきマインド
中退者が面接前に持つべきマインドとしては、以下のようなものがあります。
- 前向きな気持ちを持つ
- 自分がやりやすい方法で転職活動を進める
- 中退によって得られたものを整理する
- 大手や有名企業にこだわらないようにする
- 転職先を妥協しないようにする
- 「転職したら長く働く」という意識を持つ
前向きな気持ちを持つ
中退してしまった場合も、過去のこととして捉え前向きな気持ちを持ちましょう。
中退はマイナスイメージが強く、面接官はもちろんのこと、中退した本人も悪いイメージを持ちがちです。
しかし後ろ向きな気持ちで転職活動をしても、モチベーションが上がらないままで、思うような成果が得られないことが多々あります。
もちろん中退したことに対する反省は必要ですが、次にどう活かして活動していくのかを考え、気持ちを引きずらないようにしましょう。
自分がやりやすい方法で転職活動を進める
自分がやりやすい方法で転職活動を進めていきましょう。
中退してしまうと、大学によってはキャリアセンターを利用できなくなってしまう可能性があるので、焦ってしまうかもしれません。
しかし転職活動は選択肢が広く、現在では求人サイトや転職エージェント、ハローワークでの求人紹介なども利用できます。
一人で転職活動をするよりもスムーズに進められるので、自分にあった方法を見つけて、利用していきましょう。
中退によって得られたものを整理する
中退の経験によって得られたものはないかを確認して、一度整理してみましょう。
得られた経験や学びは、プラスのイメージとなるような志望動機を考える材料となり得ます。
例えば、次のようなことは、中退した人だからこそ得られた教訓や学びと言えるでしょう。
- 十分に自分を見つめ直す時間が作れた
- 自分ができたことで自分の好きな業界・分野がわかった
- アルバイトでスキルアップができた
- 自分の興味・関心があることに時間を費やせた
- 誰よりも早く社会人経験が積めたなど
中退したことをネガティブに捉えず、人生の中で必要だったこととして意味を持たせれば、面接でも前向きな言葉でアピールができます。
大手や有名企業にこだわらないようにする
必要以上に大手・有名企業にこだわらないようにしましょう。
大手・有名企業は、大卒以上の学歴を必要としている場合も多く、一般的に転職するハードルが高いものだからです。
企業規模が大きいほど就職者数と求人数には開きがあり、一般的に難易度が高くなっていきます。
同じ年齢、レベル、スキルを持った人から応募があったときに、合否を分けるのは高卒なのか、大卒なのかといった卒業区分です。
もちろんしっかりと自己分析や企業研究、選考対策をしていれば、中退した人でも転職はできます。
しかし必要以上に大手や有名企業にこだわりすぎて、内定のチャンスを逃さないようにしましょう。
転職先を妥協しないようにする
内定をもらえたからといって、転職先を妥協しないようにしましょう。
なかには「中退で内定をもらえたんだから断る理由がない」と考えてしまう人がいるかもしれません。
また一度断ってしまうと、再び別の企業から内定をもらうことができないのではないかと感じてしまう人も多いでしょう。
しかし何も考えずに転職を決めてしまうと、労働条件や仕事内容が自分に合わずミスマッチに悩まされてしまう可能性があります。
その場の勢いで承諾するのではなく、面接の時点で条件についてすり合わせをして、納得ができれば後日内定を承諾しましょう。
転職エージェントのキャリアコンサルタントやハローワークの窓口に相談してみるのも一つの手段です。
「転職したら長く働く」という意識を持つ
「転職したら長く働く」という強い意識を持って転職活動に臨みましょう。
中退を経験した人が、何度も転職を繰り返してしまうと、環境を変えることに対する抵抗が薄れていきます。
中には仕事で何か嫌なことがあったら辞めてしまえば良いという「辞めグセ」が身についてしまう人もいます。
複数回の転職は職務経歴書が複雑になり、面接官から「すぐ辞めてしまうのではないか?」という懸念を持たれがちです。
キャリアを追求されてしまうこともあり、転職が不利になることもあるでしょう。
そのため十分に企業研究をして、自分が長く働けるような企業に応募するようにするのがポイントです。
【面接で聞かれる中退の理由】中退を履歴書に書くときのポイント
転職における履歴書では、中退した理由を記載するのが一般的です。
これから履歴書を作成する人は、次の記入例を参考にしてみてください。
- 〇月〇日 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 中途退学(経済的な事情により)
- 〇月〇日 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 中途退学
経済的な事情により退学
- 〇月〇日 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 中途退学 親の介護のため退学
- 〇月〇日 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 中途退学 病気療養のため退学(現在は完治)
大学を中退した年月、学校名、中途退学・中途理由の順に記載していくのがポイントです。
学業不振や単位不足など、言いづらいような中退理由であれば「一身上の都合により退学」で構いません。
もしくは中退理由を記載しない方法もあります。
ただし面接で深く聞かれることがあるので、上手く話せるように準備をしておきましょう。
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は面接で聞かれることが多い中退理由についてお話しました。
経済的な事情や学業不振など、大学を中退した理由は人によってさまざまです。
いずれのケースにおいても、中退を後ろ向きなことと捉え、ネガティブな気持ちになってしまう人が多いのではないでしょうか。
たしかに中退に対してあまり良いイメージを持っていない面接官が多いことも事実です。
しかし面接の中で、中退したことによって得られた学びや、今後どのように働いていきたいかというキャリアビジョンを明確に伝えられれば、内定を得るチャンスも十分にあります。
転職市場では、中退したからといって卑屈にならず、前向きな気持ちで活動している人の方が採用されやすい傾向にあります。
20代であればなおさらで、学歴ではなくやる気やポテンシャルを評価してもらえる可能性も高いでしょう。
中退した経歴を持つ人は、今回ご紹介した面接時のポイントや転職活動中のマインドなどを参考にしてみてください。
今回の記事が、これから転職活動を考えている方の参考になれば幸いです。
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