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SaaS領域でのカスタマーサクセスとは?転職希望者が把握すべき業務内容や適性、キャリアパスについて

SaaS領域でのカスタマーサクセスとは?転職希望者が把握すべき業務内容や適性、キャリアパスについて

目次
  1. はじめに
  2. カスタマーサクセス(CS)とは
  3. SaaSとは
  4. カスタマーサクセスの業務内容
  5. カスタマーサクセスと他の職種との違い
  6. カスタマーサクセスが重要視される理由
  7. 【SaaSにおけるカスタマーサクセス】SaaS領域での役割
  8. カスタマーサクセスに向いている人
  9. カスタマーサクセスに向いていない人
  10. カスタマーサクセスのキャリアパス
  11. カスタマーサクセスに転職するときの注意点
  12. カスタマーサクセスに転職するポイント
  13. まとめ

はじめに

近年、SaaS業界の急成長にともない、注目を集めている職種が「カスタマーサクセス(CS)」です。

特に、サブスクリプション型のビジネスモデルが主流となるSaaSにおいては、顧客との長期的な関係を築き、継続利用を促すカスタマーサクセスの役割が非常に重要です。

しかし、「営業職やカスタマーサポートと何が違うの?」「具体的にどんな業務をするの?」といった疑問を持つ方も少なくありません。

本記事では、カスタマーサクセスの基本的な仕事内容から必要なスキル、SaaSとの関係性、さらには転職時の注意点やキャリアパスに至るまで、網羅的に解説します。

未経験からチャレンジしたい方や、キャリアアップを目指す方はぜひ参考にしてください。

カスタマーサクセス(CS)とは

カスタマーサクセス(CS)は、SaaS業界を中心に注目されている職種で、顧客がサービスを最大限に活用し「成功」を実現するための支援を担う役割です。

従来のカスタマーサポートが「問題を解決する受け身の対応」だったのに対し、カスタマーサクセスは「課題を先回りして解決する能動的な支援」が求められます。

SaaSではサブスクリプションモデルが主流であるため、顧客の継続利用が企業の成長に直結します。

そこで、カスタマーサクセスの存在が重要視され、企業の収益最大化に欠かせない存在となっているのです。

概要

カスタマーサクセス(Customer Success)とは、顧客が導入したサービスやプロダクトを最大限に活用し、理想的な成果を得られるように支援する役割を担う職種です。

