早期離職でも不安にならないで!会社を辞めたい第二新卒の転職ハウツー
早期離職とは
早期離職とは、文字通り「入社から期間の浅い状態(=早期)に離職する」ことを指します。
その期間に明確な定義は設けられていませんが、一般的には入社から3年以内に離職する場合に用いられることが多いです。
若者の3人に一人は早期離職している?
一昔前はあまり聞き慣れなかった言葉ですが、実は近年新規学卒者の早期離職率が高まっています。
厚生労働省が発表している新規学卒者の3年以内の離職率は大卒者で31.5%、高卒者で35.9%です。なんと3人に1人の新規学卒者が該当しています。
ではなぜこんなに多くの若者が早期離職をしているのでしょうか。
その要因の一つとして、日本が深刻な人材不足に陥っていることが挙げられます。
企業が人材を欲しているにもかかわらず働き手が少ないことが、今の日本の現状です。
そのため、働き手は会社を辞めてもすぐに転職先が見つかる状態にあり、早期離職しても仕事に困らないということが現状なのです。
業界別に見る早期離職者の割合
早期離職者が増えていると言っても、業界によってかなり差があります。
参考までに、業種別の早期離職率をご紹介します。
・建設業…28.6%
・製造業…18.5%
・情報通信業…27.8%
・卸売業…28.0%
・小売業…36.1%
・金融保険業…25.1%
・不動産業…36.1%
・宿泊、飲食サービス業…49.7%
・生活関連サービス業、娯楽業…47.4%
・医療、福祉…38.6%
※厚生労働省『新規大卒就職者の産業分類別(大分類※1)就職後3年以内※2の離職率の推移』のうち平成31年3月大卒者のデータ
どの業界も高い推移を辿っていますが、オフィスワーク系よりもサービス系職種の方が早期離職率が高いようです。
早期離職者が会社を辞めたきっかけ
会社を辞める理由はもちろん人それぞれですが、大抵は職場環境や労働条件に関するネガティブな理由がほとんどです。
ここからは、早期離職者が会社を辞めた主な理由を4つご紹介します。
1.人間関係
社会人にとって会社は1日の大半を過ごす場所なので、職場環境によって大きなストレスになってしまうこともあるようです。
同僚や上司との相性は重要で、相性の悪い人が一人でもいると精神的な負担になりますよね。
参考までに、日本労働調査組合が全国の20~49歳の会社員の男女520名を対象に行った「職場の人間関係に関するアンケート」によると、職場の人間関係が原因で退職・転職を検討したことがある20代は54%でした。
※引用:『日本労働調査組合』PR TIMES
半数以上の20代が人間関係に悩んだ経験があることから鑑みると、入社3年以内の早期離職者も多いことは容易に想像できるでしょう。
2.長時間労働・休日への不満
時間的な労働環境については、入社して体感してみないと大変さが分からないことでもあります。
「思っていたよりも残業が多かった」「終電ギリギリまで働くなんて思ってもいなかった…」など、入社後にギャップを感じて早期離職を選択する人は少なくありません。
長時間労働に耐え続けた結果、体調に支障をきたしてしまうこともあるので、退職という選択は間違いではないかもしれませんね。
また、休日への不満も多いようです。
営業系職種ではクライアントの事情で休日にアポイントが入ってしまったり、飲食・サービス系職種ではアルバイトスタッフの急な欠員で休日出勤を余儀なくされることもあります。
仕事とプライベートのメリハリをつけて働きたい人にとっては、休日出勤があることで大きなストレスになりますよね。
3.給与が低い
仕事は収入を得るための重要な手段ですので「もっと高収入な会社があれば転職したい」という意欲を持つ人が大半でしょう。
また、日本ではまだまだ年次昇級制度をとりいれている会社が多く、そういった会社では新卒の初任給が低い傾向にあります。
そうなると、20代の若手社員が「こんなに頑張ってもこれだけか…」という不満を持つことは当たり前で、その結果年収アップを目指して転職します。
また、「年齢ではなく実力評価で収入を得たい」という考えの人も多く、そういった向上心の高さからメガベンチャーなどの実力勝負の世界へ転職を志す人もいます。
4.仕事内容が合わない
希望とは異なる配属先になってしまったことや、希望した職種でも想像と違っていたなど、入社後のギャップを感じる人も多いようです。
入社前はキラキラしたイメージを持っていても、実際に入ってみると過酷な部分も多く見えてくるものですね。
仕事はやりがいありきでキャリアアップしていけるものなので、自分に合った仕事に就くことが理想です。
しかし、どんな経験でも将来の自分のキャリアにおいて無駄になることは一つもありません。
今の仕事を無駄ととらえて潔く退職をするか、むしろ成長材料にして出世を目指すか、よく考えて選択したいですね。
早期離職は不利?メリットはあるの?
