営業代行とは?アウトソーシングするメリットやポイントを解説
昨今、自社の人手不足を補う施策として「アウトソーシング」が注目を集めています。
バックオフィスのアウトソーシングを行う企業や、自社の弱い部分をアウトソーシング化して、人材の有効活用に努めるなど企業によって目的はさまざまです。
そのアウトソーシングの中で多くの企業が取り入れているのが、「営業代行」です。
そこで本記事では、営業代行の概要から営業代行のメリットやデメリット、検討するタイミングやアウトソーシング先として選ぶポイントなどを解説していきます。
営業代行とは
営業代行とは文字通り、自社で行う営業活動を代行してくれるサービスのことです。
営業代行の業務は一律ではなく、企業の業務内容によって細分化されているため、自社の営業で弱い部分を補う、より強化したい分野に投資するなど、さまざまな利用方法があります。
専門的な知識を持つ営業専門の会社に業務の代行を依頼するため、自社で持っていないノウハウなどで効果的に営業活動を行なってくれるのが強みになります。
また、営業代行を利用することで、自社の人員をコア業務に集中させることもでき、業務効率化にも大きく貢献できます。
また、昨今のコロナ禍によって営業活動もオンラインに変化するなど、よりデジタルな戦略が求められるようになりました。
こうした営業活動の課題を解決するために、営業代行を利用する企業も増えてきています。
派遣営業と営業代行の違いとは
営業代行と似たサービスとして、派遣代行があります。
派遣代行とは、派遣先から必要な人員を必要な期間提供してもらえるサービスになります。
派遣営業と営業代行の大きな違いは、指揮系統が異なる点です。
派遣営業の契約では、指揮系統は派遣先の企業に当たります。
一方で営業代行は業務委託による契約になるため、指揮命令権は委託元の企業に属することになります。
営業代行を活用する際のサービス形態は業務委託契約になるため、自社で営業手法に関する指示を出すなどはありません。
専門のプロフェッショナルに丸投げする形で営業活動を進めてもらうことになります。
こうした違いが派遣営業と営業代行の違いになります。
営業代行のメリット
営業代行のメリットとして挙げられるのが、以下の4点です。
- 営業スキルの高い即戦力人材を確保できる
- 営業コストの削減
- 営業活動のスピードアップ
- これまで自社にはなかった営業活動ができる
それぞれのメリットについて解説していきます。
営業スキルの高い即戦力人材を確保できる
自社の営業力を強化したいと考えた場合、営業スキルの高い即戦力人材を確保できるのは大きなメリットになります。
たとえば自社で開発した商品やサービスなどに自信を持っていたとしても、販路がなかったり、営業力が弱かったりしてしまうと、成果を出すまでに時間がかかってしまいます。
また、昨今では人手不足がどの企業にとっても死活問題になっており、営業スタッフが不足している企業は少なくありません。
そうした状況を打破するためにも、人材を補うことができ、スキルの高い人材を確保できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
営業コストの削減
営業スタッフを自社で育成しようとする場合、採用から育成までを一貫して行う必要があるため、金額面のコストはもちろんのこと、時間的なコストも必要になってきます。
成果を出すまでに時間がかかってしまい、営業力の強化の費用対効果が悪くなってしまっている企業も多くいます。
営業代行を活用することで即戦力の人材が手に入るため、採用活動を行う必要もなければ、自社で研修などの育成を行う必要もありません。
すぐに営業活動を開始できるため、採用から育成までにかかるコストは大きく削減できます。
他にも営業活動には、営業スタッフの人件費からスタッフが利用するスマートフォンやパソコンなどの経費が発生します。
こうしたコストもアウトソーシングすることで、支出をなくすことができ、営業コストの削減に貢献できます。
営業活動のスピードアップ
繰り返しになりますが、営業代行の人材は営業活動のプロフェッショナルになります。
即戦力の人材を素早く確保できるため、即効性のある営業活動を展開できます。
たとえば営業研修を行うことなく、商品やサービスに関する知識について打ち合わせを行うだけで、すぐに営業活動を開始でき、スムーズな活動が行えるメリットがあります。
また、成果につながらない場合でも改善点の発見ができるため、営業活動のスピードアップを有効的に行えます。
営業活動に精通したプロフェッショナルを複数確保できることは、人財の観点でも大きなメリットとなり、自社の事業拡大などを行いたい時に、大きな役目を果たすことが期待できます。
これまで自社にはなかった営業活動ができる
営業代行は営業のプロフェッショナルであるため、自社では持っていない営業ノウハウを持っているケースも多く、これまで自社にはなかった営業活動が期待できます。
