【法人営業とは】法人営業ってどんな仕事?個人営業との違いや向いている人の特徴を徹底解説!
はじめに
法人営業とは、企業や法人を対象に営業活動を行う職種の一つです。
「訪問することが多くてきつい」「ノルマが多くて大変そう」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
しかし一言に法人営業といっても、新規開拓営業やルート営業といった種類があり、それぞれ特徴が異なります。
詳しい仕事内容を知った上で、やりがいや魅力、求められるスキルなどを見ていけば、より法人営業への理解が深められるでしょう。
今回は社会人の方へ向けて、法人営業の仕事内容と個人営業との違いなどについて解説します。
法人営業に向いている人の特徴にも触れていますので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
法人営業とは
法人とは、法律により人と同じ権利と義務を認められた組織全般を指した言葉です。
つまり法人営業は、主に企業を対象にモノやサービスを販売する職種で、「Business to Business(B to B)」と呼ばれることもあります。
販売するものは有形商材(車、不動産など)・無形商材(インターネットサービス、保険など)があり、企業によって異なるのが特徴です。
また新規開拓営業やルート営業など営業手段も違いがあるので、世間にはさまざまな法人営業があります。
法人営業をする際には、対象となる企業の規模や予算、決裁プロセスなどを熟知しておく必要があるので、やりがいが大きい反面、求められるスキルの高い職種と言えるでしょう。
法人営業の種類
法人営業は、大きく分けて以下のように3つの種類があります。
- 新規開拓営業
- ルート営業
- 反響営業
法人営業の種類について、順に見ていきましょう。
新規開拓営業
新規開拓営業は、新規で顧客を確保するために訪問を繰り返す営業の一種です。
新規と聞けば飛び込みで企業へ直接訪問するイメージがあるかもしれませんが、事前にテレアポで商談を持ちかけたり、問い合わせフォームから連絡をしたりすることもあります。
いずれの場合も話を上手く進めるためには、事前に企業の情報を押さえておく必要があり、入念なリサーチが必要です。
法人営業の場合は、展示会やセミナーで名刺交換をしてファーストコンタクトを取ることもあります。
また既存顧客に対して、別のモノ・サービスを買ってもらう場合も、新規開拓営業に分類されるのが一般的です。
ルート営業
ルート営業とは、既存顧客に対して営業活動をすることです。
営業の仕事はモノやサービスを買ってもらったら終わりではなく、そのあと商品の使用感や不具合がないかなどをヒアリングし、良好な関係を維持していきます。
新規開拓営業よりハードルが低いイメージを持たれがちですが、関係構築や新商品の提案をする場面において高いコミュニケーション能力が必要です。
また新規開拓営業に比べると商談に費やす時間が短めで、一日に数社を訪問するのが一般的です。
反響営業
新規営業、ルート営業という言葉は耳にすることがあっても、反響営業は聞き馴染みがない方も多いのではないでしょうか。
反響営業とは、Webや広告に対して興味・関心を持った顧客に対して営業活動をする方法です。
すでに商品について詳しい情報を知りたいと思っている人を対象としているため、成約率が高く、他の営業に比べると受け身的で負担の少ない営業だと言えるでしょう。
しかし前提として商品の魅力が伝わっていなければ商談ができないので、高いマーケティングスキルが求められる部分は、反響営業の難しさです。
個人営業との違い
法人営業とは別に個人営業(Business to Customer)というものがあります。
個人営業とは個人や個人事業主、小規模企業の経営者などを対象に営業活動をする職種です。
法人営業と個人営業との大きな違いは、主に次の4つです。
- 購買までの流れの違い
- 報酬額の違い
- 入金の違い
- 休日の違い
購買までの流れの違い
法人と個人とでは、購買に至るまでの流れに違いがあります。
個人を相手にする際は、基本的に第三者の意思決定などが不要で、その本人が欲しいと思えば即受注につながることがほとんどです。
しかし法人営業の場合は、担当者に商談を持ちかけて商品に対して興味を持ってもらうことができても、購買に至る意志決定の権限(決裁者)は上長や経営者であるケースがあります。