早期離職が決して珍しいことではないことは分かりましたが、次に転職することを考えると不安の方が大きいと思います。
果たして早期離職者は社会的に不利になるのか、早く辞めることにどんなメリットがあるのか、それぞれご紹介します。
早期離職からの転職がなぜ不利と言われるのか
早期転職がなぜ良い印象を持たれないのでしょうか。
採用担当者から見た早期離職者のマイナスポイントをご説明します。
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「またすぐ辞めるのではないか」と懸念される
早期離職≒忍耐力・継続性がないと思われてしまうことが現状。
大半の採用担当者はそう考えているので、面接時に不利にならないようにポジティブな転職理由も用意しておいた方が良いです。
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求めるスキルに満たない
転職市場では即戦力が重宝されることがほとんどです。
実績が1年や2年程度の早期離職者だと、ほぼ未経験として育てなければなりません。
企業としては育成期間の人件費はマイナスなので、それを加味しても採用したいと思える人材でないと不採用の可能性が高いです。
早期離職からの転職でもメリットはある
何かとマイナスイメージを持たれてしまう早期離職者ですが、将来の自分のことを考えると、むしろプラスでしかありません。
なぜなら、悩んで行動できずに躊躇している間も時間は刻々と過ぎていき、自分の成長の機会を逃してしまうからです。
転職活動さえクリアしてしまえば明るい未来が待っているはずなので、長い目でとらえましょう。
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新卒時に不採用だった会社へ再チャレンジできる
新卒の時に不採用だった会社が中途採用を募集していれば、また違った形で再チャレンジすることができます。
早期離職していると言っても、新卒時より成長した状態であることは間違いないので、自分を試す意味でも良い経験になるでしょう。
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自分がやりたい職種へ転職できる
今の会社が希望した配属先ではないという方は、転職することで希望の職に就くことができます。
中途採用は新卒と違い、職種ごとに求人募集をしています。
入社後に急に職種が変わるなんてことはほぼ皆無ですので、安心して進みたいキャリアを全うすることができます。
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自分のやりたいことが見つかる
転職活動は視野が広がる行動の一つです。
たくさんの会社の求人募集を調べたり、面接を受けたりすることで「こんな仕事やってみたいな」と思えるきっかけができるかもしれません。
以上のように、将来の自分を考えた時にはマイナスなことはほぼありません。
不利になるということについては一旦蓋をする気持ちで、将来の自分が楽しく働けることだけを考えて行動してみましょう。
会社を辞める前に準備しておくべき4つのこと
会社を辞めたいと思ったらいつまでに何をしておくべきか、どうやって計画を立てたら良いか、初めて転職をする第二新卒の方は何かと不安でしょう。
ここからは、安心して転職をするために準備しておくべきことを4つご説明します。
期日を決める
転職はしっかり計画を立ててスケジュール通りに行う方が安全です。
一般的な転職活動期間は3ヶ月と言われていますが、初めて転職をする場合はもう少し余裕を持って6ヶ月程度見ておくことをお勧めします。
「早く辞めたいから…」と言って退職日を早めると、転職活動におけるスケジュールがタイトすぎて計画通りに進まないことも想定されます。
「退職後も転職先が決まっていない!」といったことにならないよう、下記のポイントを抑えてしっかり計画を立てましょう。
<計画立てのポイント>
・在職中に有給休暇や休憩時間を使って何社面接ができるかを計算しておく
▶︎仮に10社程度面接をするとした場合、退職日から逆算して何社の面接を受けられるかを計算してスケジューリングしましょう。
・今の仕事の引き継ぎ業務のボリュームを考慮しておく
▶︎引き継ぎ業務は案外時間も量も多いものです。大体は1ヶ月間かけて引き継ぎ業務を行うので、その期間は残業も多いことが想定され、転職活動に時間を割けない可能性があります。引継ぎ業務が始まる前には転職先を決めておきたいものです。
生活費を蓄えておく
退職後にすぐ転職先の会社に入社できる状態がベストですが、想定通りに行かないこともあります。
転職は縁の巡り合わせなので、難航してなかなか転職先が見つからないこともあります。
また、無事に転職先が決まったとしても、企業側がいつから働いて欲しいかによっては希望のタイミングでの入社が難しい場合もあります。
そうした場合に備えて、最低でも1〜2ヶ月程度生活できるよう貯蓄をしておくことをお勧めします。
転職サイト・エージェントへの登録
