セグメントって何?構成要素や営業シーンで頻出する例文まで紹介!
はじめに
「セグメント」という言葉は会社勤めのサラリーマンや、さまざまな会社を経営する方々の中で現在注目されている言葉です。
それでは、なぜこの言葉が各企業から注目され、実際にどのような事柄を指し示す言葉なのでしょうか。
今回は、セグメントとの意味から、実際に企業内で活用する方法についてまでご紹介していきます。
近年のビジネスシーンで、多く使われる用語です。
この記事を読んで、これを機会にしっかりと理解しておきましょう。
セグメントとは
まず、そもそもセグメントとはどういう意味の言葉として使われているのでしょうか。
実はセグメントとは英語の「segment」から来ており、日本語で「区分」を意味する言葉として使われています。
この区分という言葉通り、企業内の物事を区分して考えるのですが、区分対象は「市場にいる不特定多数の顧客」となります。
各企業についた顧客をさまざまな観点・角度から分類する区分がセグメントといえるでしょう。
このセグメントで明確になった項目ごとに、マーケティング戦略を立てるとより効果的であり、市場を分類するイメージで各企業が取り組んでいます。
そして、大企業でもベンチャー企業でもセグメントは必須事項として重宝されており、今では戦略を立てる基本として根付いているのです。
セグメントが注目される背景
セグメントが各企業内で注目される背景として、マスメディアが昔に比べて発達したことが関係しています。
現代社会の中で、情報を仕入れる方法は数え切れないほどあり、さまざまな媒体から情報を得られるようになりました。
これにより、膨大な情報を企業や顧客も受け取れるようにもなりました。
その結果、生活様式の多様化・顧客ニーズを明確にすることが困難となったのです。
この顧客ニーズ明確化の困難という問題に対し、有効な手段としてまさにセグメントが各企業内で活用されているのでしょう。
セグメントとして分けていくことでニーズを洗い出し、顧客に対して的確なアプローチができるようになりました。
このように、情報社会を勝ち抜いていく中で、セグメントの役割は非常に大きなものになっているといえるでしょう。
セグメントと類似語
セグメントにはさまざまな類似語が存在しています。
今回は特に間違えやすい2つの言葉をご紹介します。
セグメントのもととなる言語は英語から来ているため、日本語の意味に置き換えると、もちろん似ている言葉も多くあるでしょう。
そのような類似語の中でも、言語自体が似ているものや、意味が似ていて使い分けしにくい言葉などを取り上げていきます。
この類似語との比較をすることで、セグメント自体の意味を深掘りし、より理解できるきっかけになるかもしれません。
この項でほかの言葉との違いを明確にし、知識として吸収していきましょう。
セグメンテーション
まず、セグメントと一番類似しており、勘違いしやすい言葉としてあげられるのが、「セグメンテーション」です。
セグメントは特徴や属性別に分けられた区分のこと自体を指しますが、セグメンテーションは分ける行為のことを指します。
簡単に述べると、セグメントを実際に行うことがセグメンテーションであると覚えておくと良いでしょう。
セグメントはあくまで言葉の一部、セグメンテーションはその言葉を実際に実行することと認識すればわかりやすいでしょう。
セグメンテーションは「セグメント分け」とも呼ばれるので、企業ごとに呼び方が違う場合もあります。
そして、セグメンテーションは、マーケティングの基本でもある「STP分析」という方法の一部であることも覚えておくと良いでしょう。
このSTPというのは各要素の頭文字であり、Sはセグメンテーション・Tはターゲット・Pはポジションの略となっています。
これらの分析の始まりとなるセグメンテーションは重要な工程といえます。
ターゲット
先ほどSTP分析の話の中でも出てきた「ターゲット」もセグメントの類似語の1つです。
ターゲットというのは、マーケティング目的(売り上げの向上など)に適している項目のことです。
そして、ターゲットというのは複数存在するセグメントの1つでもあります。
ここまで見て、「ターゲットが複数におよぶセグメントの1つとはどういうことなのか」と思う方も多いでしょう。
簡単に述べると、セグメンテーションによって区分されたグループの中から、その企業のねらいに合うグループのことを指します。
また、そのグループを決める行為自体のことをターゲティングと呼び、そこではじめて区分されたグループから企業がねらいたい層を決めます。
このように、セグメンテーションで分かれたセグメントの中からターゲティングをするという覚え方が1番わかりやすいでしょう。
簡単な例を出すと、年齢をテーマにするとして、10代〜40代の4つに分ける行為はセグメンテーション、そこから20代のグループをねらう行為はターゲティングになります。
セグメントの4つの分類
セグメントという区分をセグメンテーションによって正確に行うためには4つの分類要素が存在します。
この4つの分類について理解したうえでセグメント分けをしなければ、次のターゲティングはほぼ無意味なものとなると考えても良いでしょう。
そのくらい、次にご紹介する4つの分類は大切な要素となってきます。
では、具体的にはどのような分類でセグメント分けを行っていくのでしょうか?