特にSaaS(Software as a Service)業界においては、契約後も長期的に利用してもらうことが重要なため、の存在が不可欠とされています。

業務内容は多岐にわたり、顧客のオンボーディング(初期導入支援)や運用サポート、課題解決の提案、利用データの分析、契約更新の支援などが含まれます。

カスタマーサクセスは単なるサポートではなく、プロアクティブ(能動的)に顧客の状況を把握し、成功に導くパートナーのような立場です。

営業やサポートとは異なり、「成果」を共に目指す点が特徴であり、顧客との信頼関係を築く力や、課題を発見・解決する力が求められます。

サービスの価値を最大限引き出すために、企業と顧客の橋渡し役として重要なポジションです。

必要なスキル

カスタマーサクセスに求められるスキルは多岐にわたりますが、特に重要なのはコミュニケーション能力です。

顧客の課題を正確にヒアリングし、適切なソリューションを提案するためには、共感力と伝達力の両方が不可欠です。

また、SaaSなどのITツールを使いこなすITリテラシーも求められます。

加えて、データ分析スキルも重要です。

顧客の利用状況や行動データをもとに、課題の兆候を察知し、解約を防ぐための戦略を立てることが求められます。

さらに、業務改善や提案の場面では論理的思考力やプレゼンテーションスキルも役立ちます。

企業によっては、営業経験やコンサルティングの素養が評価されることもあります。

共通して言えるのは、「顧客と伴走しながら、成果を出す」姿勢が重要であり、そのための柔軟性・提案力・責任感を備えている人がカスタマーサクセス職に向いています。

年収

カスタマーサクセスの年収は、経験や所属する企業の規模、業界によって大きく異なります。

未経験者やジュニアクラスの年収は350万〜450万円程度が一般的ですが、マネージャーやスペシャリストとしての経験を積むことで、600万円以上の年収も目指せます。

外資系SaaS企業や急成長スタートアップでは、年収800万〜1,000万円超のポジションも存在します。

また、カスタマーサクセス職は成果に対する評価が反映されやすい職種です。

契約更新率やアップセル・クロスセルの実績が評価対象となることもあり、営業職と同様にインセンティブ制度を設けている企業もあります。

転職市場においても、SaaS業界を中心にカスタマーサクセス人材の需要は高まっており、経験者の市場価値は非常に高い状況です。

今後も市場拡大が見込まれる分野のため、キャリアアップや年収アップを狙いたい人にとっては魅力的な選択肢と言えるでしょう。

勉強方法

カスタマーサクセスを目指す上での勉強方法には、実践的な学びと理論的な知識の両面が求められます。

まずは、業界理解を深めるためにSaaSビジネスモデルやサブスクリプション型の収益構造について学びましょう。

代表的な書籍には『カスタマーサクセス』(ニック・メータ他著)などがあり、職種の全体像をつかむのに役立ちます。

また、オンライン学習プラットフォームでは、顧客対応・提案・データ分析などのスキルを学べる講座も多数あります。

UdemyやYouTube、SaaS企業のオウンドメディアなどを活用するのもおすすめです。

さらに、カスタマーサクセス関連のコミュニティに参加し、実際の現場で活躍している人の話を聞いたり、情報交換を行ったりすることで、より実務に近い知識を身につけることができます。

可能であれば、カスタマーサクセスアシスタントやサポート職などからキャリアをスタートすることで、実務に近い経験を積むのも効果的です。

カスタマーサクセス職を取り入れている企業の事例

カスタマーサクセスを導入している企業は、SaaSやITサービスを中心に年々増加しています。

代表的な事例としては、Sansan株式会社(クラウド名刺管理)やfreee株式会社(クラウド会計)、SmartHR株式会社(人事労務クラウド)などが挙げられます。

これらの企業では、顧客との関係を長期的に維持するために、専任のカスタマーサクセスチームを組織し、オンボーディングから継続支援、契約更新までを一貫して担当しています。

また、SalesforceやHubSpotといった海外の大手SaaS企業も、早期からカスタマーサクセスの重要性に注目しており、プロフェッショナルなカスタマーサクセス体制を構築しています。

特にSalesforceは「カスタマーサクセス」の概念を業界に広めた企業としても知られ、業界のベンチマーク的存在です。

中小ベンチャー企業でもカスタマーサクセス職を導入する動きが加速しており、カスタマーサクセスの経験を積むチャンスは広がりつつあります。

今後、より多くの企業がカスタマーサクセス職を取り入れることが予想され、求人数の増加にもつながるでしょう。

SaaSとは

SaaS(サース、Software as a Service)とは、クラウド上で提供されるソフトウェアサービスのことを指します。

従来のようにパソコンにソフトをインストールする必要がなく、インターネット環境さえあれば、どこからでもサービスにアクセスできるのが大きな特徴です。

ユーザーはサービスを「所有する」のではなく「利用する」形式となるため、導入コストを抑えながら、常に最新の機能を使える点が強みです。

SaaSは、業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の手段として、多くの企業に導入されています。

料金体系は月額・年額などのサブスクリプションモデルが主流で、初期投資を抑えたい中小企業にも広く普及しています。

また、クラウドを基盤とすることでセキュリティ強化やバージョン管理も容易になり、企業側・ユーザー側双方にとって大きなメリットがあります。

このような背景から、SaaS市場は年々拡大を続けており、それに伴いSaaS企業で活躍するカスタマーサクセス職の重要性も高まっています。

代表的なサービス

SaaSにはさまざまなジャンルがあり、ビジネスのあらゆる領域で活用されています。

代表的なサービスとしては、営業支援ツールの「Salesforce(セールスフォース)」、チャットツールの「Slack(スラック)」、人事労務管理システムの「SmartHR(スマートエイチアール)」などが挙げられます。

