年度末の退職は問題ない?やるべきことやタイミングなども合わせて解説
一般的に人材の流動制が活発になるのが、年度末から新年度にかけてです。
年度末には企業によって変わってきますが、どの企業にとっても区切りのタイミングではあるため、退職のタイミングとして選択する人が多くいます。
本記事では年度末の退職に向けてやるべきことや、退職してから転職活動と在職中に転職活動を行うのであればどちらが良いのか、年度末の退職に迷った場合に確認すべきポイントなどを解説していきます。
【年度末退職】退職時期に関して知っておくべきこと
退職時期に関して知っておくためにも、まずは転職活動にどれくらいの期間が必要かを知っておくことが大切です。
結論から言えば、転職活動の開始から退職するまでには、3〜4ヶ月ほどの期間を考えておく必要があります。
12月末に退職するのであれば、9月から転職活動をスタートし、3月末に退職するのであれば、前年の12月には転職活動をスタートさせる必要があるでしょう。
おおまかなスケジュールとしては、転職活動開始から内定が出るまでの期間が1〜3ヶ月、内定後から実際に退職をするまでが1〜1.5ヶ月ほどになります。
転職活動がスムーズにいけば、スケジュールはさらに早まることも考えられますが、なかなか上手くいかない、スケジュールの都合で進んでいかないなどのケースもあるため、バッファを持って進めていく意識を持つと良いでしょう。
現職の退職交渉は退職希望日の1〜1.5ヶ月前に行うのが理想です。
なぜなら退職を希望すれば、すぐに退職ができるわけではなく、手続きや業務の引き継ぎなどの時間が必要だからです。
法律上では退職の意思を2週間前に伝えれば問題はないとされていますが、現実的ではないので注意が必要です。
2週間前に意思を伝えたとしても手続きや引き継ぎが慌ただしくなってしまい、トラブルにつながってしまう可能性もあります。
有休消化も必要なケースがほとんどのため、退職交渉は退職日から逆算して1〜1.5ヶ月前に行うスケジュール感で動いていきましょう。
退職に有利なタイミングとして年度末はおすすめ
年度末は退職に有利なタイミングとされています。
なぜなら年度末に退職するということは、新年度から新しい会社に転職することになるからです。
多くの企業が新年度から人員を増やすなどを行っているため、求人数が豊富になります。
とくに求人数が多いのは、10月と3月です。
10月の求人数に狙いを定めるためには、9月から動き出すのが得策です。
10月から始めてしまうとすでに選考に入ってしまっている、応募が締切られているなどの可能性があるからです。
また、転職活動を進めるためにはどのようなポジションに行きたいのかの方向性の確認や、自分がどのようなキャリアを積んでいきたいのかの確認、職務経歴書などの書類の準備などが必要になります。
つまり10月が求人数のピークにも関わらず、10月からスタートしてしまうと、事前準備に時間が取られてしまい、有利なタイミングを逃してしまう可能性もあります。
3月のピークに合わせる場合には、前年の12月から転職活動を始めると良いでしょう。
3月に求人数が増加する理由は、どの企業も退職者が多いからです。
あなたが現在勤めている企業も、あなたが3月末に退職するとわかれば求人を出して、欠員を補充しようとするでしょう。
ただし3月の転職活動は人事が非常に忙しい時期でもあります。
そのため面接のスケジュールが合わない、選考が進みにくいというデメリットがあります。
余裕を持ったスケジュールが組めるように、年明けから動けるようにし、3月末の退職から4月入社を目指すと良いでしょう。
年度末の退職は賞与をもらうことを意識する
年度末に退職する際には、賞与をもらうことを意識することも大切です。
賞与の社内規定は企業によって異なりますが、6~7月頃と12月頃に支給する企業が多いです。
年一回の賞与という企業もあれば、年2回に分けて賞与が支給される企業もあるでしょう。
しかし、年度末に退職をする場合、賞与を受け取れずに退職することも考えられます。
賞与を貰ってから退職しようと考えていたにも関わらず、退職の意思を伝えた時点で退職日を早められてしまい、賞与を受け取るタイミングではすでに退社扱いになっていた、あるいは支給額を大幅に減らされてしまっていたなどのケースもあります。
確実の賞与をもらいたいのであれば、賞与が支給されてから退職交渉を行うと良いでしょう。
なお、賞与がもらえるかどうかは社内規定によって変わってきます。
「支給日に在籍していること」が条件の企業もあれば、「〇〇月〇〇日に在籍していれば、〇月分の賞与支給対象である」というような企業もあります。
