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早期離職の現状と対策。減らない要因と企業が取り組むべきポイント

早期離職の現状と対策。減らない要因と企業が取り組むべきポイント

目次
  1. はじめに
  2. 早期離職の原因と対策
  3. 早期離職による企業へのデメリット
  4. 早期離職が減らない要因
  5. 早期離職を減らす働きやすさの追求
  6. 早期離職を防ぐための具体的な対処法
  7. 早期離職が起きる主なミスマッチ
  8. 早期離職を減らす企業方針の明確化が重要
  9. 早期離職対策の成功への道

はじめに

新卒入社後3年以内に退職する若者は厚生労働省によると、3人に1人というデータがあります。

この「早期離職」の背景には、給与への不満、職場の人間関係、企業の将来性への不安など、さまざまです。

企業にとって早期離職は採用・教育コストの損失だけでなく、企業イメージの低下や恒常的な人材不足を招く深刻な問題です。

この記事では、人事担当者や経営者が今日から実践できる対処法と成功事例を紹介します。

早期離職の定義と現状

早期離職は企業にとって深刻な問題です。

一般的に「早期離職」とは入社から3年以内に退職することを指し、日本では新卒者の約3割がこの期間内に職場を去っています。

この現象は業種によって大きく異なり、宿泊業・飲食サービス業では約50%と高い一方、電気・ガス・熱供給・水道業では約10%と低くなっています。

ここからは早期離職の定義と現状について解説します。

早期離職とは?

早期離職は、入社後数年以内の離職を指した用語です。

特に3年以内と定義されていることが多く、厚生労働省でも入社後3年以内の新規学卒就職者の離職状況を公開しています。

早期離職は最近の問題ではなく、1990年~2000年代にかけて「七五三現象」の用語でも話題に上がっていました。

「七五三現象」とは、就職して3年以内に、中卒新入社員は7割、高卒新入社員は5割、大卒新入社員は3割が離職する現象を指した用語です。

現在の早期離職率は、あまり改善されていないのが現状です。

ただし、働き手の立場から考えれば、第二新卒市場が生まれてきたり、終身雇用の考え方も見直され始めたりしているため、早期離職に関してマイナスの要素だけではなくなってきています。

一方で、人事担当者や経営者の立場として若手社員の育成を考えるのであれば、早期離職率が高いのは問題であり、離職率の改善に取り組んでいく必要があるでしょう。

入社後3年以内の離職率

厚生労働省の最新データによると、令和3年3月卒業者の就職後3年以内離職率は全体的に上昇傾向にあります。

中学卒は50.5%(前年比-2.4ポイント)、高校卒は38.4%(+1.4ポイント)、短大等卒は44.6%(+2.0ポイント)、大学卒は34.9%(+2.6ポイント)となっています

特に注目すべきは事業所規模による差異です。

5人未満の小規模事業所では高卒者の62.5%、大卒者の59.1%が3年以内に離職している一方、1,000人以上の大規模事業所では高卒者27.3%、大卒者28.2%と大幅に低下します。

業種別では、宿泊業・飲食サービス業が最も高く、高卒者65.1%、大卒者56.6%が早期離職しています。

次いで生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業と続き、これら上位業種では約半数が3年以内に職場を去る現状があります。