たとえばSalesforceは、CRM(顧客管理)を中心とした多機能な営業支援ツールで、多くの企業が顧客情報の一元管理や業務効率化のために導入しています。

Slackはチーム内のコミュニケーションを円滑にし、テレワーク環境でもスムーズな情報共有を可能にします。

また、SmartHRは労務手続きや給与計算など、人事業務の煩雑さを解消するクラウドサービスとして注目されています。

これらのSaaSは導入後の運用が企業の成果に直結するため、カスタマーサクセスの存在が欠かせません。

顧客の継続利用や活用促進を支援する役割として、今後ますます需要が高まることが予想されます。

カスタマーサクセスの業務内容

SaaSビジネスにおけるカスタマーサクセスは、顧客がサービスを最大限に活用し、継続的にその価値を実感できるよう、多岐にわたる活動を展開します。

ここでは、SaaSの視点からカスタマーサクセスの具体的な業務内容を紹介します。

オンボーディングによる導入支援

カスタマーサクセスにおいて、最初の重要なステップが「オンボーディング」です。

これは、新しく契約した顧客に対してサービスの導入をサポートする業務で、顧客がスムーズにSaaSプロダクトを使い始められるようにすることが目的です。

具体的には、初期設定のサポート、操作説明、目的に応じた機能提案、導入計画の策定などが含まれます。

特にSaaSでは、導入初期のつまずきがそのまま解約につながることもあるため、オンボーディングの品質がその後の継続率に直結します。

顧客の業務内容や課題をヒアリングし、最適な活用方法を提案するスキルが求められます。

サービスの活用支援

オンボーディング後も、顧客が継続的にサービスを効果的に活用できるよう支援するのがカスタマーサクセスの役割です。

これは「アダプション(定着)」や「エンゲージメント(活用促進)」とも呼ばれます。

例えば、定期的な利用状況の確認、効果測定レポートの提供、業務課題に応じた新機能の案内や活用セミナーの実施などが含まれます。

顧客がサービスを「使いこなしている」と実感することで、契約の継続率や満足度が向上します。

また、利用頻度が落ちている顧客に対しては、活用方法の見直しを提案するなど、プロアクティブな対応が重要です。

顧客からのフィードバック収集と課題解決

カスタマーサクセスは、顧客との定期的なコミュニケーションを通じてフィードバックを収集し、サービス改善につなげる役割も担います。

SaaSサービスでは、実際に利用している顧客の声が非常に貴重な情報源です。

例えば、「機能がわかりづらい」「もっとこうしてほしい」といった声を的確に拾い上げ、開発チームやプロダクトマネージャーに共有することで、機能改善やUIの見直しに貢献します。

あわせて、顧客の課題に応じたカスタマイズ提案や、トラブル発生時の迅速な対応も求められます。

こうした対応を通じて、顧客満足度の向上とチャーン(解約)率の低下を図るのが目的です。

契約更新のバックアップ

契約更新の時期が近づいた顧客に対して、更新意向の確認や条件調整などを行うのもカスタマーサクセスの重要な業務です。

営業職と異なり「新規獲得」ではなく、「既存顧客の維持・成長」が主なミッションであり、そのためには普段のサポートの積み重ねが大きく影響します。

更新前には顧客の利用状況や成果をレポートとして提示し、「このサービスを続けるメリット」を明確に伝える必要があります。

また、アップセル(上位プランへの提案)やクロスセル(関連サービスの提案)を行うこともあります。

顧客に寄り添いながら、自然な流れでの契約継続をサポートする姿勢が求められます。

顧客との継続的な関係構築

Saasの業界は競合他社が多いため、リプレイスを防ぐためにも顧客との継続的な関係構築が求められます。

ここでも活躍するのが、カスタマーサクセスの存在です。

顧客が満足してサービスを利用し続けていても、他社の一味違ったサービスに目移りしてしまうかもしれません。

そうなると簡単にリプレイスされてしまうため、カスタマーサクセスによる定期的なフォローが必要不可欠なのです。

継続的に良好な関係を保ち続けるには、顧客と折衝するたびに「満足度」を更新し続ける努力が必要です。

表面上では満足されている様子がうかがえても、それを超える期待以上のサポートをすることで顧客の満足度はさらに上昇します。

カスタマーサクセスと他の職種との違い

カスタマーサクセスは、SaaS業界を中心に近年注目されている職種ですが、「営業職」や「カスタマーサポート職」「コンサルティング職」との違いが分かりづらいという声も少なくありません。

