
退職理由が「パワハラ」の場合はどう伝えるべきか?職務経歴書の書き方を解説
転職活動をしていると、応募先企業から退職理由を問われることがよくあります。
そこで多くの人が悩むのが、ネガティブな退職理由をどう伝えるかということです。
特にパワハラなどのシビアな問題により退職をした人は、「採用担当者からよく思われないのではないか」「根性がないと思われないか」など考えるのではないでしょうか。
今回の記事では、パワハラを理由に退職をした人が、職務経歴書や面接で退職理由を回答する際の上手な伝え方についてご紹介します。
そもそもパワハラという退職理由をストレートに伝えても問題ないのか、良い印象を持ってもらえるための伝え方のコツなども含めて解説するので、これから採用選考に進む人はぜひ参考にしてください。
結論|パワハラによる退職理由は書かなくてOK
転職活動の面接では、必ずといっていいほど「退職理由」を聞かれます。
しかし、パワハラが理由で退職した場合、無理にストレートに伝える必要はありません。
ネガティブな理由をそのまま話してしまうと、面接官に「トラブルを引きずっているのでは?」と思われたり、「人間関係の問題を起こしやすい人なのでは?」と誤解されたりする可能性があるためです。
退職理由はポジティブな内容に言い換えるのがポイント
代わりに、ポジティブな転職理由に言い換えるのがポイントです。
たとえば、「より働きやすい環境で自分の能力を活かしたいと考えたため」「新しい業界に挑戦したいと思ったため」といった前向きな理由に変換すると、印象が良くなります。
また、「以前の職場では、自分の強みを十分に発揮できる環境ではなかったため、新たな挑戦をしたいと考えました」と伝えるのも効果的です。
重要なのは、過去の職場環境を詳しく話すのではなく、「転職後にどのように活躍したいか」をしっかり伝えることです。
面接官は「この人を採用すると会社にどのようなメリットがあるか」を重視するため、転職の前向きな理由を明確にすることで、採用につながりやすくなります。
パワハラによる退職はつらい経験かもしれませんが、転職活動では新しい環境で成長したいという前向きな姿勢を示すことが大切です。
退職理由を書いたほうがいいケース
転職活動では、必ずしも退職理由を詳しく伝える必要はありません。
しかし、場合によっては伝えた方が好印象につながることもあります。
「新しい分野に挑戦したい」「より専門性を高めたい」といった前向きな理由がある場合は、積極的に伝えることで意欲をアピールできます。
② 会社の経営悪化や部署の縮小が理由の場合
会社都合の退職である場合、「経営悪化によるリストラ」や「部署の閉鎖」などの理由を伝えることで、個人の能力や適性に問題があったわけではないことを明確にできます。
③ 労働環境の問題が理由でも、前向きな転職につながる場合
過度な残業やワークライフバランスの悪化などが理由であれば、「より生産性の高い環境で働きたい」といったポジティブな表現に言い換え、転職先でどのように活躍できるかを伝えると好印象です。
重要なのは、退職理由を伝えることで「この人を採用すると会社にメリットがある」と感じてもらえるかどうかです。
ネガティブな印象を与えないよう、前向きな言葉に言い換えて伝えましょう。
企業が退職理由を聞く背景
転職活動をしているとほとんどの会社から退職理由を聞かれますが、そもそもなぜそこまで根掘り葉掘り聞かれるのかが気になりますよね。
実は退職理由を聞くことで、その企業で長く働いてくれる人かどうかを判断することができるのです。
そのため、企業側は退職理由を細かく聞いてくるのです。
企業側が具体的にみているポイントを2つご紹介します。
同じ理由で退職をしないか確認するため
企業が採用活動をするとき、採用する人の判断基準となるのが「長く勤めてくれるかどうか」です。
長期的に成長し活躍してくれる人を多く採用しないと、採用コストや育成コストなどの人件費がかさんでしまい、利益があがりにくいためです。
退職理由を聞くことで、その人が同じ理由で退職をしないかを確認することが可能です。
退職理由の内容によっては、本人に問題があることも多々あります。
それらの具体的背景を深く質問することで、その人のやる気や忍耐力を見ることができるのです。
仕事に対する価値観を確認するため
企業が面接で退職理由を聞く理由の一つに、応募者の「仕事に対する価値観」を確認することがあります。