早期離職率が高い場合、企業にとっては採用コスト、教育コストが無駄になってしまいます。

また、企業イメージの悪化にもつながるため対策が必要です。

出典:新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します

早期離職が顕著な業種

厚生労働省の最新データによると、早期離職率は業種によって大きな差があります。

令和3年3月卒業者において、最も離職率が高い業種は「宿泊業・飲食サービス業」で、高卒65.1%、大卒56.6%と半数以上が3年以内に離職しています

次いで「生活関連サービス業・娯楽業」(高卒61.0%、大卒53.7%)、「教育・学習支援業」(高卒53.1%、大卒46.6%)が続きます。

「医療・福祉」と「小売業」も高い離職率を示し、高卒ではそれぞれ49.3%、48.6%、大卒では41.5%、41.9%です。

対照的に、離職率が低い業種としては「電気・ガス・熱供給・水道業」(大卒12.5%)や「製造業」(大卒20.6%)があります。

これらの数値は前年と比較して多くの業種で上昇傾向です。

企業規模別では、従業員数が少ないほど離職率が高く、5人未満の事業所では高卒62.5%、大卒59.1%に達しています。

出典:新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します

早期離職の原因と対策

早期離職する原因の調査をエンジャパン株式会社で行っています。

調査結果の中でも理由として多くの方が挙げていた離職原因を5つ紹介しましょう。

それぞれの対策も合わせて紹介するので参考にしてみてください。

賃金や給与への不満

退職を考えた理由として、全体の40%以上の方が理由として挙げているのが賃金や給与への不満です。

現在の仕事の質や、きつさに対して給与が少ないと感じる方は退職を考える傾向にあります。

近年は終身雇用制の概念が薄まり、年功序列の賃金よりも成果報酬型の給与形態を選択する企業も増えてきました。

そのため、年功序列の賃金形態の企業に長くいるよりは、転職して給与アップを狙う若者が多くなっていると考えられます。

また、最近では働き方改革が進み、柔軟な働き方が求められるようになってきました。

そのため、給与だけでなく、ワークライフバランスやキャリアアップの機会、福利厚生など、総合的な待遇面が重視されるようになってきているでしょう。

企業も賃金アップや待遇の良さをアピールして、人材の定着や採用につなげる取り組みが求められています。

業務内容へのリアリティショック

現実と理想のギャップにショックを受けた状態がリアリティショックです。

早期離職の原因として挙げられますが、早期離職が問題として取り上げられるよりもさらに前の、半世紀以上前から仕事を辞める原因として知られていました。

「仕事内容」「他者との比較」「対人関係」「社内評価」の4つの要素が原因でリアリティショックを受けるとされています。

自分の思い描いていた仕事内容では無かった場合や、想像していたよりも自分が仕事をうまく進められなく、自信を喪失してしまう場合などに、現実と理想のギャップを感じてショックを受けてしまうでしょう。

新入社員がリアリティショックを受けないようにするには、入社前に会社の実情を嘘偽りなく伝えることが重要です。

入社して研修を受けてから辞めるよりは、入社前に辞退するほうがコスト面で負担はありません。

また、仕事内容がイメージと違う点は、ジョブローテーションも有効な手段の一つです。

さまざまな部署を経験し、自分に合った職場を見つけられるほか、会社全体を俯瞰的に見る能力が身に付くでしょう。

企業の将来性への不安視

企業に対する将来性の不安を退職理由として挙げる方も多いです。

例えばベンチャー企業のように将来の先が見通しづらい会社などは、先行きの不安から転職を考える新入社員も多いでしょう

終身雇用制の概念は薄れてきてはいますが、将来的に安定した会社にいたいと考える人はまだ多くいるのが現状です。

安定した会社で働くことが、一定の経済的安定やキャリアアップの機会を得られることを期待できるため、特に家庭を持つ人や転職に不安を抱える人には魅力的な選択肢となっています。