どれも顧客と関わる点では共通していますが、その目的や役割、関係の深さに大きな違いがあります。

この章では、カスタマーサクセスとそれぞれの職種との違いを比較し、仕事内容や目的の違いを明確にしていきます。

営業職との違い

営業職とカスタマーサクセスは、いずれも顧客との接点がある職種ですが、目的とアプローチ方法が大きく異なります。

営業職は「契約を取る」ことが主なミッションで、新規顧客の獲得や製品・サービスの販売が中心です。

短期的な成果が求められることが多く、契約成立後はカスタマーサクセスなど他部門へ顧客を引き継ぐのが一般的です。

一方、カスタマーサクセスは「顧客の成功体験を継続的に支援する」ことが目的で、SaaSビジネスにおいては契約後からが本番ともいえるポジションです。

顧客がサービスを活用し、効果を実感し続けるようサポートすることで、解約率を下げ、継続課金による収益最大化を目指します。

つまり、営業職が入り口(契約)を担い、カスタマーサクセスはその後の価値提供と関係維持に注力するという役割分担となります。

カスタマーサポート職との違い

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、どちらも顧客と直接やり取りする職種ですが、アプローチの姿勢や仕事のスタンスに違いがあります。

カスタマーサポートは「顧客からの問い合わせや不具合への対応」を行う職種で、受動的な対応が中心となります。

電話やメール、チャットなどで寄せられる質問に対し、迅速・正確に解決策を提供することが求められます。

一方、カスタマーサクセスはより「能動的な支援」を行う点が大きな違いです。

顧客がサービスを最大限活用できるように、導入支援(オンボーディング)や活用提案、定期的なミーティングなどを通じて、長期的な成果を引き出すための関係構築を行います。