転職サイトや転職エージェントへは出来るだけ多く登録しておくことをお勧めします。
転職サイトによっては求人案件数や質(未経験OKの案件が多いサイトもあれば、ハイクラス転職向けのサイトもある)が違いますので、1つや2つだけしか登録していないと希望の案件に出会えないこともあります。
自分にあった案件に出会うために、大手転職サイト5つ(リクナビ、マイナビ、エン転職、Duda、ビズリーチ等)を中心にたくさん登録しておきましょう。
また、転職エージェントを利用すれば、キャリアコンサルタントに直接転職の相談ができます。
対話ベースで相談ができるので、退職の理由から転職先への希望まで細かく伝えることで自分にマッチした案件を紹介してくれます。
案件紹介だけでなく、転職市場や面接対策なども丁寧に教えてくれるエージェントもあるので、転職成功率を高めるためには利用して損はありません。
必ずしもそのエージェント経由で転職をしなくとも、転職に関するあらゆるノウハウを教えてもらうことで自分のプラスになることは間違いなしです。
会社に退職の旨を伝える
会社へ退職届を出すタイミングは、退職希望日の3ヶ月前くらいをおすすめします。
一般的には、退職希望日の1ヶ月前までに報告することを規定としている場合が多いですが、会社にとっては早めに伝えてもらった方が良いに越したことはありません。
なぜならば、退職者が出た分の欠員補充で採用活動をしなければならなかったり、引き継ぎ業務の量によっては時間がかかるからです。
このように会社側のことも配慮すると、3ヶ月前くらい前の報告がベターというわけです。
また、退職の理由は納得してもらえるように言語化しておきましょう。
人手不足な世の中なので、強引に引き止められて辞められないケースも少なくありません。
退職の旨を伝えた時に退職理由を細かく聞かれるはずですが、退職理由が曖昧な状態だと「だったらもう少し頑張るべきじゃない?」と引き止められてしまいますし、自分も流されて転職が出来なくなってしまいます。
出来るだけポジティブな理由を伝えた方が納得してもらいやすいので、うまく伝えられるように予め紙にまとめておくと良いですよ。
こんな理由の早期離職ならもう一度考え直そう
早期離職の理由として「人間関係」「仕事内容」などが多いことを挙げましたが、細かく紐解いていくと危険信号な退職理由もあります。
それは、当事者意識を持たずに環境や他者のせいにしてしまっている場合です。
自分では「他者が悪だ」ということでも別の視点から見てみると、自分が変われば解決できることもあります。
頭ごなしに何でも他者に不満をぶつけて転職をしてしまうと、いつか自分が成長したときに会社を辞めたことを後悔するハメになります。
不満を持って勢いで退職をしてしまうと、転職先でも同じことを繰り返して職を転々とする可能性もあります。
今からご紹介する理由に該当しそうなら、一度踏みとどまって自分を見つめ直してみてください。
人間関係がうまくいかないことに主観的すぎる
人間関係でトラブルがあると、まず相手に対して憎しみや怒りを覚えると思います。しかし、嫌な人間とも上手に付き合うことも仕事の一つです。
明らかないじめ・パワハラではない限り、一呼吸おいて「自分自身に欠点がなかったか」「どうやったら解決できるか」を自分なりに考えてみて、それでもダメなら次のステップを検討しましょう。
また、自分では理不尽だと思っていることが、実は社会的には当たり前のことだったりもします。
入社2〜3年では社会の当たり前に気づけないこともあるので仕方ありませんが、何でも他者に矛先を向けてしまうと、転職先でも人間関係のトラブルが発生するかもしれません。
今の仕事がつまらないと感じる
仕事がつまらないと感じるのは、単純に「飽き」を感じているだけかもしれません。
飽きというものは、言い換えれば「仕事に慣れた」ということです。
仕事の基本に慣れた今の自分が進むべき次のステップとして転職という選択肢は間違っていませんが、「今の会社で出世をする」という選択肢もあります。
出世した自分を想像した時に、今より少しでも楽しく仕事ができているなら、もう少し頑張ってみる価値は十分にあります。
飽きたからといって勢いで転職してしまうと、次の職場でも必ず飽きが来ます。
そうなると早期離職と転職を繰り返す羽目になるので、自分の社会的価値もどんどん下がってしまいますよ。
なりたい自分像がない
早期離職と転職を繰り返す人の特徴として、自分軸がなく理想がないことが挙げられます。
なりたい姿がわからないからこそ、目指すべき場所が定まらずに転職を繰り返してしまうのです。
退職理由はネガティブだとしても、転職というものは「こういう自分になりたい」というポジティブな思いに向かって実行するものです。
抽象的でも良いので、自分が理想とするキャリアを描いておきましょう。
目標とする姿が分かれば転職活動で迷わなくなります。
早期離職の第二新卒者が転職成功するためには
しっかり計画を立てて事前準備をした上で転職活動を実行すれば、早期離職からでも成功するはずです。