たとえば豊富な人脈を活用して、これまで自社が苦手としていた業界や販路の開拓できていなかった企業にアプローチが行えるなどです。
さらに営業代行の業務は単純な営業活動の代行だけではありません。
営業戦略を描くところから代行も可能なため、自社にはなかった視点で代行を行なってくれるケースもあります。
新規顧客層の開拓や新たな販路の開拓など、自社の弱みの部分を補う活動も行なってくれます。
営業代行のデメリット
営業代行の活用はメリットもありますが、デメリットもあることを認識しておくことが大切です。
デメリットとしては、以下の4点が挙げられます。
- 業務内容が見えにくい
- 情報漏えいの可能性がある
- 分野によっては代行が難しい
- 費用対効果が適していない場合もある
それぞれのデメリットについて解説していきます。
業務内容が見えにくい
前章で解説したように、営業代行に依頼を行う場合は、業務委託という契約になるため、営業業務に関して丸投げするような形になります。
基本的に営業代行に依頼をした際は、定期的なミーティングなどを実施して活動に関する報告を受けますが、日々の活動がどのように行われているかなどを把握することが難しい点が挙げられます。
たとえば成果報酬型として営業代行を依頼している場合、代行を請け負っている会社が自社の営業スタイルとは真逆の押し売りのような営業活動を行なっているなどのケースもあります。
こうした営業活動をある程度認識しておかなければ、自社にクレームがきてしまう、重大なインシデントにつながってしまうなど、会社の信用を落としてしまう可能性もあります。
業務内容を見える化させるためには、コミュニケーションを綿密に取り合うのはもちろんのこと、SFAやCRMなどのツールを用意して、リアルタイムで進捗状況が把握できるように整備を進めていくことも大切です。
情報漏えいの可能性がある
営業代行は業務委託という契約形態のため、自社の顧客情報などの重要な情報を外部へ提供することになります。
委託している企業が情報を流出してしまった場合、社会的信用を落としてしまうのは自社であることをきちんと認識しておく必要があります。
情報漏えいに関するリスクヘッジをきちんとしておくこととと同時に、契約を行う会社やサービスがどのような情報の管理を行うのかを確認することが大切です。
また、提案内容に加えてこれまでの実績や事例を確認し、信頼のある会社であるかを同時に確認することも大切です。
情報が流出してしまうと、社会的信用を取り戻すのには相当の時間がかかってしまいます。
きちんとリスクヘッジができているか。
注意をしながら進めていく必要があります。
分野によっては代行が難しい
営業代行会社は多くありますが、それぞれに得意分野や不得意な分野があります。
中にはIT業界に特化したものなどもあるため、それぞれの会社やサービスには特色があることを認識しておく必要があります。
自社がもしニッチな分野を生業としている場合、営業代行会社で対応ができず、代行が難しいとされてしまう場合もあります。
自社がニッチの分野を扱っている場合は、自社の業界で実績があるかどうかなどをきちんと確認することが大切です。
また、代行会社に依頼する際もどのように営業活動を行なっていくかなどを確認して、契約後に齟齬が出ないようにしましょう。
費用対効果が適していない場合もある
営業代行を活用することで、営業コストを下げるメリットがあります。
しかし営業代行会社との契約の方法や、取り扱う商材やサービスによっては、自社で営業活動を行なった方が費用対効果が良い場合もあります。
たとえば成功報酬型で契約を行なった場合、契約件数に応じて報酬を支払います。
当然ですが高額な商品を扱っていた方が、1件辺りの利益は高くなり、費用対効果は高くなります。
もちろん安価なサービスであってもサブスクリプション型の契約のように継続して利用するサービスであれば、利益率も高くなるため、費用対効果も高くなります。
自社で営業代行を行なった場合、扱う商品やサービスで費用対効果は適しているか、自社で行なった場合よりも利益は高くなるかなどをきちんと確認してから契約するようにしましょう。
営業代行の業務内容
営業代行の業務内容は単純な営業活動だけにとどまりません。
営業業務に関わるあらゆる業務を代行してもらえるため、自社の弱い部分や補いたい部分のみを依頼することも可能です。
主な業務内容は、以下の3点です。
- 顧客の発掘と育成
- 商談・交渉・フォロー
- 営業戦略の策定
それぞれの業務内容について解説していきます。
顧客の発掘と育成
新規顧客となる見込み顧客の発掘や、見込み顧客育成などを扱ってもらえます。
たとえば展示会やセミナーを開催して、見込み顧客の発掘を行う、顧客リストを作成して電話を行うことで育成を行なっていくなどです。
顧客の発掘と育成は、事業を拡大していくためにはどの企業も必要となりますが、なかなかリソースを割くことができず、既存顧客からの売上に頼ってしまう企業は少なくありません。