問題が起きる前に予防すること、解約につながるリスクを早期に察知し解消することも業務の一部です。

つまり、サポートが「困ったときの対応」なら、サクセスは「困らないように導く」存在だと言えるでしょう。

コンサルティング職との違い

コンサルティング職とカスタマーサクセスは、どちらも顧客の課題解決を支援する職種ですが、関わり方や目的、業務のスパンに違いがあります。

コンサルタントは顧客企業のビジネス課題に対し、分析・提案・実行支援を行い、短期〜中期のプロジェクトとして契約するケースが多く、戦略的な側面が強いのが特徴です。

また、複数のクライアントと並行して関わることも一般的です。

一方、カスタマーサクセスは、自社のSaaSサービスを導入した顧客に対し、長期的な視点で活用支援を続けていきます。

関係はプロジェクトベースではなく継続的で、サービスの成果を最大化し、顧客が成功体験を得られるよう並走するのが役割です。

また、分析や提案だけでなく、実際の運用フェーズに深く関わる点も特徴です。

コンサルタントが「課題の発見と戦略設計」に特化するのに対し、カスタマーサクセスは「課題の共有と継続的な価値提供」を実践する職種といえるでしょう。

カスタマーサクセスが重要視される理由

SaaSビジネスでは、製品を「売って終わり」ではなく「使い続けてもらうこと」が収益に直結します。

そのため、顧客の成功体験をサポートするカスタマーサクセスの役割がますます重要視されるようになっています。

解約率(チャーンレート)の抑制や顧客ロイヤルティの向上、アップセル・クロスセルの機会創出など、企業の成長に欠かせない戦略的な部門として注目されています。

以下では、なぜカスタマーサクセスがSaaS企業で重視されているのか、その背景や理由を詳しく解説していきます。

顧客の継続利用が収益に直結する

SaaSビジネスの最大の特徴は、月額や年額といった「継続課金モデル」であることです。

従来の売り切り型ビジネスでは一度の契約で収益が完結しましたが、SaaSでは顧客にサービスを継続して使い続けてもらうことが、企業の安定した収益源になります。

そのため、カスタマーサクセスが提供する支援やコミュニケーションは、契約更新や利用継続の鍵を握ります。

顧客がサービスを最大限に活用できていないと、離脱のリスクが高まり、結果的に収益の損失へとつながります。

一方で、継続率が高まれば、マーケティングや営業にかかるコストを抑えながら売上を安定化させることが可能です。

こうした構造から、顧客の継続利用をサポートするカスタマーサクセスの役割は、企業成長の要として重視されています。

解約率(チャーンレート)の抑制に貢献する

SaaS企業にとって、チャーンレート(解約率)は経営を左右する重要な指標です。

新規顧客を獲得することも大切ですが、既存顧客の解約を防ぐことの方がコスト効率が高く、結果として利益の最大化に貢献します。

ここで中心的な役割を担うのが、カスタマーサクセスです。

カスタマーサクセスは、定期的に顧客との接点を持ち、サービス利用状況をモニタリングしながら課題を早期に発見・解決します。

たとえば「活用方法がわからない」「期待と違った」などの理由で顧客が離脱する前に、問題を特定し適切なサポートを行うことで、チャーンを未然に防ぐことが可能です。

特に競合が激しい市場では、一度離れた顧客が戻ってくる可能性は低いため、既存顧客との信頼関係を築き、継続利用へと導くカスタマーサクセスの重要性が高まっています。

顧客の成功が企業の成功につながる

カスタマーサクセスの基本概念は「顧客の成功を支援する」ことにあります。

顧客が自社のSaaS製品を活用して、業務効率の向上や売上拡大といった目標を達成できれば、それが企業にとっての成功へと直結します。

顧客の満足度が高まれば、継続利用はもちろんのこと、ポジティブな口コミや紹介にもつながり、企業の評判や信頼性の向上にも寄与します。

また、顧客がサービスから得る価値を最大化することで、製品の価値そのものが市場に伝わりやすくなり、新規顧客の獲得にも好影響を与えます。

つまり、顧客の成功を一緒に築き上げる姿勢が、長期的な企業成長の土台となるのです。

このように、カスタマーサクセスは単なるサポート職ではなく、企業と顧客の双方の成功をつなぐ戦略的な役割を担っているのです。

顧客ロイヤルティの向上が見込める

SaaS製品が市場に溢れる現代では、機能や価格だけでの差別化が難しくなってきています。

そんな中、カスタマーサクセスによる継続的な支援や丁寧な対応が、顧客のロイヤルティ(忠誠心)を高める重要な要素となります。

単なる利用者から、企業の“ファン”になってもらうことで、継続率が上がり、収益の安定にもつながります。

ロイヤルカスタマーは、単に長く使ってくれるだけでなく、新機能へのフィードバックや、他社への紹介など、企業にとって多方面で価値をもたらします。

また、競合他社の提案を受けても簡単に乗り換えず、関係性を重視してくれるため、価格競争に巻き込まれにくいというメリットもあります。

顧客との信頼関係を構築し、その価値を企業全体に波及させていくことが、カスタマーサクセスが果たすべき大きな役割の一つです。

競争の激化と差別化が必要になっている

SaaS市場は年々拡大しており、多くの企業が同じような機能を持つ製品を提供しています。

このような状況では、「どの製品を使うか」よりも「どの企業と付き合うか」という観点で選ばれるケースが増えてきています。

そのため、カスタマーサクセスのように人を介した価値提供が、競合他社との差別化に直結するのです。

顧客にとっては、製品そのものよりも、導入後のサポートや活用支援の有無が継続利用の大きな判断材料になります。

こうしたニーズに応えられる体制を持つ企業は、競争の中でも顧客から選ばれやすくなります。

機能や料金で大きく差がつけられない中で、人的サポートによる“体験価値”が差別化の鍵となり、企業の持続的成長を支える重要な戦略となるのです。

アップセル・クロスセルの機会創出になる

カスタマーサクセスは、顧客との継続的な関係性の中でアップセルやクロスセルの機会を生み出す役割も担っています。

顧客の課題やニーズを日々のやりとりを通じて把握しているからこそ、タイミングを逃さずに最適な提案が可能です。

たとえば、ある機能を使いこなしてきた顧客には、より高度なプランへの移行(アップセル)を勧めたり、別サービスを組み合わせた利用(クロスセル)を提案したりすることで、顧客満足度を高めながら収益拡大を図れます。