各分類の具体的な例をふまえながら、4つの分類についてしっかり理解しましょう。
また、実際にセグメント分けを行う際も、各項目を復習したうえで行うようにしましょう。
地理的変数
1つ目の分類として、「地理的変数」があげられます。
この地理的変数は別名「ジオグラフィック変数」とも呼ばれ、地域の特性・要素からセグメントに分解していきます。
具体的な要素でいうと、人口・気候・国や地域・人口密度などがあげられるでしょう。
地理的な要素全体をデータとしてみて、各国・各地域・各都市そのものの特徴・状況をセグメント分けしていきます。
たとえば、暖かい地域と寒い地域でのセグメント分け、関西や関東などでのセグメント分けなどがわかりやすい地理的変数です。
このように、地理の中で対となる関係の地域同士などで分ける考え方が、地理的変数の中でもよりわかりやすいでしょう。
人口動態変数
2つ目の分類として、「人口動態変数」があげられます。
これは「デモグラフィック変数」とも呼ばれ、性別や年齢、職業や家族構成、
あるいは学歴や宗教さらには人種などからセグメンテーションをおこなっていくものです。
たとえばメディア産業の場合、年齢・性別などが異なるとそれぞれの層が求めるものもまったく変わります。
また住宅や金融サービス、あるいは宝飾品のような価格が高い商品も、人口動態変数と照らし合わせ、
各々の層に合わせてラインナップを揃えることが求められます。
人口動態変数は公的な調査が数多く実施されており、データの入手も比較的容易です。
たとえば日本の人口動態変数は総務省統計局のサイトからダウンロードできます。
このような理由から、人口動態変数はマーケティングの現場で活用されることが多いです。
心理的変数
3つ目の分類として、「心理的変数」があげられます。
この心理的変数は別名「サイコグラフィック変数」とも呼ばれ、人口動態の要素からセグメンテーションをしていきます。
具体的な例としてあげられるのは、性格・趣味・価値観などですが、心理的要素は目にあらわれないデータなので、判断するにはとても難しい要素と言えるでしょう。
たとえば性格でセグメント分けすると、おっとりした性格・せっかちな性格・几帳面な性格・大雑把な性格と大きく分けて4分割できます。
ただ、この性格というのはあくまでもデータで区分しているわけではなく、本人や第三者の感じ方で判断したものですので、セグメント分け時の正確性という意味では難しいかもしれません。
このように、データ以外でもセグメントの分類に関与する要素はあるということを覚えておきましょう。
行動変数
4つ目の分類として、「行動変数」があげられます。
この行動変数は別名「ビヘイビア変数」とも呼ばれ、顧客の実際の行動や商品に対する反応などから、セグメンテーションを行っていきます。
この行動変数の良さは、自社の顧客の中からロイヤルカスタマーを発見する、顕在層・潜在層を分けることにも有効性が高いという点にあるでしょう。
たとえば、各年齢層によって購入されている製品ジャンルでセグメント分けをしたり、または時間帯と年齢層を掛け合わせてセグメント分けをしたりします。
そうすると、年代ごとの傾向や需要の違い、買い物時の行動パターンや購入時間を割り出せ、ピンポイントの製品を特定の年代に買わせることができるかもしれません。
このように、マーケティングに必要な要素として、一番大切な「顧客自体の分析をする」という部分を含んだ分類が行動変数となります。
セグメントに必要な4R
ここまでセグメントについての解説やセグメント分けする場合の分類方法をご紹介してきました。
ここから「セグメントに必要な4R」をテーマに、セグメントに必要な要素をご紹介していきます。
この4Rというのは、各英語「Rank・Realistic・Reach・Response」のアルファベットを取って4Rと呼ばれています。
これらの要素を勉強しておくと、セグメントに対する理解も深まり、よりマーケティング戦略を立てるときの礎として役立ってくれるでしょう。
もし今後戦略会議のような大切な場面になったとき、もう一度この記事を読んで、理解を深めた状態で臨めるように準備していきましょう。
Rank(優先順位)
セグメントに必要な要素として、優先順位をしっかりと決めることが大切です。
つまり、各企業が考えているマーケティングの目的に沿った優先順位を選択することが、より正確にセグメントを評価するための条件となるのです。
この優先順位をはっきりと決めておかないと、セグメント分けをしたとしても、ターゲティングの時点でどのセグメントにするのか判断がつかなくなります。
したがって、まずは各企業が譲れない条件を洗い出し、それらをもとに優先順位をつけながらセグメント分けすることが大切でしょう。
ただ、優先順位が多すぎて困ってしまうという企業も多いかもしれません。
そのようなときは、「なぜマーケティング戦略を行おうと思ったのか」と原点に立ち返ってみるのも良いでしょう。
原点には一番大切な目標が隠れているものです。
それをもとに優先順位の核を決めてみても良いかもしれません。
Realistic(規模の有効性)
セグメントに必要な要素2つ目は、規模の有効性を確かめておくことです。
規模の有効性とは、簡単に説明すると「ターゲットとする市場の規模がこれから伸びたときに将来性のあるものか確認する」ということです。