ネガティブになりすぎず、自分の価値を知った上でポジティブな理由に変えて転職活動を実行しましょう。
失敗のリスクを減らすために抑えておくべきポイントを5つご紹介します。
自己分析から自分の価値を知る
転職を成功させて理想のキャリアを歩むためには、まず自分の価値を知っておくことが前提です。
価値を知らないと面接時に何もアピールできないので、自己分析をしておくことをおすすめします。
学生時代の就活時に自己分析を受けた人も多いと思いますが、社会人になった今受けることで新たな価値が見えてくるものです。
最近では大手転職サイトでも簡単な自己分析サービスが受けられるので、転職サイトに登録したタイミングで是非やってみてください。
<大手転職サイト自己分析サービス>
・リクナビNext グッドポイント
・en JAPAN Ambi
ポジティブな転職理由をまとめておく
面接時には必ず転職の理由を聞かれます。
特に早期離職であることに対しての質問には、将来的なポジティブアクションとともに理由を用意しておくことをお勧めします。
<用意しておくべきポジティブ理由例>
・当社に入れば自分が歩みたいキャリアに早く進めると思ったから/なぜそう思ったのか
・当社に入れば自分の強みをもっと活かせると思ったから/なぜそう思ったのか
何歳までにどういう自分になりたくて、そのために今実行しようと思った理由と当社を選んだ理由をまとめましょう。
自己分析と一緒に実行して、メモに書いて言語化しておくとスムーズに話せるようになります。
エージェントには退職理由を細かく伝える
転職エージェントは、いわば企業と人材の橋渡し役です。
企業と人材の求める条件をデータベース化して管理しており、その中からうまくマッチングできるよう双方に案件を紹介しています。
その条件というのは、スキルだけでなく人間的なタイプも含まれます。
「入社後に問題なく長く働けそうか」
「職場環境は合っていそうか」
こうしたことも想定して案件を紹介しているので、退職の理由はネガティブなものこそきちんと伝えておくべきなのです。
話しにくい内容でも細かく伝えておくことでマッチングの精度が上がって転職成功しやすくなるので、エージェントには包み隠さず話しましょう。
即戦力としてアピールできるスキルをまとめておく
早期離職をした第二新卒の場合、ほぼ未経験という印象を持たれがちです。
中途採用では学生時代の就活と違って即戦力が求められるので、面接時にスムーズにアピールできるようにスキルをまとめておきましょう。
尚、アピールポイントは定量的に伝えると良いです。
例えば「営業をしていて1日100件のテレアポをして、そのうち平均3件アポを獲得した」など。
自分がやってきたことを数で伝えることで、採用担当者が採用後のことをイメージしやすくなります。
新卒入社数ヶ月でも何か武器になるスキルはあるはずですから、自信を持ってアピールしましょう。
応募する会社は30社以上がオススメ
転職も新卒の就活と同様で、出来るだけ多くの会社から内定をもらっておくことをお勧めします。
複数社から内定をもらっておけばじっくり吟味した上で決定することができますし、何より心にゆとりを持って転職に臨めます。
目標内定社数を3〜5社と少し高めに設定した場合、何社応募すればクリアできそうかを試算した上で応募することをお勧めします。
マイナビ転職の調査によると、内定までの書類選考〜面接通過率は下記です。
・書類選考通過率…30%
・一次面接通過率…30%
・最終面接通過率…50%
単純計算すると100人応募したとして書類選考通過者は30人、一次面接通過者は9人、最終面接通過者は4.5人です。
つまり、内定確率は5%ということです。
これを基準として3〜5社から内定をもらうためには30社以上にレジュメを送る必要があります。
尚、転職サイトからの応募だと自分自身で求人検索をして1社ずつ応募する形式なので、転職エージェントも併用して負担を減らすことをおすすめします。
担当エージェントさんがオススメの求人案件を探してくれるので、効率よく短期間で複数社へ応募をすることが可能です。
まとめ
早期離職の理由のほとんどはネガティブなものであれど、転職をすることについてはポジティブにとらえて良いものです。
第二新卒などの若年層はのびしろが大きいため、欲している企業が多いことも現状です。
自分とマッチした会社に出会えれば、今までの2倍も3倍も成長できるはずです。
その明るい将来に早くたどり着くために、しっかり計画を立てて転職活動をしましょう。
<この記事のおさらい>
・新卒者の約3割が早期離職をしている
・早期離職は採用担当者からみるとマイナスイメージであることが現実
・早期離職は自分が理想のキャリアに早く近づくための一歩である
・やっておくべき転職計画は「期日の設定」「生活費の蓄え」「転職サイト・エージェント登録」「退職の旨を早めに伝える」
・転職しても失敗しやすい退職理由もある
・第二新卒者の転職成功のコツは「自己分析」「ポジティブな転職理由の言語化」「応募社数は30社以上」
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