このようにカスタマーサクセスは、単なるコストセンターではなく、しっかりとした戦略設計と実行によって収益を増やせる「売上創出部門」としての側面を持っています。

ビジネスの成長エンジンとしての重要性が、ますます高まっている理由です。

【SaaSにおけるカスタマーサクセス】SaaS領域での役割

SaaSビジネスにおいては、顧客がサービスを効果的に活用し、成功を収められるようサポートすることが求められます。

ここでは、SaaSにおけるカスタマーサクセスの主な役割について詳しく解説します。

顧客の成功体験の創出

カスタマーサクセスの中心的な役割は、顧客がサービスを最大限に活用し、期待する成果を得られるよう支援することです。

そのためには、顧客の目標を正確に把握し、達成に向けた適切な支援を行うことが不可欠です。

オンボーディングの最適化、活用方法の提供、課題解決のサポートを通じて、顧客が継続的にサービスの価値を実感できるような環境を整えます。

継続率の向上と解約率の低下

SaaSモデルでは、顧客の継続利用が安定した収益に直結します。

カスタマーサクセスは、顧客の満足度を高め、契約を維持することで、解約率(チャーンレート)を低下させる役割を担います。

定期的な対話を重ねながら、顧客の課題や不満をいち早くキャッチし、迅速に対応することが求められます。

適切なサポートを提供することで、顧客のサービス離脱を防ぎます。

追加サービスの提案と収益拡大

カスタマーサクセスは、顧客との良好な関係を構築しながら、より高度なプランや関連サービスを提案する機会を生み出します。

顧客の成長を支援しつつ、アップグレードや追加サービスの導入を提案することで、収益の向上につなげます。

ただし、顧客のニーズに合った提案を心がけ、短期的な売上よりも長期的な信頼関係の維持を優先する必要があります。

顧客との信頼関係構築

カスタマーサクセスの重要な役割の一つに、顧客との強固な関係を築き、ロイヤルティを向上させることが挙げられます。

顧客の声をしっかりと受け止め、ニーズに応じた対応を行うことで、サービスへの愛着を生み出します。

ロイヤルティの高い顧客は、長期的なパートナーシップの確立だけでなく、口コミや紹介による新規顧客の獲得にも貢献します。

顧客データの分析とサービス改善への貢献

カスタマーサクセスは、顧客の利用データを分析し、サービス向上につなげる役割も担っています。

利用状況やフィードバックを収集し、それをもとに製品開発やマーケティング施策を最適化することで、より価値のあるサービスへと進化させることが可能です。

データに基づいた意思決定は、顧客満足度の向上とビジネスの成長に不可欠です。

ブランドアンバサダーの育成

満足度の高い顧客は、サービスの魅力を積極的に発信するブランドアンバサダーとしての役割を果たします。

ブランドアンバサダーは、SNSや口コミを通じてサービスの価値を広め、新規顧客の獲得に寄与します。

カスタマーサクセスが顧客との良好な関係を維持することで、ブランドの認知度向上やマーケティングコストの削減にもつながります。

カスタマーサクセスに向いている人

カスタマーサクセスは、顧客の成功を支援し、長期的な関係を築くことが求められる職種です。

そのため、特定のスキルや資質を持つ人が向いています。

ここでは、カスタマーサクセスに適性のある人の特徴を5つ紹介します。

聞き上手

カスタマーサクセスにおいて、顧客のニーズや課題を的確に把握するヒアリング能力は欠かせません。

顧客が何を求めているのか、どのような悩みを抱えているのかを丁寧に聞き出し、潜在的な課題まで掘り起こす力が求められます。

そのためには、相手の話にしっかり耳を傾け、共感しながら対話を進めることが重要です。

顧客が本音を話しやすい雰囲気を作り、スムーズに情報を引き出せるコミュニケーション力が、カスタマーサクセスにとって不可欠なスキルとなります。

言語化が得意

顧客から得た情報を整理し、適切な解決策を明確に伝える能力も求められます。

顧客の抱える課題を整理し、自社の製品やサービスがどのように解決できるのかを、分かりやすく伝えるスキルが必要です。

そのためには、論理的な思考力と、相手に納得感を与えるプレゼンテーション能力が欠かせません。

説得力のある説明ができることで、顧客の行動を促し、サービス効果の最大化が可能です。

データ分析ができる

カスタマーサクセスでは、顧客の利用状況を分析し、最適な提案を行うことが求められます。

顧客の利用データやヘルススコアを分析することで、課題や解約の兆候を早期に発見し、適切な対策を講じることが可能です。

データに基づいた客観的な視点を持ち、分析結果を分かりやすく伝える力がある人は、カスタマーサクセスに向いています。

データ分析ツールの知識を活かし、顧客へのアプローチを最適化できる人材が求められます。

経営の知識がある

カスタマーサクセスは、顧客のビジネス全体を理解し、その成功に貢献することが求められます。