必ず、社内規定を確認して、損をしないようにしましょう。
社会保険料についても確認しておく
転職する際には社会保険料についても確認しておくことが大切です。
転職によって大きく年収が上がるなどした場合、紐づいて社会保険料も上がっていきます。
他にも退職日を月末に設定するなどです。
月末に設定せず、月の中日などに退職してしまうと社会保険料の負担から手続きの手間などが大きく増えてしまいます。
会社に所属していることで、社会保険料の手続きは自分で行う必要はなく、会社の給料から天引きされることに加え、保険料の半額を会社が負担してくれていました。
しかし、退職によって無所属になってしまうと、社会保険料の支払いは全額自己負担になります。
あるいは配偶者や親などの扶養家族に入る手続きが必要になります。
なお厚生年金と健康保険の保険料に関しては、毎年4〜6月の給与額を基準として計算されます。
計算された金額が、その年の9月から翌年の8月までの期間で支払っていく形になります。
【年度末退職】年度末に退職するためにやること
きちんと年度末に退職するためには、以下の7つについて行っていくことが大切です。
- 自分自身の退職の意思を固める
- 直属の上司に退職の意思を伝える
- 退職日を決めて退職願を提出する
- 有休消化の計画を立てる
- 引き継ぎのために業務を整理しておく
- 会社に返却するものなどを整理しておく
- お世話になった人に挨拶していく
具体的にそれぞれどのようなことを行うのかを解説していきます。
自分自身の退職の意思を固める
退職の意思をきちんと固めることが大切です。
当たり前だと感じるかもしれませんが、いざ現実として退職を考えなければならないシーンになると、本当に退職して良いのか、このまま続けていった方が良いのではないのかという考えが頭をよぎります。
そうしたふんわりとした状態で退職の意思を伝えたとしても、「今よりも条件を良くするから残ってほしい」「この仕事が完了するまでは残ってほしい」などの引き留めにあった場合に、きちんとした回答ができなくなります。
もちろん本当にその人に抜けられてしまうと困るケースもあります。
しかし、多くが「今辞められてしまうと人手不足になってしまう」「自分のマネジメント評価が落ちてしまう」などが理由です。
交渉によって引き留められ、退職時期などがズレてしまうと転職先に迷惑がかかるばかりか、転職先が決まっていない場合は、ズルズルと現職を続けることになってしまいます。
スムーズに退職するためにも、どんな条件にも揺るがないような硬い意思を固めることが大切です。
直属の上司に退職の意思を伝える
退職意思をきちんと固めたら、直属の上司に退職の意思を伝えます。
大切なことは、一番初めに伝えるということです。
直属の上司を飛び越えて、さらに上の上司に伝えてしまう、同僚に先に伝えてしまうなどはトラブルの元になってしまうので注意が必要です。
また、チャットやメールなどの文面ではなく、直接顔を合わせて伝えることも大切です。
この日のこの時間にお時間よろしいでしょうかのようにアポイントを取り、一対一で面談できる場所を設け、退職する意思を伝えます。
その際はいつまでに退職したいのかなど、具体的な希望日を出すことも大切です。
退職理由等も聞かれますが、現在の不満などのマイナスなものは避け、やりたいことが見つかったなど、前向きな理由を伝えるようにしてください。
退職日を決めて退職願を提出する
退職日は自分自身で決めるのではなく、上司と相談しながら決めていきます。
業務の引き継ぎや有休消化などもあるため、真摯に対応しながら進めていきましょう。
なお、上司に退職の意思を伝えるタイミングで退職願を提出する人が一定数いますが、本来は必要ありません。
実際に具体的な退職日が決まってから、退職願を記載して提出をします。
退職願にはほとんどの場合、「一身上の都合により退職いたします」と記載します。
別の理由があっても、この記載内容で受理されます。
上司に退職の意思を伝えたとしても、退職願を提出しなければ、人事などが具体的な手続きを行えないため、忘れずに提出することが大切です。
退職日が決まったら、すぐに退職願を記入し、上司に提出するようにしましょう。
有休消化の計画を立てる
有休は労働者に与えられる正当な権利なので、きちんと使い切ってから退職ができるように計画を立てましょう。
有休日数は年度初めに与えられるので、年の途中で増えることはありません。
そのため転職活動をスタートする際に、有給休暇の残日数を数えておき、スケジューリングを立てておくのも良いでしょう。
有給休暇の残日数によって、退職希望日までの引き継ぎ期間や資料の準備期間などが変わってきます。