企業の将来性への不安から退職を考える社員に対しては、中長期的な企業ビジョンを明確にするのと、社員へできる限り現在の状況を共有するのが重要です。

上場企業でなければ、本来決算の開示義務はありませんが、社員に向けた説明は必要でしょう。

社員向けに会社がどういう状況にあるのか、どういう対策して利益を上げていくのかを定期的に共有して、社員の不安を解消できます。

人間関係や会社への違和感

人間関係、会社の文化への違和感を理由に離職する人も多いです。
人間関係が理由で離職する人は、理由を明確にせずに辞める傾向にあります。

人間関係を理由に辞めた場合、退職後に元職場となる同僚や上司との関係の悪化を恐れているためです。

そのため、表面上で分かっている退職理由よりも、人間関係が理由で離職している人は多いでしょう。

また、会社の文化に対する違和感を理由に辞める人も多いです。

会社が進む将来性に対して自分が合わないと感じる場合や、もしくは職場の風土が肌に合わずに辞める人もいるでしょう。

人間関係に関しては、インターンなどを活用し、入社前に良好な関係を築いておくことも対策の一つです。

また、インターンで事前に会社の内部を見ることで、職場の風土も分かるため、肌感が合わずに辞める人も減るでしょう。

また、会社のビジョンを明確にし、進むべき道を社員に示すことも重要です。

ビジョンに合わせた仕事となるため、自分の仕事に対して違和感を感じることなく従事できるでしょう。

ワークライフバランスや労働環境への不満

「労働時間・休日・休暇の条件」を離職の理由に挙げる方も多いです。

働き方改革やブラック企業などがニュースで取り上げられていることによって、ワークライフバランスを重視する風潮になったことも影響しているでしょう。

入社前の説明段階で、月の労働時間を残業込みで伝えること、年間休日日数を伝えることが重要ですが、数字だけ伝えても実情が伝わりません。

例えば、年間休日日数が120日であっても、完全週休2日で祝日も休み、ただし夏期休暇などはなしのケースもあります。

一方で、同じ年間休日120日で、定期的な休みは多くありませんが、夏期休暇20日のケースも考えられるでしょう。

上記のように、同じ年間休日120日でも実情を詳細に伝えることが重要です。

入社前に自分の理想とするワークライフバランスと照らし合わせてある程度イメージできます。

早期離職による企業へのデメリット

早期離職が企業に与える影響は大きく、残された社員のフォローには気を付ける必要があります。

採用コスト・教育コストが無駄になり、教育担当した社員はモチベーションが下がります。

また、早期離職が増えると企業イメージは悪化し、企業活動にも影響を与えかねません。

早期離職による企業のデメリットを詳しく解説していきます。

採用コスト・教育コストの損失

採用コスト・教育コストの損失は大きなデメリットです。

採用前には、求人掲載費や説明会の会場費、面接官や人事担当の人件費がかかります。

さらに、採用後は教育コストとして研修費、講師の人件費、教育を別の場所で行う場合は旅費・交通費が発生するでしょう。

また、費用が大きくかかるのは採用してからの給与です。

例えば額面20万円とした場合は、社会保険費用の会社負担分なども合わせると3ヶ月で100万円以上の費用がかかりますが、辞めてしまった場合はコストが全て無駄となってしまいます。