そのため、経営に関する知識を持ち、広い視野で課題を捉える力が必要です。

業界の動向や競合環境を把握し、自社の製品やサービスが顧客の事業にどのような価値をもたらすのかを説明できることが重要になります。

経営視点を持つことで、より高度な提案が可能となり、顧客との信頼関係を深められるでしょう。

サービスについての知識・愛がある

カスタマーサクセスは、自社の製品やサービスについて深い知識を持ち、それを顧客に伝える役割を担います。

機能や使い方を熟知するだけでなく、顧客のビジネスにどのように貢献できるのかを、自信を持って説明できることが求められます。

また、自社サービスに対する情熱を持つことで、顧客に安心感を与え、信頼を構築しやすくなります。

自社のサービスに誇りを持ち、それを最大限に活かす方法を提案できる人は、カスタマーサクセスに向いていると言えるでしょう。

カスタマーサクセスに向いていない人

カスタマーサクセスは、顧客と長期的な関係を築き、積極的にサポートしながら成功を支援する役割を担います。

しかし、すべての人に適しているわけではありません。

ここでは、カスタマーサクセスの業務に向いていない人の特徴を3つ紹介します。

接客業が得意ではない

カスタマーサクセスは、顧客との対話が欠かせない職種です。

顧客のニーズを的確に把握し、信頼関係を築くことが求められます。

そのため、人と関わることが苦手な方や、コミュニケーションスキルに自信がない方にとっては、ストレスを感じやすい仕事かもしれません。

特に、初対面の相手とすぐに打ち解けるのが難しいと感じる場合、カスタマーサクセスの業務は負担に感じることが多いでしょう。

安定志向である

カスタマーサクセスを重視する企業の多くは、SaaS業界におけるベンチャー企業です。

そのため、事業環境が変化しやすく、業績によっては雇用や給与の安定性が保証されないこともあります。

終身雇用や年功序列による昇給といった仕組みが期待しにくいため、安定した環境で長く働きたいと考える方にとっては、不安を感じる可能性が高い職種です。

指示に従って仕事をしたい

カスタマーサクセスは、顧客に最適なサービスの活用方法を提案する役割を担っています。

そのため、顧客ごとに異なる課題を理解し、状況に応じた解決策を考えることが求められます。

また、同じ内容の提案であっても、相手に合わせて伝え方を変える必要があるため、柔軟な対応が不可欠です。

上司の指示に従って決められた仕事をこなしたいと考える方にとっては、主体的な判断が求められる環境が負担に感じられるかもしれません。

カスタマーサクセスのキャリアパス

Sの経験を活かして、さまざまなキャリアに発展することが可能です。

ここでは、カスタマーサクセスのキャリアパスの例に挙げられる以下3つについて解説します。

カスタマーサクセスのキャリアパスの例
  • マネジメント職
  • 事業企画・開発
  • フリーランスのコンサルタント

マネジメント職

カスタマーサクセスのチームを率いる立場になると、マネジメントスキルを磨く機会が増えます。

チーム全体の目標達成に向けて、メンバーの育成、パフォーマンス管理、戦略立案など、多岐にわたる業務を担うことになります。

目標達成には、メンバーのモチベーションを維持し、それぞれが最大限の力を発揮できる環境を整えることが重要です。

メンバーの個性や強みを理解し、適切な指示やサポートを行うことで、チーム全体のパフォーマンスを向上させることができます。

事業企画・開発

カスタマーサクセスの業務を通じて得た、顧客のニーズや課題を直接把握する経験は、事業企画や開発の分野でも大いに活かせます。

顧客が本当に求めている製品やサービスを企画し、開発チームと連携して具現化することで、顧客満足度の向上につなげることが可能です。

この分野で活躍するには、市場動向や競合環境についての知識も求められます。

顧客の声をもとにデータ分析を行い、的確な戦略を立案することで、新たなビジネスチャンスを生み出せるでしょう。

フリーランスのコンサルタント

カスタマーサクセスで培った顧客とのコミュニケーション能力や課題解決スキルは、フリーランスのコンサルタントとしても活かせます。

特定の企業に所属せず、独立してコンサルティングサービスを提供することで、自由な働き方を実現できます。

企業の売上向上に向けた施策の提案や、顧客の課題解決を支援することで、クライアントのビジネス成長に貢献できます。

独立後も、これまでの経験を活かしながらキャリアを広げることが可能です。

カスタマーサクセスに転職するときの注意点

カスタマーサクセスは、顧客がサービスを最大限に活用できるよう支援し、企業の成長に寄与する重要な役割を担います。

しかし、この職種には事前に理解しておくべきポイントもあります。

特に転職を検討する際に注意が必要な点を2つ紹介します。

ベンチャー企業が多い

