カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違いを徹底解説

カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違いを徹底解説

目次
  1. はじめに
  2. カスタマーサポートの業務内容
  3. カスタマーサクセスの業務内容
  4. カスタマーサポートとカスタマーサクセスの共通点
  5. カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
  6. まとめ

はじめに

「カスタマーサポート」と「カスタマーサクセス」の違いはご存知でしょうか? 

カスタマーサポートの仕事を知って漠然と興味を持ったけど、よく似たカスタマーサクセスとの違いがわからない、そもそも言葉は似ているけどまったく別物では、といった疑問をお持ちの方も多くいらっしゃるかもしれません。

今回は、これらの混同されやすい仕事内容についての明確な違いを徹底解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。

カスタマーサポートの業務内容

まずはカスタマーサポートについてです。

カスタマーサポートは、顧客が製品やサービスを使う中で生じた問題や障害を解決することや質問などに対応するのが主な目的です。

対応のきっかけは顧客からの問い合わせで、いわば「連絡が来れば応える」という待ちのスタンスになります。

サポートにより製品やサービスを問題なく使えるようになることで、顧客の課題が解決されれば業務完了です。

評価指標としては対応件数や対応した顧客からのアンケートにもとづく対応内容などが挙げられます。

問い合わせに対する対応

顧客からの問い合わせやクレームに対しては、電話やチャットを利用して対応します。

家電製品の使用方法や動作不良に関する内容等の場合は、実際に顧客が購入した製品と同じ製品を手元において、同じ使用環境を準備したうえで対応するという場面もあります。

パソコンのソフトやアプリなどの場合は、顧客のパソコンを遠隔で操作して課題解決に導くというケースもあるようです。

また、最近ではカスタマーサポートの業務としてチャットボットを導入している企業もあります。

チャットボットとは、「対話(chat)」する「ロボット(bot)」という2つの言葉を組み合わせたもので、人工知能を活用したユーザーと企業をつなぐコミュニケーションツールのことです。

他の部署に情報を共有

顧客との対話の中で得ることができた改善点や要望などの情報は、開発部や営業部などの他の部署にも共有することがとても大切です。

個人事業主でもない限り、仕事は個人で行うものではなく、チームで行うのが基本です。

最低限、カスタマーサポートの部署内における顧客の情報共有は必要となります。

なぜなら、一人の顧客に対して必ずしも毎回決まったカスタマーサポートの人間が対応できるわけではないからです。

顧客の対応履歴は同部署のすべての人間がいつでも閲覧、確認できるような環境が構築されています。

ほかの部署との連携も大切な理由としては、顧客からの改善要望等は製品やサービスに対するとても貴重な意見で、顧客満足度を高めるための製品開発等に大きく活かされる可能性があるからです。

顧客のサポート

カスタマーサポートのミッションは、トライアルなどの潜在顧客から、購入後の製品サポートに至るまで顧客を全面的にサポートし、満足度を向上させることです。

顧客満足度の向上を実現するためには、顧客の要望を先回りした対応を意識する必要があります。

たとえば、特定の製品やサービスにおいて、顧客から同じような質問がある場合等は、あらかじめ自社サイトや製品同梱の説明書に「よくある質問」「困った時は」「こんな時はどうするの?」といった内容の情報を掲載し、担当者もその内容を熟知しておく、といった具合です。

先回りをしたカスタマーサポートを提供することで、個別対応を必要とする問い合わせ数を減らし、一人ひとりに細やかな対応がしやすくなります。

それが結果的に顧客満足度の向上につながることになります。

カスタマーサクセスの業務内容

続いてカスタマーサクセスの業務内容についてご紹介します。

「カスタマーサポート」とよく似ていて混同しがちですが、その中身は根本的には異なります。

カスタマーサクセスとは、LTV(Life Time Value(ライフ タイム バリュー))呼ばれる「顧客生涯価値」を最大化することを目的とし、顧客の抱える問題や課題に対して能動的に働きかけ、顧客がサービスを通して目的を達成するために支援する新しい顧客管理スタイルのことです。

具体的な業務内容としては下記のようなものが挙げられます。

製品の導入支援

業務の中で課題や問題を抱えている潜在顧客に対して、自社の製品やサービス内容、実績を説明し、導入により課題解決が可能になるという提案を行います。

なぜ課題解決につながるのかという根拠を、他社製品との比較も含めて明確に説明することが、導入決定の決め手になってきます。

ある程度のコストがかかる製品であればなおさら、導入前の入念なヒアリングと、顧客の本質的な悩みに寄り添った対応が必要になります。

結果的に製品やサービスを導入してもらったらそこで終わりではありません。

むしろ顧客との取引が始まってからがカスタマーサクセスの本領発揮となるのです。

それはカスタマーサクセスの本質が顧客との関係性にあるからにほかなりません。

製品利用のサポート

顧客が自社の製品やサービスを導入した後は、それを利用する中で生じるさまざまな問題点をコミュニケーションを通して解決し、さらなる継続利用や顧客満足度の向上につなげていきます。

特に顧客専用にカスタマイズされたシステムや、専門的で技術的な要素を多く含むサービスの場合、導入して何も質問や問題がないというケースは逆に少ないでしょう。

インターネットを通じて利用するクラウド型のソフトウェアサービスであるSaaS(「Software as a Service」)のような場合、短期間でサービスの利用を止められてしまうとまったく収益が上がらないため、いかに長く続けてもらえるか、いわばサービスの「継続率」がとても重要なKPIの一つになってきます。