なお、一部企業では有給休暇の買取を提案されることもあるようですが、有給休暇の本来の目的は身体を休めることにあるため、買取は基本的には認められていません。
また、年度末の退職は繁忙期と重なることがほとんどのため、他の人のスケジュールを圧迫しないように、計画を立てることが大切です。
引き継ぎのために業務を整理しておく
退職が決まったからと言って、現在の仕事をおざなりにしてしまうと、トラブルの元になってしまいます。
後腐れなく退職するためにも、引き継ぎのための業務をきちんと整理しておきましょう。
引き継ぎの業務が整理できたら、優先度の高い業務などを決め、上司と相談しながら引き継ぎを行っていきます。
また、引き継ぎを行う際は後任の人が、現在の状況をわかりやすいように資料を作成するなどの工夫も大切です。
たとえば現在の状況や相手先のキーパーソン、担当者の性格、クライアントの特徴、今後の展望などです。
これらの業務を整理しておき、自身が退職する1週間前までには、すべての引き継ぎを完了させ、残った期間で、何か問題が起こった際の対応などができるように手筈を整えておくと良いでしょう。
会社に返却するものなどを整理しておく
入社時に会社から貸与されたものは、間違いなく返却しなければいけません。
たとえば保険証や社員証、社章などです。
業種によっては制服もきちんと返却する必要があります。
これらをきちんと返却しなければ、トラブルにもつながってしまい、余計な手間が増えてしまうので注意が必要です。
また、返却と引き換えに会社から受け取るものも整理しておきます。
会社から受け取るものは、「離職票」と「雇用保険被保険者証」です。
これらの書類がなければ、退職を証明できないので、確実に受け取るようにしましょう。
受け取り方は手渡しで行う企業もあれば、後日郵送される企業もあります。
返却方法と合わせて在職中に人事担当者に確認して、抜け漏れがないようにしましょう。
お世話になった人に挨拶していく
退職日までにこれまでお世話になった人たちへ挨拶をしていきます。
社内でお世話になった人はもちろんのこと、取引先などでお世話になった人にも欠かさず挨拶をしましょう。
直接お会いして挨拶ができれば理想ですが、時間的に難しい場合には電話やメールなどで必ず行うようにします。
また、挨拶をしておくことで新しい転職先へ移った場合でも、関係性が継続できる可能性があります。
挨拶へ伺う際には、後任の担当者と一緒に伝え、取次を行うことも大切です。
今後も取引を行っていく際に、事前に顔を合わせておくと、その後のやり取りもスムーズになります。
相手の役職がより上になっていく場合には、必要に応じて上司に同行してもらうなど、スケジュール管理を適切に行いながら進めていきます。
【年度末退職】円満退職しやすいタイミング
円満退職しやすいタイミングとしては、以下の2つのタイミングが主に挙げられます。
- 仕事のキリが良いタイミング
- 退職スケジュールに余裕があるタイミング
それぞれのタイミングについて解説していきます。
仕事のキリが良いタイミング
仕事のキリが良いタイミングは円満退職が最もしやすいタイミングと言っても過言ではありません。
キリが良いタイミングとは、プロジェクトが終了したタイミングなどです。
現在進行中のプロジェクトの終わりが見えてきたタイミングで退職の意思を伝えれば、プロジェクト完了と同時に退職も可能です。
また、会社側にとってもプロジェクト完了までは残ってくれる安心感とその先のスケジューリングを立てやすくもあります。
加えてプロジェクトの完了などのタイミングは、年度末に設定されていることも多いため、キリの良いタイミングとも重なっています。
管理部門であれば年度末に加えて決算期などの期末の時期は、タイミングが良いと言えます。
退職スケジュールに余裕があるタイミング
年度末は繁忙期と重なることが多いため、退職スケジュールに余裕を出すのは難しいかもしれません。
それでも年度末にスムーズに退職するために、スケジュールに余裕があるように努めていくことが大切です。
そのためには業務の棚卸しや引き継ぎのスケジュール管理などを万全にし、抜け漏れがないように進めていくことが大切です。
スケジュールに余裕があれば、スムーズに引き継ぎなどが行え、円満退職につながります。
他にも年度末にスムーズに退職するためには、早期に退職の意思を伝え、上司や人事担当者が組織変更や人事異動などに対応できる時間を与えることも大切です。
自分だけではなく、相手方にも余裕があるスケジュールにすることで、円満退職につながります。
【年度末退職】退職してから転職活動、転職が決まってから退職?