SaaS事業を展開する企業では、カスタマーサクセスが重要視される傾向にあります。

そのため、採用が活発な企業の多くがベンチャー企業であることも少なくありません。

ベンチャー企業には以下のような特徴があります。
【例文のボックス】

ベンチャー企業の特徴
  • 業務範囲が幅広い
  • 研修制度が整備されていない場合がある
  • 変化のスピードが速い

これらの特徴を踏まえると、安定した環境を求める人には適していない可能性があります。

転職を検討する際には、企業の文化や自身の適性をしっかり見極めることが大切です。

職種としての認知度が低い

カスタマーサクセスという職種は、2000年代以降に登場した比較的新しい職業です。

そのため、社会的な認知度が十分に確立されておらず、仕事内容を周囲に理解してもらいにくいことも考えられます。

また、経理や経営といった伝統的な職種と異なり、学習のための専門書籍や講座がまだ少ないため、独学のハードルが高い点にも注意が必要です。

業務知識を深めるためには、実務経験を通じた学習や、業界の最新情報を積極的に収集する姿勢が求められます。

カスタマーサクセスに転職するポイント

SaaS業界の成長とともに注目が集まっているカスタマーサクセス職ですが、転職を成功させるには「どの会社を選ぶか」「どのように準備するか」が非常に重要です。

企業ごとに業務内容や求められるスキルの傾向が異なるため、事前の情報収集と自己分析をしっかり行う必要があります。

会社選びのポイント

カスタマーサクセス職における会社選びは、業務の方向性やキャリア形成に大きく影響します。

以下のポイントをチェックしながら、自分に合った企業を見極めましょう。

1. SaaSモデルの成長性・安定性を確認

SaaS企業は継続課金型のビジネスモデルであるため、長期的に成長しているか、サービスの導入企業数が増加しているかを確認しましょう。

安定した成長を続けている企業は、カスタマーサクセスへの投資や育成にも積極的な傾向があります。

2. CSチームの規模・体制

「何名でカスタマーサクセスを担当しているか」「役割分担(オンボーディング、サポート、契約更新など)が明確か」といった点をチェック。

未経験者の場合、教育体制がある中〜大規模なチームの方が安心してスキルアップできます。

3. ミッションと業務内容の一致

企業によって「営業寄り」「サポート寄り」「コンサル寄り」など、カスタマーサクセス職の定義が異なるため、業務内容や評価指標(KPI)を事前に確認し、自分が目指すキャリアと一致するかを見極めましょう。

4. 社風や働き方

ベンチャー企業ではスピード感や柔軟な対応力が求められる一方、大手では安定性や制度の充実が魅力です。

自分が活躍できそうな文化・規模感の企業を選ぶことも大切です。

円滑な転職活動にはエージェント活用もおすすめ

カスタマーサクセス職への転職では、職種の認知度や採用基準にばらつきがあるため、情報収集と企業選びに時間がかかる傾向があります。

そこでおすすめなのが、業界知識の豊富な転職エージェントを活用する方法です。

特にSaaS業界やカスタマーサクセス職に精通したエージェントであれば、自分のスキルや経験にマッチした求人を紹介してくれるだけでなく、職種理解が浅い段階でも丁寧にキャリア相談に乗ってくれます。

中でも「アゲルキャリア」は、20代・30代を中心に未経験からのキャリアチェンジ支援に強みを持つ転職エージェントです。

カスタマーサクセス職の求人も多数取り扱っており、キャリアアドバイザーによる手厚いサポートや、書類添削・面接対策といった実践的な支援も充実しています。

特に、SaaS領域での就業経験がなくても、ポテンシャルや意欲を評価してくれる企業を紹介してくれる点が大きな魅力です。

また、アゲルキャリアは企業の内情にも詳しく、労働環境や働き方、育成体制なども含めた情報提供を行っているため、ミスマッチのない転職を実現しやすくなります。

初めてのカスタマーサクセス職への転職でも安心して臨めるよう、転職活動のパートナーとして活用する価値は高いと言えるでしょう。

まとめ

カスタマーサクセスは、SaaS企業において顧客がサービスを最大限活用できるよう支援し、企業の成長を促進する重要なポジションです。

営業やカスタマーサポートとは異なり、契約後の長期的な関係構築が主な業務となり、継続利用の促進やアップセル・クロスセル戦略が求められます。

データを活用した分析能力や効果的なコミュニケーションスキルが必要とされますが、経験がなくても挑戦することは十分に可能です。

さらに、キャリアの選択肢も広がっており、マネジメントや事業企画といった分野へと進む道もあります。

SaaS業界への転職を検討する際は、カスタマーサクセスの役割や求められるスキルを把握し、自身の強みをどのように活かせるかを考えることが重要です。

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