優秀な人材が育つことは会社の資産となるため、人材を育てるための採用コスト・教育コストを削ることは避けるべきです。

早期離職者が増えるとコストばかりがかかってしまい、資産を構築できません。

企業イメージのダウン

早期離職者が多いと企業のイメージダウンとなってしまいます。

さらに、最近はSNSが広まったことで個人が発信力を持つようになりました。

そのため、辞めた1人の人間が軽い気持ちで発信したことが拡散されてしまえば、より企業イメージのダウンとなってしまうでしょう。

さらに、若者雇用促進法によって離職者数の開示が義務づけられました。

離職率が高い企業のイメージが付いてしまうと、以降の求人にも影響を与えてしまいます。

また、企業イメージの悪化は、企業が提供するサービスにも悪い影響を与えかねません。

社員のモチベーション低下

早期離職は、残された社員のモチベーション低下につながってしまうでしょう。

OJTで担当についた社員、周りで支えた部署のメンバーなど、育てた社員が辞めてしまうことは「時間が無駄になった」と感じてモチベーションが下がってしまいます。

また、フォローしなければいけないことは、早期離職した社員を見た他の社員が連鎖反応を起こす可能性があることです。

辞めた社員が、新しい職場のことを既存の社員に話すことで、うらやましく感じた社員が続けて辞めていくことがあります。

連鎖的に社員が辞めてしまうと、会社全体が辞めやすい風潮となり、社内全体の空気もよくありません。

残された社員のフォローには気を付ける必要があるでしょう。

恒常的な人材不足

早期離職が頻発する企業では、慢性的な人材不足が深刻な経営課題となります。

恒常的な人材不足が続くと、企業の競争力維持に必要な知識やノウハウが社内で継承されなくなるリスクが高まっています。

特に問題なのは、残された社員の業務負担が増大し、人材育成に充てる時間が減少する点です。

社員の成長機会が失われ、企業の長期的発展に影響するでしょう。

日本は少子高齢化により、熟練した技術や知識を持つベテラン層の退職後を埋める若手人材の確保が困難になりつつあります。

早期離職対策は今後の企業存続に直結する重要課題なのです。

早期離職が減らない要因

早期離職率は横ばいの状態が続いています。

企業にとってはデメリットが大きいため、できる限り早期離職を減らしていく必要があります。

早期離職がなぜ減らないのか、要因を解説するため対策の参考としてみてください。

評価・給与制度が適正でない

給与に不満が生じることは早期離職につながりやすいです。

事前に納得した給与であっても、実際に行った業務内容と見合っていないと後々感じることもあります。

残業代が適切に払われていないなど、給与制度に対する不満もあるでしょう。

また、評価制度も重要な要素の一つです。
自分の働きや努力が適切に評価されないとモチベーションを保てません。

評価の上がる指標を可視化し、目標設定を立てやすくして、長期的なモチベーションの維持につなげられるでしょう。

社員のキャリア形成が不十分

終身雇用、年功序列の考え方は時代とともに薄れてきています。

会社に入り、スキルアップして自身のキャリアを形成していくことを若者は望んでいるでしょう。

社員のキャリア形成が不十分な体制は、早期離職につながってしまいます。

単調な仕事の繰り返しや、誰にでもできる仕事ばかり任せられると、成長が見込めず、やりがいを感じられません。

結果として、自分自身のスキルをみがける職場を目指して転職を考えるようになってしまいます。

社員の段階的な成長を、会社側が明確に表すことでキャリア形成を促し、仕事に対してやりがいを感じることで早期離職を減らせるでしょう。

また、現代の若者は、単に仕事をこなすだけでなく、社会的意義や社会貢献性の高い仕事に携わりたいと考えるようになってきています。