継続率を上げるためにも、こまめな製品利用のサポートが欠かせません。

製品の売上向上

顧客が抱える問題点を解決する中で、拡張機能やカスタマイズ及び追加オプションなど、より高い付加価値やサービスを提案し、売上に貢献する業務もあります。

導入時の状態では顧客の課題解決に至らないケースが多く発生するような場合は、状況に応じて柔軟に対応します。

導入してもらった製品やサービスが顧客の売上に貢献し寄与するには、顧客がサービスを最大限有効活用しなければなりません。

時には生産性の向上や業務工数の削減、実際に指標となる売上の成果にコミットするような、コンサル型の導入形態も少なからず存在します。

カスタマーサクセスは「顧客の成功体験」を基盤としますので、成功=売上増加という道筋は自然の流れとも言えます。

カスタマーサポートとカスタマーサクセスの共通点

これまでカスタマーサポートとカスタマーサクセスの概念と業務内容についてお伝えしてきました。

名前は非常に似ていますが中身は異なります。

しかし、まったく別物かといえば、顧客対応という面から見てみると実は共通する点もあるのです。

「カスタマー(顧客)」が付くということはいずれも顧客が対象である点に変わりはありません。

では具体的にはどんな点が似通っているのでしょう?

ここではカスタマーサポートとカスタマーサクセスの共通点についてご説明いたします。

顧客に対応する

カスタマーサポートとカスタマーサクセスは、電話やチャットなどの連絡ツールを使って顧客対応を行うという点において共通しています。

どちらも製品やサービスを販売したり、PRしたりするという営業的な業務からはやや離れた立ち位置にあります。

いずれも顧客が中心で、顧客のお困りごとを解決するという広義な点においては、似通った仕事であるということは否定できません。

課題解決に至るまでに顧客から得た製品やサービスに関する有益な改善要望や意見を、関連部署と共有するといったことはどちらも行います。

また、顧客と直接やりとりするという業務の性質上、質問やクレームの内容を的確に判断する能力や課題の要因を分析する能力、さらに、話を聞く力とコミュニケーション能力が欠かせない点も共通しています。

顧客満足度の向上

カスタマーサポートとカスタマーサクセスの「顧客の課題解決を行う」という共通点についてさらに深掘りしていきます。

カスタマーサポートとカスタマーサクセスは、顧客との対話を通して課題解決や成功体験を提供しながら顧客満足度の向上を目指す、という点が類似しています。

最終的な着地点が「課題解決」なのか「課題解決を通した成功体験」なのかの違いはありますが、どちらも顧客満足度の向上を目指し、自社製品やサービスを末永く継続的に利用していただくための顧客との関係を築くことを課せられていることに変わりはないからです。

顧客満足度が高まれば、顧客はその会社の製品に対して良い印象を抱き、結果的にはその会社のファンになってくれる可能性が高まりますので、顧客を大切にしたいと考える企業にとってはどちらも大切な役割があります。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

電話やチャットを使って顧客と直接対話をするという対応方法や顧客満足度を向上させるという対応の目的など、なんだか共通点が多いようにも見受けられるカスタマーサポートとカスタマーサクセスですが、顧客との接点に至るまでのきっかけや主体、本質的な目的にはやはり明確な違いがあります。

具体的には「顧客対応の姿勢」と「顧客対応の目的」の2点です。

ほかにも役割や指標、スキルといった面の違いもありますが、ここではこの2点について詳しくお伝えしていきましょう。

顧客対応の姿勢

カスタマーサポートは顧客が製品やサービスに問題を感じ、顧客側からアクションを起こして要望を提示することで初めて対応します。

顧客との関わり方としては単発であることがほとんどです。

同じ内容の対応が続く場合や効率的に数をこなさなければならないケースも多いでしょう。

一方、カスタマーサクセスの場合は、顧客が感じるであろう問題を予測し、先回りして対応を行うのが特徴です。

顧客ごとの状況を緻密に把握し、最適な解決方法を提示して課題解決を事前に予測するため、顧客との関係は長期にわたるケースが多いと言えます。

顧客とのコンタクトのきっかけとして、カスタマーサポートは「受動的」、カスタマーサクセスは「能動的」であると言えます。

顧客対応の目的

カスタマーサポートは顧客の不満や課題に対して単発で取り組み、解消することを目的としています。

しかし、カスタマーサクセスは顧客の成功を目的とし、継続的にアプローチを行っていくという明確な違いがあります。

顧客が期待する成功とは何かを掴むだけでなく、顧客すら気付いていない潜在的なニーズを可視化して提示する高度なスキルが求められるのもカスタマーサクセスの特徴です。

カスタマーサクセスでは企業側から能動的に支援を行うことで、顧客の多くの成功体験を生み出します。

成功体験は企業のブランドイメージの向上や製品・サービスの継続率にも大きく関わってくるため、SaaS型やサブスクリプション型のビジネスモデルを推進している企業は昨今、カスタマーサクセスに特に力を入れています。

まとめ

ここまでカスタマーサポートとカスタマーサクセスの共通点と違いについて解説してきましたが、おわかりいただけましたでしょうか。

なんだか面白そう、自分に向いているんじゃないか、少しでもそう思った方がいらっしゃれば、それぞれの業務内容についてさらに深堀して研究されることをおすすめします。

企業の実際の現場においては、部署として「カスタマーサポート」は存在しますが、カスタマーサクセスについては部署というより、概念や施策という位置付けになりますので少し注意が必要です。

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