状況によっては改めて訪問して、決裁者へプレゼンテーションをすることもあるでしょう。
法人営業の方が受注につながるために進める段取りが多く、長期的な計画を立てながら営業をする難しさがあります。
報酬額の違い
基本的な報酬額も、法人営業と個人営業では違いがあります。
個人営業の場合は比較的受注額が安価であることが多いですが、法人営業は大型案件が多く受注金額の規模感は大きい傾向にあります。
大きな報酬が見込める、決裁プロセスのある取引先から受注を獲得するという意味でも、法人営業の方が仕事の難易度は高いと言えるでしょう。
取り扱う金額が大きいので責任感も高く、大きなスキルアップが目指せる職種です。
入金の違い
法人営業と個人営業では、納品したあとの入金の違いもあります。
個人営業の場合は、商品の提供と同時に代金を引き換えることがほとんどです。
法人営業の場合は、月末締めの月末未払いといった方式をとっています。
法人は月度にさまざまな企業や個人と取引をしているため、都度入金処理をするよりも月末にまとめて支払いをしたいと考えております。
法人営業は、商品を納品してすぐに入金をしてもらえるケースは少ないということを知っておきましょう。
休日の違い
法人営業は、基本的に土日祝は休みです。
なぜなら取引先である企業も休みにしていることが多く、商談は平日に行われることがほとんどだからです。
一方で個人営業の場合は、個人が休みである土日に出勤する必要があり、平日を定休日に設定しているのが一般的です。
法人営業のやりがい
法人営業のやりがいは、主に次のようなものがあります。
- 取り扱う金額が大きい
- 経営者との人脈が作れる
- スキルアップができる
取り扱う金額が大きい
法人営業は、企業の規模によっては一度に数億円以上の受注を獲得できる可能性もあり、ビジネススケールが大きくやりがいのある仕事です。
そうなれば、自社の利益を生み出しているような実感や手ごたえも大きく感じられることでしょう。
また金額が多い分、自社の商品が取引先へ与える影響も多大で、顧客が成長する姿や生産性が高まっている様子を目の当たりにできます。
経営者との人脈が作れる
法人営業は、営業活動を通じて顧客企業の関係者たちと人脈を築くことができます。
担当者に好印象を与えることができれば社内で話が挙がるようになり、場合によっては経営層とも話をする機会もできるでしょう。
人脈が新たな人脈を生み出し、別の担当者ともつながりができたり、他社の担当者とも顔合わせできたりする可能性もあります。
起業を視野に入れている営業マンであれば、人脈が広がることで事業が大きく加速することもあるでしょう。
スキルアップができる
法人営業を経験すれば、さまざまなスキルが身につきます。
起業を取引先にする営業は、担当者から決裁者に至るまでに自社商品の魅力をPRする難しさのある仕事だからです。
具体的には、商品の魅力を伝えるプレゼンテーション能力、相手のニーズを聞き出す傾聴力、論理的思考能力といったスキルが習得できます。
スキルアップした分、その後のキャリアの選択肢を増やすこともできるようになるでしょう。
法人営業の難しさ・厳しさ
法人営業はビジネススケールが大きい分、次のような大変さもあります。
- プレッシャーが大きい
- 顧客との関係構築に時間がかかる
- 休日出勤が発生する可能性がある
プレッシャーが大きい
法人営業は、個人営業よりもプレッシャーの大きい仕事です。
なぜなら企業が取引相手だと取り扱う金額が大きく、受注に失敗してしまうと責任を追及されることがあるからです。
また法人営業の場合はノルマが設定されていて、目標に到達できていなければ上司から叱責を受ける可能性もゼロではありません。
法人営業は精神的にタフな人でなければ、働き続けるのは大変な仕事だと言えるでしょう。
顧客との関係構築に時間がかかる
顧客との関係構築に時間がかかる大変さがあります。
対企業の商談の場合、受注に結びつけるまでに窓口担当者から決裁者に至るまで人怪訝関係を作っていかなければならないからです。
相手が心を開いて安心して話が聞けるようになるまでに、何度も足しげく企業へ訪問していかなければなりません。
ただパンフレットを渡し、自社の商品の説明をするだけが法人営業の仕事ではありません。