営業代行ではこうした新規顧客の獲得につながる業務を代行してくれます。
見込み顧客の育成などは、適切なタイミングで適切なコミュニケーションを行うことで、受注への確度を高めていきますが、企業によってはこうしたノウハウがなく、担当営業のスキルに頼ってしまっているケースもあります。
インサイドセールスの一部である顧客の発掘と育成が弱点と考えている企業は、利用する価値があるでしょう。
商談・交渉・フォロー
自社の営業リソースが足りていないため、商談や交渉、フォローなどを依頼することも当然可能です。
顧客と対面で営業活動を行う場合は、自社の営業社員に同行してもらい、サポートに徹してもらう方法や、商談や交渉そのものを全て依頼してしまうこともあります。
自社の営業体制に合わせて柔軟に対応ができるため、依頼したい営業代行会社と事前に運用について確認しておくと良いでしょう。
また、既存顧客についてのフォロー活動も営業代行に依頼できます。
以前に一度、契約をしてもらっているが、その後リピートにつながっていないなどの課題を抱えている場合に、定期的な連絡を電話やメールで行なってもらうなどを利用する方法があります。
顧客の発掘と育成でも述べたように。
こうしたインサイドセールスに人材を避けない企業は少なくないため、フォロー活動を代行してもらい、より営業のコア業務に人材を集中させたいなどのニーズに応えることもできます。
営業戦略の策定
営業代行サービスによっては、営業戦略の策定を行なってくれるケースもあります。
現状の自社の課題などを分析し、ターゲットとしたい層や販売目標、いつまでに達成するか、どのように営業活動を行うか、ツールの活用はどうするか、営業プロセスはどのように設定するかなどを詳細に詰めていきます。
営業戦略の策定では、営業代行会社のノウハウを活かして提案を行なってくれるため、自社では気づかなかった視点で策定してくれることも多くあります。
まだ、自社に営業戦略がノウハウが備わっていないなどの場合は有効活用ができるでしょう。
また、営業戦略を策定する際は、自社の業務範囲と依頼する代行サービスの業務範囲を明確にすることも大切です。
営業の範囲が明確になっていないと、トラブルにつながってしまうため、事前にきちんと詰めておきましょう。
営業代行を検討するタイミング
自社で営業代行を検討するタイミングとしては、主に以下の3点が考えられます。
- 新規事業の展開
- 営業の業績が伸び悩んでいる
- 営業人材の不足
それぞれのタイミングについて解説していきます。
新規事業の展開
新規事業を立ち上げた、新たなサービスを展開するなどのタイミングは営業に大きな負荷がかかります。
こうしたタイミングで営業のノウハウやナレッジを持っているプロフェッショナルを活用することで、効果的な営業活動を行うことが可能になります。
たとえば新規事業を効果的に展開するために、営業代行サービスを活用して営業戦略を練ってもらい、施策を実行していくなどです。
新規事業の展開に実績がある営業代行サービスなどであれば、スムーズに営業戦略を立て、展開することが期待できるでしょう。
営業の業績が伸び悩んでいる
自社で営業活動を展開しているにも関わらず、業績がなかなか伸びていかない場合も、営業代行を検討するタイミングだと言えます。
とくに長期間にわたって業績が伸び悩み、改善を施しているにも関わらず、変化がない場合は新たな考え方やアプローチ方法を取り入れる方が得策と言えます。
ノウハウやナレッジが積み重なっていないことになってしまうため、新たな施策を展開するために営業代行サービスを活用すると良いでしょう。
営業人材の不足
そもそもの営業人材が不足している場合も活用を検討するタイミングです。
事業が好調であっても人手が足りていないことで、営業スタッフの業務負担が大きくなってしまっていることは多々あります。
こうした営業スタッフの負担を取り除く意味でも活用するのは良いタイミングと言えます。
他にも新規事業を展開したいにも関わらず、営業人材が不足しているために展開できないなどの場合には、活用を考えてみると良いでしょう。
営業代行会社を選ぶポイント
実際に営業代行会社を選ぶポイントとしては、以下の3点に注意しておくことが大切です。
- これまでの実績と得意分野
- 営業体制や質に問題はないか
- 費用対効果が優れているか
それぞれのポイントについて解説していきます。
これまでの実績と得意分野
まずはこれまでの実績をきちんと確認することが大切です。
多くの営業代行会社のHPには、これまでの実績数や利用した顧客の声などが掲載されているので、自社と同じ分野の顧客の声などを確認してみると良いでしょう。
実績をきちんと宣伝できている会社は、一定の信頼はあると言えます。
また得意分野についての確認も大切です。
なぜなら実績数は多くても、自社が扱っている分野での実績がほとんどないなどのケースも少なくないからです。
たとえば自社はBtoBの会社にも関わらず、BtoCの実績が多い営業代行会社では、自社の営業体制との親和性は難しいでしょう。