そのため、企業が社会的責任や社会貢献活動に積極的に取り組んでいるかどうかも、若者たちが就職する上での重要なポイントです。

企業は、若手社員の意欲や熱意を引き出すために、やりがいのある仕事を提供するだけでなく、社会的責任を果たすことも求められていくでしょう。

早期離職を減らす働きやすさの追求

早期離職を減らすには働き方改革に会社全体で取り組んでいく必要があるでしょう。

具体的には労働時間を適正化し、福利厚生を充実させます。

また、コミュニケーションを円滑にとり職場の環境作りをしなければなりません。

それぞれの具体的な施策方法を、解説します。

労働時間を適正化する

労働時間が長いことはさまざまな問題を引き起こします。

残業時間が多かったり、有給が取得できなかったりすると、ワークライフバランスを重視する社員にとっては早期離職へとつながってしまう懸念があるでしょう。

労働時間を適正化するには、まずは業務を効率化する必要があります。

新規ツールの導入や、自動化、アウトソーシングなどによって効率化し、労働時間の短縮ができるでしょう。

また、2018年には勤務間インターバル制度が企業の努力義務となりました。

当制度によって、適切な休息が取れる勤務形態に変化していくでしょう。

有給休暇の取得のしやすさも重要です。

有給休暇は取得を促す職場の雰囲気作りが必要であり、気軽に取得を申請できる仕組みから検討する必要があるでしょう。

福利厚生を充実させる

福利厚生が充実すると従業員が定着します。

例えば、ランチ会の補助や部活動費用を補助すると従業員同士のコミュニケーションが活発になり、人間関係が良好になるでしょう。

また、仮眠室や休憩室の設置、カフェテリアやマッサージ施設の設置によって、睡眠不足解消、疲労回復の効果が望めます。

休憩を適宜取得しやすい風土作りによって、業務効率の改善へとつなげられるでしょう。

最近ではリモートワークを推奨する企業も増えてきました。

リモートワークは今までとは異なる負担が従業員へ増します。
例えば水道光熱費や機器の購入などです。

リモートワークに必要な費用を補助すると、従業員が希望する働き方を促せるでしょう。

社内のコミュニケーションの円滑化

新入社員とコミュニケーションを密に取ることで、早期離職を防げます。

新入社員は、自分の仕事が評価されなかったり、実力が認められていないと感じたりしたときに離職を考え始める傾向にあります。

例えば、上司が実力を認めて評価していても新入社員に伝わっていなければ、正当な評価を受けていないと感じてしまうでしょう。

多くの企業では1 on 1(ワンオンワン)ミーティングを取り入れています。

1 on 1ミーティングでは、部下が日頃会社に対して思っている内容をくみ取り、評価を正確に伝えられるでしょう。

コミュニケーションを円滑にとることで、新入社員の悩みを早い段階で解決できます。

キャリアパスの明確化

キャリアパスを明確にすることで、社員は「今の仕事が将来どう役立つのか」を理解できるようになります。

入社後の成長ステップや昇進条件、習得すべきスキルを示すことで、社員は自分の現在地と目標までの流れを把握できます

このキャリアパスは、日々の業務における優先順位の判断基準となり、社員の自律的な成長を促進します。

「何のために今の仕事をしているのか」という目的意識が芽生えることで、モチベーションも向上します。

将来のビジョンを共有することは、人材定着にとって必要かもしれません。

早期離職を防ぐための具体的な対処法

早期離職を防ぐためには、採用から戦力化後まで一貫した対策が必要です。

人事担当者や経営者の方で「どのタイミングで何をすべきか」という施策に悩んでいるかもしれません。

ここからは、採用段階でのミスマッチ防止策、入社後の定着を促進する仕組み、戦力化までの育成プログラム、そして長期的な人材定着のための制度設計まで、フェーズ別の実践的な対処法を解説します。