これは、入社後に会社の方針や業務内容とマッチするかを判断するためです。
たとえば、「成長できる環境を求めて転職した」という人は、新しいスキルを積極的に学ぶ意欲があると評価されるでしょう。
一方、「前職は残業が多すぎたため転職を決意した」という場合、ワークライフバランスを重視する価値観があると分かります。
このように、退職理由を通じて、応募者が何を重視し、どのような働き方を理想としているのかを企業は見極めようとしています。
そのため、退職理由を伝える際には、ネガティブな表現を避け、自分の価値観が応募企業の環境と合っていることを示すことが大切です。
職務経歴書の退職理由における無難なパターン
もし、職務経歴書に退職理由を記載する項目があり、どうしても理由を書かなければならない場合は、一般的な定型文を使えば問題ありません。
職務経歴書は、これまで経験してきた業界や職種、担当していた業務などを確認するための書類です。
そのため、退職理由について詳しく説明する必要はなく、簡潔にまとめるだけで十分です。
以下に、状況に応じて使える3つの定型文を紹介しますので、自分に合ったものを選んで活用してください。
①一身上の都合により退職
あなたが自主的に転職を選んだ場合は、「一身上の都合により退職」という定型文を使いましょう。
これは、自己都合退職を意味する表現であり、会社から解雇されたわけではなく、自らの意思で退職した場合に適用されます。
たとえば、家族の転勤やキャリアチェンジのために退職した場合も、自己都合退職となります。
また、パワハラなどの労働環境の悪化が理由で退職を決意した場合でも、自分から退職を申し出た場合は自己都合退職と見なされるため、職務経歴書には「一身上の都合により退職」と記載すれば問題ありません。
ただし、面接で退職理由を聞かれた際には、パワハラなどのネガティブな理由をそのまま伝えるのではなく、前向きな転職理由に言い換えることが重要です。
②会社都合で退職
自分には退職する意思がなくても、人員整理が行われたり、会社そのものがなくなってしまったりなど、もともと働いていた会社で働けなくなってしまうこともあります。
そのようなときは「会社都合」という定型文を使ってください。
たとえば、企業倒産・事業所の廃止・リストラなどが、自らの意思には関係なく辞めざるをえなかった「会社都合」に該当します。
会社側から、一方的に退職を言い渡された場合に使う定型文であると認識しておくと良いでしょう。
③契約期間満了につき退職
企業と期限付きの契約を結んでいた場合、契約期間が満了すると、更新しない限り自動的に契約解除となり、退職扱いになります。
これは、契約社員や派遣社員として働いていたケースが該当します。
もし、契約期間が終了するタイミングで退職したのであれば、この定型文を使用してください。
ただし、契約期間が満了する前に退職した場合や、パワハラなどの理由で辞めざるを得なかった場合は、「自己都合」または「会社都合」の退職に該当する可能性があります。
退職理由を記載する際は、実際の退職状況に応じて適切な表現を選ぶことが大切です。
職務経歴書の退職理由を書く時のポイント
もし、転職を希望している企業からパワハラによる退職理由の記入を求められた場合、詳細に説明する必要があります。
先述した通り、必ずしも細かく記載する必要はありません。
しかし、企業側はあなたがなぜ退職したのかを正確に把握したいと考えており、あまり触れたくない理由だからといって、空欄で提出することはできません。
また、退職理由を記載しなかった場合、書類の不備と判断される可能性もあります。
特に、パワハラが原因で退職した場合、どのように伝えるかが重要です。
しかし、このようなケースでは、単なる定型文では済ませられず、どのように書けば良いのか悩む人も多いでしょう。
ここからは、パワハラによる退職理由を適切に伝えるためのポイントを解説します。
会社都合による退職の場合
パワハラによる退職をする場合、会社側がパワハラを認めていれば会社都合退職になります。
会社都合の場合、そのまま「会社都合による退職」と書いてしまうと不利になる可能性があるので注意しましょう。
会社都合退職でよくあるパターンが、本人に問題があると判断されて解雇されるケースです。
応募先企業が見たときに「本人に何か問題があるのではないか」ととらえられてしまうので、できるだけ誤解をとくような言い回しでまとめましょう。