自社の扱っている分野での実績、候補にしたい営業代行会社の得意分野がマッチするかをきちんと確認しましょう。
営業体制や質に問題はないか
実際に依頼をしたにも関わらず、サービスが事前に聞いていた内容と異なるなどの場合、トラブルに発展してしまいます。
どのようなやり方で営業を行なっていくのか、コミュニケーションが適切に行えるのかなどを確認して議事録等を取っておくと良いでしょう。
また、最初のヒアリング段階でどのような提案を行なってくるか、こちらからの質問に適切に回答ができるかなどを確認しておくのもおすすめです。
豊富な実績と質を担保している会社であれば、これまでにどのような事例があったか、どのような活動が効果的かなどを専門的な知識を交えてわかりやすく教えてくれます。
契約する前の準備段階できちんと営業体制や質について確認しておくと良いでしょう。
費用対効果が優れているか
候補の営業代行会社に依頼した場合、費用対効果に優れているかを確認するのもポイントです。
費用対効果が悪い場合、自社で営業人材を採用して育成した方が長い目で見た際に良いこともあります。
営業代行に依頼する場合は、固定報酬型や成果報酬型などそれぞれの契約形態で契約することがほとんどです。
どのような契約形態になるのか、どれくらいの売上が見込め、利益はどれくらいになるのか、報酬は適切なものになっているかなどを確認していきます。
自社の利益にも大きな影響を与えるので、費用対効果は適切に確認したいポイントになります。
個人事業主・フリーランスの営業代行もある
営業代行会社に依頼する以外にも、個人事業主やフリーランスに営業代行を依頼するケースもあります。
個人事業主・フリーランスの営業代行の業務は、顧客の新規開拓やルートセールスの代行、テレアポの代行などフィールドセールスに関わる、現場の業務であることがほとんどです。
個人事業主やフリーランスに依頼するメリットとしては、営業が人手不足の際に活用すればリソースの確保ができる、営業代行会社よりも費用を抑えて活用できるなどのメリットがあります。
個人に依頼する場合は、営業代行の副業をマッチングさせるサイトなどに登録し、案件を掲載することで、志望者から提案がきます。
また、自社から依頼したい人をサイト上で探し、依頼をかけることも可能です。
大規模な営業代行ではなく、ピンポイントで短期間の営業代行を行いたい場合には、検討してみると良いでしょう。
個人事業主・フリーランスの営業代行に必要なスキル
実際に個人事業主・フリーランスへ営業代行を依頼する場合には、以下のスキルが備わっているかを確認すると良いでしょう。
- ヒアリング・プレゼンスキル
- 分野に関する知識
- 確定申告や税の知識
それぞれのスキルがなぜ必要なのかを解説していきます。
ヒアリング・プレゼンスキル
営業として仕事を行うためには、ヒアリングスキルとプレゼンスキルが必要になります。
ヒアリングスキルがなければ、顧客の課題やニーズなどを把握することはできず、本末転倒な提案などにつながってしまいます。
またプレゼンスキルが未熟だと、商品やサービスの魅力を相手に伝えることができず、契約を成立させることが難しくなってしまいます。
個人事業主・フリーランスへ依頼を行う際は、面談などを通してヒアリングスキルやプレゼンスキルを備えているかを確認するようにしましょう。
営業代行会社に依頼するケースとは異なり、必ずしも営業のプロフェッショナルではないケースもあるため、入念な確認が必要です。
分野に関する知識
自社が扱っている分野に関する知識を備えているかの確認も必要です。
たとえば自社がIT業界に属しているのであれば、基本的なIT業界に関する知識を備えているか、専門的なスキルや知識を備えているかなどを確認すると良いでしょう。
確認する方法としては、これまでの実績や経験を確認する、所持している資格などを見てみるなどが挙げられます。
自社の分野に関する知識が深ければ、即戦力として活躍してくれる可能性も高まるため、分野に関する知識が深いかどうかはきちんと確認しましょう。
確定申告や税の知識
個人事業主・フリーランスは自身で確定申告や納税をする必要があります。
お金に関わる知識が備わっているかも重要なポイントです。
契約形態が給与での支払いとは異なるため、きちんとした知識が備わっているか、やり取りが問題ない人物であるかも確認すると良いでしょう。
まとめ
営業代行を活用することで、自社の営業活動を効果的に行うことが可能です。
営業に関するノウハウやナレッジは、自社で所持していないものも多く、コスト削減など営業活動に大きな影響をもたらします。
営業代行を有効的に活用できれば、営業課題の解決から新たな販路の拡大、営業ノウハウの蓄積などにつながります。
営業代行のメリット、デメリットを確認して自社の営業に関する課題を解決できるプロに依頼するようにしてください。
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