採用段階

早期離職の本質的な問題は企業と社員の価値観のミスマッチにあります

採用段階での対策が効果的です。

採用段階の対策として、まずリファレンスチェックの導入が挙げられます。

これは候補者の元同僚や上司に評価を依頼するもので、Micoworks社では導入後に「入社後のミスマッチがほぼゼロになった」と報告も。

次に構造化面接の活用です。

Googleなど先進企業が採用するこの手法は、選考基準や質問事項を事前に統一する方法です。

採用担当者の主観によるばらつきを抑え、候補者の能力や適性を客観的に評価できます。

さらに、インターンシップや職場見学の機会を設けることで、候補者が実際の職場環境や業務内容を体験でき、入社後のリアリティショックを防止できます。

これにより、「労働時間・休日・休暇の条件」や「人間関係」といった早期離職の主要因を事前に把握できるでしょう。

採用後から定着するまで

採用後の定着率向上には、計画的なオンボーディングが不可欠です。

入社直後の3ヶ月間は特に離職リスクが高く、この期間のフォローが長期定着を左右するといっても過言ではありません

効果的な施策として、まず定期的な1on1面談(ザツダン)の実施が挙げられます。

入社1・3・6・12ヶ月目に面談を設定することで、新入社員の不安や課題を早期に発見できます。

サイボウズ社では、この取り組みにより離職率を28%から3%〜5%に削減できたそうです。

次にメンター制度の導入です。

先輩社員が新入社員の相談役となることで、業務上の疑問だけでなく、職場環境への適応もサポートします。

ホットランド社は、この制度と集合研修の組み合わせにより、新入社員の離職率を29%から7%へと大幅に改善しています。

さらに、内発的動機付けを高める工夫も重要です。

入社直後から単調な業務だけでなく、個人の強みを活かせる仕事を任せることで、「仕事が自分に合わない」という早期離職理由を解消できます。

これらの施策を組み合わせることで、新入社員の不安を軽減し、組織への帰属意識を高めることができるでしょう。

戦力化するまで

新入社員が企業の戦力となるまでに離職されると企業にとっては大きな痛手となります

戦力になるまでのサポートが、長期的な人材定着に直結します。

先に解説した「1on1ミーティング」や「メンター制度」も有効な方法です。

それ以外には「クロストレーニング」も効果的です。

異なる部署の業務を体験させることで、会社全体の業務フローを理解させ、自分の仕事の意義を実感させることができます。

Urban Companyでは部門間のクロストレーニングにより、社員の視野を広げ、組織への帰属意識を高めることに成功しているそうです。

これらの施策を組み合わせることで、新入社員の不安を軽減し、早期に戦力化することが可能になります。

戦力化の後

社員が戦力として活躍し始めた後も、早期離職防止の取り組みは継続するようにしましょう。

効果的な施策として、まず「人事評価の改善」が挙げられます

GMOペパボ社では360度評価を導入し、上司だけでなく同僚や部下からの多角的な評価により、社員の納得感を高めて離職率を15%削減しています。

次に「パルスサーベイ」の活用です。

週1〜月1回の簡易アンケートで社員の状態をリアルタイムに把握し、問題を早期発見できます。

さらに「キャリアパスの明確化」も効果的です。

ある企業では、将来のビジョンを共有する定期面談と成長機会の提供により、7年目の定着率を70%まで高めることに成功しています。

早期離職が起きる主なミスマッチ

早期離職の根本原因は、企業と社員の間に生じる「ミスマッチ」にあります。

「適切な人材を採用したつもりだったのに、なぜすぐに辞めてしまうのか」と悩むこともあるかもしれません。

ここからは、早期離職を引き起こす三大ミスマッチとして、「求職者への情報不足」「求職者の見極め失敗」「アフターフォロー不足」に焦点を当て、それぞれの問題がどのように離職につながるのかを解説します。