まずは職務経歴書に書ける範囲で端的に伝えた上で、詳細は面接で伝えるのがポイントです。
その際は、いかに自分に非がないかを事実ベースで伝え、転職後はその経験をどう払拭して成長したいかをアピールするのがおすすめです。
自己都合による退職の場合
パワハラにより自主的に退職をした場合は、「自己都合による退職」となります。
この場合は、パワハラという理由をできるだけポジティブに変換するような伝え方をしましょう。
例えば、スキルアップがしたいという理由に変換したりなどです。
また、職場環境を変えることで現在の不都合が解消できるなら、それも具体的にまとめるのが良いでしょう。
自己都合による退職の場合、効果的な伝え方にできる退職理由を4つまとめたので参考にしてください。
スキルアップなどを退職理由にする
「スキルアップのため」という退職理由は、企業側にとってもポジティブに捉えてもらえます。
スキルアップや職場環境の改善を退職理由とする場合、パワハラの影響を受けずに成長できる環境を求めたことを前向きに伝えるのがポイントです。
その上で、志望企業に入社できたら、どのように活躍したいかを具体的に示しましょう。
未来を見据えた転職であるため、自分が目指すキャリアや身につけたいスキルを明確にすることが重要です。
たとえば、「法人営業から個人営業へ」「新規営業からルート営業へ」といったように、営業手法を変えて新たな経験を積みたいという理由も、納得感のある転職理由として考えられます。
また、職場環境の問題で転職を決意した場合でも、パワハラが理由だったことを直接伝えるのではなく、「より働きやすい環境でスキルを伸ばしたい」など、前向きな表現に言い換えることが大切です。
新しいことに挑戦し、スキルを磨くための転職であれば、入社後にやりたいことをしっかりとアピールしましょう。
働き方を退職理由にする
自分には働く意思があったにもかかわらず、パワハラや家庭の事情でやむを得ず退職することもあります。
その場合、「働くフィールドを変えることで自分らしく仕事に取り組みたい」という強い意志を伝えましょう。
特に、職場でのパワハラが原因で精神的な負担が大きくなり、退職を選ばざるを得なかったケースも少なくありません。
その他、結婚や親の介護なども、退職理由としてよくある例です。
こういった場合、企業が懸念するのは「また同じ理由で辞めてしまうのではないか?」という点です。
そのため、現在では通常の業務を問題なく行えることや、働く意欲がしっかりあることを伝えることが大切です。
たとえば、「結婚して環境が落ち着いたため、長期的に働きたい」「介護が一段落したので仕事に支障はない」「前職のパワハラから離れ、今は万全の状態で働ける」といった形で、安心感を持ってもらえるような表現を心がけましょう。
病気が退職理由の場合
パワハラがきっかけで体調不良や病気で退職した場合は、そのことを正直に伝えましょう。
「きちんと働いてもらえるのだろうか」と、企業から疑問視されてしまうおそれはありますが、事実ベースできちんと伝えることで理解してくれる可能性が高まります。
体調不良や病気を理由に退職した場合は、正直に伝えることが大切です。
特に、パワハラによるストレスやメンタルヘルスの悪化が原因で退職した場合、「また同じ理由で辞めてしまうのでは?」と企業側に不安を与えないよう、伝え方に工夫が必要です。
嘘やごまかしを書くと、後々発覚した際に信頼関係を損なう可能性があるため、避けましょう。
企業にとって、どんなに優れたスキルを持っていても、信頼できない人材を採用することは難しいからです。
大切なのは、過去の問題よりも現在の状況を前向きに伝えることです。
「以前は体調を崩してしまいましたが、現在は完全に回復し、働く意欲と準備が整っています」と伝えることで、企業側も安心しやすくなります。
パワハラが原因だった場合も、「より良い環境で力を発揮したい」といった前向きな表現を用いると、好印象につながるでしょう。
ネガティブな退職理由の場合は書き方に注意
人が退職を決める理由は、残念ながらスキルアップなど前向きなものばかりではありません。
「残業が多くて自分の時間が取れなかった」「人間関係が良くなかった」「パワハラにあった」などの、決して明るくない理由で仕事を辞める人も大勢います。
「辞めなければならなくなった」と言っても良いかもしれません。