なぜこのような要素をふまえておく必要があるかというと、どのような魅力的な内容のものであっても、市場規模が小さければ売り上げを向上させていくのは困難という理由が大きいでしょう。
正直な話ですが、売り上げが伸びない商売を続けていても「時間がもったいない」と感じる方が多いはずです。
もちろん、急激に市場規模が拡大していく業界も中には存在しますが、まずは市場規模が現時点でどのくらい大きいかを確認しておきましょう。
ただ、市場規模が大きすぎると、逆に需要のあるサービスや製品は、さまざまな人々の知恵や技術ですでに出来上がっている可能性も高いです。
したがって、その点においては、各企業が隙を突いて事業の拡大がしやすいビジネスを見つけ出す洞察力や努力が大事となってくるでしょう。
Reach(到達可能性)
セグメントに必要な要素3つ目は、到達可能性が高いかどうかという点です。
これは、簡単に説明すると「製品やサービスを各地域に届けられるか」という要素のことです。
この要素に関しては、地理的な問題が強く関係しており、各拠点から配達可能な距離はどこまでかを知っておく必要があります。
極端な例をあげると、東京を拠点としたサービスはブラジルに届けることは難しいです。
しかし、神奈川や千葉などの同じ関東圏ならなんの問題もありません。
このように、「ある地点を拠点とし、どの場所までなら届けることができるか」というポイントを探っていくことがこの要素では大切です。
この距離が長いほど到達可能性が高いと判断され、到達可能性の高い地域は、優先順位が高いので市場として選ばれやすくなります。
この要素はなかなか難しい判断を迫られるものですが、活用できればインターネット販売など物を送るのが前提の商売では、有効性の高い要素といえるでしょう。
Response(測定可能性)
セグメントに必要な要素4つ目は、測定可能性が高いかどうかという点です。
この測定可能性とは、英語でResponseと書かれている通り、消費者自体のセグメントに対する反応の度合いを表しています。
このセグメントからの反応や行動を定量的にチェックしておくことで、それらの消費者の反応そのものが事業拡大において大きな指針となるでしょう。
簡単な例としては、街中でのアンケートや飲食店でよく見かけるアンケート用紙などが良い例でしょう。
それらのように、消費者の反応は企業側にしてみれば宝の山であり、将来業績を伸ばしていくには必要な要素となります。
そのように考えると、測定可能性の高さは4Rの中でも一番企業の中では不可欠な要素といえるかもしれません。
セグメントの営業への活用方法
ここまでセグメントについてさまざまな観点からご紹介してきましたが、次にセグメントを営業職で活用させる方法をご紹介します。
営業職は顧客に対して面と向かって商談できる立場の職種です。
セグメントは使い方によってはとても役立つでしょう。
そこで、具体的な使い方をふまえて、どのようなシーンでセグメントを有効活用できるかをくわしく見ていきます。
現在営業職でプレゼンや大切な商談を控えている方は、ぜひともこの記事を読んでセグメントを活用してみましょう。
新規顧客獲得に向けての営業リスト作成
新規営業をメインとして営業活動をしている方にとっては、新規顧客へ自社をアピールする方法や、実際のアプローチの方法に悩むことが多いでしょう。
その場合は、まず新規営業をかける前に業界市場にいる人・企業をセグメント分けして、アプローチする施策を練っておくことが有効な手段です。
そのなかでも、リスト作成をしておくと担当者間で共有が可能になるので、より効果的なアプローチを全員で考えられるでしょう。
このように、営業活動の効率化がセグメントによってできるため、営業活動にはセグメントが必要不可欠といえるでしょう。
契約成立までの流れの円滑化
営業職の方が契約成立までの流れを円滑に進めるのにも、セグメントが役立ちます。
具体的な方法として、まず既存の顧客をセグメントに分けて、そのセグメントに属する企業の特徴や傾向をつかみましょう。
このセグメント分けをする意味として、同一または類似したセグメントの企業の商談をするときに、よりニーズに合った提案やアプローチ方法を模索できることがあげられます。
このように他社と類似の企業とをひもづけることで、成功体験からヒントを得られるので、格段に契約成立の可能性を高められます。
そして、よりスムーズに契約成立までの流れにもっていくこともできるでしょう。
おわりに
セグメントというのは掘り下げれば掘り下げるほど、深くて難しい言葉です。
しかし、より追求していけば、どのような業界でも業績上昇に大きく影響させられる活用法があります。
したがって、自分の企業には合わないとすぐに思わず、この記事で一度セグメントについて理解を深めてから、もう一度活用できる方法はないかを確かめてみましょう。
また、セグメント分け自体はマーケティング目的だけではなく、日常生活で思考を整理したいという場合にも十分使える方法です。
ぜひさまざまなシーンで活用してみて、自分自身に合った形で使えるように考えてみることも良いでしょう。
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