これらのミスマッチを理解し適切に対処することで、採用から定着までの一貫したプロセスを構築し、早期離職率の低減が期待できるでしょう。

求職者への情報不足

採用ミスマッチの原因のひとつに、企業側からの情報開示不足があります。

企業側は魅力的な面ばかりを強調し、長時間労働や有給休暇取得率の低さなどがあれば、そのネガティブ情報も伝えるようにしましょう

そうしなければ、入社後に現実とのギャップが生じます。

特に「労働時間・休日・休暇の条件」「職場の人間関係」「会社の将来性」といった情報は、早期離職の主要因と直結しています。

これらの情報を「改善すべき課題」として誠実に開示することで、企業への信頼感が高まり、入社後のリアリティショックを防止できるでしょう。

RJP(リアリスティック・ジョブ・プレビュー)の導入など、企業の実態を正確に伝える取り組みが、ミスマッチ防止につながります。

求職者の見極めに失敗

採用ミスマッチには、面接段階での求職者の見極め不足もあります。

志望動機の強さや自社理解度といった基準で主観的に面接を行う場合もあり、応募者の過剰なアピールを見抜けず、正当な評価ができていないということも

特に問題なのは、企業内での認識のズレです。

社長は次世代リーダーを求め、人事部は採用方法の限界を感じつつも変革できず、現場は目前のプロジェクト遂行に必要なスキルのみを重視するという状況があります。

この状態では、採用担当者は誰を採用すべきか判断できず、理想の人材を見逃してしまうのです。

効果的な対策として、まず構造化面接の導入が挙げられます。

統一された評価基準や質問項目を設けることで、面接官の主観によるばらつきを抑制できます。

また、エピソードの深掘りや「周囲との関わり」を質問することで、協調性や本質を見極められるでしょう。

さらに重要なのは、経営層から現場まで一貫した採用方針の共有です。

企業戦略から必要な人材像を明確にし、全関係者の目線合わせを行うことが、ミスマッチ防止につながります。

アフターフォロー不足

内定後や入社後のアフターフォロー不足は早期離職の要因になります

効果的なアフターフォロー方法として、「組織サーベイ」の活用が効果的です。

定期的なアンケートで社員の状態を可視化し、問題を早期発見することで、離職リスクを低減できた事例もあります。

その他にも、「1on1ミーティング」や「メンター制度」も取り入れてみましょう。

新入社員の不安を軽減し、組織への帰属意識の向上が期待できます。

早期離職を減らす企業方針の明確化が重要

早期離職の根本的な解決には、個別の対策だけでなく企業全体の方針を明確にすることが不可欠です。

ここでは、企業の方向性や目標を明確に示し、全社で共有することがなぜ早期離職防止に効果的なのかを解説します。

また、企業方針の明確化によって実際に離職率を大幅に改善した企業の成功事例も紹介します。

これらの取り組みを参考に、自社の企業方針を見直すことで、採用から定着までの一貫したプロセスを構築し、持続的な人材確保を実現できるでしょう。

企業の方向性・目標を明確にする

企業の方向性・目標を明確にすると、早期離職を減らせるでしょう。

社員は企業の方向性が定まっていないと将来に不安を感じてしまいます。

特に最近は「VUCA(ブーカ)時代」の用語が話題となっているように、変動が激しく不確実性が高い世の中です。

方向性を明確にし、適宜時代に合わせて見直しをかけていくことで、中長期的な見通しが立ちやすく、社員に安心感を与えられるでしょう。

また、企業の方向性を、各部署、各個人の目標に落とし込むことで、自身の仕事が会社の役に立っているやりがいを感じられます。

企業の方向性・目標が定まっていると、採用の際のミスマッチを防ぐ効果もあります。

採用時に企業ビジョンに共感した社員が入社してくるため、リアリティショックを受けることなく、仕事に従事してくれるでしょう。

ミスマッチ防止による離職率改善事例

企業のミスマッチ採用を防ぐ取り組みとして、株式会社moovyの取り組みを紹介します。

株式会社moovyは、企業の採用動画の製作をサポートしている会社です。

従来の採用では、企業側が出す情報は定量的な情報が主でした。

定量的な情報とは例えば「年収」「従業員数」「休日日数」などの情報です。

一方で、株式会社moovyが製作する採用動画は「定性的」な動画製作をコンセプトとしています。

展開しているのは、求職者が本来知りたい情報で、かつ入社したあとに「イメージと違う」と思わせないための情報です。

例えば「企業の風土や慣行」、「配属される部署のメンバーの雰囲気」、「将来のキャリア形成」などがコンテンツとなっています。

おしゃれな採用動画ではなく、あくまでも現場のリアルな動画作りを重視した採用動画です。

求職者に企業のリアルな雰囲気を事前に知ってもらうことで、ミスマッチを防ぐ効果が期待できるでしょう。

早期離職対策の成功への道

早期離職問題は単なる人事課題ではなく、企業の持続的成長に直結する経営課題です。

早期離職の原因はさまざまであり、その対策も採用から定着、戦力化、そして長期的な人材育成まで一貫したアプローチが求められます。

早期離職対策は一朝一夕で成果が出るものではありません。

しかし、この記事で紹介した施策を自社の状況に合わせて導入し、PDCAサイクルを回しながら改善を続けることで、確実に離職率を低減し、人材の定着と成長を促進することができるでしょう。

人材こそが最大の経営資源である現代において、早期離職対策の成否は企業の競争力を左右します。

今日から一歩を踏み出し、持続可能な組織づくりに取り組んでいきましょう。

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