相手の困っていることを聞き出し、気持ちや感情に寄り添って話を進めていかなければならない難しさもあるのです。
休日出勤が発生する可能性がある
先ほど、法人営業は土日祝は休日と言いましたが、状況によっては休日出勤が発生する可能性もあります。
なぜなら取引相手が忙しい人であった場合、「土日しかアポイントメントの時間が取れない」ということもあるからです。
また企業によっては接待で親睦を深めるために、顧客の休みである土日に合わせて出勤することもあります。
法人営業の平均年収
求人ボックス給与ナビによれば、法人営業の平均年収は正社員で427万円です。
なお転職エージェントdodaには、2022年の年齢・年代別の平均年収は全体で403万円、20代は342万円というデータが公表されています。
このことから法人営業の平均年収は全体平均よりもやや高いことがうかがえます。
しかしながら法人営業は、インセンティブ(成果に応じて報酬が得られる制度)を設けている企業も多いため、頑張り次第では平均年収以上に稼ぐことも可能です。
法人営業で求められるスキル
法人営業で求められるスキルは、主に次のようなものが挙げられます。
- コミュニケーション能力
- ヒアリングスキル
- マーケティングスキル
- プレゼンテーションスキル
コミュニケーション能力
まず何といっても営業はコミュニケーション能力が必要不可欠です。
特に法人営業は、さまざまな立場の人と話をする機会があります。
円滑にコミュニケーションを進めながら、信頼関係をじっくりと構築していかなければならない難しさがあるのです。
単に「話が上手」というだけではなく、相手のバックグランドを事前にリサーチするといった下準備も重要となります。
また法人営業は経理や技術者などと関わる機会も多く、社内的にもコミュニケーション能力が求められる場面も多々あります。
ヒアリングスキル
コミュニケーション能力に含まれるスキルとして、ヒアリングスキル(傾聴力)も重要です。
営業では相手の抱える悩みや課題を引き出して解決に向かうことが、一つの大きな目的となります。
顧客が気づいていない悩みのタネとなる部分を引き出してあげられるかどうかは、営業のスキルに委ねられているのです。
ヒアリングスキルの高い営業の特徴としては、次のような特徴があります。
- 質問の意図が相手に伝わる
- 回答者が答えやすい
- 無駄がなくシンプルなど
とはいえヒアリングスキルは法人営業を始めたてのころは思うように発揮できないことも多く、働く中で徐々に磨かれていく部分でもあります。
マーケティングスキル
法人営業をするなら、マーケティングスキルもあれば良いでしょう。
マーケティングスキルがあれば、狙ったターゲットに上手に自社の商品やサービスを上手に売り込めるようになります。
「どのような商品を、どのターゲットに売るか」という目線があれば、企業の持つ販売ビジョンに寄り添った提案が可能です。
企業の多くはマーケティング部門があり、営業とは別の部署で切り分けられていることがほとんどですが、営業がマーケティングの知識を持っていれば営業成績向上が見込めます。
プレゼンテーションスキル
法人営業で働くなら、プレゼンテーションスキルも必要です。
商談が進んでいくと、決裁者や経営層にプレゼンテーションを実施する機会が増えてきます。
単に商品の魅力を伝えるものではなく、相手の背中を押すような「気持ちを動かす力」とも言えるでしょう。
それまで興味・関心がなかった相手であっても、プレゼンテーションが上手くいけば受注につながるチャンスも大いにあります。
法人営業に向いている人
法人営業に向いている人の特徴は、主に次のとおりです。
- 事業や経営に強い関心を持っている人
- 社内外でコミュニケーションが取れる人
- 共感力が高い人
- 精神的にタフな人
- プレゼンテーションが得意な人
事業や経営に強い関心を持っている人
事業や経営に強い関心を持つ人は、法人営業向きです。
取引先と商談をする際に、相手の経営戦略や事業戦略をしっかり熟知していれば、潜在ニーズの引き出しや提案が上手くできます。
「この人は自社のことをよく調べているな」と思ってもらえたなら、信頼関係の積み上がり商談もスムーズに進むでしょう。
事業や経営に関する情報が豊富な営業は、書籍やWebなどから業界や企業に関する研究を怠りません。
社内外でコミュニケーションが取れる人
社内外でコミュニケーションが取れる人は、法人営業で活躍できます。