転職活動を行うタイミングは人それぞれですが、主には以下の2つのケースに分かれます。
- 退職してから転職活動を行うケース
- 転職が決まってから退職を行うケース
それぞれのケースについて、どのようなメリット・デメリットがあるかを解説していきます。
退職してから転職活動を行うケース
転職活動を始める前に退職してしまうケースです。
退職してから転職活動を行うので、スケジュールに余裕が持ちやすく、面接日程の調整がしやすいなどのメリットがあります。
とくに平日の日中などでも対応ができるのは大きなメリットと言えるでしょう。
さらに内定後も退職日の交渉などは必要ないため、スムーズな入社などが行えます。
転職活動に集中して取り組めるため、現職の仕事をこなしながら転職活動を行っている人よりもスケジュール面や準備の時間などから優位に立てるでしょう。
一方で退職してからの転職活動は収入がない状態で行うため、お金の不安が付き纏います。
お金がない不安な状態で転職活動を行ってしまうと、早く安心したいという考えからミスマッチの企業に入社するなどの可能性もあります。
さらに転職活動が上手くいかないと、ブランク期間ができてしまいます。
ブランク期間が長くなればなるほど、企業側から敬遠されてしまうので注意が必要です。
転職が決まってから退職を行うケース
転職が決まってから退職をする場合は、在職中に転職活動をすることになります。
在職中に転職活動を行うメリットは、収入の不安がないことです。
在職の仕事を続けていれば、毎月安定した給料が入ってくるため、お金の心配がなく、精神的に安定した状態で転職活動を行います。
他にもブランク期間がなく転職できます。
ブランク期間が長いと転職活動に不利になりますが、在職中であれば、その心配はありません。
また、内定後に改めて現職と条件の比較を行い、現職に残るという選択も可能です。
自分自身のキャリアについて十分に吟味できる時間が持てます。
一方で現職との仕事と並行して転職活動を行うため、スケジュールなどの時間調整が難しい点がデメリットです。
時間の融通が効かず、面接などのスケジュールが先延ばしになってしまうと、他の人に決まってしまうことなども十分に考えられます。
他にも退職時期と入社時期の調整も難しいケースがあります。
折り合いをつけながら進めていくため、多少の手間がかかってしまいます。
【年度末退職】年度末の退職に迷った場合に確認すべきポイント
実際に年度末に退職すべきかどうかに迷った場合には、以下の3つのポイントを確認してみてください。
- 転職自体を迷った場合
- 求人数が多い時期か否かの確認
- 転職エージェントの活用
それぞれのポイントについて解説していきます。
転職自体を迷った場合
転職自体を迷った場合には、なぜ転職したいのかの理由を改めて考えてみましょう。
「現職の〇〇という部分に不満があり、その不満を解消してくれるかもしれないから」「自分にマッチして会社が見つかり、自分の思い描くキャリアを実現できるかもしれないから」など、理由は人それぞれです。
大切なことは自分の中で考えを整理することです。
転職した場合のメリットやデメリットなど、考えられるものを紙に書き出してみるなどすると、考えを整理できます。
自分が納得できる方向性に進んでいるかを確認し、最終的には悔いのない選択を自分で判断します。
一度、退職を伝えると撤回することは難しいため、きちんと時間をかけて考えていくことが、早道になります。
求人数が多い時期か否かの確認
求人数は10月や3月に増える傾向にあると解説しましたが、自分が考えている業界や目指しているポジションの求人数も増えているかをきちんと確認する必要があります。
目指しているポジションによっては、求人数が増える時期が異なるケースもあるため、精査しておくことも大切です。
転職活動の中で興味を持った企業やポジションなどの求人があれば、積極的に応募するなどの決断も必要になります。
年度末の退職を目指す方の中で、求人数が多いかどうかは転職を成功させるためにも非常に重要です。
求人数についても増加しているかを確認しておきましょう。
転職エージェントを活用する
転職活動の際に有効活用したいのが、転職エージェントです。
転職エージェントは面接のスケジュール調整から面接対策、職務経歴書の添削、キャリアの方向性の相談などを行えます。
転職についての悩みが少しでもあるのであれば、転職エージェントに相談してみると良いでしょう。
転職エージェントは、転職のプロフェッショナルであるため、これまでの知見からアドバイスをもらえたりできます。
一人で解決できないと感じた場合には、積極的に相談してみてください。
不安を抱えたまま転職活動を進めてしまう、最終的な決断をしてしまうと、良い結果にはなかなかつながらないでしょう。
まずは自分一人で抱え込まず、外に吐き出すことが大切です。
転職エージェントの活用は無料なため、積極的に活用してみてください。
まとめ
年度末に退職することは非常におすすめです。
しかし年度末は繁忙期と重なる企業も多いため、きちんと余裕のあるスケジュールを立てて、計画的に進めていくことが大切です。
転職活動から退職までは概ね3ヶ月以上は考えておくと良いでしょう。
上手くいかないことも想定して、バッファを持たせることも大切です。
無用なトラブルを避け、自分の理想のキャリアを重ねていくためにも、やるべきことを確認しながら動いてみてください。
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