ただし、このようなネガティブな退職理由は、伝え方に注意が必要です。以下で、ネガティブな退職理由の書き方についてくわしく解説します。
パワハラが原因で退職理由を書くときの注意点
退職理由を書くときは、採用担当者に変な疑いをもたれないように注意しなければなりません。
転職を成功させるには、企業側から信用してもらう必要があります。
しかし、書き方を誤ると、採用担当者に良い印象をもってもらえず、疑いの目で見られてしまうこともあるのです。
仕事に対する前向きな態度を疑われるようなことは、書くべきではありません。
職務経歴書に退職理由を書くときは、以下にあげる注意点を参考にして、読む人に誤った印象を与えないように気をつけましょう。
一貫性を意識する
職務経歴書に退職理由を書くときは、一貫性を意識する必要があります。
たとえば「スキルアップ」を退職理由としてあげているのに、志望動機で「これまでの経験を活かせる」と述べていたら、採用担当者には両者のつながりが見えません。
このように矛盾があると、採用担当者は「本音を隠しているのではないだろうか」と不安になってしまいます。
企業に提出する書類や面接での発言に矛盾がないように、提出前にしっかりチェックしておきましょう。
給与や待遇を退職理由にしない
退職理由として、給与や待遇面に言及するのは避けましょう。
たしかに、仕事に対しての正当な対価が得られないという理由で退職を決意する人は大勢いるでしょう。
しかし、給与や待遇への不満を強調してしまうと「仕事内容より待遇を重視している人だ」と思われてしまいます。
もちろん企業側に良い印象を与えません。
たとえ、給与アップを目的とした転職であったとしても、給与や待遇面を退職の理由にせず、ほかの理由をあげてください。
前職の悪口を言わない
退職した元の職場に関する悪口を言ってはいけません。
何か思うところがあって退職したのかもしれませんが、悪口を聞かされる側としては、あまり良い気持ちはしないものです。
しかも、あまり前職での出来事をくわしく話してしまうと「信頼できない人」「会社の機密情報を漏らしかねない」と思われてしまうおそれがあります。
人前でも平気で悪口を言うような人は、社会的な信用を得られないでしょう。
もし前の職場に不満があったとしても、わざわざそのことを伝える必要はありません。
良い会社に出会うには「転職エージェント」の利用がおすすめ
ここまで、職務経歴書の退職理由の書き方について解説しました。
しかし、「どのように書けばいいのか分からない」「ネガティブな印象を与えない表現が思いつかない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
パワハラを理由に転職する場合、退職理由の伝え方には注意が必要です。
自己流で考えるよりも、転職エージェントを利用してプロのアドバイスを受けることで、より効果的な転職活動ができます。
転職エージェントは、あなたの経歴や希望に合った適切な退職理由の伝え方をアドバイスしてくれるだけでなく、理想の転職先探しもサポートしてくれます。
特に、営業職やコンサルタント職に強い「アゲルキャリア」は、パワハラなどの職場環境の問題で転職を考えている方にもおすすめです。
優良企業の求人を多数保有しており、あなたに合った働きやすい職場を紹介してくれます。
また、年収アップが期待できる案件も多く、より良い条件で新たなキャリアをスタートできるチャンスがあります。
転職活動を成功させるためには、適切なサポートを受けることが重要です。
パワハラの悩みから解放され、新たな環境で活躍するために、ぜひ「アゲルキャリア」を活用してみてください!
まとめ
パワハラを理由に退職をした人が転職活動をする場合、応募先の企業に退職理由を伝えるのは簡単なことではありません。
しかし、パワハラの根本的な原因から具体的なエピソードを事実ベースで伝えることで、理解してくれる可能性が高まります。
もちろん、必ずしも書かなければならないわけではありませんが、少しでもあなたことを理解してもらえるように工夫した方が良いでしょう。
退職理由を詳しく伝える時は、できるだけポジティブな退職理由に変換できないか考えてみた上で、これから転職をした時にどう変わりたいかまでまとめると良いでしょう。
今回ご紹介したポイントを踏まえて、できるだけ良い印象の残る職務経歴書を作成しましょう。
SHARE この記事を友達におしえる!