相手との話の中で課題を引き出し、解決に向けた提案ができるかどうかが、受注につながるカギとなるからです。
また法人営業では社内のメンバーとも関わりが多い仕事です。
例えば見積もり料金の許可を得るには上長の許可が必要ですし、製造に関しては工場の人とスケジュールを調整することもあります。
日ごろからコミュニケーションを取れていないと、このような社内の調整も困難となるでしょう。
共感力が高い人
共感力が高い人は、法人営業に向いています。
業界では単に「話が上手な人」ではなく、相手の気持ちに共感できる営業が重宝されているからです。
「ただマニュアル的に話をしているな」と思われていると、信頼を損ねてしまうおそれもあります。
逆に自分の立場や状況を理解してくれている営業に対しては好感を頂きやすく、信頼関係が積み重なっていきます。
日頃から相手の反応や気持ちの変化に敏感で、共感性の高い人は誰からも必要とされる営業となるでしょう。
精神的にタフな人
精神的にタフな人は、法人営業で長く働くことができます。
なぜなら企業へ訪問しても断られる、ノルマが達成できずに上司から追及されるなど精神的につらい部分のある仕事だからです。
そのため、つらいことがあってもめげずに頑張れる人なら、法人営業として働き続けることができるでしょう。
反省すべき点はしっかり反省し、次に生かせるよう動けるポジティブな人は精神的にタフな傾向があります。
プレゼンテーションが得意な人
プレゼンテーションが得意な人は、法人営業に向いています。
なぜなら法人営業は高い提案能力が求められており、プレゼンで人の心を動かすことができれば、契約のチャンスを高められるからです。
自社の商品の魅力を上手く伝えることはもちろん、相手からの質問に対してもわかりやすく回答ができる能力も求められます。
「自分の好きなことや得意なことは上手に話せる」という人は、プレゼンテーション能力も高いと言えるでしょう。
法人営業のキャリアパス
法人営業で経験を積めば、次のような環境で活躍できるチャンスがあります。
- 人事部門
- マーケティング部門
- マネジメント部門
- 経営部門
- コンサルタント
- 起業など
当然、人によっては営業のスペシャリストとして、第一線で活躍し続けるというキャリアパスもあるでしょう。
一般的に商品の魅力が伝わりにくい無形商材は営業難易度が高めですが、年収面が優遇されている傾向にあります。
そのため有形商材から無形商材を取り扱う企業へ転職して、さらなるスキルアップを目指す人も多くいます。
また法人営業で身につけた専門知識があれば、営業職以外の職種に転職することも可能です。
法人営業の動向
法人営業の世界では、主に広告・IT・Web・人材業界などで人材を欲しています。
理由としては「離職率が高く人手が不足している」「売上が好調で新たに人を集めたい」という2つのパターンがあります。
前者の人手不足の企業へ転職すると、労働環境が厳しい可能性が高いので注意が必要です。
もし転職を検討するならば、後者のように売上が好調で成長を続けている企業へ転職すると将来性も保証されています。
また人生100年時代にさしかかっている現在、業界では形のある有形商材よりも保険やコンサルタントといった無形商材に注目している転職希望者が多くいます。
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
法人営業と一言にいっても、有形商材か無形商材か、ルート営業なのか新規開拓営業かなど、タイプによって特徴が大きく異なります。
それぞれにやりがいや大変な部分がありますが、共通しているのはコミュニケーションが求められる環境という部分です。
相手の気持ちに寄り添って話を聞き、悩みや抱えている問題を引き出すことのできる営業は、今後の社会において必要となる存在になるでしょう。
完全未経験で法人営業に転職すると、初めは上手くいかず戸惑うことがあるかもしれません。
しかし経験を積み上げていけば、スキルアップができるようになり、さらに活躍できるようなキャリアパスが用意されている職種でもあります。
法人営業への転職に関心のある方は、今回ご紹介した営業のやりがいや向いている人の特徴なども参考にしてみてください。
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